【車のマスク】異物からエンジンを守る「エアフィルター」とは
エアフィルター(エアクリーナー)を車検の際に交換をすすめられたことがある方であれば、エアフィルターなどの交換が必要であることはご存知だと思います。とはいえ、必要性や、交換時期などは認識していない場合があると思います。
ここでは、エアフィルター(エアクリーナー)と、交換時期や交換するメリットについて見ていきましょう。
・エアフィルター(エアクリーナー)
エアフィルター(エアクリーナー)とは、簡単に言うと、エンジンに取り組む空気をろ過するフィルターのことをいいます。
このエンジンに取り込まれる空気は、
・ガソリンと混合されてシリンダーに送られる
・シリンダーで圧縮したところで点火し燃焼(爆発)
となります。この際に異物が空気に混じっていると、点火プラグに付着して燃焼がうまくできなかったり、ススが出たり、最悪の場合空気の通り道を塞ぐこともあります。
そうならないためにもエアフィルターを通し、キレイな空気をエンジンに送るのです。
エアフィルターは空気をろ過した汚れが徐々に付着していくため、定期的に交換が必要になります。
■車のエアフィルターってエアコンのフィルターと思ってる?違います!
「エアフィルター」という言葉だけを聞くと、まず思い浮かぶのはエアコンや空気清浄機のフィルターという方も多いかもしれませんね。車のエアフィルターと言われると、車のエアコン用のフィルターのことかなと思ってしまいそうになります。
しかし、先ほどもご紹介したように、一般的に車に関して「エアフィルター」と呼ばれる場合には、エンジンに吸い込むための空気をきれいにするフィルターのことを指すことが一般的です。
自動車のエアコンにももちろんフィルターがあるのですが、こちらは「エアコンフィルター」と呼ばれることが一般的で、室内のグローブボックス奥などに装着されていることが多いです。エンジンルーム内に装着されるエアフィルターとは場所も用途も違う点には注意が必要。とはいえ、エアフィルターとエアコンフィルターは、機能が似ていることから見た目が似ているものもあります。
■「エアフィルターエレメント」は定期的な交換やメンテが必須
エアフィルター=「空気をろ過する」ため、空気に異物が混じり通るたびに少しずつ目詰まりをおこしていきます。
目詰まりがひどくなると空気を通すときの抵抗が大きくなり、エンジンに勢いよく送り込むことができなくなり、エンジンの吹き上がりが悪くなる原因にもなります。
エアフィルターを交換することで、エンジン内にキレイな空気を取り込めるだけではなく、抵抗も少なくなるので、必要に応じた空気を大量に送り込むことも可能です。
■エアフィルターの交換時期の目安
エアフィルターの交換時期は、おおむね2万キロ~3万キロの走行後といわれています。空気中の不純物の量によってもエアフィルターの交換時期が変わるので一概にいえないですが、年数よりも走行距離を重視した方がいいです。
そのため、通常は車検に合わせてエアフィルターを交換することが目安になります。しかし、走行する機会が多い場合は、定期的に専門店に点検してもらい、必要に応じてエアフィルターを交換することをおすすめします。
エアフィルターを交換・メンテナンスすると燃費が良くなる?
一般的にエアフィルターを交換すると燃費が良くなるといわれているのですが、その理由はなんでしょうか。エアフィルターの交換する効果と燃費の関連性について見ていきましょう。
■エアフィルターを交換する効果
エアフィルターを交換すると、燃費が上がります。車のエンジンは空気を吸い込む場所があるのですが、その部分にスポンジのようなエアフィルターがついています。
このエアフィルターは、車の走行距離が増えることで、さまざまな細かい塵が付着してエンジンの空気が取り組みにくくなっていくのです。
そうなると、エンジンが空気を吸い込みにくくなりますので、エンジンの不調に繋がり燃費を下げる原因になります。また、一度に吸い込む空気が減るため馬力が落ち、アイドリングも不安定になることがあります。
エアフィルターを交換することで、これらの原因を避けることができますので、車の調子が悪いと感じた際にはエアフィルターの交換を検討するといいでしょう。
エアフィルターと燃費の関連性
エアフィルターが劣化すると、燃料が完全燃焼することができなくなるため、燃焼効率が悪化します。さらに、ドライバーは推進力を得るためにアクセルを踏み込むことになるため、さらに燃費が悪化していきます。
エアフィルターを交換して空気量を適正にし安定することができれば、エンジンに送り込んだ燃料を無駄なく燃焼することができますので、燃費が向上するのです。
エアフィルターの交換に関しては難しい作業ではないですが、純正品を含めて多くのメーカーから代替品が用意されており、どのエアフィルターに交換するかによりろ過性能が大きく左右することになります。よく分からないという方であれば、プロに見てもらって良いタイミングで交換しましょう。
【DIYでもできる】エアフィルターの交換方法はこうだ
エアフィルターの交換方法は、とても簡単です。
1例ですが、下記の方法を参考にすれば、ほとんどの車種で同じ手順で交換できるため確認しておきましょう
①エアフィルターケースの位置を確認し、ケースを開ける
まず、ボンネットを開けて箱があるか確認しましょう。エンジンから太い管で繋がっている箱があるはずです。その中にエアフィルターがありますので、クリップを外して箱を開けてください。
(車種によってクリップの数は違います)
②フィルターを交換し、ケースを戻す
全てのクリップを外したら、箱を持ち上げてずらし、古いエアフィルターを外しましょう。エンジンと箱は管で繋がっているため、完全に開くことはできません。周りの配線等を傷つけないようにして、エアフィルターを隙間から取り外します。
その後、新品のエアフィルターを隙間から入れて装着しましょう。もしも箱に収まらない場合は、上下の向きが違うか、型が違う可能性があります。しっかりとは箱に収まるまで、丁寧に作業しましょう。
しっかりとエアフィルターを装着することができたら、箱を閉じてクリップを戻し、ボンネットを閉じます。エンジンをかけて計器にエラーが表示されなければ、これでエアフィルターの交換は終了となります。
エアフィルターを交換することで、燃費向上や馬力向上などの変化があるわけではないですが、定期的に交換することで、その車本来の性能を維持することができます。
これは、エアフィルターに限った話ではなく、全ての車のパーツにいえることですので、車の定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。
エアフィルターの種類について。愛車にはどれが最適?
まずエアフィルターは、大きく分けると「乾式タイプ」と「湿式タイプ」があります。乾式タイプの特徴は、メンテナンスの手軽さだといえます。
基本的にエアブローなどで、ホコリをとばして使用することになるのですが、洗浄することができないため、ある程度汚れたら交換しなければいけません。
湿式のエアフィルターのように洗って乾かしてオイルを塗って、という手間がなくサッと交換することができるのがポイントです。
温式タイプは、フィルターオイルが塗布されているため、青色または赤色をしています。良い点としては、洗って何度も繰り返し使うことができるので長期的に見るとランニングコストがかからない点です。
しかし、汚れると洗浄液で洗浄して1日~2日程度乾かして、専用のフィルターオイルを塗る必要があるので手間がかかるのです。
また、吸収効率が高い反面、雨天時には乾式フィルターと違い雨の侵入率が高くなるため、雨天時に走行するにはレインカバーを装着する必要があります。
■エアフィルターの素材だけでもこんなに種類がある
エアフィルターには、主に3種類の材質が下記のように使用されています。
・ペーパー式
・ウレタンフォーム(スポンジ)式
・K&M製 コットン温式フィルター式
アフターマーケット市場で広く出回っている「ウレタンフォーム(スポンジ)式」は、もともと送風機や掃除機などの工業用などで使用されているもので、安価という利点があります。
このタイプのデメリットは多く、乾式タイプでは目詰まりをおこすためフィルターをオイル温式にするのですが、吸気抵抗を減らすために目の粗いスポンジを使用する方法しかなく、細かいホコリまで取り除くことは難しいのです。
また、スポンジにオイルが浸透しないためエアフローセンサーにオイルが付着してトラブルの原因になることがあります。このエアフィルターは、デリケートなエンジン用の吸気フィルターよりも粉塵などの汚れた空気を排気する側のフィルターに向いています。
ウレタンフォーム(スポンジ)式の最も注意する点は、剥き出し型の場合に一体型成型ではないためにスポンジと本体の隙間からエアを吸い込んで、フィルターなしの状態になることです。
アメリカ製のコットン製K&Nフィルターは、値段が高いことがデメリットではありますが、メンテナンスによってはフィルターの交換サイクルが減るため、純正フィルターよりもコストを削減することができますし、性能は全てのフィルターを上回っています。
エアフィルターの素材は、濾紙や不識布のように繊維を不規則に絡めて成形したものや、軟質ポリウレタンフォームなど(発砲プラスチックを成形したもの)が用いられており、密度の異なる層を複数重ねた構造をとる場合もあります。
金属や樹脂の枠を一体化し、メンテナンスや交換を容易にした構造をもつ場合もあります。さらに蛇腹状に折りたたんだり、円筒形状にして占有体積に対するろ過面積を大きくとることもあります。
■ホコリを捕まえる方法別、エアフィルターの3種類をチェック
基本的に車両の走行環境に対応するために、下記のように3種類のエアフィルターがあります。
湿式エアフィルター(ウェットエレメント)
素材は、オイルをしみこませたスポンジ(ウレタンフォーム)となっています。特徴は、スポンジの2層構造で高い吸着性があります。また、砂やホコリ、水分のろ過に強く洗浄することにより繰り返し利用することが可能です。さらに車体の軽量化も可能となります。
乾式エアフィルター(ドライエレメント)
素材は、濾紙または不繊布(乾燥した布)となります。特徴として、通期抵抗が少なく砂やホコリに強いです。
ビスカス式エアフィルター(オイルコートペーパーエレメント)
素材は、オイルを浸透させた濾紙です。特徴として、通気抵抗が少なく砂やホコリや水分に強く、長時間使用することが可能ということです。
また、エアフィルターの形状については下記の2種類があります。
・板状タイプ
・キノコ型タイプ
どちらも役割は同じなのですが、重要なのは吸入面積で、一般的にキノコ型の方が吸入面積を多くとれるといわれています。
多く吸入面積をとれるということは、それだけエンジンに多くの空気を取り入れることができるので、排気量を上げていたり、マフラーを高効率のものに交換していると恩恵を得られるでしょう。
エアフィルターの価格帯はこのくらい
例えば、代表的な車「トヨタ プリウス」(2017年9月~2018年12月)の場合において純正品番が「17801-21060」となっています。この品番を基にAmazonなどで調べると適合するエアフィルターを確認することが可能です。
それぞれのメーカーの代表的な車とエアフィルターの適合表については下記となります。
・トヨタ プリウス(2017年9月~2018年12月): 純正品番「17801-21060」
・日産 ジューク(2010年11月~):純正品番「AY120-NS022」
・ホンダ フリード(2016年9月~):純正品番「17220-5R0-008」
・スバル インプレッサG4(2016年10月~):純正品番「16546-AA150」
・三菱 デリカD:5(2019年2月~):純正品番「1500A286」
・スズキ スペーシアカスタム(2017年12月~):純正品番「13780-74P00」
・マツダ アクセラハイブリッド(2013年11月~):純正品番「P301-13-3A0」
エアフィルターの価格はそこまで高価ではなく、Amazonでいえば2000円程度からあります。例えば、トヨタ プリウス(2017年9月~2018年12月)のエアフィルターであればAmazon価格で2,124円(2019年5月現在)となっています。
ただし、1000円以上の配送料がかかるところもあるため、余裕をもっておいた方がいいでしょう。
バイクのエアフィルターの交換方法は?
バイクのエアフィルターの交換方法は車種によって違うのですが、主に下記の手順となりますので参考にしてください。
①リアカウルを外します
②タンクを外す下のボルトが見えるので外します
③タンクを外す上のボルトを外します。
④ガソリンコックをオフにします
⑤タンクを外すためにガソリンホースを外します
⑥ホースを傷つけない様にホースバンドを外しゆっくり抜きます
⑦ここでエアクリーナーボックス(エアクリ)が見えます。2層になっているので上の部分を外します。
⑧エアフィルターが見えてきるので外します。ボトルなどで固定されていないので手で外せます。
⑨その後、エアフィルターの下にあるカバーを外します。
⑩キャブが見えてくるので、その後エアクリボックスの下も外します。
⑪そうすると、サブのフィルターボックスが見えてきます。被せているだけなので手で外せます。CBRで、このフィルターを交換していいない人をよく聞くようなので、交換した方がいいです。
⑫サブフィルターボックスを固定させる針金のようなものにホースを固定します。
⑬エアクリボックス下を取り付けるときに注意することは、下にボックスを差し込むところがあるのでしっかりと差し込みましょう。
⑭ボックス下の+ボトルを締めるときはゆっくりと均等に仮締めしながら締めていきましょう。
⑮カバーを取り付け、フィルターを取り付けます。
⑯エアクリボックス上を取り付けます。+ボルトを締めるときはゆっくり均等に仮締めしながら締めていきましょう。
⑰ガソリンホースを取り付け、ホースバンドもしっかりとつけます。
⑱タンクを取り付け、リアカウルを取り付けて完成です。
エアフィルターをメンテナンス(交換)していないと、キャブに塵が詰まるなどのトラブルになりますので、定期的なメンテナンス(交換)をおすすめします。
エアフィルターは自作できるのか
結論からいえば、エアフィルターを自作することは可能です。エアフィルターを自作している方を見ていると、車によって社外パーツや中古パーツが少ないために、新品で購入する(ディーラーや純正パーツ)のが嫌という方が多いようです。
エアフィルターを自作する際に用意するものは下記となります。
・鉢の下に敷く網
・エアコンの交換用フィルター
これらは、いずれも100円ショップにあるため価格をおさえることができます。作り方はシンプルで、まず網を2枚ほど純正エアフィルターの形に切ります。その後、エアコンの交換用フィルターを重ねて(3枚~5枚ほど)上下を網で挟みます。
このあとにホチキスで止めて、はみ出たエアコンの交換用フィルターを切ったら出来上がりです。例えば、もしエアクリーナーボックスにはめたときに隙間があるようでしたら、隙間テープ(スポンジのテープ)をふちに張ります。
確かにエアフィルターを自作することは可能ですが、トラブルの原因になる可能性がありますし、エアフィルターも安価で売られているものが多いため、わざわざ自作をする必要はないかも知れませんね。
エアフィルターを作っているメーカーでおすすめはどこ?
エアフィルターをつくっているメーカーは下記のようにさまざまあります。
・K&N
・BLITZ
・HKS
・NISMO
・純正
エアフィルターの純正を使用するのは無難なことですが、レースなどをしている方であればHKSに変えることで驚くほどの効果があるといわれています。また、ニスモは、純正のエアフィルターと外観もほとんど変化しないのですが、効果もほとんど変わらないといわれています。
BLITZは低速で少し詰まった感じがするのですが、K&Nは低速から高速まで抜けがいいため、おすすめできるのです。
■K&N製のエアフィルターは評判が良い
さまざまなエアフィルターを使用して分かるのですが、K&Mに交換後にレスポンスが良くなったと感じる人が多くいるようです。例えば、エンジンをかけた瞬間はカブったような感じがしますが、ひと回しすると吹き上がりとレスポンスが気持ちいいのです。
また、形状もしっかりしているため、何回も洗って使えるのが良いといえるでしょう。
下記はダイハツとスズキ用ですが、ホンダ用など他にもあるので探してみましょう。
■K&N製のエアフィルター効果
K&Nのエアフィルターは、純正の紙製フィルターと比較すると「集塵効率」「集塵容量」「吸気効率」が高く、馬力が1~4ps程上がるように設計されています。
4層のコットンからなるフィルター素材は表面だけではなく、内部にも塵を集めるため吸気効率が低下しにくくなっており、長期間車両のポテンシャルを発揮することができるのです。
その他にも、フィルターチャージ効果(エンジンにキレイな空気を送り込む)、ろ過効果、半永久的に使用可能(専用のクリーナーを使用)などがあります。
■おすすめのK&N エアフィルター商品
K&Nのエアフィルターの多くあるのですが、こちらでは代表的な板状タイプとキノコ型タイプの商品を紹介します。
板状タイプ
キノコ型タイプ
どちらの商品も濾材は永年レースで培われてきた実績と信頼のある温式コットン4層フィルターを採用しています。
吸入抵抗とろ過性能を高次元で両立し、優れたパフォーマンスを実現しています。また、別売りのK&N専用のメンテナンスキットを使用することで、繰り返しの使用が可能です。
また、上記の板状タイプはエンジンルーム内の熱の影響を受けない純正クリーナーBOXの特性を最大に活かした「ビルドイン エアフィルター」となっています。
まとめ
エアフィルターは純正のものだけではなく、さまざまな社外品があり値段もさまざまです。また、自身でエアフィルターを交換すると車への愛着が増していく楽しさもあります。その際にエアフィルターを長く維持(半永久的に使用)していきたいと考えているのであれば、K&Nのエアフィルターと専用クリーナーを購入しメンテナンスしていくといいです。
よくある質問
■エアフィルターはどこについていて何をする部品?
自動車のエアフィルターとは、エンジン内部で空気とガソリンとを混ぜる前に、取り込んだ空気からチリや埃を取り除いて異物がエンジン内に入らないようにする役割の部品で、ほとんどの車ではエンジンルームの中にある大きな箱状のケースに収まっています。
■エアフィルターって交換が必要なの?
エアコンなどに用いられるようなフィルターは、埃がたまったら清掃してそのまま取り付けられるものがほとんどではありますが、一般的な自動車のエアフィルターエレメントは、定期的に交換が必要になります。毎回交換する部品を購入する費用はかかるものの、作業時間が短く簡単に済むという利点もあります。