罪作りなほど豊富なラインナップ! レンジローバー
ランドローバー レンジローバー
今でこそロールスロイスが自社のSUV「カリナン」を販売しているため呼ばれなくなりましたが、砂漠のロールスロイスという渾名が付けられていたほど、レンジローバーの高級感は世界的に知られたものです。
見た目や内装が高級なだけでなく、悪路走破性においても世界トップクラスを維持している点がポイント。
もはや超高級SUVとなったレンジローバーを、鬱蒼としたオフロードに持ち込む方は少数派と思われますが、本物の醸し出す迫力が感じられますよね。
しかし、レンジローバーとひと口で呼んでも、そのラインナップは今や4種類にもわたることはご存知でしたか?
ユーザーごとに違う求める性能、ステータス性、イメージを、多数のラインナップで幅広く受け入れる懐の広さは、車選びの際には嬉しい悲鳴が上がってしまいそう。
それぞれのレンジローバーの特徴と価格帯をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
シリーズ別に分類! レンジローバー ラインナップまとめ
■レンジローバー:基本でありながら究極、比類なき存在感!
ランドローバー レンジローバー SVオートバイオグラフィー ダイナミック
他のモデルと異なり、サブネームがつかない「ランドローバー レンジローバー」は、ラインナップの基幹車種であり、フラッグシップでもあります。
これぞレンジローバー!という、一目で分かるスタイリングは、SUVらしい力強さを持ちつつもスマートな印象。
車両後方まで伸びやかに続くルーフラインや、フェンダー上部まで覆い被さるクラムシェルボンネットやそこから車両を一周するキャラクターラインなど、歴代レンジローバーのアイコンをしっかりと受け継ぎつつ、LEDヘッドランプなどで先進的な印象もありますよね。
ランドローバー レンジローバー SVオートバイオグラフィー ダイナミック インテリア
またインテリアも至極の空間。もはやSUVとして使われるよりも、要人の移動車などとしても使われる性格を意識してか、ホイールベースを200mm延長して後席足元の余裕が増したロングホイールベース仕様が新たに登場しており、SUVらしい広々とした空間にさらに磨きをかけています。
特に、トップグレードとなるSVオートバイオグラフィー ロングホイールベースでは、固定式のセンターコンソールを備えた後席の4人乗り仕様となり、豪華装備も満載。
ハイエンドな高級セダンと並んでも見劣りしない、究極にラグジュアリーなインテリアが実現されています。
ランドローバー レンジローバー 防弾装甲仕様車「センチネル」 テストカー
無論、これらの高級感を備えていても、悪路走破性で劣るようではレンジローバーとは呼ばれません。
全グレードで220mmの余裕ある最低地上高を確保する電子制御エアサスペンションや、ローレンジを備えた全輪駆動システムで、この高級感あふれる見た目からは想像できないような走破性を誇ります。
最大渡河性能は脅威の900mm。成人でも腰あたりまでの水深では、しっかり歩くことも困難になりそうですが、レンジローバーなら安定した走行が可能となっています。
テレインレスポンス2が装備されているグレードでは、ランドローバーで定評のある統合制御システムによって走行状況に応じた最適な走行モードの選択も可能になります。車任せのオートモードが選べる点も、高級車らしい作りですね。
ランドローバー レンジローバー ウェストミンスター
基本でありながら最も高級というのは、レンジローバーの長い歴史があってこそ成し遂げられることでしょう。
伝統的な高級感と悪路走破性の両立は、電子制御の力も加わってもはや敵無しと思えるほど。
ボディサイズがラインナップ中最も大きいこともあり、やはり実物を見た際の迫力もレンジローバーは一味違うものです。ご予算に余裕がある方はぜひレンジローバーを検討してみては。
ランドローバー レンジローバーのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,005/5,205mm×1,985mm×1,865mm | |
---|---|---|
燃費帯 | JC08モード:7.2〜12.4km/L | |
燃費(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:8.8km/L | |
プラグインレンジ(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:41.4km | |
電力消費率(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:2.36km/kWh | |
新車価格帯(消費税抜き) | 13,572,728〜29,109,091円 |
■レンジローバー スポーツ:カッ飛びレンジローバー、3列シートも
ランドローバー レンジローバー スポーツ SVR
高級感ではSUVトップレベルの実力を持つレンジローバーですが、近年ではBMW X5やポルシェ カイエンなど、「走れる」SUVも人気。そんなライバルたちに堂々と対抗するレンジローバーが、「ランドローバー レンジローバー スポーツ」です。
見るからにレンジローバーよりも戦闘的なルックスを有するスポーツは、現在は2013年発売の2代目。現行レンジローバー同様にオールアルミモノコックのプラットフォームとなり、大幅な軽量化が実現されました。
全体的にはレンジローバーと共通イメージながら、より絞り込まれたキャビンや寝かされた前後ウィンドウからはスポーティさが感じられますよね。
ランドローバー レンジローバー スポーツ SVR インテリア
意外なことに、レンジローバーラインナップで3列シートを装着できる唯一の車が、スポーツでもあります。より舗装路上での意のままの走りを追求しつつ、室内ユーティリティ性も高まっているということで、普段使いにはこちらの方が適している場合も多そうですね。
レンジローバーよりも短い全長に装備する3列目は、シート自体の厚みも薄めでかなり平板なため、緊急用として扱うほうが良さそうではありますが、いざというときにシートがあるのとないのとでは大違いですよね。
また、3列目はフラットに収納されるので、普段は広々とした5人乗りとVDA方式で623リッターという荷室の両立が可能な点が魅力的です。
ランドローバー レンジローバー スポーツ
もちろん、レンジローバー譲りの本格的な悪路走破性は維持。搭載エンジンによって違いはありますが、ローレンジを備えたトランスファーギアボックスや、テレインレスポンス2などの用意があり、最大7名で乗車しながらオフロード走行も楽しめます。
スポーツの最大渡河水深は、レンジローバーには劣るものの850mmとなっており、近年多発するゲリラ豪雨によって冠水した道路でも安心して走行できる性能があります。
ランドローバー レンジローバー スポーツ HST
レンジローバーのステータス性に、実用性も備えた贅沢な仕上がりの車がレンジローバー スポーツ。
スポーツと名はついていますが、ガッチガチの乗り心地やピーキーなエンジンを有するわけではなく、電子制御エアサスペンションによる優れた乗り心地はどなたにもお勧めできるものです。
スポーツの名前を存分に活かしたいなら、特別グレードの「SVR」を選択すれば、巷のハイパフォーマンスSUVを蹴散らすオンロード性能も手に入りますし、よりスポーティなスタイリングも魅力的。
様々な使い方に柔軟に対応できるのが、スポーツの魅力です。
ランドローバー レンジローバー スポーツのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,855/4,880mm×1,985mm×1,800mm | |
---|---|---|
燃費(JC08モード、V8およびディーゼル) | 7.6km/L(V8)、12.6km/L(ディーゼル) | |
燃費(WLTCモード、直6) | 8.9km/L | |
燃費(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:8.5km/L | |
プラグインレンジ(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:43.8km | |
電力消費率(プラグインハイブリッド仕様) | WLTCモード:2.64km/kWh | |
新車価格帯(消費税抜き) | 8,509,091〜15,663,637円 |
■レンジローバー ヴェラール:妖艶さをまとったクーペ・レンジ
ランドローバー レンジローバー ヴェラール
2017年から発売が開始された「ランドローバー レンジローバー ヴェラール」は、もはや妖艶さを感じさせるほどの魅惑のエクステリアが特徴的。
2018年には「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー 2018」を受賞するなど、世界的に高い評価を受けているヴェラールのエクステリアデザインは、レンジローバーラインであることを感じさせつつ、レンジローバー流のクーペSUVを華やかに表現しています。
かなり低められたルーフや大胆に傾けられた前後ウィンドウ、ボディも絞り込みの効いたフォルムとなっており、空気抵抗の低減まで企図されたそのスポーティさは、もはやレンジローバー スポーツを超えたものとなっています。
ランドローバー レンジローバー ヴェラール インテリア
室内でもその魅力は続きます。上下2段式のインフォテインメントディスプレイ「インコントロール タッチ プロ デュオ」は、シックなヴェラールのインテリアにぴったりマッチしています。
現在ではレンジローバーラインで幅広く用いられていますが、エアコンや車両設定などを下段のディスプレイで行うもので、設置されているノブの機能が場面に応じて切り替わるなど、運転中でも操作しやすい設計となっています。
ダッシュボードやセンターコンソールからボタンを限りなく排除したミニマルな仕上がりは、ドアノブを格納式とするなど、シンプルなデザインとなっているヴェラールのエクステリアにもぴったりですよね。
ランドローバー レンジローバー ヴェラール インテリア
他のレンジローバーラインよりも明確に低められた各シートのヒップポイントは、乗り込んだ時にスポーティな印象を与えると共に、低められたルーフ高に対して頭上空間をしっかり確保することにも成功しています。
2列シートの設定のみとなるヴェラールですが、その高級感はレンジローバー譲りのもの。シート表皮にはヴィーガンレザーの設定もあるなど、新たな試みも多数見られます。
ランドローバー レンジローバー ヴェラール SVオートバイオグラフィー ダイナミックエディション
SVRグレードは設定がないものの、ヴェラールのトップグレードとなるSVオートバイオグラフィー ダイナミックエディションでは、最高出力550PS、最大トルク680N・mという脅威のハイパワーで、0-100km/h加速を4.5秒でこなす俊足ぶり。これはレンジローバーラインナップで最速の加速性能です。
オプションでテレインレスポンス2などのオフロード向け機能の装備も可能なほか、最大渡河水深は650mmと、上位モデルには劣りますが十分な数値を確保しており、レンジローバーらしいどこへでも走っていける性能ももちろん備わっています。
レンジローバーの魅力に、セクシーさまで咥えてしまった贅沢な車が、ヴェラールです。
ランドローバー レンジローバー ヴェラールのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,820mm×1,930mm×1,685mm | |
---|---|---|
JC08モード燃費 | 10.0〜14.4km/L | |
新車価格帯(消費税抜き) | 7,180,000〜16,360,000円 |
■レンジローバー イヴォーク:シリーズ最小ながら際立つ個性
ランドローバー レンジローバー イヴォーク
レンジローバーシリーズの末っ子にして、オンロード性能も重視する近年のレンジローバーの方向性、新たなデザイン言語の方向性をも決定づけた車が、「ランドローバー レンジローバー イヴォーク」でしょう。
クラムシェルボンネットや真っ直ぐ伸びるルーフラインとショルダーライン、車体を一周するキャラクターラインなど、レンジローバーの特徴は捉えているのですが、短くまとめられた全長と低い全高も相まって、非常にスポーティですよね。
全幅は1.9m超えとやや大柄ではありますが、約4.4mの全長は日本国内でも扱いやすいサイズ。とかく大柄なモデルが多いレンジローバーラインにおいて、都会の狭い道でもキビキビ運転できそうなコンパクトさです。
ランドローバー レンジローバー イヴォーク インテリア
室内の仕立ても、レンジローバーラインとはデザインを共通させながらも、かなり低めのルーフ高もあって囲まれ感のあるスポーティな印象。
先代イヴォーク比で20mm足元空間が広まった後席は、電動化をも見込んだ新プラットフォームのホイールベース延長によるもので、普段使いにも最適な室内空間を実現しています。
ランドローバー レンジローバー イヴォーク
先代イヴォークではレンジローバーラインらしからぬ2WDモデルの設定も話題になりましたが、現行イヴォークで導入されるのはAWDと9速ATの組み合わせのみ。
AWDはテレインレスポンス2が全車標準装備となるなど、本格派の性能がより追求されているのも現行イヴォークの特徴。最大渡河性能は先代比で100mm向上した600mmと、コンパクトボディながら本格的な数値を誇ります。
ランドローバー レンジローバー イヴォーク
レンジローバーのステータス性を、街中でも扱いやすいコンパクトボディに凝縮したイヴォークは、もはやライバルのいない、独自のクラスを作り出した車ですよね。
本格的な悪路走破性を内に秘めつつ、都会で活躍するイヴォークが人気となるのもうなづけるところ。
現在導入されている2.0リッター 直列4気筒エンジン搭載のマイルドハイブリッド仕様だけでなく、1.5リッター 直列3気筒エンジン搭載を搭載したプラグインハイブリッド仕様「P300e」の早期の日本導入も期待されます。
ランドローバー レンジローバー イヴォークのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,380mm×1,905mm×1,650mm | |
---|---|---|
WLTCモード燃費 | 8.6〜12.8km/L | |
新車価格帯(消費税抜き) | 4,290,910〜7,600,000円 |
結局どれがおすすめ? レンジローバー選び方指南
ランドローバー レンジローバー フィフティ(右)、ランドローバー レンジローバー 初代(左)
ここまでレンジローバーの4車種をご紹介してきました。どのモデルにもそれぞれの魅力があり、知れば知るほど選びにくくなってしまいそうですよね。
もちろん、ご予算に余裕があれば、レンジローバーを選んでおけば後悔はないかと思いますが、レンジローバーの悪路走破性はやや持て余しそうかも、という方も多いのでは。その点、スポーツの7人乗り仕様や、ヴェラールの舗装路に特化した乗り心地のほうが魅力的なケースも出てきそうですね。
また、街中で使う機会が多い型ならイヴォーク一択となるかもしれません。全幅では差があまりないものの、全長の短さは替え難い魅力があり、駐車スペースに収めるのに一苦労、なんてこともなさそうです。
ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル(2016年型)
さらに悩みを増やしてしまうことになるのですが、レンジローバーは長い歴史のあるブランドですので、過去モデルの中古車にも魅力的なものがたくさんあります。
たとえば先代イヴォークに設定された異色のSUVコンバーチブル「イヴォーク コンバーチブル」などはズバ抜けたおしゃれさがありますし、レンジローバーを選ぶにしてもレトロな見た目の初代や2代目を選ぶという趣味人な選択も素敵ですよね。
輸入車、かつあまり信頼性の点でいい噂を聞かないレンジローバーですので、保証の付属する新車で購入するほうが安心ではありますが、選択肢としては中古車もおすすめです。
レンジローバーではなくランドローバーという手も!
ランドローバー ディフェンダー90
おしゃれ輸入SUVをお求めなら、レンジローバーではなくランドローバーの車を選ぶという手もあります。
レンジローバーラインほどの高級感はありませんが、ランドローバーの車も十分以上にプレミアムな印象で、高い悪路走破性のもたらすオーラはランドローバーのほうが上かもしれませんね。
ランドローバー ディスカバリー HSEラグジュアリー
レンジローバー スポーツよりも角張ったキャビンで3列目でも快適な「ディスカバリー」、街乗りにもぴったりなコンパクトSUV「ディスカバリー スポーツ」、世界中で伝説的なクロカン四駆「ディフェンダー」の3台が揃うランドローバーラインは、レンジローバーに比肩するような高いブランド性があります。
お値段としても高級ではありますが、レンジローバー比ではややお手頃価格になっていますので、次期愛車候補に、レンジローバーラインと共に入れてみては。
まとめ
ランドローバー レンジローバー
今や英国の自動車産業は高級車ブランドばかりとなっていますが、それらのブランドは高級車作りのノウハウをしっかり蓄積してきたからこそ現代まで生き残れたのでしょう。
レンジローバーの高級感とステータス性は、先鋭化していくラインナップによって勢いを増すばかり。豊富なラインナップが揃っているので、きっとどんな要望に対しても最適な答えを持つ車が見つかることでしょう。