ランドローバーとは?
ランドローバー・ディスカバリー
ランドローバーは、プレミアムSUVとしての地位を確立しています。あらゆる路面で高い走行性能を発揮するモデルを販売しているのが特徴です。ランドローバーの歴史は古く、1948年に戦後の舗装されていない路面を走破できるようにと4WDの「ランドローバー シリーズⅠ」が開発されたことが始まりです。
SUVモデルを専門として販売しているメーカーで、モデルのバリエーションは多くなくても性能と快適性が両立されたSUVとして世界中で知られています。2008年以降はインドのタタ・モーターズがジャガー・ランドローバーの親会社です。
ランドローバー ディフェンダー 110
タタ・モーターズ傘下になってからも、英国車としての雰囲気やラインナップのこだわりなどは維持されています。屈強なオフロード車ということ、またそれでいて快適性とラグジュアリーでプレミアムなデザインと内装などは、ランドローバーの特徴です。
代表的なモデルには、ブランドの起源ともなった「ディフェンダー」やプレミアムSUVである「レンジローバー」、さらに機能性が高い「ディスカバリー」などがあります。
長い歴史があるブランドですので、クラシックモデルにも熱心なマニアがいることから、レストアされて販売されています。
ランドローバーの歴史
ランドローバーの歴史を見ていきましょう。英国のローバー車から派生して誕生した車の名前となったランドローバーですが、1948年からオフロード車を製作してランドローバーという名前がスタートしました。
■ランドローバーの始まり
ランドローバー『シリーズ1』
大戦中の英国では、物資が不足しており、戦後には戦争で使われたJeepが多く走っていました。1948年にアメリカのJeepを参考にして、ローバーの乗用車などから構成部品を流用したランドローバー・シリーズⅠを開発します。アルミを利用したり、構造がシンプルなフルタイムサブトランスファー付き4WDを採用しことが特徴です。
ランドローバー・シリーズⅠがランドローバーの原点でもあり、確固たる地位を築くための土台ともなりました。
鉄不足に悩まされていたことから、アルミ製のパネルが多用されたのですが、これがランドローバーのトレードマークともなっています。
■1970年代にレンジローバーの誕生
初代レンジローバー
ランドローバーの成功を受け、さらに上級なフラッグシップモデルが開発されてレンジローバーが誕生しました。ランドローバーのブランドから、ランドローバーを超えるほどのオフロード性能と、高級自動車の快適性を目的としたモデルです。
剛性を高めたフレームが採用されたことで、悪路も物ともしない走破性を誇り、ボディパネルにアルミを採用したので軽量化を実現させました。またスペアタイヤは車内に設置することで、悪路を走行するときの損傷にも気を配った設計になっています。
レンジローバーはコイルスプリング式リジットアクスルを採用し、オンロードからオフロードまで快適な乗り心地を実現しました。頑丈で悪路走破性が高くても乗り心地は悪いという「シリーズ」のイメージを覆すモデルです。
またラリーで優勝を果たすことで、国内だけでなく世界中にランドローバーというブランドとレンジローバーを広めることとなりました。
ランドローバーブランドの基本車種であるランドローバー・シリーズは、1983年にはランドローバー90/110と名前が変更され、後継車種のディフェンダーへと変化していきます。
■複数の買収を経て新しいモデルが誕生
レンジローバー・イヴォーク・クーペ 2012年
ランドローバーはその後ディフェンダーだけでなく、ピックアップモデルをバリエーションを増やすなど、ブランド力を強めていきます。しかし母体となっているローバー社の経営は良いものとはいえず、さらに日本製の4WDの車が市場に参入してきました。
1994年にはBMWの傘下、2000年にフォード傘下などを経て、2008年にインドのタタ・モーターズの傘下になりました。その他にレンジローバー以外にも様々なモデルが販売されています。
例えば、コンパクトSUVの先駆けともいえるフリーランダーは、1997年から発売されていました。ランドローバーの中では最もコンパクトなモデルに相当し、日本でも発売されていたモデルです。
また2009年には、ランドローバーの主力モデルとなる「イヴォーク」が誕生します。スポーツ性能を継承しながらも、洗練されたモデルとしてランドローバーのヒットモデルとなります。
このように買収によって紆余曲折がありましたが、その間も魅力的なモデルを開発し続けてきました。
ランドローバーとレンジローバーの違い
ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク PHV
ランドローバーとレンジローバーは同じように使われますが、厳密にいうと意味が異なります。ランドローバーは自動車メーカーを表しているものです。トヨタやホンダと同じように、ランドローバーという会社です。
一方のレンジローバーはフラッグシップモデルの名称となります。例えば、トヨタのクラウンなどのようです。ランドローバーとレンジローバーは名前が似ているので、グレードの違いやメーカーの違いと勘違いしてしまいがちですが、メーカー名と車種名の違いであると覚えておくと良いでしょう。
ランドローバーの現行車種
ランドローバーの現行車種をご紹介します。どのようなモデルなのか、また価格帯もご紹介していきます。
■ディフェンダー
ランドローバー ディフェンダー 110
1948年から製造していたランドローバーシリーズを1990年に改良して付けられたモデルです。ランドローバー・シリーズⅢのマイナーチェンジでランドローバー・90/110と改称されます。その後127も加わりますが、 1990年から混乱を避ける目的として、ディフェンダーとなりました。
ランドローバーの原点ともいえるオフローダーで、軍用車としても使われるほど耐久性や走破性に優れています。 その後最新の衝突安全基準や排ガス規制に対応することが難しく、2015年を持って生産終了となりました。
その後2019年のフランクフルトモーターショーで新型ディフェンダーが発表されました。独自のモノコック構造を採用しており、ランドローバー最高レベルの強度を確保しているモデルです。
先代から受け継がれているメカニズムなどは一切ないですが、ヘビーデューティーのニーズを満たすモデルに仕上がっています。先進のテクノロジーを搭載し、走破性を高めています。
新車価格:499万円~
■ディスカバリー
ランドローバー・ディスカバリー 2019年
ランドローバーの中で中核車としての位置にあるディスカバリーは、1989年から発売されています。レンジローバーのオフロード性能はそのままにしながらも、生産と設計で合理化させることでテコ入れをしました。
初代モデルは、フレームやドライブトレイン、ドアガラスなどが初代レンジローバーのものが流用されています。日本では1991年から正規輸入が開始され、手軽に買えるSUVとして販売されました。またホンダからはクロスロードという名称でも販売されました。
ランドローバー・ディスカバリー 2019年
3代目のモデルは、フォード傘下で初めてモデルチェンジされたもので2004年にディスカバリー3としてデビューします。ラダーフレームとモノコック構造を複合した「インテグレーテッド・ボディ・フレーム」という独自のシャシーが開発されます。
先代までの特徴的なデザインは継承されながらも、モダンで洗練されたスタイルに変わります。またサスペンションが独立懸架となり、電子制御システムで悪路でのコントロールを自動化。安全にオフロードを走破できる実力を備えていました。
その後ディスカバリー4、現行のディスカバリー5とモデルチェンジしていきます。ディスカバリー5では、初のアルミモノコック構造を採用して、大幅に軽量化しています。デザインは、初代からの角張ったスタイルではなく洗練されたスタイリッシュなデザインになりました。
新車価格:877万円〜
■ディスカバリースポーツ
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ
ディスカバリースポーツはランドローバーでは、最もコンパクトなモデルの1つです。初代は2014年にフリーランダー2の後継車種として発表され、イヴォーグと設計が共有でありながら、3列シート仕様が設定されているモデルです。
レンジローバーの高級感、ディスカバリーのオフロード感とは異なり、ディスカバリースポーツは違った魅力を備えています。ディスカバリーと比較すると比較的コンパクトなボディサイズですが、ロングホイールベースになっているので、足元の空間にも余裕があります。
ディスカバリーにスポーツという名前が加えられているように、エンジン搭載位置が下げられて、剛性も上がっていることから、SUVと思えないほど軽快にドライビングできるモデルです。
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ
峠道でもスポーツカーのようなハンドリングを楽しめます。足回りが一新されていることから、ロードノイズを拾いにくくなっており、セダンのような快適な走りです。
コンパクトながら室内スペースが広いこともディスカバリースポーツの特徴です。それほど広くはないものの、3列目シートがオプションで設定されているので、大人数で乗車するシーンでも問題ありません。コンパクトでありながら使い勝手が良いモデルです。
新車価格:473万円~
■レンジローバー
レンジローバー・フィフティ
レンジローバーは本格オフローダーでありがらも、オンロードでも高級乗用車と変わらない快適性を持っているプレミアムSUVです。50年近くの歴史があるモデルで、現行モデルで4代目となっています。
初代は1970年に発表されており、ランドローバー以上のオフロード性能と、高級乗用車と変わらない快適性を持っていることが目標とされました。当時は高級SUVというジャンルが珍しく、独自の魅力を持っているモデルです。
2代目のモデルは1995年から発売されており、インテリアが豪華になったことや丸形のヘッドライトが角型に変更されるなどしています。先代モデルのサスペンションがトラブルの原因になることが多かったのですが、2代目でもそのまま採用したことからメンテナンスが必須となりました。
レンジローバー・フィフティ
2002年からの3代目になるとボディが大型化しています。また3代目からはモノコック構造を採用しました。軽量で衝撃吸収力が高いことが特徴で、街乗りでの使い勝手を意識したモデルに変化しました。3代目は開発時にはローバーグループがBMW傘下にあったことから、オンロード性能が高くなっています。
オフロード性能は犠牲にせずに、どんな地形や路面でもクラストップレベルの安定性を持っています。高級感とオフロードでも十分なパワーあるパワーユニットで、力強く走れます。
新車価格:1,493万円~
■レンジローバースポーツ
レンジローバー スポーツ
ランドローバーのスポーツツアラーとして登場したモデルです。初代モデルは2005年から発売されており、ディスカバリー3と共通のフレームを採用しています。レンジローバースポーツは、レンジローバーよりもスポーティな味付けになっています。レンジローバー自体は、ランドローバーの中でも高級SUVの車種です。
ラグジュアリー感はあるのですが、カイエンの成功によって刺激され、スポーツツアラーとしての位置づけになっているのが特徴です。サスペンションなどが異なっていることから、レンジローバーよりもスポーティな走りが可能となりました。
レンジローバー スポーツ
2代目は2013年から販売されています。5Lのガソリンエンジン、もしくは3Lのディーゼルエンジンが設定されています。2014年からランドローバーで初となるハイブリッドモデルが追加されているモデルです。レンジローバーよりもコンパクトなサイズで、オンロード性能が高いモデルです。
パワーユニットが優れているだけでなく、オフロード性能も犠牲になっておらず、最大渡河水深が850mmと悪路走破性能も維持しています。グレードに合わせてクリーンディーゼルやガソリン、さらにPHEV仕様も設定されているモデルです。
新車価格:936万円~
■レンジローバーイヴォーク
レンジローバー イヴォーク
レンジローバーイヴォークは2012年から日本での発売を開始している、3ドアのクーペと5ドアのボディを持っているクーペデザインのモデルです。2019年6月に2代目となる新型イヴォークが発売されています。
初代のレンジローバーイヴォークは、コンセプトカーのLRXのデザインを反映した美しいデザインでした。そしてルーフラインは高めに設定されている5ドアも用意されていました。
搭載されているパワーユニットは、2Lのガソリンまたはディーゼルガソリンエンジンで駆動方式にテレイン・レスポンス2というデバイスを備えた4WDを採用しています。オンロードだけでなく、ランドローバーらしくオフロードのでの走破性も高めています。
レンジローバー イヴォーク
新しいラグジュアリーSUVの定番として、世界中で人気のモデルとなり、国内での販売台数も1万台を超えたともいわれています。
2代目のイヴォークは2019年6月から注文受付がスタートしました。2代目モデルは、初代のデザインは継承されながらも、丸みを帯びたデザインに変更されています。イヴォークらしさはそのままに、より美しいスタイルになっていることが特徴です。
2代目になると、後席のスペースが改善されており、大人が座っても余裕のあるスペースがあります。またラゲッジスペースもボディサイズの割には大きめの591Lあります。フル乗車しても十分広い荷室があるので、大きな荷物があっても安心です。
新車価格:495万円~
■レンジローバーヴェラール
レンジローバー・ヴェラール
レンジローバーシリーズの中でもスタイリッシュなデザインになっているのがヴェラールです。レンジローバーらしいラグジュアリーで高級感のある雰囲気はそのままで、スポーティーな佇まいになっているモデルです。
2017年からレンジローバーファミリーに加えられており、イヴォークとレンジローバースポーツの間を埋めるミドルクラスのSUVになっています。アルミニウムを多用することで、大幅に軽量化されているのが特徴です。
ルーフが低めになっていて、全高は1,685mmと低めに抑えられているので、他のモデルと比較してスポーティさが強調されています。美しいデザインから、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー2018」を受賞している車です。
レンジローバー・ヴェラール
未来的で美しいデザインの理由の1つに、ドアハンドルがあります。格納式の「デプロイアブルドアハンドル」を採用しているので、ドアロックと連動してドアハンドルがポップアップします。
メーカー自らスムージングという手法を用いて、つるりとした表面処理を実施。デザイン面で優れているだけでなく、空気抵抗係数0.32を実現しているのです。美しさと実用性が両立されているモデルです。
新車価格:718万円~
■プラグインハイブリッド
ランドローバー レンジローバー PHEV(海外仕様車)
レンジローバーのプラグインハイブリッドは2L直列4気筒ターボエンジンと142PSを生み出すモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドモデルです。プラグインハイブリッドモデルは、レンジローバーとレンジローバースポーツに設定されています。
日本では2018年から受注がスタートされています。プラグインレンジとしては、レンジローバーで41.4km(WLTCモード)の走行ができます。充電は200Vの普通充電のみです。
ランドローバー レンジローバー PHEV(海外仕様車) メーター
レンジローバーらしくエンジン音も静かですが、プラグインハイブリッドということもあり、走行はかなり静粛性に優れています。7つのドライブモードから選ぶことができ、様々な悪路のシーンでも余裕の走破性を見せてくれるでしょう。
また毎秒500回以上のモニターをして、ドライバーの操作や路面状況に対応でき、ボディロールを抑えることでフラットな乗り心地を実現しています。見た目は伝統的なレンジローバーのスタイルでも、パワーユニットや制御は先進的なものが搭載されているモデルです。
新車価格:1,218万円~
まとめ
ランドローバーは歴史のある高級SUVメーカーです。一貫してSUVのみを取り扱っており、高い走破性とセダンと変わらないような優れた快適性を持っているモデルになっていることが特徴です。
高級なモデルが多いですが、どんなところでも走破でき、同時にラグジュアリーさも兼ね備えているのでいつかは乗ってみたい車ですね。