ダイハツ タントはスーパーハイトワゴンブームの生みの親!
《画像提供:Response 》ダイハツ タント(左)、タントカスタム(右) プロトタイプ
遠い昔、軽の主流は全高が低めのハッチバック車「軽セダン」が独占しており、背が高い軽といえば商用バンやそれをベースにした乗用仕様くらいのものという認識が主だった時代がありました。
翻って現在では、背が高い軽乗用車である「スーパーハイトワゴン」こそ、市場での販売台数トップを独占する人気車種。そんなニューノーマルを定着させた車こそ、2003年にダイハツから登場した「タント」だったのです。
ルーフを約1.7m以上まで高めて配置し、さらにエンジンなどが収まるノーズ部を短く設定することで得た室内長を活かして、全席で大型ミニバンのような常識破りのゆとりを手に入れたタントは、登場時から大いに話題を呼んだ車。
あまりのヒットに同様の車がライバルメーカーからも出揃うようになり、現在の軽自動車市場の独占的な人気へとつながったわけなのです。
そんなエポックメイキングな車だったタントは、現在では4代目が販売されていますが、スーパーハイトワゴンの世界の中では販売台数がやや苦戦中。磨きに磨かれた数々の魅力を持つだけに、市場にその魅力がうまく伝わっていないのかもしれませんね。
そこで、この記事ではタントの魅力を詳しくご紹介していきます。
最新のタントの魅力をおさらいしておこう
■継続搭載の「ミラクルオープンドア」はびっくり大開口
《画像提供:Response 》ダイハツ タントカスタム ミラクルオープンドア
2代目モデルから採用されたピラーレス構造による助手席側の大開口「ミラクルオープンドア」は、競合が増えているスーパーハイトワゴンの中でもタントだけの魅力のひとつです。
単に開口部が大きくなっているだけと思いきや、開口部が大きくなったことによる新しい使い勝手の数々は日々の生活を大きく楽にしてくれるインパクトがあります。
車両後方に空きスペースがなくても、かさばる荷物を車内に積み込むことができる開口幅が確保できますし、380mmのロングスライドが可能な助手席を前に寄せれば、車両左側から運転席へのアクセスも楽々できるほど。ベビーカーだって自転車だって、車内に簡単に載せることができます。
ピラーがなくなるだけでこんなに使い勝手が変わるんだ、と実感できる、タントならではの魅力ポイントです。
■世界初の運転席ロングスライドシートで新しい使い勝手
《画像提供:Response 》ダイハツ タント 運転席ロングスライドシート
助手席のロングスライド機構はそのままに、4代目となる現行タントでは運転席側も540mmのロングスライドが可能になりました。
安全のためにシフトポジションがPの時のみ使用できるようになっているこの機能は、ミラクルオープンドアなどと組み合わさることで「ミラクルウォークスルーパッケージ」という新しい発想の室内パッケージングを実現。
運転席を後方に大きくスライドさせることで、運転席から後部座席のお子さまの確認やお世話ができるだけでなく、後部座席に荷物を置いたり取ったりするのにも腕を大きく伸ばす必要がありません。
室内の使い勝手を根本から作り替えた、全く新しい機能なのです。
■最新進化のスマアシ、運転支援機能がさらに充実
《画像提供:Response 》ダイハツ タントカスタム 運転支援システム イメージ
先進機能を軽自動車に積極的に搭載してくれるダイハツですので、タントにも最新の予防安全機能や運転支援機能が満載されています。
最廉価グレードとなるL スマートアシスト非装着車以外で全車に標準装備されるのは、新世代となったことでバージョン表記をやめた「スマートアシスト」。新たに昼夜を問わず車両や歩行者の認識が可能になった衝突回避支援ブレーキ機能など、これまで以上に頼れる予防安全機能が備わります。
また、新たに備わったタントの大きな魅力が、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールとレーンキープコントロールによる高度な運転支援機能。上位グレード限定とはなりますが、普通車顔負けのリラックスしたロングドライブを可能にしてくれることでしょう。
その他にも駐車時のハンドル操作を車まかせにできるスマートパノラマパーキングアシストや、カスタムの上位グレードでは先行車や対向車の部分だけハイビームを遮光できるアダプティブドライビングビームが標準装備されるなど、軽とは思えないほどの先進のドライバーアシスト機能が多数用意されています。
■精悍になった標準仕様と、シックになったカスタム

ダイハツ タントカスタム(左)、タント(右) プロトタイプ
これまではややファニーな表情だった標準仕様は目つきがキリリとし、シンプルながら精悍な表情に変化している点も新しいタントの特徴でしょう。
X“スペシャル”以上のグレードではフロントグリルがブラックアウトされることで、ヘッドランプと一続きの一体感のあるデザインとなっており、タントらしさは残しながらも一目で新型であることが分かる、絶妙なデザインです。
またカスタムは、先代までのギラついたイメージからやや脱却し、よりスマートでシックなイメージへと変貌を遂げました。
標準仕様よりも大型のヘッドランプと上下のグリルが一体化して見えるデザインで迫力は感じさせつつも、より大人っぽい印象となったイメージですね。特に濃色系のボディカラーでは、高級感が際立ちます。
ダイハツ タントのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,755mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,460mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 920kg | |
燃費 | WLTCモード:20.0km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンターボ 658cc | |
エンジン最高出力 | 47kW(64PS)/6,400rpm | |
エンジン最大トルク | 100N・m(10.2kg・m)/3,600rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,685,000円(消費税抜) |
現行型タントの販売成績はやや苦戦中… なぜなのか?
《画像提供:Response 》ダイハツ タントカスタム プロトタイプ
そんな現行タントは、2019年7月に発売されたまだまだ新鮮味のある新型車。2020年の販売台数ランキングでは、ホンダ N-BOXが約19.6万台を売り上げてトップを維持したのに対し、タントは約13.0万台と大きな差をつけられています。
さらにいえば、2020年の販売台数ランキング2位につけているのはスズキからタント対抗馬として後発でデビューした系統のスペーシア。
こちらは約14.0万台でN-BOXと比べて差が小さめではありますが、現行スペーシアのデビューは2017年ですので、改良直後のタントはもう少し頑張ってほしかったところではないでしょうか。
このタントの不調は、ご紹介してきた通り充実の商品性を備えていることからは説明がつきません。
ひとつ考えられることは、N-BOXは普通車基準を軽に持ち込んだオーバークオリティな車作り、スペーシアはファミリー重視へと大きく舵を切ったイメチェンで新鮮味があるのに対し、タントは革新的というよりは順当な進化と受け取られてしまったような印象があります。
初代から大ヒットを続けてきた車種ならではの苦悩なのかもしれませんね。
■結果として、中古が狙いやすい棚ボタに!
《画像提供:Response 》ダイハツ タント(右・現行型、左・先代)
ランキングでの順位が不調とはいえど、年間10万台以上と、日本国内の新車としてトップクラスに売れているタント。しかし車両のイメージは意外と傷がつきやすいもので、中古車市場ではやや安売りの車両も増えている印象があります。
現行だけでなく初代から先代まで、実直な車作りがなされてきたタントだけに、その魅力は販売台数が多少奮わなかったからといって薄れません。現在の人気の翳りは、優れた軽自動車を探している人にとってはタントがお手頃に手に入る大きなチャンスともいえそうです。
現行タントで選ぶならこのグレードがおすすめ
《画像提供:Response 》ダイハツ タント スマートパノラマパーキングアシスト
現行仕様のタントでは、標準系とカスタム系など合わせて10以上の豊富なグレードが用意されており、どのグレードを選んだらいいのか迷ってしまいますよね。
もちろん、ご予算が許せばおすすめなのはカスタム系の最上級グレード、カスタムRSです。ターボエンジンのパワフルな走りと、全車速追従機能付ACCなどの先進機能が組み合わさった究極のタントですので、あらゆるシーンで活躍してくれること間違いなしでしょう。
しかし、充実の機能を備える分、車両価格も高くなってしまいます。トップグレードのカスタムRS“スタイルセレクション” 4WDでは税込で200万円を突破する価格となっているのは、ちょっと驚いてしまいますよね。
そこでおすすめしたいのが、カスタムではなく標準系のトップグレードであるXターボです。標準系の中で唯一全車速追従機能付ACCなどの運転支援機能が装備されますし、革巻ステアリングホイールなど上級装備も備わります。それでいて4WDでも税込180万円切りという価格は、ちょっとしたバーゲンといえそうですね。
【2021年最新】ダイハツ タント 新車・中古車価格まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ タント
2021年3月現在、タントには、標準系が廉価なグレードから「L(スマートアシスト非装着車)」「L」「X“スペシャル”」「X」「Xターボ」、カスタム系が廉価なグレードから「カスタムX」「カスタムX“スタイルセレクション”」「カスタムRS」「カスタムRS“スタイルセレクション”」をラインナップしており、9つの基本グレードがあることになります。
また福祉車両が充実しているのも特徴的で、スローパーやウェルカムターンシートなどの機能別の福祉車両それぞれに標準系とカスタム系が用意されている点が特徴的です。
福祉車両を除いた税抜新車価格帯としては、標準系では最も廉価なL(スマートアシスト非装着車) 2WD仕様が113.0万円、最も高価なXターボ 4WD仕様が160.5万円で、カスタム系では最も廉価なカスタムX 2WD仕様が156.5万円、最も高価なカスタムRS“スタイルセレクション” 4WD仕様が182.0万円となっています。
《画像提供:Response 》ダイハツ タントカスタム
タントはすでに4代が存在しているロングセラー車だけあって中古車市場での在庫台数も豊富になっており、2021年3月現在ではなんと15,000台近い在庫が確認できます。
現行モデルの税込中古車車両本体価格平均では、まだまだデビューから間もなく、車両価格帯も高めということを考えるとやや安めの144.5万円となっています。
参考までに先代は99.3万円、先先代が38.0万円、初代モデルが18.3万円となっていますので、お求めやすさなら旧型仕様が断然おすすめとなってきますね。
まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ タント ミラクルオートステップ
スーパーハイトワゴンブームの生みの親、ダイハツ タントの魅力と、なぜランキングで苦戦しているのかについて紹介してきました。
車というのは不思議なもので、いい車であっても販売台数には直結しなかったりするもの。もちろん現行タントは「売れていない」というわけではなく、年間10万台以上を売り上げる大ヒット車種ではあるのですが、N-BOXの強さの前ではやや霞んでしまうのかも。
しかし、N-BOXには設定のない全車速追従機能付ACCなどの強みもありますので、タントの復活の機会がいつ訪れてもおかしくありません。お安めな中古車を狙うなら、今がチャンスかもしれませんよ。