軽はスーパーハイトワゴンしかないと思ってる? ムーヴを見よ!
ダイハツ ムーヴカスタム
国内の新車販売台数トップを軽自動車が獲得するようになって久しいですが、現在の人気は全高が1,700〜1,800mm程度でスライドドアを備えるスーパーハイトワゴンに集中しているような印象もあります。
しかし、2020年の軽自動車新車販売台数ランキングを確認してみると、確かに3位まではスーパーハイトワゴン系が占めていますが、4位には今回ご紹介するダイハツ ムーヴが登場するのです。実はムーヴのようなトールワゴンも、軽自動車業界で少なくないシェアを保っています。
あまり話題に上らなくなってきているとはいえ、年間で10万台以上を売り上げる定番ヒット車種であるムーヴは、5ドアハッチバック車としての使い勝手の良さと、高い走行性能と低燃費性能、さらには高級感のある内外装まで備えたオールラウンダー。
ムーヴの魅力を知れば、きっと乗り換え候補に入れたくなるはずです。
歴代ムーヴを簡単に解説 ずっと愛されてきた長い歴史
■ムーヴ 初代〜3代目:軽トールワゴンブームを支えた
ダイハツ ムーヴカスタム(3代目)
1995年に登場した初代ムーヴは、当時の主力セダンであった同社のミラをベースに全高を高めた成り立ちを持つハイトワゴンです。
2年先行して登場していたワゴンRの成功もあってか、全高を高くすることで室内の狭さが克服できるというメリットは軽自動車業界に瞬く間に広まり、ムーヴも登場するやいなやたちまち人気車種となりました。
軽自動車規格の改定時期と重なってしまったことから3年で2代目へとモデルチェンジしますが、3代目まではボンネット部の存在感がある2ボックス形状が印象的な点が継続されていました。
また初代から特徴的だったのは、独自のエアロパーツなどを装着した「カスタム」をラインナップしていたことでした。特に初代のエアロダウンカスタムでは、メーカー公式車両ながら車高を15mm低くしたローダウンサスペンションがおごられ、押し出しのあるスタイルで人気を博しました。
■ムーヴ 4代目〜5代目:革新のスタイリングと普通車越えの気概
ダイハツ ムーヴ(4代目)
4代目では、ノーズからルーフまでを一筆書きでつなぐ大胆なワンモーションフォルムへと変貌した点が目新しい特徴でした。
これには初代ムーヴのフロントフェンダーからフロントウィンドウまでが繋がるキャラクターラインをオマージュする意図もあったのだとか。そう言われてみると、初代ムーヴからの正当進化として納得できますね。
ノーズ部が極めて短く設計されるようになったことで、元から余裕のあった室内長はさらに拡大され、ゆとりの室内が実現されていた点も注目ですね。4代目登場時には当時のタントよりも室内長で110mm、室内幅で50mmも上回っていたというのですから、驚きです。
走行性能の完成度や高効率性が追求され、普通車を超えたなんていう評価がされることもあったムーヴ。現在の6代目まで、4代目からの路線が継続されています。
■ムーヴ 6代目(現行型):極まった動的質感!
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴ(6代目)
現行型となる6代目は、もはや室内の使い勝手や広さが充分すぎるほどに練り上げられている先代までに比べ、走りの質感向上が大きく評価されています。
もともと車重の軽い軽自動車としてはかなり大規模となる先代比で20kgもの軽量化を行いつつ、高剛性ボディ構造「Dモノコック」を採用することで剛性向上、「Dサスペンション」の採用でフリクション感の少ない優れた乗り心地を実現など、クラスを超えた動的質感を誇ります。
外観では4代目のような思い切ったワンモーションフォルムをやめ、標準系とカスタム系の両方で厚みと高級感のあるデザインへ進化。またリヤゲートは、初代から先代まで継続された伝統だった横開き式をやめ、一般的なハッチゲートになりました。
■【番外編】7代目ムーヴはいつ出るの?
ダイハツ ムーヴ 次期型予想CG
ムーヴは先代まで4年ごとのモデルチェンジ周期が一般的だったので、2014年デビューの現行モデルはかなりモデルチェンジを先延ばししていることがわかります。
現行型モデルは軽の基準を超えた意欲作であることもあって、6年が経過している現在でも古くさくはなっていませんが、噂レベルでは次期型登場も間近なのではないかと予想されています。
当初は2020年内の登場が予想されていたのですが、2021年3月になってもまだ登場していませんよね。
コロナ禍による開発計画の遅れか、それとも現行車がまだまだ販売台数ランキング上位に食い込める実力があることを考慮してかは不明ですが、新型投入は遠くはないと思われるものの、具体的な情報はいまだ不明です。
現行型ムーヴはここが素晴らしい!魅力ポイント
■天井が高すぎない扱いやすさ
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴ
1,630mmに抑えられた全高を持つムーヴは、現在の軽自動車のトレンドから考えるとやや低めの車高。しかしこの車高こそ、ムーヴの扱いやすさの理由なのです。
高すぎない車高は、重心を下げてくれますし、車両重量の軽量化にもつながります。普段のドライブでの走行安定性や低燃費に貢献してくれつつ、室内の使い勝手も充分以上に確保されている、高度なバランスの車高と言えるでしょう。、
■ゆとりの室内空間
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴ インテリア
高すぎないルーフ高ながら、仕様によってタントよりも室内長が長くなっているなど、そのゆとりはスーパーハイトワゴンにも見劣りしません。
もちろん頭上空間の余裕はタントに譲りますが、実際にうれしいのは足元空間のゆとりという方も多いのではないでしょうか。ムーヴは前後乗員間距離が1,030mmも確保されており、後部座席でも足が楽々組めるほどのゆとりです。
■高級感あふれる乗り心地と走行安定性
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴカスタム
先ほどもご紹介した通り、DモノコックやDサスペンションといった新発想の技術が投入されているムーヴは、乗り心地も快適そのもの。優れたシート形状も相まって、ロングドライブでも疲れにくいリラックスした運転ができそうです。
アダプティブクルーズコントロールなどの先進運転支援装備が現行型には備わらない点はデビュー年度の古さをやや感じさせますが、運転が楽しすぎて気にならないかもしれませんね。
■存在感あるカスタム、親しみやすさの標準形、選べるスタイル
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴ
初代からカスタムグレードを設定し続けているムーヴ。お好みに応じて選び分けられるバリエーションの豊富さがうれしいところですよね。
パッチリとしたヘッドランプで親しみやすさを醸し出す標準系に対し、カスタムはLEDが多用されたモダンで迫力のあるデザイン。どちらも軽自動車っぽくない伸びやかさがある上質なデザインとなっています。
ダイハツ ムーヴのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,630mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,455mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 850kg | |
燃費 | WLTCモード:19.5km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンターボ 658cc | |
エンジン最高出力 | 47kW(64PS)/6,400rpm | |
エンジン最大トルク | 92N・m(9.4kg・m)/3,200rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,505,000円(消費税抜) |
軽ならムーヴをおすすめしたい理由は、ライバル比較でわかります
■【ムーヴ vs ミライース】価格は高くても、その分満足
ダイハツ ミライース
ダイハツ軽乗用車のベーシックラインを担うミライースと比較すると、ムーヴはどうしても価格面では敵いません。
さらにミライースは、ムーヴよりもさらに低く抑えた車高と、高効率のイーステクノロジーによって燃費性能でもムーヴを上回ります。
しかし、価格で上回る分、ムーヴの普通車とも比較対象に入れられるような上質感は大きな魅力でしょう。室内高もムーヴの方が余裕がありますし、ミライースでは格納のみ可能な後席も、ムーヴでは左右独立してロングスライドとリクライニングが可能になるなどの機能性の違いも多数あります。
ベーシックな軽乗用車をお探しならミライースがピッタリかもしれませんが、ムーヴならひとつ上行く満足感が得られそうです。
■【ムーヴ vs タント】その頭上の余裕は絶対必要ですか?
ダイハツ タントカスタム
激戦区のスーパーハイトワゴンに堂々投入されたタントは、DNGA思想に基づく新プラットフォームによって、ムーヴのそれをさらに上回る上質な乗り心地を獲得しているという評価もあります。
もちろん、高めのルーフ高による室内スペースはもはやミニバン的な使い方も可能で、自転車をタイヤを外さずに積み込んだりといったシーンでは便利さを実感できることでしょう。
しかし、普段そんなに大きな荷物を運ばないなら、頭上空間が広くてもやや無駄に感じてしまうかも。
特にタントは、新型プラットフォームによる軽量化が効いているとはいえ最大で車重が1.0トン近くに達してしまう重量級ですので、全グレード900kg以下で収まるムーヴの軽快感が際立ちます。
タントの上位グレードに備わる全車速追従機能付ACCなどの先進機能は、新型車らしく魅力的ではありますが、室内の質感などではムーヴもまだまだ負けていません。
■プロはムーヴをこう評価した!
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴカスタム
ムーヴカスタムの操縦安定性は、限界付近と普通に走っている時とで結構特質が違っていた。普通に走っているぶんには操縦性は結構ファンだ。峠道でコーナリングに差しかかり、ハンドルを切った時のアウト側前サスペンションの沈みが素直で、姿勢が安定的な対角線ロールになる。そこからの弱アンダーもとても良い感じで、コーナー外側への微妙なふくらみを感じながら走ることができた。
サスペンションストロークの小さな軽自動車の安定性を上げるには通常、ロールを抑制する方向でセッティングする。ハンドリングの性能面を見ればムーヴカスタムより良い軽自動車はたくさんあるが、こういう対角線ロールの綺麗なモデルは少ない。ムーヴカスタムと登場年代が近い現行ダイハツ車、たとえば『ムーヴキャンバス』『キャストスタイル』、普通車の『ブーン』と比べても圧倒的にこちらが優れている。
筆者がこれまで乗った他社のトールワゴンとの比較でも、旋回姿勢の良さではムーヴが一番優れていた。トールワゴンで負ける可能性があるのは最近プラットフォームだけ変更という珍しいモデルチェンジを行ったホンダ『N-ONE』くらいだろう。
モデルチェンジが頻繁に行われる激戦の軽自動車の世界においても、デビュー6年目にしてムーヴはまだまだ優れた評価を受けていることがわかります。
やはりスーパーハイトワゴン系と比較して操縦安定性に優れていることや、シートや内装の仕立てが2021年基準ではやや劣り始めている点などが指摘されています。
【2021年最新】ダイハツ ムーヴ 新車・中古車価格まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴカスタム
2021年3月現在、ダイハツ ムーヴには、標準系で「L」「L“SA III”」「X」「X“リミテッド II SA III”」「X“SA III”」「Xターボ“SA III”」の6グレード、カスタム系で「カスタムX」「カスタムX“リミテッド SA III”」「カスタムX“リミテッド II SA III”」「カスタムRS“ハイパーSA III”」「カスタムRS“ハイパーリミテッド SA III”」の5グレードが設定されています。
予防安全機能パッケージのスマートアシストはグレード名に「SA III」と入っているグレードにのみ装備されているほか、それぞれ4WD仕様が税抜11.5万円高で全モデルに設定されています。
税抜価格帯としては、標準系が103.0万円から136.5万円、カスタム系が138.5万円から162.0万円となっています。
価格だけ見れば、特別装備が多いカスタム系ではやや割高感もありますが、装備内容と照らし合わせると納得できる価格といえそう。また標準系は、スーパーハイトワゴン系と比べてもグッと競争力のあるお買い得価格が魅力的ですね。
ダイハツ ムーヴカスタム(2015年型)
ムーヴは歴史を重ねてきた人気車だけに、2021年3月現在では、中古車在庫も約8,500台と豊富です。
現行モデルの税込中古車車両本体価格平均では101.2万円と、クオリティの高さもあって大幅な値崩れは見られませんが、それでもリーズナブルな価格で推移していますね。
参考までに先代モデルになると平均価格は48.4万円台までグッと下がりますし、車両価格でひとケタ万円から探すこともできるようになるなど一気に激安化。現行型のクオリティも捨てがたい部分ですが、お手軽な車をお探しならこちらもおすすめです。
まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ ムーヴカスタム
忘れ去られたようで販売台数はしっかり出ている不思議な存在、ダイハツ ムーヴについてご紹介してきました。
そろそろ次期型の噂もささやかれているものの、現行型の魅力はまだまだ色褪せていません。むしろ一部改良でカスタムのスタイリングがさらに先鋭化するなどどんどん進化もしていますので、気になった今こそ買い時かもしれませんよ。