ホンダ ジェイドとは?
ホンダ ジェイド モデューロパーツ装着車
ジェイドはホンダが発売していたミニバンです。ミニバンと言えば、ある程度高さのあるボックスタイプのものをイメージする方がほとんどでしょう。そんな中、ジェイドは超高密度低床プラットフォームの採用や足周りパーツなどの小型化を行うことによって、ミニバンとは思えないほどの全高で快適な車内空間を実現しました。
文字通りミニバンのイメージを覆すようなスタイルで登場したジェイドですが、残念ながらロングランモデルになることはできませんでした。しかしその一方でジェイドというモデルの完成度の高さは一部のファンから強く支持されており、生産が終了した現在においても評価され続けています。
そこで今回は、ホンダのジェイドについて詳しくご紹介します。
■わずか5年で生産終了…その理由は?
世界市場で見るとジェイドのデビューは2013年のことで、前年に北京モーターショーでコンセプトモデルとして発表された「コンセプトS」を市販化したものでした。その後、2013年にミニバンの需要が高まっている中国で正式に発売されています。
日本での発売はその2年後の2015年でした。基本モデルのハイブリッドのみでなく、ガソリンエンジンモデルなども展開されましたが、発売当初から売り上げ的にはかなり苦戦を強いられることになります。
もともと、ジェイドは日本市場ではなく中国市場を主戦場として開発されたモデルです。日本においては全高の低いスポーティなスタイルのミニバンの人気は決して高いと言えず、同様のスタイルを持つストリームも売り上げ不振によって生産を終了。ジェイドはその穴を埋める形で国内市場に投入されました。このように、すでに国内市場においてその存在感を失いつつあったカテゴリーに投入された時点で、爆発的に売れるとは考えにくいモデルだったと言えます。
ジェイドの売り上げ不振とミニバン市場の縮小にともなって、発売から3年後の2018年には2列シートでより荷室の使い勝手を上げたステーションワゴンモデルも投入されました。しかしステーションワゴンも日本ではそれほど人気が高いとは言えず、ジェイドの売り上げが大きく伸びることはありませんでした。
そして2020年に行われたホンダのラインナップ見直しによって、ジェイドの生産は終了することとなったのです。つまり日本市場においては、発売からわずか5年で姿を消した短命モデルとなってしまったのです。
■ジェイドとはどんな立ち位置のモデルだったのか
ジェイドのホンダにおける立ち位置は、中国市場をメインとして開発された世界戦略車です。前述の通り発表されたのも中国で、最初に販売がスタートしたのも中国市場でした。
日本市場における立ち位置は、「売り上げの低迷によって生産が終了されたスポーティスタイルミニバンのストリームの後継車」になりました。
スタイルとしてはミニバンとステーションワゴンの中間(後にステーションワゴンモデルもラインナップ)的な存在で、国内市場においては唯一無二の存在感を放っていました。とはいえ、日本の乗用車としてはそれほどワゴンの人気が高くないこともあって、その魅力を十分にアピールすることができなかったのかもしれません。
■ジェイドに後継モデルはある?
ジェイドには正式に後継モデルが存在するわけではありません。しかし、近いスタイルを持つモデルとしてはシャトルが挙げられます。
ホンダの主力コンパクトカーであるフィットをベースに全長を伸ばす形で2005年に発売されたエアウェイブが、2011年のモデルチェンジでフィットシャトルとなり、現在はシャトルとして販売されています。
シャトルの分類はコンパクトサイズステーションワゴンとなります。前述の通り、ワゴンタイプのモデルは日本市場では人気が高いとは言えません。そのため爆発的に売れているモデルと言うわけではありませんが、定期的にマイナーチェンジを行いながら、ハイブリッドのみでなくガソリンエンジンモデルもラインナップするなどして一定の売り上げを維持しています。
ルーツや基本的な設計はジェイドとは異なっていますが、新車でホンダのワゴンタイプのモデルを購入したいのであればシャトルも選択肢のひとつとなるでしょう。
ホンダ ジェイドの魅力
ホンダ ジェイド
すでにご紹介しました通り、ジェイドは日本市場においては発売当初から苦戦を強いられることになり、わずか5年ほどで生産が終了されてしまいました。
しかし市場に受け入れられなかったからといって、車としての魅力がないわけではありません。実際に現在でもジェイドを評価する声も聞かれます。そこで、続いてはジェイドの魅力についてご紹介します。
■スタイリッシュなデザイン
ジェイドの最大の魅力は、3列シートのミニバンながら車高が低くとてもスタイリッシュなデザインです。最近ではミニバンにもスタイリッシュなデザインのものが増えているようですが、ベースはボックス型なのでスポーティさには欠けるでしょう。その点で考えると、ジェイドは唯一無二の魅力的なデザインを持つミニバンであったと言えます。
また、単に車高が低いのみでなく全体として横に膨らむようなデザインとなっており、サイズ以上のボリューム感があります。この点もジェイドならではの魅力のひとつであると言えます。
■広く、実用性の高い車内空間
コンパクトでスタイリッシュなデザインからは創造できない程に車内空間が広いという点も、ジェイドの魅力のひとつです。3列目シートに関してはサイズ的にそれほど広いとは言えませんがシートレイアウトも豊富で、車内空間をとても広く使うことができます。
3列目シートは床下に収納することができるため、広いラゲッジスペースを持つステーションワゴンとしても使用することが可能です。2列目シートは単に真っ直ぐにスライドするのではなく左右のシートがV字型に動く仕様になっていますので、後部に下げるとセンターよりのポジショニングになって前方視界が広くなるといった工夫が施されていました。
■先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」搭載
ジェイドには、ホンダ独自の先進安全運転支援システムであるホンダセンシングが搭載されています。最終モデルにおいては全グレードに標準搭載されていました。
走行時のみでなく誤発進抑制機能などでも安全をしっかりとサポートしてくれますので、運転にあまり自信がないという方であっても快適なドライブを楽しむことができます。
■コストパフォーマンスの高さ
コストパフォーマンスの高さもジェイドの魅力のひとつです。前述の通り残念ながらそれほど人気の高いモデルというわけではないことから、中古車市場には安価なものもかなり出回っています。
販売台数的に市場の台数はそれほど多いというわけではありませんが、掘り出し物に出会える可能性が高いモデルであるとも言えます。
ホンダ ジェイドの価格
ホンダ ジェイド
残念ながら現在ではすでに生産、販売が終了されていますので、ジェイドを新車で購入することはできません。基本的には中古での購入となります。
最後にジェイドの販売当時の新車価格や、中古市市場での相場などについてご紹介します。
■販売当時のグレード別新車価格
ジェイドの最終モデルの新車販売価格は、ガソリンエンジンの5人乗りタイプでRSグレードで2,369,000円(税抜)、Gグレードで2,221,000円(税抜)でした。フラッグシップにあたるハイブリッドのXグレードは2,860,000円(税抜)となっています。
※新車価格は公式サイト調べ(2021年3月現在)
■現在の中古市場
2021年3月現在、ジェイドの中古車市場価格は、グレードにもよりますが本体価格で70万円台から200万円オーバーとかなりの開きがあります。発売がそもそも2015年とそれほど古いモデルではありませんので、状態の良い車体が多いのが特徴です。単純に高年式のミニバンやステーションワゴンを探しているという方に魅力的な選択肢です。
特別に人気の高いモデルというわけではなく市場価格が大きく動くわけではありませんので、購入を検討している場合はじっくりと選ぶことができるでしょう。ただし、市場の台数は決して多いとは言えませんので目当てのグレードやカラーなどがある場合、希望に合ったものを見つけるのがやや難しいかもしれません。
■おすすめのグレード
ジェイドには多くのグレードがありますが、やはり狙い目なのはハイブリッドタイプでしょう。ガソリンエンジンモデルもラインナップされていますが、燃費性能にはかなりの差があります。また発売当初からハイブリッドモデルが主流となっていますので、中古市場の台数も多く、選択肢が多いという点もポイントです。
しかし、一方で近年では純粋なガソリンエンジン搭載モデルの選択肢は少なくなっています。なのでガソリンエンジンモデルにこだわって探したいという方にとって、ジェイドは有力な選択肢のひとつとなるかもしれません。
最上位グレードのXはやはり価格的にも高値になりがちなので、特別なこだわりがないのであればRSなどのグレードも併せて検討することによって、よりコストパフォーマンスの高い一台を見つけることができるでしょう。
まとめ
ホンダジェイドのインテリア
ホンダはさまざまな人気車を生み出してきましたが、すべてが大ヒットしたというわけではありません。中には優れたモデルであるにも関わらず、市場に受け入れられずに短命で終わってしまったものもあります。
ジェイドもそんなモデルのひとつです。残念ながら販売面ではかなり苦戦を強いられることになりましたが、魅力的な車であることは違いありません。中古車を含めてミニバンの購入を検討しているのであれば、ジェイドも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?