ファミリーにぴったり「スライドドア」の車、その魅力とは
《画像提供:Response 》ホンダ N-BOX カスタム 改良新型
車には形状に応じて得意と不得意があります。快適性を重視したセダンタイプでは大人数で乗り込んだり大きな荷物を車内に持ち込んだりすることができませんし、重たい荷物を運ぶことに特化した商用車では、乗員の快適性という面では乗用車に劣ることがほとんどです。
そんな種類ごとの強みを、できるだけ多く兼ね備えているのが、近年大流行している軽自動車のスーパーハイトワゴンや、ファミリー向けの車として継続的に人気のあるミニバンではないでしょうか。全高を高く取ることで室内は広々としてゆったりくつろげますし、いざというときには自転車をそのまま車内に積み込んだりすることもできてしまう荷室の余裕もあります。
それでいて、近年では低重心・高剛性設計の最適化が進んでいることもあり、カーブが続く道でも走行性能には不満なし。高効率なパワートレインによってパワフルさや低燃費まで兼ね備えているモデルも多いなど、これらの車種は様々な車の形のいいところどりをしたような印象さえあり、人気となっているのも納得ですよね。
そんなスーパーハイトワゴンの軽やミニバンに共通している特徴は、後席用のドアにスライドドアを用いている場合が多いということ。特に軽自動車では、バンタイプなどのみで見られてきたスライドドアを乗用ワゴンタイプにも持ち込んだことで、使い勝手の面でハイトワゴンよりも大いに進化した印象すらあります。
毎日使う便利な車だからこそ、スーパーハイトワゴンの軽やミニバンのスライドドアの便利さは、もはやなくてはならないものとなっている方も多いことでしょう。
■ミニバンや軽自動車など、スライドドア車は競合激しい!
近年の自動車業界では、SUV系の人気が非常に高くなっていますが、全高が高めなスーパーハイトワゴンの軽やミニバンの世界でも熾烈なシェア争いが続けられています。
軽自動車を販売している全メーカーがスーパーハイトワゴンを用意していますし、ミニバンもライバルが多数。サイズの大小や、アウトドアっぽさや高級感でライバルと差をつけるものなど、それぞれのミニバンが独自性を大いにアピールしています。
《画像提供:Response 》ホンダ N-BOX
自動車メーカーにとってみれば、スライドドアの車を開発することは、ライバル多数で失敗できない非常に難易度の高いこととなっていると思われますが、消費者の目線では商品の絶え間ない改善が続き、優れた車をより低価格で購入することができるチャンスが広がっている幸せな時代ともいえるでしょう。
この記事でご紹介していくホンダのスライドドア車でも、ホンダならではの独創的アイデアや性能へのこだわりが随所に感じられるラインアップとなっており、魅力がいっぱいです。
特に軽自動車のN-BOXでは、普通車まで含めた新車販売台数ランキングで年間トップを何年も獲得しているなど、ジャンル内だけでなく国内市場でも最も人気のある車のひとつとなるほどで、激戦のスーパーハイトワゴンジャンルが生み出した傑作のひとつとなっています。
■スライドドアだとなぜ乗り降りしやすいのか?詳しく説明
《画像提供:Response 》ホンダ N-BOX
一般的にドア前方にヒンジを備え車両外側に回転しながら開く「スイングドア」とは違い、車両側面に設置されたレールに沿って前後方向に開くスライドドア。
ドアを開いた際にスイングドアは前側にドアが残るため、足を室内に入れにくくなる車も見られますが、スライドドアなら前側はスクエアな開口となっており、足の出し入れがしやすくなっています。そのため、スイングドアの車では体をひねり込むように乗り込むところを、スライドドアの車なら車両に対して直角に乗り込みやすく、足腰が辛いご年配の方にも好評なようです。
また、車両中央のピラーには乗り降り時に掴むことができるアシストグリップが装備されることが一般的で、これをつかみながら乗り降りができることも、スライドドア車の乗り降りのしやすさに貢献しています。
【2023年】ホンダの現行スライドドア車をまとめてみた
2023年2月現在で、ホンダが国内で販売している現行スライドドア車のラインアップをまとめてご紹介します。
■軽乗用車「N-BOX」:人気継続中、圧倒的軽のベストセラー
ホンダ N-BOX
軽自動車として大人気のスーパーハイトワゴンジャンルの中でもぶっちぎりの販売首位を継続して獲得しているのが「N-BOX」です。軽メーカー各社がしのぎを削る同ジャンルにおいて、コンスタントに売れ続ける人気の高さと、それによる非常に高いブランドイメージを欲しいままにしています。
2003年にダイハツ タントがデビューしたことで確立されたスーパーハイトワゴンジャンルに対し、2011年とかなり後発でデビューしたN-BOXですが、後発の強みとホンダらしい作り込みの良さ、普通車感覚の質感の良さが相まって、たちまち人気車種として君臨。
2代目でその人気はさらに確立され、普通車まで含んだ国内新車販売台数ランキングで2017年から2020年まで4年連続No.1となるなど、市場で非常に高い評価を受けています。
全車速追従式アダプティブクルーズコントロールや、助手席側のセンターピラーレス大開口など、ライバル車が持っているような「飛び道具」を一見持ち合わせていないN-BOXですが、乗り心地や走行安定性、しっかりとしたシートと質感の良いインテリアなど、車としての基本性能が磨き上げられた印象で、いい車に乗っているという感覚が続く点がオーナーからは好評なようです。
ホンダ N-BOXのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,790mm | |
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ホイールベース | 2,520mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 890kg | |
燃費 | WLTCモード:21.2km/L | |
エンジン種類 | 水冷直列3気筒横置 ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 43kW(58ps)/7,300rpm | |
エンジン最大トルク | 65N・m(6.6kgf・m)/4,800rpm | |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 無段変速オートマチック(トルクコンバーター付) | |
新車価格 | 1,317,000円(消費税抜) |
■軽商用車「N-VAN」:助手席側の開口部広さは必見!タフな軽バン
ホンダ N-VAN +STYLE FUN
N-BOXとの関連性を感じさせるフォルムの「N-VAN」は、商用軽バンとしては珍しいフロントエンジンレイアウトを採用した意欲作。キャブオーバータイプのバンだったアクティバンの後継として登場したN-VANは、N-BOXとコンポーネントを共有するFFレイアウトとなったことで、バンながら卓越した快適性を実現しています。
N-VANの特徴でもあるFFレイアウトは、バンで重要視される荷室長が稼ぎにくく不利。そのため発想を大きく転換し、助手席をフロアにフラットに収納できることで助手席スペースまで使った2,635mmというクラスでも有数の長さの荷室長と、FFならではの低いフロア高による1,365mmという荷室高によって、使い勝手を向上させています。
また、N-BOXにはないN-VANだけの特徴として、助手席側のセンターピラーレス構造が挙げられます。商用車ということもあり人の乗り降りのためのスライドドアというよりは荷物の積み下ろしのしやすさが重要視されており、脚立など長さのある荷物でも車両側面から取り出せるのは、N-VANならではの魅力です。
商用バンながら軽スポーツのS660譲りの6速MTが用意されているほか、ターボエンジンなど普段使いにもぴったりなグレードもあるN-VAN。唯一無二のロングな荷室を活かし、車中泊用途に用いられるケースも増えているようです。
ホンダ N-VANのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,945mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,520mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 930kg | |
燃費 | WLTCモード:19.8km/L | |
エンジン種類 | 水冷直列3気筒横置 ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 39kW(53ps)/6,800rpm | |
エンジン最大トルク | 64N・m(6.5kgf・m)/4,800rpm | |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 無段変速オートマチック(トルクコンバーター付) 6速マニュアル | |
新車価格 | 1,160,000円(消費税抜) |
■ミニバン「フリード」:『ちょうどいい』コンパクトサイズで人気
ホンダ フリード クロスター
3列シートのミニバンとしては現在最小クラスの1台となるのが「フリード」。現行型はフリードとして2代目ですが、さらに遡れば2001年登場のモビリオが存在しているなど長年販売が続いているジャンルで、ホンダがコンパクトミニバンに対して経験値を積んでいることが分かります。
その経験値がしっかり活かされた現行フリードは、扱いやすい5ナンバークラスながら室内は3列それぞれでくつろげるよう工夫に満ちた空間となっています。シンプルなデザインながら素材などにこだわったフリードのインテリアは、コンパクトなサイズを感じさせない上質さがうれしいところです。
またフリードは、ガソリン車に加えて先代フィット譲りのスポーツハイブリッド i-DCDを選択できることもポイントです。本家フィットは現行型で2モーター式ハイブリッドのe:HEVに進化していますが、コンパクトなモーターを内蔵した7速デュアルクラッチトランスミッションによって優れた低燃費とシャープな走行感覚を両立しているところは、i-DCDで高く評価されている部分です。
2019年のマイナーチェンジにおいて追加されたクロスターもフリードのポイントで、程よくSUVチックなアクティブ感が付与されたクロスターのデザインは登場直後からかなり好評。ライバルとなるトヨタ シエンタにはない個性として、好調な販売を支えています。
ホンダ フリードのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,265mm×1,695mm×1,710mm | |
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ホイールベース | 2,740mm | |
最大乗車定員 | 6名 | |
車両重量 | 1,350kg | |
燃費 | WLTCモード:17.0km/L | |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒横置 ガソリン 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 95kW(129ps)/6,600rpm | |
エンジン最大トルク | 153N・m(15.6kgf・m)/4,600rpm | |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 無段変速オートマチック(トルクコンバーター付) | |
新車価格 | 2,069,000円(消費税抜) |
■ホンダ ステップワゴン:ホンダ史上最高の広さ! カクカクボディがカッコイイ6代目モデル
《画像提供:Response》〈写真撮影:宮崎壮人〉ホンダ ステップワゴン 新型(AIR e:HEV)
ミニバンといえば商用車ベースの運転席下にエンジンを搭載した“キャブオーバー”タイプでFRレイアウトのミニバンが多かった頃に、ステップワゴンは、前部にエンジンを搭載したFFレイアウトのミニバンとして1996年にデビュー。当時としては画期的で、人気を博したほか、他車が追従し対抗馬を投入し、現在ではこのカタチが当たり前になりました。
そんなミニバンの礎を築いたとも言えるステップワゴンの現行モデルは、2022年5月26日に発表された6代目となるモデル。「#素敵な暮らし」をグランドコンセプトに、ユーザーの生活スタイルに合わせて、暮らしを豊かにするアイテムとなることを目指して開発がおこなわれました。
エクステリアは、初代モデルを彷彿とさせる直線を多用したカタマリ感のあるシンプルで誰にでも似合うような自由なフォルム。クリーンでシンプルなデザインに細いメッキモールをさりげなく施し、上質感を表現した「STEP WGN AIR(ステップ ワゴン エアー)」と、ワイドかつ重厚なフロントグリルとボディ下端全周に配置したメッキのモールによって、より力強く品格ある佇まいを表現した「STEP WGN SPADA(ステップ ワゴン スパーダ)」の2種類が用意されます。
インテリアは、歴代ステップワゴンでもコンセプトとしてきた「家族のための大空間」を成熟させ、家にいるような居心地の良さと、自由な空間が目指されています。また、国内で販売されたことのあるホンダ車史上で最大の室内空間を実現し、利便性と開放感が向上しています。
また、さまざまなニーズに対応できるように、自由度の高いシートアレンジを採用。2列目シートは、前後のロングスライドだけでなく、左右にもスライドできる構造としているほか、3列目シートは着座位置を高くするとともに、前方のシート、ヘッドレストの形状を工夫することで開放的な視界を実現。シートクッションの厚みを増すことで、3列目においても快適な座り心地を実現しています。
さらに、後席のパワースライドドアには、従来のハンドル操作に加え、軽く指先を触れるだけで開閉ができる静電タッチセンサー式を世界初採用し、パワーテールゲートには、開く角度を任意に設定可能なメモリー機能を追加し、狭いところでも使い勝手が良い点も嬉しいポイントです。
パワートレインでは、モーター走行を中心にさまざまなドライブモードを使い分ける、Honda独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」を搭載したハイブリッドモデルと、静粛性の向上と高出力化を実現した、1.5リッターVTEC TURBOエンジンを搭載するガソリンモデルの2種類を設定。
先進安全装備には、最新の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装備。アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、全タイプで渋滞追従機能付きへと進化しているほか、新たな機能として、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビーム、そして渋滞運転支援機能であるトラフィックジャムアシストを追加するなど、こちらも充実しています。
ホンダ ステップワゴンのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,800mm×1,750mm×1,840mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,890mm | |
最大乗車定員 | 7名/8名 | |
車両重量 | 1,710kg | |
燃費 | WLTCモード:13.9km/L | |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒横置 ガソリン 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 110kW(150ps)/5,500rpm | |
エンジン最大トルク | 203N・m(20.7kgf・m)/1,600-5,000rpm | |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 無段変速オートマチック(トルクコンバーター付) | |
新車価格 | 2,726,000円(消費税抜) |
どう選ぶ?ホンダのスライドドア車たち
《画像提供:Response 》ホンダ・ステップワゴンスパーダ
軽自動車とミニバンの現行ラインアップ。お求めの性能や室内空間の余裕に応じて、選択肢が広いので選びやすくなっていますね。
ミニバンでいえば、日常的に多人数で乗車したり、荷室をガンガン使うならステップワゴン、より小回りを重視したかったり維持費を節約したい方ならフリードがおすすめでしょう。
バランスの取れた選択肢としては、5ナンバークラスで扱いやすくそれでいて室内が広々としているステップワゴンなら、あらゆる用途に1台で対応できることでしょう。
《画像提供:Response 》ホンダ N-VAN(右)、アクティバン(左)
軽自動車では、N-BOXとN-VANは似ているようで使い勝手が大きく異なるため、注意が必要です。
価格設定がN-BOXよりもやや廉価ということもあって、N-VANが気になってしまう方も多いこととは思いますが、N-VANは運転席以外の乗員の快適性はかなり割り切っている印象がある点に注意が必要です。N-VANは後席だけでなく助手席もスライドができない上に薄めのクッションとなっており、日常的に誰かを乗せる可能性があるなら断然N-BOXがおすすめです。
N-VANにしかないセンターピラーレスの大開口や、新車として稀少な6速MT、バイクを乗せることもできるほどのロングな荷室長が必要で、普段は1人でしか乗らないという方ならN-VANの普段使いもおすすめでしょう。ポップな印象の上位グレードなら乗用感覚で乗れますが、あえて下位グレードをゲタ感覚で乗るのもオツなものかもしれませんね。
まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ N-VAN 助手席側開口部
ホンダの現行スライドドア車をまとめてご紹介してきました。軽自動車では大人気のN-BOX、ミニバンではフリードやステップワゴンと、知名度の高いスライドドア車を数々ラインアップしているホンダは、ファミリーにもぴったりな車が勢揃いしています。
これからもホンダからは、ホンダらしい創意工夫に満ちたスライドドア車が数々登場してくれるはず。
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よくある質問
■ホンダのラインアップでスライドドアの車は何車種あるの?
2023年2月現在では、軽自動車で2台、普通車で2台と、スライドドアを装備する車種は合わせて4車種となっています。このうち、軽自動車のN-BOXは販売台数ランキングで首位独占中となっているなど、ホンダのスライドドア車が高く評価されていることがわかります。
■スライドドアだと何が便利なの?
一般的なヒンジドアタイプと比べると、スイングドアでは車両前方方向でドアが邪魔になってしまいがちですが、スライドドアでは開口部が広々とするほか、全開状態でも車両外側への張り出し幅が小さく済むので、駐車場などでの乗り降りもしやすい点が高く評価されているようです。