スズキのエブリイワゴンとは
《写真提供:response》スズキ エブリイワゴン
スズキのエブリイワゴンは、同社の商用軽バンの定番モデルであるエブリイの乗用モデルとして1999年に登場しました。ベースが商用バンということもあり、軽としてはトップクラスの室内長を誇ります。
現行のスズキのエブリイワゴンは2015年に発表されたものが最新であり、軽ワゴン車の中で見比べると比較的新しいモデルといえます。
「セミキャブオーバー式」というスタイルが採用されており、運転席の下部にエンジンが組み込まれているので、ボンネットのスペースにエンジンを収める必要がないことからボンネットがそれほど広くないのも特徴です。
ボンネットを省スペース設計にすることで運転時の視認性が向上し、小回りが利くようになるというメリットが挙げられます。また、室内空間をより広く確保できるようになっており、エブリイワゴンでは車中泊にも適した広々とした居住性を発揮します。
安全性能も高く、「デュアルカメラブレーキサポート」という衝突被害軽減ブレーキも標準搭載されており、安全面に対する配慮も行き届いています。「標準ルーフ」と「ハイルーフ」の2種類が用意されているのも特徴のひとつで、車高が高い軽ワゴンに乗りたい方にもおすすめです。
■エブリイとエブリイワゴンの違い
≪写真提供:response≫スズキ エブリイ
前述の通り、エブリイワゴンは商用バンのエブリイをベースとした乗用モデルです。とはいえ、外観はかなり近いので何が違うのかわからないという方も多いでしょう。
この2モデルでは、パワートレーンの違いが大きなポイントとなります。エブリイはNAエンジンが中心で、最上位のJOINターボのみがターボエンジンというラインナップとなっているのに対して、エブリイワゴンはターボエンジンのみです。ターボの有無は加速性能、走行性能の面で大きな差となります。ターボエンジンの方が加速性能などの面において有利になりますが、燃費ではNAエンジンに軍配が上がります。このあたりの選択肢の多さはエブリイの方が魅力的です。
また、トランスミッションにも違いがあります。エブリイはAT、MT、そしてスズキ独自のシステムであるAGSから選択可能です。それに対してエブリイワゴンはATのみとなっています。
エブリイはMTや、MTに近い操作感のATであるAGSが選択できる点から、商業ワゴンらしさを感じます。
スズキのエブリイワゴンの基本性能
《写真提供:response》エブリイワゴンの内装
現行のエブリイワゴンは「JPターボ」「PZターボ」「PZターボスペシャル」の3つのグレードが展開されており、それぞれ「標準ルーフ」と「ハイルーフ」タイプがあります。駆動方式は「2WD・4AT」と「4WD・4AT」の2種類がラインアップされています。
基本的な性能は共通しており、ボディーは5ドアで、標準ルーフ車の寸法は「全長(mm)×全幅(mm)×全高(mm)=3,395×1,475×1,815」、室内寸法は「長さ(mm)×幅(mm)×高さ(mm)=2,240×1,355×1,315」乗車定員は4名までです。
燃費性能は「2WD・4AT」で比較した場合全グレード共通しており、WLTCモードで13.4m/Lとなっています。エンジンには水冷4サイクル直列3気筒インタークーラーターボを採用しています。
スズキ エブリイ、エブリイワゴン|スペックや新車・中古車価格は? | カーナリズム
https://matome.response.jp/articles/4839意外に知られていないエブリイの実力は、商用車としての荷室の広さにあります。その荷室の広さはクラスでも最大クラスに入ります(2020年公式サイト調べ)。商用車としてはそのスタイルも人気の秘密です。今回はスズキの商用軽バン「エブリイ」のご紹介です。
スズキ エブリイワゴンのメリット
スズキのエブリイワゴンにはさまざまなメリットがあります。ここでは、エブリイワゴンの魅力について複数の観点からご紹介していきます。
■室内がとにかく広い
《写真提供:response》エブリイワゴンのラゲッジスペース
現行のエブリイワゴンは軽自動車でありながらとにかく広い室内空間が確保されており、ラゲッジスペースも広いので、アウトドアなどに必要な大がかりな荷物も楽に積み込めます。開口部が大きめに設計されているので荷物の積み込みがスムーズなのも嬉しいポイントのひとつです。
「長さ(mm)×幅(mm)×高さ(mm)=2,240×1,355×1,315」の室内空間は軽キャブバンの中ではトップクラスの広さであり、室内空間の広さを重視する方にとっては選択肢のひとつとして非常に優れたモデルといえるでしょう。
シートアレンジで全体をフラットにすると大人でも足を真っ直ぐに伸ばしたまま眠れるほどのサイズ感なので、開放感を感じられる仕様であるといえます。
また、助手席側のシートも畳めることから、運転席に1名だけで乗るのであれば長尺の荷物も積み込めます。スキー板やサーフボードなど、季節性のアウトドアに必要不可欠なアイテムも楽に運べるだけのポテンシャルを秘めています。
■車中泊が可能
《写真提供:response》スズキ エブリイワゴン
前述の項でも軽く触れましたが、エブリイワゴンは室内空間の広さから車中泊にも対応している車です。乗員間距離が広く取られているのが特徴であり、ベンチシートも余裕を持った設計なので、すべてのシートを倒して平坦な状態にすることで車内を広々と利用できます。
車中泊を想定して購入するのであれば、標準ルーフよりもハイルーフを選んだ方が天井が高いので開放感を感じやすいでしょう。シートアレンジが非常に多彩なので、車内をアレンジするだけでさまざまな楽しみ方ができます。
■価格が比較的安価に抑えられている
エブリイワゴンは最も安価なグレードの「JPターボ」の2WDでは税抜価格で130万円台から購入できることから、価格は比較的安価に抑えられているといえるでしょう。
これだけの室内空間の広さを確保していながら走行性も申し分なく、アウトドアの使用にも耐えうるモデルだと考えると非常にコストパフォーマンスが優れています。
また、軽自動車であることから税金も押さえられるのがメリットのひとつです。ワゴン車とはいえ軽自動車に分類され、軽自動車の税金が適用されるのはコスト面でも嬉しいポイントです。
最もグレードが高い「PZターボスペシャル」のハイルーフでも税抜価格で150万円台なので、新車を購入すると思えば思い切って手を伸ばせる金額でもあります。
■街乗りでも高速道路でもパワフル
《写真提供:response》スズキ エブリイワゴン
軽自動車ではありますが、街乗りでも高速道路でも快適に走行できるだけのパワフルな性能を誇ります。
元々は商用バンをベースとして開発しているエブリイワゴンではありますが、一般乗用車としての工夫が凝らされていて小回りは街乗りに適した仕様になっており、安定性は高く保たれます。ロードノイズも気になりにくく、快適なドライブを実現できます。
エブリイワゴンのターボエンジンは軽自動車の中で比較するとパワーの高い部類に位置しており、高速道路でも充実した走りを見せてくれるでしょう。軽自動車は小回りが利く点が魅力ながら高速道路の運転に難がある、といわれることもありますが、エブリイワゴンにおいては快適に走行可能です。
■カスタマイズ性が高い
エブリイワゴンには純正オプションパーツが数多く用意されており、特に車中泊を快適にするためのさまざまなアイテムで自由に車内をカスタマイズできます。アウトドアを目的に購入する方であれば、カスタマイズにも挑戦するとさらに楽しみが広がります。
例えば2段ベッドセットやカーテン、ベッドマットなどが代表的で、車内であっても快適な睡眠を取れるようなグッズが多数展開されています。ハイルーフモデルに便利なルーフラックなどを活用すると、さらに室内の快適性は向上するでしょう。
このように、カスタマイズ性が高いのはエブリイワゴンのメリットのひとつであるといえます。
エブリイワゴンと他メーカーの軽自動車を比較
エブリイワゴンと他メーカーの代表的な軽ワゴン車について比較してみました。「軽ワゴン車を購入したいけれど、どれが良いのか分からない」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
■マツダ スクラムワゴン
《写真提供:response》マツダ スクラムワゴン
スクラムワゴンはエブリイワゴンのOEM車であることから、排気量や最高出力、トルクなどの性能面は同じです。ボディサイズやハイルーフ同士の全高を比較してみても同様であることから、天井の高さを重視する方であればどちらを選んでもそれほど大きな差はないといえるでしょう。
人気の面でいえばエブリイワゴンの方が年間の販売台数は多く、市場に浸透しているといえます。価格もまったく同様で特別な差はあまり見られないので、どちらを選ぶかは「メーカーの好み」によって決めるのが良いでしょう。
このスクラムワゴンの他にも三菱のタウンボックスや日産のNV100クリッパーリオなど複数のOEMモデルが販売されています。デザイン面などでわずかな違いがありますが、ベース部分は同じです。
■ダイハツ アトレー
《写真提供:response》ダイハツ アトレー
エブリイワゴンとアトレーは価格帯が非常に近く、どちらかに偏った優位性はみられません。この2台を比較する際は、価格面よりも性能面に注目してみましょう。
ボディサイズは全体的にエブリイワゴンの方が広く、室内空間の広さもエブリイワゴンに優位性があります。広さを重視したい方は、エブリイワゴンを選ぶと快適に過ごせそうです。
燃費性能については、WLTCモードで比較するとアトレーが若干良好な数値となっています。燃料タンク容量もアトレーの方が大きいので、長距離ドライブにはアトレーの方がやや向いているといえます。
予防安全機能についてはエブリイワゴンと同様に全車標準装備です。
■ホンダ N-VAN
≪写真提供:response≫ ホンダ N-VAN
ホンダの最新商用バンとして2018年に登場したのがN-VANです。商用車としてはじめてNの名前が冠されたモデルとなっています。エブリイワゴンはあくまで乗用モデルなので、正確には商用バンであるエブリイのライバルと言えます。しかし、快適性能やデザインにこだわったグレードも用意されており、乗用ワゴンとしても人気を集めています。
エブリイとの最大の違いは、商用バンとしては異例のFFレイアウトを採用しているという点。エブリイワゴンはキャビンを前方ギリギリに配置し、より荷室長を確保できるキャブオーバーレイアウトを採用しています。荷室長は軽バンにおいてもっとも重要なポイントのひとつということもあり、多くのモデルでこのキャブオーバーレイアウトが採用されています。
N-VANはホンダの人気スーパーハイトワゴン軽自動車のN-BOXをベースとしていることから、軽バンとしては不利なFFレイアウトを採用する形になりました。しかし、その分だけ乗り心地はより乗用軽に近く、高い快適性を誇ります。その代わりに荷室長はやや犠牲になっていますが、センターピラーレスやシートレイアウトによって使い勝手、荷室容量を増やし、うまく欠点を解消できています。まさにエブリイワゴンの最大のライバルと言えるモデルでしょう。
まとめ
《写真提供:response》エブリイワゴンのインテリア
エブリイワゴンの魅力についてお伝えしてきました。軽ワゴン車の中でも最大級の広さを持つエブリイワゴンは、遠方へのアウトドアにも便利でカスタマイズも楽しめるさまざまな魅力が詰め込まれた一台です。
他社にOEM車として提供されているものも多く、どの軽ワゴン車と比較しても室内の広さや装備の充実度では引けを取りません。軽自動車のワゴン車をお探しなら、エブリイワゴンは有力な選択肢のひとつとなるでしょう。