故障ないのに出費がかさむ!面倒な「車検」はなぜ必要?
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お車をお持ちの方なら愛車を数年に一度必ず通す必要があり、その際に少なからぬ出費が必要となるのが「車検」です。車検のタイミングで愛車を乗り換えるという方もいらっしゃいますが、一台の車を長めに愛用し、その車で車検を複数回体験するという方も多いのではないでしょうか。
車の調子が悪かったりどこかが故障した際には、カーディーラーや整備工場で修理してもらえるとありがたいものですが、車がいたって快調な状態であっても、車検は一定の年数ごとに受ける必要があります。
なんとなく、車検なんていらないんじゃないの?と感じてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
カーライフの中でも面倒なイベントとして認識されがちな車検ですが、車検があることによるメリットや、車検が担う責任はどちらも意外と大きなもの。
この記事では、車検に関する情報をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
■継続検査は、車検証の有効期間の更新のために受けるもの
《画像提供:Response 》車検シール
車が数年に一度受ける必要のある検査・整備は、一般的には「車検」と称されていますが、専門的な言い方では「継続検査」と呼ばれます。
この継続検査は法律で義務化されているもの。道路運送車両法の第六十二条「継続検査」で、一定期間ごとの実施が定められています。
第六十二条 登録自動車又は車両番号の指定を受けた検査対象軽自動車若しくは二輪の小型自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない。この場合において、当該自動車の使用者は、当該自動車検査証を国土交通大臣に提出しなければならない。
上記の条文でも示されているとおり、継続検査が必要なのは、その車の自動車検査証の有効期間が切れてしまわないように更新が必要なためです。
一般的には車検証と呼ばれることが多い自動車検査証は、普段は特に意識せずに車に保管している方がほとんどではないかと思われますが、実は車検証は、その車が公道を走るための基準である「保安基準」に適合している状態であることを証明する大事な書類なのです。
そのため車検証の期限がきたら、書類を更新するだけでなく、その車が現在でも保安基準に適合して公道を走ってもよい状態かどうかを確認する必要があります。この確認こそが「継続検査」、つまり車検というわけです。
また、自賠責保険料や重量税は車検証の有効期間分をまとめて払うことが一般的なので、車検のタイミングでこれらの納付も行われています。車検費用明細を確認してみると、点検整備費用だけでなくこれらの負担も大きいことが分かります。
■「保安基準」知ってる?車検の基準は法律で決まっています
《画像提供:Response 》保安基準 2020年改正内容
先ほども触れた公道を走るための車の基準となる「保安基準」は、自動車のさまざまな部品や機能の基準が定められたもので、道路運送車両法に基づく「道路運送車両の保安基準」として詳しく規定されています。
一例としてヘッドライトに関する保安基準だけをとってみても、ライトの光の色や明るさ、取り付けられる個数、取り付けられる位置や固定方法など、自動車が安全に走行するのに必要最低限な基準が細かく定められています。
保安基準は日本国内の公道を走行する車両が最低限度守るべき基準であり、道路運送車両法では、車の使用者はその車が保安基準に適合するよう維持することが義務付けられています。そのため、保安基準に適合しない箇所がひとつあるだけでも、整備不良として罰則の対象となる可能性があります。
車検は、保安基準が判断基準となっています。そのため、車検に合格して車検証の有効期間が延長されたということは、車検時の点検と整備によって、その車が保安基準に適合していることが証明されたということになります。
■車検で点検してもらうと、トラブルの未然防止にも!
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車検の基準は保安基準であるとご紹介しましたが、保安基準に適合しているからといって、次の車検までの間に車が故障しないということにはなりません。しかし、車検の際の点検整備は、トラブルの兆候を察知して未然に発生を防ぐことにもつながります。
普段から定期的な点検やメンテナンスを行って、トラブルの兆候を即座に見つけ出して対処できることが理想的なカーライフではありますが、現実的に頻繁に点検に出したりご自分でメンテナンスを行ったりしている方はあまり多くないかもしれません。
そのような使われ方の車であっても、車検のタイミングでまるっと点検整備を行うことで、最低限度のトラブル予防にはつながっているはず。
今現在故障していないのに車検なんて面倒、と思わずに、次の車検まで問題なく愛車に乗り続けるための最初のステップだと考えると、車検にもありがたみが感じられるかもしれませんね。
車検を受ける頻度はバラバラ!車種とタイミングによる違いとは
《画像提供:Response 》陸運局窓口 イメージ
車検は車検証の有効期間を延長するために受ける検査だとご紹介しましたが、その有効期間は、車種やタイミングによっても異なります。お乗りの車の車検期間は何年なのか、次の車検がいつごろなのか、しっかり把握しておかないと、うっかり車検切れになってしまうこともあるかもしれません。
ディーラーや整備工場からのお知らせでのみ車検のタイミングを把握しているという方も多いかもしれませんが、よい機会ですので、車種やタイミング別の車検期間について知っておくとよいでしょう。
一般的な乗用車では、軽自動車から普通車まで車検期間は共通。新車で登録されてから初回の車検は3年後、それ以降では2年ごとに車検を受ける必要があります。
これは、250cc以下のバイクなど車検の必要がない「検査対象外軽自動車」に分類されるものを除いた自家用の二輪車でも共通で、新車登録後の初回車検は3年後、それ以降では2年ごとに車検を受ける必要があります。
車種別 車検証の有効期間まとめ表
車種 | 検査の有効期間 初回 |
検査の有効期間 2回目以降 |
---|---|---|
自家用乗用(普通・小型・軽) | 3年 | 2年 |
自家用乗用(三輪) | 2年 | 2年 |
自家用二輪(小型) | 3年 | 2年 |
自家用二輪(検査対象外軽自動車) | なし | なし |
自家用貨物(車両総重量8t以上) | 1年 | 1年 |
自家用貨物(車両総重量8t未満) | 2年 | 1年 |
自家用貨物(軽) | 2年 | 2年 |
■乗用車は共通でも、近年人気の「自家用貨物」は車検頻度に注意!
意外と見落とされがちなポイントが、乗用車と貨物車では車検の期間が異なっていること。近年ではレジャー用の車両などとして、貨物車登録の車を自家用車として活用している方も増えていますので、盲点になりがちなこのポイントはしっかり押さえておきたいところです。
具体的には、例えば広い荷室で使い勝手の良さが人気のトヨタ ハイエースバンのように、車両総重量が8t未満の自家用貨物車では、新車登録後の初回車検は2年後、それ以降も1年ごとに車検を受ける必要があります。
乗用車と比べるとどちらも1年ずつ早められていることが分かります。貨物車は税金や自賠責保険料などが割安ではあるのですが、2回目の車検以降では毎年車検を受ける必要があるとなると、全体的な維持費ではあまり割安感はないかもしれませんね。
ニューモデルが続々登場して人気の軽貨物車でも、新車登録後の初回車検が2年後と、軽乗用車に比べると1年早まっている点には注意が必要。2回目以降は2年ごとと、軽以外の貨物車と比べるとマシな部分もあります。
車検はいつから受けられる?定番の「1ヶ月以内」はどうして?
■車検証有効期間内なら、いつでも車検が受けられる?!
《画像提供:Response 》車検シール
車検といえば、車検証の有効期間満了日からおよそ2〜3ヶ月前にハガキなどで通知がきて、満了日手前の1ヶ月以内程度で入庫できるように担当者と調整する、という方が多そう。
しかし実は、車検を受けることのできる期間は定められていないので、車検はいつどんなタイミングでも受けることが可能です。極端にいえば、一度車検を受けて、その直後にまた車検を受けることも可能。次の車検を素早く終えて、得した気分になってしまうかもしれませんが、ここには落とし穴があります。
車検証の有効期間は、満了日1ヶ月前から満了日までの間に車検を受けると、次の有効期間のカウントが元の満了日から始められるようになっています。満了日ジャストに車検を受けなくても、1ヶ月以内に車検を受けるだけで、前回の車検の有効期間をしっかり使い切ることが可能となっているわけですね。
しかし、満了日から1ヶ月以上前に車検を受けてしまうと、今度はその車検を受けた日から有効期間のカウントが始まります。前回の車検の有効期間を使い切らないまま、新しい車検証へ更新されてしまうことになるので、損になるわけです。
■満了日1ヶ月前から満了日までに受けるのが一般的
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先ほどご紹介したように、車検証の有効期間満了日の1ヶ月前から満了日までの間に車検を受けるのが一般的です。車検のために車を入庫させておくのは色々と面倒ですが、1ヶ月の範囲内なら都合の良い日程が組みやすくなりますよね。
では1ヶ月前以降でないと絶対に損になるのかというと、実はほんの少し車検を受けるタイミングを早める方法もあります。
車検を受けるのが指定自動車整備事業者の場合、車の検査後に有効期限が15日間の「保安基準適合標章」を発行することができます。そのためタイミングを合わせれば、満了期間を使い切れる1ヶ月間の15日前に保安基準適合標章を発行することで、45日前に車検を受けても損をしないで済むことになります。
どうしても1ヶ月以上前に車検を済ませておきたいような事情がある場合は、このような手段も検討してみるとよいでしょう。
反対に、満了日ギリギリに車検を受けるのは、何らかのトラブルによって車検切れ状態につながりかねないのでおすすめできません。どうしても満了日近くでしかタイミングが取れない場合なら、早い段階で入庫予約をとっておくと安心ですね。
まとめ
《画像提供:Response 》車検シール
車検に関する基本情報や注意点、意外なメリットまでご紹介してきました。
お金もかかるし面倒な車検ではありますが、車検によって防止できるトラブルも数多くあるので、車検は次の数年間も安全安心にドライブするための第一歩と考えることもできます。
普段あまりメンテナンスができていない車なら尚更のこと、数年に一度の健康診断として、しっかり点検整備してもらいましょう。
よくある質問
■車検の期間が変わるのは、新車とそれ以降だけなの?
車検の有効期間は新車時と2回目の車検以降で異なるだけでなく、車種によっても差があります。例えば、乗用車の場合は軽自動車から普通車まで新車で3年、2回目以降で2年ですが、自家用貨物の軽自動車だと新車で2年、2回目以降も2年となっており、期間が異なります。
■車検が切れた車は、運転しちゃいけないの?
車検証の有効期限を過ぎた状態、いわゆる車検切れの車は、公道を運転してはいけません。道路運送車両法違反で罰則対象となります。車検切れの車を運転する場合は事前に仮ナンバーを取得する必要があるので、ディーラーや整備工場などに依頼してキャリアカーなどで移動してもらうとよいでしょう。
車検期間はいつからいつまで?期限日の確認方法・最適な時期は? | 楽天Carマガジン|クルマの維持費をお得にする情報をご紹介
https://car.rakuten.co.jp/magazine/articles/2019/shaken01/車検費用が高いため、受ける時期を迷っている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、車検期間(いつからいつまで受けられるか)を徹底解説します!満了日の確認方法や最適な時期も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
車検の頻度は何年おき?有効期間や車種による年数の違いを徹底解説 | 車検を知るならカルモマガジン
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