ファンベルトってどんな部品?
ファンベルトってどんな部品?
ファンベルトは、簡単にいうとエンジンで生み出された動力を、他のパーツに伝達するためのベルトです。
ファンベルトはゴム製であるため、使用年数や使用頻度とともに劣化します。劣化して性能が落ちてきたファンベルトを交換せずにいると、異音がしはじめて、いずれ切れてしまいます。ファンベルトが切れたらすぐにエンジンが停止するわけではありませんが、エンジンを冷やす装置に影響がでるので、すぐにオーバーヒートを起こし、故障の原因にも。
エンジンは、ガソリンなどの燃料による燃焼(爆発)エネルギーを回転運動に変え、その力がタイヤに伝わることで車は走り出します。また、エンジンの力がウォーターポンプやパワーステアリングなどにも伝達されることで、それらのパーツが動きますが、その力を伝えるための役割をファンベルトが担っています。
ファンベルトという名前から推察できるように、ファンベルトは本来ラジエーターと呼ばれるエンジンの冷却装置にあるファン(送風機)に動力を伝えるためのベルトでした。しかし現代では、ファンも電動で動くようにコントロールされており、ファンをベルトで回している車は減ってきていますが、ファンベルトという名前はそのまま定着し、電動式のことも含めて今でもファンベルトと呼ばれています。
自動車のボンネットを開けてエンジンルームを覗いてみると、その中にゴムでできたベルトを確認することができます。それがファンベルトです。
一般的にはあまり知られていませんが、ファンベルトも交換消耗品です。素材がゴムでできている以上、経年劣化もしますし、走行距離が長くなるほど消耗して交換の必要性が高まります。忘れがちなファンベルトですが、定期的にチェックし、現在の状態を確認しておきましょう。
■壊れてしまうと大変なことに
もし仮にファンベルトが切れたり、正常に動力を伝えることができなくなったりしたら、どのような現象が起きるのでしょう。
・ウォーターポンプやサーモスタットなどが機能せず、冷却機能がストップすることで、エンジンがオーバーヒートする。
・発電機に動力が伝わらず、電気系統のパーツが作動しなくなりエアコンも停止する。
・パワーステアリングポンプが停止し、ハンドルが重くなり運転が困難になる。
ファンベルトが切れてもエンジン自体は動くので、しばらくは走り続けることができますが、エンジンを冷やす冷却装置が停止してしまうので、結果としてオーバーヒートを起こし、エンジンの故障に繋がります。
ファンベルトの交換サインと寿命・交換時期
ファンベルトの交換サインやタイミング
ファンベルトは、エンジンルームの内部にあって、タイヤやライトほど目視確認が容易ではなく、異常があっても警告灯が表示されることもありません。
ファンベルトの交換が必要かどうか、普段から確認するにはエンジンルームを開け目視確認するなど、ハードルが高いように思われますが、ファンベルトには交換のサインと呼べるポイントがいくつかありますので、紹介します。
■異音がしはじめた
ファンベルトが経年劣化し、ヒビが入ったり割れたりしてくると、キュルキュルと異音がしはじめます。
この現象は「鳴き」と呼ばれていて、普段自動車から聞こえてくる音とは明らかに違う音なので、気づきやすい音でもあります。このような音が聞こえ始めたら、ディーラーや自動車整備工場などで、ファンベルトの状態を確認してください。
■走行距離や使用年数から交換時期を判断
ファンベルトの素材であるゴムの特性上、長く使用し続けていたら次第に弾性が無くなって硬くなり、ヒビが入ったり割れたりなど、経年劣化していきます。
そのため、異音や異常がみられなくても、走行距離や使用年数が長くなったときには、ファンベルトも新品に交換することをおすすめします。
一般的にファンベルトの寿命は、走行距離で3万kmとも10万kmともいわれており、この距離を越えたら交換すべき、という特定の走行距離はありません。同様に、ファンベルトの交換が必要とされる使用年数も、3年〜5年といわれ、大きく幅があります。
ファンベルトの寿命は車種や使用頻度によって変わってくるためで、自動車の購入時にディーラーや中古車屋さんなどで確認しておくのがよいでしょう。
ファンベルトの交換時期については、あくまで目安として考え、実際に異音がしたり目視によって割れなどが確認できた際に即対応できるよう、普段からの定期的な点検を心がけることが一番の対応策といえるでしょう。
ファンベルトの交換費用は?
ファンベルトの交換に必要な費用
次に、ファンベルトの交換の費用相場を紹介します。
■車種によって違うファンベルトの交換費用
使用されているファンベルトの本数は車種ごとに違うため、交換に必要な費用も車種によって変わってきます。また、ファンベルトの交換にかかる費用は、ファンベルト自体の値段と工賃の合計になり、交換を依頼するお店によって工賃に違いがあるので、お店によっても交換費用の合計金額が変わります。
軽自動車、普通車、大型車のファンベルト1本の交換費用の目安はこちらです。
軽自動車:ファンベルト代 3,000円 + 工賃 5,000円 = 合計 8,000円
普通自動車:ファンベルト代 4,000円 + 工賃 5,000円 = 合計 9,000円
大型車:ファンベルト代 6,000円 + 工賃 6,000円 = 合計 12,000円
一度に複数のファンベルトを交換するのであれば、ファンベルト代は本数分必要です。複数のファンベルト交換であれば、作業工賃も増えそうですが、1本でも複数でも交換の工賃が変わらないお店もあります。
上記の金額はあくまでも目安なので、実際の費用は交換をお願いするお店に問い合わせてみましょう。
■調整で大丈夫なら費用も少なく
ファンベルトの状態によっては、交換ではなく調整で済む場合もあります。ファンベルトのテンションを調整することで、異音が直ったり、本来の性能に戻すことができる場合もあるので、定期的な点検をこころがけましょう。
また、ファンベルトの調整であれば、交換にくらべて費用も安く抑えられます。以下はファンベルトの調整をお店にお願いしたときの費用の目安です。
軽自動車:約2,500円
普通自動車:約3,000円
大型車:約3,500円
こちらもあくまで目安です。実際の費用については、依頼するお店に問い合わせましょう。
ファンベルトの交換をお願いするお店
ファンベルトの交換はディーラーや自動車整備工場、カー用品店などに依頼できます。それぞれのお店によって費用に違いがありますが、やはりディーラーにお願いすると、割高になってしまうことは否めません。割高になってしまう理由は、純正部品対応となり、作業工賃もしっかり決められていて、融通が効かせられない点が挙げられます。
しかし、ファンベルトはエンジンなど自動車の重要部分に関わるパーツなので、より安心感を求めるのであれば、「安心代」と割り切って、ディーラーにするのもありでしょう。とくに最近の自動車は、エンジンも複雑さが増していて、作業手順が難しいものもあるので、自社の自動車に精通したスタッフがそろっているディーラーの方が心強いという見方もあります。
まとめ
まとめ
自動車の消耗品としては知名度が低く、注目されにくいファンベルトですが、エンジンの冷却など重要な役割を担っているパーツです。
異常があっても放置して交換せずにいると、自動車が動かなくなるので、異音が発生したり走行距離が長くなるなどしたら、お店に持ち込んで確認し、必要であれば交換しましょう。
万が一、エンジン自体が故障してしまったら、修理費用はファンベルトの交換費用とは比べものにならないほど高額になり、自動車自体を手放さなければいけなくなる可能性もあります。
普段からの点検を意識し、トラブルを未然に防げるようこころがけましょう。
よくある質問
■ファンベルトが切れると何が起こる?
ファンベルトが切れると、エアコンをはじめ電気系統のパーツが作動しなくなるだけではなく、エンジンの冷却装置が停止することによりオーバーヒートの原因にもつながります。定期的に点検をしておくようにしましょう。
■ファンベルトの交換時期どのぐらい?
ファンベルトの交換時期は3年〜5年、走行距離は3万km~10万kmといわれており、素材であるゴムの経年劣化や車種や使用頻度によって大きな幅があります。3年を目安に点検のうえ交換を検討するのがよいでしょう。