現代の車には不可欠の「カーバッテリー」、ちゃんと充電できてる?
トヨタ プリウスの補機用バッテリー
自動車は、自分で歩かなくても目的地に到着できるという利便性だけでなく、今やあらゆる快適装備を備えた「部屋」という側面もありますよね。
自分の車に近づくだけでロック解除され、ドアが電動で開き、パワーシートが指定の位置に自動で動く。走行中はお気に入りの音楽が流れ、暗くなってきたらヘッドランプで前方を照らしてくれる。これらの現代的な快適装備を含む電装品は、電気によって作動しています。
そして、その電装品に電力を供給しているのが「バッテリー」です。中でもこの記事で紹介していく「補機用バッテリー」なしでは、もはや現代の車は成立しないのですが、普段の運転でバッテリーの調子を気にかけることはあまりないのではないでしょうか。
しかし、バッテリーも使用に伴って次第に性能が低下していき、最後にはバッテリー上がりなどの不具合を誘発してしまうことも。
いざバッテリーが上がってからその大事さに気づく… なんていうことにならないように、バッテリーの調子を判断する目安に関して紹介します。
■バッテリーってどんな部品?車のどこに付いてるの?
《画像提供:Response 》トヨタ RAV4のエンジンルーム
バッテリーは、エンジンルームに設置されていることが一般的なので、ボンネットを開ければきっと見つけられるはず。白色や青色などのさまざまな色があるものの、直方体で上部に配線が接続されているものがバッテリーです。
車両によっては、荷室に設置されていたり、シート下に設置されている場合もあります。取り扱いに関する注意も含めて、まずは車両の取扱説明書を確認してみるのがいいでしょう。
ちなみに、ハイブリッド車や電気自動車がモーターの駆動に使う「動力用バッテリー」は、フロア下や後席背後などに設置されることが多く、プロ以外が触ることはできません。
■ガソリンエンジン車でもバッテリーがない車もある!?
《画像提供:Response 》フォード モデルT(1908年式)
数々の電装品が搭載され、バッテリーなしでは考えられない現代の自動車ですが、ガソリンエンジンを搭載する自動車が実用化された頃は、バッテリーはまだ装備されていませんでした。
1908年に発売され、自動車の大衆化と大量生産技術の確立で有名なフォード モデルTも、当初はバッテリーを装備しませんでした。エンジンの始動は、エンジン前方に固定されたクランク棒を人力で回すことで行い、始動後はエンジンのフライホイールを利用したマグネトー発電機を用いて、エンジン点火用の電力を生み出していました。
1910年代からは高級車を中心としてエンジンの始動を担当する「スターターモーター」の搭載が広まり、自動車へのバッテリーの搭載も進んでいきました。
稀ですが、バイクは市販車でもバッテリーを装備しないモデルが近年でも発売されています。スペースや重量をなるべく抑えたいオフロード向けのバイクや、レース車両などで見られました。それらのモデルでは当然スターターモーターも装備されないので、エンジン始動はキックスターターで行います。
バッテリーに決まった「寿命」はあるのか?目安は?
■保証期間は2〜3年が多いが、イコール寿命ではない
パナソニックストレージバッテリー カオス
「バッテリーの寿命は2~3年」とよく聞きませんか?
2~3年という期間は、バッテリーメーカーが保証期間として設定している場合が多いことからいわれているようです。この保証期間は、新品として購入してからの期間で、不良や正常な使用にかかわらず不具合があった場合に、交換に応じてもらえるということを意味しており、寿命のことではありません。
バッテリーの性能が保たれるのが2~3年だからといって、その年数が経過したら使えなくなってしまうわけではありません。また、もっと短い使用期間でも劣化が進んで使えなくなる場合や、逆に保証期間を過ぎた後でも問題なく使用できることもあるでしょう。
バッテリーの劣化スピードは、気温、使用頻度、車の電装品の量など、使用環境によって変動幅がかなり大きいもの。そのため、愛車のバッテリーがどの程度劣化しているのか、随時チェックしておくことが必要なのです。
■夏も冬も困る!バッテリーの「突然死」を防ぐ早めの交換
JAF ロードサービス(イメージ)
バッテリーは、そのメカニズム上、低温では性能が低下します。そのため、劣化が進んでいたバッテリーが、気温が下がった冬場に突然上がってしまうというトラブルも起こりがちです。
また、暑い季節も要注意!快適な運転に欠かせないクーラーは電力消費が大きいので、バッテリーにも負担がかかりがちです。劣化が進んでいたバッテリーにとどめをさしてしまうことにもなりかねません。
バッテリーへ負担がかかる夏冬だけでなく、車に乗ろうと思ったらバッテリー上がり…なんていうトラブルは季節関係なく困りますよね。
ヘッドランプの消し忘れなど、ミスによるバッテリー上がりは注意で防げますが、バッテリーの調子もしっかりチェックして、バッテリーの寿命が来る前にしっかり交換しておくのがベストでしょう。
【診断方法】バッテリーの寿命はココを確認してチェック
《画像提供:Response 》マツダ SKYACTIV技術セミナー
■バッテリーの電圧を確認する
もっともわかりやすい方法は、バッテリーの電圧をチェックしてみることです。カー用品店などで販売されているバッテリー用のテスターや、シガーソケットに装着して電圧を簡単にチェックできる商品などもあります。
自分で確認するのは難しいと思ったら、ディーラーや整備工場、ガソリンスタンドなどで「バッテリーの電圧をチェックしてほしい」と依頼すれば、安心かつ確実です。無料で対応してくれるところも多いので、事前に確認してみましょう。
■エンジンの始動性を確認する
バッテリーの性能が低下してくると、瞬間的に大電流が必要になるエンジンの始動に失敗することが増えてきます。エンジンがなかなかかからないことが増えてきたら、バッテリーの寿命が近づいている可能性があります。
近年ではバッテリーの性能が向上しているので、寿命に達するまで普通にエンジンが始動できてしまう場合もあるので、これだけで判断はできませんが、目安のひとつとして覚えておいてくださいね。
■アイドリングストップ機能の作動頻度を確認する
アイドリングストップ機能付きの車なら、アイドリングストップの作動頻度でも簡易的に判断が可能です。
購入当初は停車のたびにアイドリングストップしていたのに、アイドリングストップをしなくなった場合は、バッテリーの劣化を車が検知して、アイドリングストップを自動でキャンセルしている可能性があります。
アイドリング中やエアコン作動中など、さまざまな条件によってもアイドリングストップは作動と不作動が自動で判断されます。バッテリー性能だけが理由ではない可能性もあるものの、気になり始めたらディーラーなどでバッテリーの状態をチェックしてもらうとよいでしょう。
■車の電装品の動き方を確認する
「走行中は明るいヘッドランプがアイドリング中は暗くなる」「パワーウィンドウの上げ下げが遅くなった」など、車の電装品の動きに注目しても、バッテリーの調子を推測することができます。
エンジンが低回転で充電量が少なくバッテリーへの負荷が大きくなりがちなアイドリング時と、充電量に余裕がある走行時で電装品の動きに違いがあるようなら、バッテリーの性能が低下し始めているかもしれません。
■バッテリー本体の表示で状態確認できるものも!
バッテリーにもよりますが、バッテリー本体にインジケーターが付いていて、バッテリー液の状態や量が把握できるものもあります。
インジケーターなどの機能は、やや高価格帯のバッテリーに多く備わっています。メンテナンスも楽になるので、次回交換時にちょっとグレードの高いバッテリーを選んでみるのもアリですね。
バッテリー寿命をグッと縮める車の使い方に注意!
JAF ロードサービス(イメージ)
あまり車を使わない
バッテリーは、コンセントなどにつなげて充電するわけではないので、エンジンの動力を使って充電する必要があります。駐車中の車は、充電されずに放電のみが続きバッテリー容量が減る一方です。
普段はまったく動かさない車でも、1週間に1~2時間程度は走行させるのが理想的です。アイドリングだけでは、十分な充電量が確保されない場合もあるので注意が必要です。
長期間車を動かす予定がないのであれば、、バッテリーの状態をモニタリングしながら必要に応じて自動的に充電をしてくれる維持充電機能付き充電器の使用もおすすめです。
渋滞など低速運転が多い、短距離短時間しか運転しない
普段から車を動かしている方でも、運転状況によっては充電が追いつかず、バッテリーが徐々に弱っていってしまう場合も。
具体的には、低速でのストップ&ゴーが多かったり、短距離しか乗らなかったりする場合で、バッテリーから使用した電力に対して充電量が不足してしまいがちです。
普段から動かしている車であっても、1週間に1度程度は普段よりも流れのいい道を30分~1時間程度走らせて、十分にバッテリーが充電できるよういたわることもおすすめです。
長期間バッテリー上がりを放置した
室内灯やヘッドランプなどをつけっぱなしで放置してしまい、バッテリーが上がってしまった経験がある方もいらっしゃるはず。また最近の車は、車を動かしていなくても電気を消費する電装品も多くなっているので、長期間駐車しているだけでもバッテリーが上がってしまう場合もあるようです。
このような状況だと、バッテリーが完全放電されてしまっている場合もあります。一度完全放電されたバッテリーは、充電しても性能自体が落ちてしまっていることも多く、何度もバッテリー上がりを頻発させてしまう場合もあります。
まとめ
GSユアサ バッテリー
自動車にとって縁の下の力持ちであるバッテリーですが、外出先でのバッテリー上がりで困ることのないよう、バッテリーの寿命が来る前に、しっかりと交換しておきたいですね。
近年はバッテリーの性能も向上しているため、逆に寿命がやって来るまで不調が現れにくくなっている場合もあるようです。不安な場合は、整備士さんなどプロに相談してみるのがいいでしょう。
よくある質問
■自動車用バッテリーの寿命は何年なの?
バッテリーメーカーは2~3年の動作保証をしている場合が多いものの、使用環境や使用状況は三者三様なので、バッテリーへの負担もその自動車によって異なります。そのため、この年数を経過するとバッテリーが使えなくなる、という明確な基準はなく、随時バッテリーの状態をチェックすることで、性能の落ち具合を確認する必要があります。
■自動車用バッテリーは自分で交換できるの?
自動車用バッテリーはカー用品店などでも手に入りますし、作業の手順や感電に十分な注意が必要ですが、セルフ交換も可能です。ただし、誤った作業の結果、不具合が発生してしまったりすることもあるので、心配であればプロに作業を任せるのが安心でしょう。