雪道・凍結した道路ではスタッドレス等の対策必須!
ノーマルタイヤで雪道・凍結した道路を走行すると違反になるとSNSにて話題を集めていました。
過去にJAFが公開した雪道・凍結路における「ノーマルタイヤやスタッドレスタイヤ等の制動距離」でも分かる通り、雪道・凍結した道路でのスタッドレス等の有効性は一目瞭然です。
しかし上記の記事を制作している上で思ったことは、「都道府県毎の違反基準は分かったけど、都道府県によってはそもそも雪降らないんじゃない?」という点。
そこで、こちらの記事では気象庁が公開している気象データを1997年~2017年の20年分集計し、都道府県毎(原則県庁所在地の気象台データ)に掲載し、スタッドレスタイヤ等の雪道に対する備えが必要なのか否かを記載していきます。
まず始めに見ていただきたいデータはこちらです。
こちらは1997年から2017年の計20年の間の最深積雪が≧0cmと記録されている日数の合計値となります。
気象庁で集計されている積雪のデータは、≧0cm、≧5cm、≧10cm、≧20cm、≧50cm、≧100cmの6段階に分け集計されており、「降雪」があった日を大気現象→雪日数とし、降雪と積雪を別で集計しています。
北海道は20年間=7300日(※うるう年加味せず)の期間、2807日積雪がみとめられたということになります。1年間の平均にすると約140日間積雪があるということになります。
改めて考えると1年のうち40%弱の期間、雪が積もる北海道(札幌の気象台データ)は、すごいなと感じます。
一方で意外なのは静岡県(静岡市)で、1997年~2017年の期間、積雪があったのは合計で3日だけという点(降雪は44日有)で、1年間で平均すると雪が降るのは2回ほど。雪が積もることはめったに無いということを始めて知りました。
これらの情報を元に、「5cm以上の積雪が1年の間どの程度あるか」を条件に、都道府県毎のスタッドレスタイヤの備えの必要性を記載します。
【北海道・東北】もちろん必須!ノーマルタイヤはあり得ない!!
まず北海道・東北エリア。
言わずもがなスタッドレスタイヤやチェーンなどの雪道対策は必須なため、あれこれを記載する必要はありませんが、気象データだけでも掲載させて頂きます。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
北海道(札幌) | 2807 | 2548 | 約127日 |
青森(青森) | 2492 | 2257 | 約113日 |
岩手(盛岡) | 1866 | 1394 | 約69日 |
秋田(秋田) | 1832 | 1263 | 約63日 |
宮城(仙台) | 747 | 223 | 約11日 |
山形(山形) | 1853 | 1512 | 約75日 |
データだけ見ると宮城(仙台)は、5cm以上の積雪が1年間平均およそ11日と少ないですが、山間部やその他の地域では他県と同様に数十日を越します。
どうであっても、スタッドレスタイヤは必須でしょう。
【北関東・甲信】長野は必須!他地域は運転頻度に寄る・・・?
次は北関東甲信エリア。
必要か否かの線引きがかなり難しい県が多いです。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
茨城(水戸) | 198 | 32 | 約1.5日 |
栃木(宇都宮) | 185 | 59 | 約3日 |
群馬(前橋) | 183 | 70 | 約1日 |
山梨(甲府) | 193 | 96 | 約2日 |
長野(長野) | 1343 | 817 | 約40日 |
長野県はもちろん必要なのは言わずともわかりますが、他県は軒並み5cm以上の積雪が1年間に1~3日程度。
しかし、「積雪があった日」で見れば年平均10日前後、積雪の頻度がそれなりに多いことや、気温が下がり道路が凍結してしまうことも考えると、出勤などで車に乗る頻度が高い方はスタッドレスタイヤは持っておいたほうが良いでしょう。
【南関東】東京・埼玉・千葉・神奈川は?
続いては首都圏エリア。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
東京(東京) | 81 | 21 | 約1日 |
神奈川(横浜) | 77 | 29 | 約1.5日 |
千葉(千葉) | 51 | 21 | 約1日 |
埼玉(熊谷) | 142 | 53 | 約2日 |
※埼玉県はさいたま市での観測データが無いため熊谷のデータとなっています。
数字だけ見ると、スタッドレスタイヤを持たなくてはいけない!ということにはなりませんが、2018年1月の都心部での大雪のことなども考えると、運転頻度の高い方はチェーン等の備えは必ずした方が良いでしょう。
ちなみに、GfKジャパンが2017年8月に調査した「冬タイヤの購買行動調査」によると、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のスタッドレスタイヤの保有率は「39%」となるようです。
特に首都圏※2はこの傾向が顕著で、2014年の34%から39%へ上昇した。なお、冬タイヤの所有率は男女ではほぼ差がなかったが、年代別では、所有率の最も高い30代以下と最も低い60代以上では約1割の差があった。
どの地域にも共通し、且つ当たり前のことではありますが、スキー、スノーボードなどのウィンタースポーツで降雪の多い地域にいくことが多い方は、スタッドレスタイヤの準備はしておきましょう。
【北陸・東海】北陸は必須!東海エリアは?
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
新潟(新潟) | 1030 | 516 | 約26日 |
富山(富山) | 1188 | 856 | 約43日 |
石川(金沢) | 919 | 505 | 約25日 |
福井(福井) | 1059 | 767 | 約38日 |
北陸エリアに関しては、お住まいの方はもちろんのこと、冬の北陸に行こうと考えて「雪が降るなんて知らなかった!」などという人は皆無に近いかと思うので詳細は割愛します。スタッドレスタイヤは必須です。
東海地方、岐阜は必要と感じますが愛知、三重は5cm以上の積雪がめったになく線引きが難しいところです。が、積雪があった日としては年で5日前後のため、車に乗る頻度の高い方は備えたほうが良いと言えるでしょう。
余談ですが静岡は雪がほとんど降らないということを初めてしりました。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
岐阜(岐阜) | 242 | 93 | 約5日 |
静岡(静岡) | 3 | 0 | - |
愛知(名古屋) | 108 | 31 | 約1.5日 |
三重(津) | 80 | 11 | 約0.5日 |
【近畿】雪の降らない地域は多いけど・・・
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
滋賀(彦根) | 491 | 241 | 約12日 |
京都(京都) | 161 | 23 | 約1日 |
大阪(大阪) | 25 | 3 | 0.15日 |
兵庫(神戸) | 33 | 0 | - |
奈良(奈良) | 77 | 8 | 約0.4日 |
和歌山(和歌山) | 39 | 2 | 約0.1日 |
滋賀、京都はスタッドレスタイヤの備えの必要性は高いですが、大阪、兵庫(神戸)などはあまり降雪がありません。神戸に至っては静岡同様に5sm以上の積雪が20年間一度もありません。
しかし、積雪の多い地方(道路)を通る予定のある場合等はスタッドレスタイヤは必要になりますので、常時備えておかずともレンタルで対応するなど雪道対策は必ずするようにしましょう。
【中国】鳥取、島根は必須。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
鳥取(鳥取) | 811 | 479 | 約24日 |
島根(松江) | 542 | 228 | 約11日 |
広島(広島) | 108 | 20 | 約1日 |
岡山(岡山) | 36 | 1 | 0.05日 |
山口(山口) | 199 | 46 | 約2日 |
島根、鳥取は日本海側だけあり積雪が多いので、スタッドレスタイヤは必須です。
山口も積雪頻度から考え、スタッドレスタイヤの備えはした方が良いといえるでしょう。
【四国・九州】四国、九州は原則不要・・・??
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
徳島(徳島) | 51 | 2 | 約0.1日 |
香川(高松) | 37 | 1 | 0.05日 |
高知(高知) | 14 | 3 | 約0.15日 |
愛媛(松山) | 21 | 0 | - |
四国、九州はイメージ通り積雪のある県は少なく、いずれの県も5cm以上の積雪は数年~10年前後に1回という結果となっています。どこに行くか、積雪が多い地域を通るか等で必要性は変わるので一概に不要とは言えませんが常時備えておくべきかの必要性は低くなっています。
都道府県名(観測市区町村) | 積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の合計 | 5cm以上の積雪があった日の1年間の平均 |
---|---|---|---|
福岡(福岡) | 67 | 6 | 約0.3日 |
佐賀(佐賀) | 66 | 7 | 約0.3日 |
長崎(長崎) | 49 | 9 | 約0.5日 |
熊本(熊本) | 31 | 2 | 約0.1日 |
大分(大分) | 27 | 2 | 約0.1日 |
鹿児島(鹿児島) | 26 | 9 | 約0.5日 |
宮崎(宮崎) | 2 | 0 | - |
ちなみに沖縄は20年間で積雪自体無く、沖縄のカー用品店に問合せしたところ「スタッドレスタイヤ自体置いてない。沖縄県内で売ってるというのも聞いたことが無い」とのことでした。
最後に…。
各都道府県の気象データを参考にし、スタッドレスタイヤの必要性があるかどうかを記載しましたが如何でしょうか。
必要性が低いと記載した地域であっても、どこに行くのか?や山間部に住んでいる方等はもちろんその限りではありません。
冬、お住まいの地域から離れた都道府県に向かい運転をする際の参考、目安になれば幸いです。
また、スタッドレスやチェーンの備えも万全というわけではありません。雪道、凍結した道路では安全な速度で走行するようにしましょう。
2018年12月 ノーマルタイヤの規制に加えチェーン装着の義務化も発表されています。
2018年12月に指定区間内ではスタッドレスタイヤを装着していてもチェーン装着が必須になるという改正案が発表されています。
指定区間の情報や罰則などについてを下記記事にてまとめています。
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