結論:スタッドレスタイヤが必要かどうかは「5cm以上の積雪日数」で判断できる
結論から言うと、スタッドレスタイヤの必要性は、気象庁が公表している地点ごとの平年値(1991〜2020年の30年平均)のうち「5cm以上の積雪があった日数」で大まかに判断できます。
北海道・東北・北陸4県・長野・鳥取・島根は、年間で10日以上(多い地域は年間30〜40日以上)積雪があるため、冬季はスタッドレスタイヤの常時装着が前提です。
一方、東京・大阪・名古屋など太平洋側や瀬戸内・四国・九州の平野部は、5cm以上の積雪が平年値で年1日未満の地域が大半で、常時のスタッドレスタイヤは必須とまでは言えません。ただし「積雪が年に数回ある」ことと「一度も降らない」ことは別物で、数年に一度は大雪に見舞われる年もあります。
この記事では、気象庁の公式データをもとに地域ごとの目安を整理したうえで、冬用タイヤ規制・チェーン規制の違いと、スタッドレス・オールシーズン・チェーンをどう選ぶかまで解説します。
気象庁の「平年値」とは?この記事で使うデータの見方
気象庁は、全国の気象官署(都道府県庁所在地を中心とした観測地点)ごとに、1991年から2020年までの30年間の観測値を平均した「平年値」を公表しています。ここでは、そのうち冬タイヤの必要性に直結する2つの数値を使います。
・降雪の深さ合計(cm):1年間に降った雪の深さを積算した値。同じ日に何度も降れば加算されるため、積雪の量そのものというより「どれだけ雪が降ったか」の目安です。
・5cm以上の積雪があった日数:積雪が5cm以上に達した日が年間何日あったかの平年値。道路に雪が残り、走行に注意が必要な日の目安として使いました。
データはすべて気象庁「過去の気象データ検索」の平年値(年・月ごとの値、詳細(雪))ページで、都道府県庁所在地(または近隣の気象官署)ごとに2026年9月に確認した数値です。
【北海道・東北】積雪日数が年10日を超える地域が中心。スタッドレスは必須
北海道・東北6県は、盛岡・仙台を除くと5cm以上の積雪日数が年20日を超えており、根雪になる地域も多いエリアです。冬季の常時装着が前提になります。
・札幌:降雪の深さ合計479cm/5cm以上の積雪日数 約34日
・青森:567cm/約41日
・盛岡:209cm/約14日
・仙台:59cm/約4日
・秋田:273cm/約21日
・山形:285cm/約21日
・福島:122cm/約8日
仙台・福島は他の東北5県より積雪日数が少なめですが、これは県庁所在地(市街地)のデータで、山間部や内陸部ではさらに積雪が多くなります。県内でも地域差が大きいエリアです。
【関東】平野部は積雪日数1日未満。ただし数年に一度の大雪に注意
関東平野部(東京・神奈川・千葉・埼玉南部・茨城・栃木・群馬の市街地)は、5cm以上の積雪日数が平年値で1日前後、多い年でも数日という地域が大半です。
・水戸:12cm/約1日
・宇都宮:18cm/約1日
・前橋:19cm/約1日
・熊谷(埼玉):16cm/約1日
・千葉:0cm/0日
・東京:8cm/約1日未満
・横浜:9cm/約1日未満
数値だけ見ると「不要」に思えますが、これは平年値、つまり平均です。数年に一度、首都圏でも20cm前後の大雪になる年があり、この年は普段雪の少ない道でも立ち往生や交通マヒが起こります。日常的に車に乗る人や、大雪予報が出た日に運転する可能性がある人は、スタッドレスタイヤかチェーンのどちらかを備えておくと安心です。
また、この数値は県庁所在地(市街地)の平年値であり、同じ都県内でも山間部は積雪が大きく異なります。たとえば東京都内でも奥多摩、埼玉県の秩父、神奈川県の丹沢周辺、栃木県の那須・日光周辺などの山間部は、市街地よりはるかに積雪が多く、冬季は路面凍結が常態化する区間もあります。冬にこうしたエリアへ出かける予定がある人は、市街地の数値だけで「不要」と判断せず、行き先の道路情報を個別に確認してください。
【甲信・北陸】長野・新潟・富山・石川・福井は必須
甲信エリアは山梨と長野で大きく差があり、北陸4県(新潟・富山・石川・福井)はいずれも積雪日数が年10日を超える、スタッドレスタイヤが必須のエリアです。
・甲府:23cm/約1日
・長野:163cm/約11日
・新潟:139cm/約9日
・富山:253cm/約16日
・金沢:157cm/約11日
・福井:186cm/約13日
甲府は積雪日数が少ない一方、長野県内は松本・軽井沢など標高の高いエリアで県庁所在地よりさらに積雪が多くなります。北陸4県は日本海側特有の豪雪地帯で、市街地でも根雪になる年が珍しくありません。
【東海】岐阜は備え推奨、太平洋側の愛知・静岡・三重は基本不要
東海4県は、日本海側に近い岐阜と、太平洋側の静岡・愛知・三重とで傾向が大きく異なります。
・岐阜:34cm/約2日
・静岡:0cm/0日
・名古屋(愛知):12cm/約1日
・津(三重):6cm/約0.4日
静岡市は気象庁の平年値で降雪の深さ合計・積雪日数ともに0という、全国でも屈指の雪の少ない地域です。ただし岐阜県内は北部(飛騨地方)に行くと日本海側気候の影響で積雪が大幅に増えるため、県内を移動する機会がある人は行き先に応じた備えが必要です。
【近畿】滋賀・京都は備え推奨、大阪・兵庫・奈良・和歌山は基本不要
近畿は同じ地方内でも積雪日数に大きな差があります。
・彦根(滋賀):81cm/約6日
・京都:15cm/約1日
・大阪:1cm/約0.1日
・神戸(兵庫):1cm/0日
・奈良:5cm/約0.2日
・和歌山:1cm/約0.1日
滋賀県彦根市は琵琶湖の北側にあたり、北陸に近い気候のため積雪日数が近畿の中で突出しています。県北部の長浜・米原周辺はさらに積雪が多くなる地域です。大阪・神戸など瀬戸内海沿岸は、平年値ではほぼ雪が積もりません。
【中国】鳥取・島根は日本海側の豪雪地帯、瀬戸内側は基本不要
中国地方も日本海側の鳥取・島根と、瀬戸内海側の岡山・広島とで傾向が分かれます。山口は日本海・瀬戸内の中間的な位置づけです。
・鳥取:95cm/約7日
・松江(島根):68cm/約5日
・岡山:1cm/約0.1日
・広島:8cm/約1日未満
・山口:26cm/約2日
鳥取・島根は中国山地の北側にあたり、山陰の日本海側気候の影響で中国地方の中では積雪が多いエリアです。特に県境に近い山間部では、市街地よりさらに積雪日数が増えます。
【四国・九州】平野部は基本不要。ただし宮崎以南でも山間部は別
四国・九州はいずれの県庁所在地でも、5cm以上の積雪日数が平年値で1日未満と、全国的に見て積雪の少ないエリアです。
・徳島:2cm/約0.1日
・高松(香川):1cm/0日
・松山(愛媛):1cm/0日
・高知:1cm/約0.1日
・福岡:2cm/約0.1日
・佐賀:4cm/約0.1日
・長崎:4cm/約0.2日
・熊本:1cm/0日
・大分:1cm/0日
・宮崎:0cm/0日
・鹿児島:2cm/約0.2日
市街地では常時のスタッドレスタイヤは基本的に不要と考えて差し支えありません。ただし、四国の剣山周辺や九州山地など標高の高い山間部を走る予定がある場合は、この平野部のデータには当てはまらないため、事前に道路情報を確認したうえで、チェーンなど滑り止めの携行を検討してください。
スタッドレスタイヤの装着率はどれくらい?
株式会社アップガレージグループが2023年12月に実施したインターネット調査(クラウドワークス経由、500名対象)によると、居住地の降雪量や運転頻度によって、冬季にスタッドレスタイヤへ交換する割合に大きな差が出ています。
・雪が「降る」地域に住む人:94%が毎年スタッドレスタイヤに交換
・雪が「降らない」地域に住む人:30%が毎年交換
・雪が「ほぼ降らない」地域に住む人:12%が毎年交換
・雪が「降る」地域に住み、週1〜2回以上運転する人に限ると:83%が12月末時点でスタッドレスタイヤを装着
降雪量が多い地域ほど、また車に乗る頻度が高い人ほど、スタッドレスタイヤへの交換率が上がる傾向がはっきり出ています。この調査はインターネット上のアンケートで、母数も500名と大規模な統計ではない点には留意してください。
冬用タイヤ規制とチェーン規制は何が違う?
高速道路や幹線道路の冬季の規制には、大きく分けて「冬用タイヤ規制」と「チェーン規制」の2種類があります。
冬用タイヤ規制は、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤ、またはタイヤチェーンの装着があれば通行できる規制です。対して、チェーン規制は国土交通省が「大雪特別警報の発表時など、異例の降雪が予想される場合」に限って発動する、より厳しい規制で、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤを装着していても、タイヤチェーンを追加で装着しなければ通行できません。
チェーン規制の対象は、2026年9月時点で全国13区間(高速道路7区間、国道6区間)です。
・高速道路:上信越道(信濃町IC〜新井PA)、中央道(須玉IC〜長坂IC)、中央道(飯田山本IC〜園原IC)、北陸道(丸岡IC〜加賀IC)、北陸道(木之本IC〜今庄IC)、米子道(湯原IC〜江府IC)、浜田道(大朝IC〜旭IC)
・国道:月山道路(山形)、山中湖・須走エリア(山梨・静岡)、大須戸〜上大鳥(新潟)、石川県境〜坂井市(福井)、赤名峠(広島・島根)、鳥坂峠(愛媛)
チェーン規制中に対象区間を通行禁止措置に違反して走行した場合、道路交通法上、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金の対象になり得ます。大雪予報が出たら、事前に対象区間かどうかとチェーンの準備を確認しておきましょう。
スタッドレスタイヤ・オールシーズンタイヤ・チェーン、どう選ぶ?
3つの選択肢は、性能と使い勝手が異なります。JAFが2017年に実施した制動距離テストでは、圧雪路でスタッドレスタイヤが17.3m、オールシーズンタイヤが22.7m、凍結した氷盤路ではスタッドレスタイヤが78.5m、オールシーズンタイヤが101.1mという結果が出ており、凍結路では特に差が大きくなります。
・スタッドレスタイヤ:雪道・凍結路での安定性が最も高く、冬季を通して積雪地域を走るなら基本の選択肢。冬用タイヤ規制区間もチェーンなしで通行できます(チェーン規制時は別途チェーンが必要)。
・オールシーズンタイヤ:夏用タイヤに近い性能を保ちながら、軽い積雪や凍結前の雪道に対応。スノーフレークマーク(3PMSF)付きなら冬用タイヤ規制区間も通行可能ですが、氷盤路の制動性能はスタッドレスタイヤより明確に劣ります。降雪が年に数回程度の地域向けです。
・タイヤチェーン:スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤと併用する滑り止め。大雪時のチェーン規制区間では、他の2つを装着していてもチェーンが必須になるため、積雪地域を走る予定がある人は携行しておくと安心です。
目安としては、5cm以上の積雪日数が年10日を超える地域(北海道・東北・北陸4県・長野・鳥取・島根など)はスタッドレスタイヤ、年1〜数日程度の地域は運転頻度や行き先に応じてスタッドレスタイヤかオールシーズンタイヤ、平年値でほぼ積雪のない地域はノーマルタイヤ+チェーンの携行、という組み合わせが現実的です。
迷ったときの考え方としては、次の3点を基準にするとわかりやすくなります。
・冬季にスキー・スノーボードなど積雪地域へ出かける予定があるか(あるならスタッドレスタイヤ)
・平日も含めて毎日〜週数回運転するか(頻度が高いほどスタッドレスタイヤの優先度が上がる)
・大雪予報が出た日でも車に乗らざるを得ない仕事・家庭の事情があるか(あるなら常備を検討)
逆に、車を使うのが週末や近所への買い物程度で、大雪予報が出た日は車を使わない選択ができるなら、ノーマルタイヤ+チェーンの携行でしのぐという判断もあり得ます。
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おすすめのスタッドレスタイヤも紹介しています
どのスタッドレスタイヤを選べばいいか迷う場合は、サイズ・車種別のおすすめと選び方をまとめたマガジン記事もあわせてご覧ください。
まとめ
スタッドレスタイヤの必要性は、気象庁の平年値でみる「5cm以上の積雪日数」を目安に判断できます。北海道・東北・北陸4県・長野・鳥取・島根は年10日を超える積雪があり必須、関東平野部や近畿・瀬戸内・四国・九州の市街地は平年値で1日未満と、常時のスタッドレスタイヤが必須とまでは言えないエリアです。
ただし平年値はあくまで平均で、数年に一度は普段雪の少ない地域でも大雪に見舞われます。冬用タイヤ規制とチェーン規制は別物で、大雪時はスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンが必要になる区間があることも覚えておいてください。行き先や運転頻度に応じて、スタッドレスタイヤ・オールシーズンタイヤ・チェーンを組み合わせ、早めに準備しておきましょう。
スタッドレスタイヤの必要性に関するFAQ
スタッドレスタイヤが必要かどうかはどう判断すればいいですか?
気象庁の平年値(1991〜2020年平均)で「5cm以上の積雪があった日数」を目安にできます。年10日を超える地域(北海道・東北・北陸4県・長野・鳥取・島根など)は常時のスタッドレスタイヤが前提です。年1日未満の地域は必須とまでは言えませんが、運転頻度や行き先次第では備えておくと安心です。
東京や大阪でもスタッドレスタイヤは必要ですか?
気象庁の平年値では、東京・大阪ともに5cm以上の積雪日数は年1日未満です。常時のスタッドレスタイヤは必須ではありませんが、数年に一度は大雪に見舞われる年があるため、冬にスキー・スノーボードなど積雪地域へ出かける機会が多い人や、大雪予報の日にも運転する可能性がある人は、スタッドレスタイヤかチェーンのどちらかを備えておくのがおすすめです。
冬用タイヤ規制とチェーン規制の違いは何ですか?
冬用タイヤ規制は、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤかチェーンのどちらかがあれば通行できる規制です。チェーン規制は大雪特別警報時など異例の降雪時に限って発動され、スタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを追加装着しなければ対象区間を通行できません。2026年9月時点で全国13区間が対象です。
オールシーズンタイヤでスタッドレスタイヤの代わりになりますか?
軽い積雪程度であれば対応できますが、凍結した路面での制動性能はスタッドレスタイヤより明確に劣ります。JAFの制動距離テストでは、氷盤路でスタッドレスタイヤが78.5m、オールシーズンタイヤが101.1mという結果が出ています。積雪・凍結が多い地域での冬季の常用には、スタッドレスタイヤが基本です。
スタッドレスタイヤはどこで買うのがいいですか?
タイヤ通販の「CARTUNEタイヤ」なら、1本から購入でき、購入したタイヤを取付店へ直送することもできます。サイズや車種別のおすすめは、マガジン記事「スタッドレスタイヤのおすすめ」でも確認できます。
気象庁のデータはどこで確認できますか?
気象庁の公式サイト「過去の気象データ検索」内の「平年値(年・月ごとの値)」ページで、地点ごとの降雪の深さ合計や積雪日数などを確認できます。都道府県庁所在地だけでなく、近隣のアメダス観測地点のデータも見られるため、実際に運転するエリアに近い地点で確認するとより実態に近い数値がわかります。


