『トヨタ環境チャレンジ2050』とは
2015年10月14日トヨタ自動車は「環境フォーラム2015」を開催し、2050年に向けた環境への取り組みをまとめた『トヨタ環境チャレンジ2050』を発表ししました。
この『トヨタ環境チャレンジ2050』には新車走行時の二酸化炭素(CO2)排出量を2010年比で90%削減、また工場でのCO2排出量ゼロを目指すことなどを盛り込んでいます。
2050年エンジン車は生き残れない
具体的なモデルミックスの比率は示していないが、2050年時点では同社が次世代環境車の主力と見ているFCV(燃料電池車)をはじめ、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)の電動車両でほとんどの販売を占める姿を示した。
ガソリンやディーゼルのエンジンだけの車は、限りなくゼロに近く記者会見した伊勢清貴専務役員は「地域の事情で現実としてエンジン車は少し残るが、(主力としては)生き残れない。自動車業界には大きな天変地異になる」と指摘しました。
燃料電池車コンセプトカー「FCVプラス」
一方、FCVについては2020年以降には現状の10倍に相当する年間3万台以上の販売を目指す方針も示した。伊勢専務は「われわれの意志表示であり、(FCV普及への)熱を冷ましたくない」と語っています。
工場でのCO2削減
トヨタの牟田弘文専務役員は工場でのCO2排出ゼロに向け「今後生産台数の増加、次世代車技術の増加により成り行きの生産CO2排出量は増えていく見込み。まずこれを低CO2生産技術の開発・導入と日常の『カイゼン』によって大きく引下げ、残った分を再生可能エネルギーと水素を利用することにより、2050年までに工場CO2ゼロにしていく」と表明しました。
工場のCO2削減に関してトヨタの牟田専務は、工場のカイゼンによるCO2の引き下げや、再生可能エネルギーの活用、水素エネルギーの利用などにより、CO2排出量を2001年比で2020年で約半分、2030年では3分の1に削減すると発表しています。
トヨタの牟田弘文専務役員は同日行われた都内での講演で、「今後生産台数の増加、次世代車技術の増加により成り行きの生産CO2排出量は増えていく見込み。まずこれを低CO2生産技術の開発・導入と日常の『カイゼン』によって大きく引下げ、残った分を再生可能エネルギーと水素を利用することにより、2050年までに工場CO2ゼロにしていく」と表明した。
低CO2生産技術について牟田専務は「工程を徹底的に短縮する、動くものを最少にする、動くものは省エネを図るといった生産設備のシンプル・スリム化に取り組む。さらに各設備で使用するエネルギーを積極的に回収し再利用することなどエネルギー利用効率を向上させていく」とした。
その一例として「鋳造工程では高温でアルミなどの金属を型に流し込み、部品をつくっていくが、溶けた金属を入れておく設備をコンパクト化する技術を確立し、設備の容積で半減し、CO2を30%削減する。さらに従来、有機材料を使用して高温で砂型を固めていたものを、無機材料を使用し低温で砂型を造る技術を確立することなどでトータルでCO2を40%削減するめどがついた」と説明。
一方、再生可能エネルギーと水素利用に関しては「再生可能エネルギーの先頭工程として国内工場では2020年をめどに風力発電を導入し、FCV(燃料電池車)生産ラインでのCO2ゼロ化を目指す」ことを明らかにした。
また「工場での水素活用については2020年にはFCV生産ラインで水素活用技術の実証をスタートさせるべく技術開発に現在取り組んでいる。具体的には水素を熱源として利用するための燃焼技術や、燃料電池技術ノウハウを生かした水素による発電技術」とした。
その上で「まずは工場エネルギーの使用量を徹底的に減らし、2020年には2001年比で約半分、2030年には約3分の1まで削減を目指す。残ったものを再生可能エネルギーやCO2フリーの水素を使いながら50年にゼロにする」と牟田専務は述べ、2050年の工場CO2ゼロに向けた工程表を示した。
トヨタ環境活動助成プログラム
トヨタ自動車は「トヨタ環境チャレンジ2050」の一環として持続可能な発展のための環境改善や保全に向けた活動を助成する「トヨタ環境活動助成プログラム」を行っています。
同プログラムは、トヨタが1999年に国連環境計画から「グローバル500賞」を受賞したことを記念し開始したもので、「環境改善に資する環境技術・環境人づくり」を基本テーマとして、実践的なプロジェクトを推進するNPOなど民間非営利団体・グループの活動を支援しています。
2016年度は助成対象として28件のプロジェクトを決定しており、2000年のプログラム開始以来17年間の累計は332件、世界の53の国・地域での実施となります。
海外プロジェクト支援枠は「モザンビーク共和国における持続的な森林資源利用と人材育成」など10件、国内プロジェクト支援枠は「外来生物アライグマの基礎研究と対策のための啓蒙活動 phase2」など9件、新規国内プロジェクト支援枠は「トンボの宝庫を守れ!!ラムサール条約湿地伊豆沼・内沼を舞うトンボ保全プロジェクト」など7件が助成対象となりました。