大型免許とは
大型免許とは、バスやトラックを運転するのに必要な免許です。運送業界ではドライバーの高齢化、インターネット通販の物流増に伴う仕事量の増加により、中型免許以上を持つ若手人材への需要が高まっています。
本記事では、大型免許の取得を考えている方にとって必要な基礎知識をご紹介します。
■大型免許で乗れる車は?
大型免許で運転が可能になる、大型自動車の車両総重量、最大積載量、乗員定員は下記の表の通りです。
自動車の種類 | 免許の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗員定員 | 大型自動車 | 大型免許 | 11.0トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
普通免許にも一種免許と二種免許があるように、大型免許にも一種免許と二種免許が存在します。
一種免許は通常の利用(もっと説明が必要)で二種免許は乗客(旅客)を運ぶ目的で自動車を運転する時に必要となります。
例えば大型二種免許の対象となるのは、大型バスなどが挙げられます。大型一種免許と大型二種免許は学科試験の内容や取得の難易度も異なるため、本記事では一種免許と二種免許を分けてご紹介します。
大型免許の受験資格
大型免許を取得するには下記のような条件を満たしている必要があります。下記の条件をすべて満たしていない場合は、大型免許を取得することができません。下記の受験資格は、大型免許一種・大型免許二種ともに同じ受験資格となります。
免許種類 | 年齢 | 運転経歴 | 聴力 | 視力 |
---|---|---|---|---|
大型免許 | 21歳以上 | 普通、中型、準中型、大型特殊免許を取得していずれかの運転経歴が通算して3年以上あること | 両眼で0.8以上、かつ片眼で0.5以上、深視力検査での3回検査した誤差が2cm以下(コンタクト・眼鏡使用可) | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可) |
年齢:21歳以上であること
年齢が21歳以上でなければ大型免許を取得することができません。
運転経歴:大型免許以外の免許の取得期間が通算3年以上あること
普通、準中型、中型、大型特殊免許のいずれかの免許を持ち、免許停止期間を除いて通算3年以上でないと大型免許を取得することができません。
聴力:10mの距離で90デシベル以上の音が聞こえること
普通免許などと同じく聴力も10mの距離で90デシベルの警報機の音が聞こえなければ、大型免許を取得することができません。
視力:両眼0.8以上、かつ片眼で0.5以上であること
三桿法(さんかんほう)と呼ばれる深視力検査での検査で、3回検査した誤差が2cm以下(メガネ・コンタクトレンズ使用可能)でなければ、大型免許の取得をすることができません。
大型免許の取得方法
大型免許の取得方法には2種類あり、
1. 指定教習所に通学または合宿して仮免許試験に合格し、運転免許試験場で本試験に合格する
2. 仮免許試験も本試験も運転免許試験場で合格する、いわゆる一発試験
の2つがあります。
こちらでは、教習所に通う場合と一発試験を受ける場合の両方について大まかな流れをご紹介します。
■一発試験を受ける場合
《運転免許センター》
1. 適正検査
2.場内試験(仮免許取得)
3.路上教習
4.本試験
5.取得時講習
6.免許交付
一発試験は、教習所と比較して格安ですが、そもそも超大型車両を練習のために確保することが困難なことから、教習所に行くのが無難と言えるかもしれません。
■教習所に通学、合宿に参加する場合
《教習所に通学、合宿に参加する》
1. 適正検査
2.第1段階の技能講習(仮免許取得)
3.第2段階の技能講習(路上教習)
↓
《運転免許センター》
4.本試験
5.取得時講習
6.免許交付
教習所であれば、大型車の用意もあるため安心して路上練習なども受けることができますね。
■2007年以降は試験車両が大型化、難易度増!
ちなみに2007年6月以降道路交通法改正によって、大型免許の試験に使用される試験車両が大型化し、仮免試験の内容も追加、路上試験が追加されました。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
試験車両 | 全長7m | 全長12m |
試験形式 | 構内試験のみ | 構内試験+路上試験 |
仮免試験の内容 | 通常走行、S字、クランク、坂道、踏切 | 通常走行、S字、クランク、坂道、踏切、路端発進、隘路 |
特に、狭い道に90度の方向を変えて停車する隘路(あいろ)や、30cm未満の路端から前方の障害物を回避して発進する路端発進は、教習所のコースを変更・増設する必要が生じたこともあり、大型免許を取り扱う教習所は現象したと言われています。
大型免許取得にかかる費用相場 教習所と一発試験の違い
大型免許取得には
1. 教習所に通学・合宿した後、本試験に合格する
2. 一発で本試験に合格する
の2種類の方法があることをご紹介しました。
下記では教習所に通学した場合、合宿をした場合、一発試験を受けた場合の費用相場をご紹介します。
■【大型免許取得講習にかかる費用相場】教習所
教習所に通った場合の費用相場は下記の通りです。
所持免許 | 費用相場 |
---|---|
普通MT免許 | 35万円前後 |
準中型(5t)限定MT免許 | 30万円前後 |
中型(8t)限定MT免許 | 24万円前後 |
中型MT免許 | 18万円前後 |
持っている免許がAT限定の場合は?
お持ちの免許がAT限定(オートマティック車限定)免許の場合は、まずAT限定をMT(マニュアル車)も運転できるように「限定解除」という教習を受ける必要があります。限定解除については記事の最後にてご紹介しています。
■【大型免許取得にかかる費用】一発試験
運転免許センターで一発試験を受ける場合は、下記に記載した仮免許試験と路上試験の試験費用が必要です。例として、東京都の一発試験の試験費用は下記の通りです。
試験内容 | 費用 |
---|---|
構内試験(仮免許試験) | 5,500円 |
路上試験(本試験) | 8,650円 |
各費用には、受験料、試験車使用料、免許交付料が含まれています。なお試験に不合格になった場合には、その都度受験料と試験車使用料がかかるためご注意ください。
■大型免許交付にかかる費用
大型免許の本試験に合格すると、大型免許が交付されます。また、大型免許の交付を受ける前には必ず取得時講習に登録する必要があります。
試験内容 | 費用 |
---|---|
取得時講習 | 22,000円 |
■大型免許は「教育訓練給付制度」で20%(最大10万円)が戻ってくる
大型免許の補助金には国の給付制度、「教育訓練給付制度」の一般教育訓練給付金を利用することができます。
下記の条件を満たした場合、教習費の最大20%(上限10万円)が教習の修了後にハローワーク(公安職業安定所)から支給される制度です。
例えば、中型免許を所持している方が大型免許を取得する際の教習費用は18万円ほどのため、20%の給付(3.6万円)を受ければ実質14万4千円前後の費用で教習を受けることが可能です。
大型免許の教習費用の20%(最大10万円)が戻ってくる対象
(在職中の方)
・現在在職中で、被保険者として雇用された期間が3年以上(初めて制度を利用する方は1年以上)ある
(失業中の方)
・大型免許教習の開始日が離職した翌日以降〜1年以内であり、被保険者として雇用された期間)が1~3年以上ある
(過去に教育訓練給付金を受けたことがある方)
・前回の給付から3年以上経過していること。
上記のように教育訓練給付金を利用するのは初めての方は、会社で1年以上働いていれば良いため非常に利用しやすい制度と言えるのではないでしょうか?
教育訓練給付制度の詳細については下記をご覧ください。
大型免許取得にかかる時間
運転技能講習は学科科目と実技科目に分かれており、所持免許によって最低時限数が決まっています。
所持免許 | 技能講習時限 | 学科講習時限 |
---|---|---|
普通MT免許 | 30時限 | 1時限 |
準中型(5t)限定MT免許 | 26時限 | 1時限 |
中型(8t)限定MT免許 | 20時限 | 0時限 |
中型MT免許 | 14時限 | 0時限 |
持っている免許がAT限定の場合は?
お持ちの免許がAT限定(オートマティック車限定)免許の場合は、さきほどご紹介した「限定解除」の分だけ上記の時間に講習時間が追加されます。
【大型免許の必要書類と申込み方法】
■【大型免許の必要書類と申込み方法】教習所
教習所の申し込み必要書類
教習所の申し込み方法や必要書類のは、教習所によって異なりますが、一般的には下記の書類が必要です。
■住民票、免許証、本人確認書類、証明写真、認印、免許証条件欄に眼鏡等の記載がある場合はメガネ、コンタクト
本試験の必要書類
指定教習所でを修了した方は、運転免許試験場にて本試験を受けます。例として、東京都の大型免許試験の受験日、受付時間、必要書類は下記の通りです。
■受験日 平日のみ(休日、祝日、年末年始を除く)
■受付時間 午前8:30〜午後16:30まで(正午から午後1時までを除く)
■必要書類 運転免許証、申請用写真、指定教習所の卒業証明書、又は検査合格証明書
■【大型免許の必要書類と申込み方法】一発試験
運転免許試験場での一発試験の申し込みは、住所地の運転免許試験上で行います。
仮免許試験の必要書類と申込み方法
運転免許試験場で仮免許試験を受ける方は、運転免許試験場にて本試験を受けます。例として、東京都の大型免許試験の受験日、受付時間、必要書類は下記の通りです。
■受験日 平日のみ(休日、祝日、年末年始を除く)
■適正試験受付時間 午前8:30〜午後16:00まで
■技能試験受付時間 午前8:30〜午後16:00まで(正午から午後1時までを除く)
※技能試験は予約が必須です、また適正試験受験当日に技能試験は受験できません。
■必要書類 運転免許証、申請用写真