そもそも【交通事故証明書】とは?
事故が起きてしまったとき、どんな手続きをして、どのような書類が必要なのかは意外と知らないものです。
ましてや、1人が交通事故を頻度高く起こすことはあまりないので、これまで経験したことがない手続き等をする方がほとんどだと思います。
まず、交通事故が起きてしまった場合、保険に加入している方なら『保険会社に保険金を支払ってもらわなくては!』と考えますよね。
しかし、実際のところ保険会社に『事故が起きました!』と報告するだけでは保険金を全額支払ってもらえるわけでありません。
保険金をしっかりともらうためにも、事故が起きたことを証明するための資料などを提出することが必要になります。
また、交通事故の被害者になった場合、慰謝料や損害賠償請求をするうえで多くの書類をそろえる必要があります。
それが、“交通事故証明書”です。
とても重要な書類になるので、発行や申請方法などをしっかりと理解することがスムーズに事故処理をするために大切になります。
この「交通事故証明書」とは、交通事故が起きたという事実を証明する公的な書類です。
保険会社へ損害賠償請求をする際には、この交通事故証明書の提出が義務付けられています。
提出しなければ損害賠償の請求が出来ないほどの重要な書類です。
交通事故証明書には、下記のようなことが記載されています。
・事故の発生日時
・事故の発生場所
・被害者/加害者の氏名・生年月日・住所・生年月日・年齢
・簡潔な事故のパターン(正面衝突・転倒など)
・事故時の状態
自動車保険のために、事故証明書を使う場合は保険会社が変わりに申請してくれます。
しかし、自動車保険に関係のない事故の場合(労災など)は、自分で申請する必要があります。
また、事故によっては保険を使うか分からない場合などでも、後から必要になる場合もあります。
そのようなときも、自分自身で交通事故証明書を申請します。
交通事故は必ず届け出・発行が必要!
どんなに小さな事故であっても、その場でお金を渡されて示談で済ませるようなことは、絶対にしてはいけません。
交通事故を警察に届けを出すのは加害者側の義務となっており、道路交通法第72条第1項に規定されているものです。
つまり、法律で決まっているためこの義務に違反すると罰則を受けることになります。
第72条第1項は前段と後段に分けることができ、前段が“加害者の緊急措置義務”で
後段が“警察への報告義務”になります。
まず、前段の条文がこちらです。
『交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない』
上記に違反するとひき逃げ犯になってしまうということです。
後段の条文はこちら。
『この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない』
事故を起こして警察への報告義務を怠った場合には、
“3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金”の罰則を受けます。
また、物損や人身に関わらず届け出が必要になります。
交通事故を起こした場合の責任をまとめると3つになります。
1. 刑事
事故の程度や状況によって、業務上過失致死罪や危険致死罪などで起訴される可能性があります。交通違反があれば道交法違反として罰金や反則金が科せられることがあります。
2. 民事
加害者は被害者対して、損害に応じた賠償金を支払わなくてはいけません。
交通事故の本人だけでなく自動車の所有者も責任を負うことになります。
3. 行政上
運転免許の停止処分や免許取り消し処分など、事故の加害者が運送業などの場合は、道路交通法違反の点数により免許停止や免許取り消しなどになるため、加害者側からお願いされて警察に届け出を出さないことも珍しくありません。
もし、その場で警察への届け出をしなかった場合でも後日、当事者同士で届けを出せば受付をしてくれる場合もありますが事故から日数が経ってしまうと、対応してくれない場合もあります。
また、警察への届け出をしていないと後日、事故の影響で体調不良を起こしても、事故が記録として残っていないため保険金の請求をすることができません。
加害者の連絡先を聞いたとしても、治療費や賠償金を受け取ることは難しいでしょう。
後先のことを考えても、少額のお金をもらってその場で示談にしたりすることは絶対にしないようにしましょう。
交通事故証明書の発行・申請方法
事故証明書の申請は、自動車安全運転センターや、最寄りの警察署から交通事故証明書交付申請書を記入して申請することができます。
交通事故証明書の発行は、被害者や加害者、被害者遺族など事故の当事者、または“正当な利益のある人”が請求することが出来ます。
最後の正当な利益のある人とは、損害賠償請求権のある親族や保険金の受取人などが含まれています。
示談交渉を担当する弁護士も申請することが可能です。
本人以外の代理人が交通事故証明書の発行をする場合は、代理人による申請手続きが必要になります。
この場合は、代理人が委任を受けたことを明かす書類(委任状等)を持ち
自動車安全運転センターの窓口にて申し込みをすればOKです。
交通事故証明書を発行する場合の方法は下記の3つとなっています。
■自動車安全運転センターで発行・申請する
自動車安全運転センター事務所の窓口で、申請用紙に必要事項を記入し、手数料を添えて申し込みをします。
この際の申込用紙は警察署などで入手する用紙とは異なるため、必ず自動車安全運転センターの窓口で入手した用紙を使用しましょう。
警察署から申請したい交通事故の資料が自動車安全運転センターに届いていれば、交通事故証明書を即日発行してもらうことが可能です。
交通事故の資料がまだ届いていない場合は、後日、申請者の住所か希望の宛先に郵送されます。
他都道府県で起きた事故でも最寄りの安全運転センターで申請することができます。
■警察署・交番などで書類をもらい発行する
交通事故証明書は、事故が起きた際に警察によって事故現場の確認が行われ、その情報が自動車安全運転センターに提供されることで、初めて交通事故証明書を発行することができます。
そのため、警察に事故の届け出を出さなければ、交通事故証明書の発行をすることはできなくなります。
事故を起こしたら警察に報告や届け出を出すのが法律で義務づけられています。
「怪我もしてないし、警察に届けるのも面倒だからいいや」
「相手に示談にしてくれって頼まれたから・・」
など、どんな理由があったにせよ、警察に届けを出さないと、事故証明書を発行できなくなるだけでなく罰則を科せられることもありえます。
事故の大きさや自損などにも関わらず、交通事故を起こしたら必ず警察に連絡するようにしましょう。
■インターネットで発行・申請する
窓口に行く時間がないという方は、インターネットでも申請することが可能です。
申請方法は自動車安全運転センターのウェブサイトから、警察への届け出はされているか?などの必要事項を入力して申請を行います。
申請後7日以内に郵便局かコンビニで交付手数料の540円、振込手数料130円を支払います。
インターネット申請の場合は「交通事故の当事者」かつ「事故当時の住所と同じ住所に住んでいる人」しか申請することができないので注意して下さい。
交通事故証明書は後日でも発行が可能!
事故証明書の発行は、自動車安全運転センターが発行しますが、事故からおよそ1週間程度で警察から事故に関する書類や情報が自動車安全運転センターに届くので、それ以降であればいつでも交通事故証明書を発行・取得することが可能です。
ただし、交通事故証明書の申請には期限があるので原則して下記の日数が経過すると
交通事故証明書を発行してもらうことができません。
人身事故:事故発生日から5年
物損事故:事故発生日から3年
■後日届けてでに必要な情報は?
通事故証明書を後日届け出に必要な情報は
事故を起こした相手の連絡先
住所
氏名
上記の情報が必要になります。
警察が交通事故があった事実を証明する書面が交通事故証明書ですが、交通事故で保険金を受け取る際には警察へと届け出は必須になります。
事故が起きたら必ず警察に届けてください。
事故証明書の記載内容は下記になります。
交通事故の発生日時
発生場所
事故当事者の住所・氏名
相手方の自賠責保険会社・証明書番号
交通事故証明書はあくまでも事故があった事実のみが記載されているので
事故原因・過失割合・損害の程度などは記載されていません。
まとめ
交通事故は、何度も起こしてしまう方はごく稀なので、どのような申請が必要なのか、分からない方がほとんどです。
しかし、『事故が起きたら必ず警察へ連絡をする』を頭にいれていけば、後の手続きは警察と保険会社が行ってくれるので難しい手続きは一切ありません。
事故で気が動転してしまい警察への届け出を怠ることは絶対にしないこと
相手が示談にしてくれと頼まれても応じないこと
この2点を注意すれば、事故処理をスムーズに行うことができます。