大型トラックドライバーの求人が増加している?
近年、大型トラックの運転手・ドライバーが不足し、それに伴い大型トラックドライバーの求人情報などが増加しています。
まず始めに、大型トラックドライバーの仕事の内容はどんなものなのか、そして求人が増加している理由と、平均年収・給料(収入)はどのくらいなのかという点から説明させて頂きます。
■そもそも大型トラックドライバーとはどんな仕事?
結論からいうと、大型トラックドライバーは依頼を受けた指定の荷物を、荷揚げ場所から荷卸し場所まで配送する仕事です。基本的に、長距離を走ることが多いため、睡眠をとりたい場合にはトラックですることも多くあります。
待遇は一般的な水準が定まっておらず、運送業者や荷主により差があります。
稼ぐ人は、月収50万円を越える人も珍しくはないので、夢がある仕事といえるのではないでしょうか。
一言で「大型トラック」といっても大型トラックにも種類・タイプが多く存在しており、下記に記すよう様々です。トラックの種類によって職種等も変わりますので参考にして下さい。
バン・ウイングボディ
荷台がアルミ製の箱型のトラックをバンボディ。荷物の積卸をしやすくするため、バンボディの両側が開くトラックをウィングボディと称します。
大型バン・ウイングの仕事は中~長距離便が主で、一週間以上かけて走ることも中にはあります。
大型トラックの部品便の場合、中距離便が多く(県内の端程度)大手部品メーカーの子会社化されている運送業者もあります。大手部品メーカーが親会社である場合、クリーンな環境で安定して働くことが可能です。
しかし、初心者が大型トラックの部品便の運転を行うのは難しいとされています。(前二軸というシャッシーを使用することが多く、小回りが利かないため)
雑貨便の場合は、仕事内容が中型トラックとほとんど変わらず、中型トラックで仕事をする際よりも給料が高くなる傾向があります。
平ボディ
荷台がフラット型の汎用的なトラックは平ボディと呼ばれます。
平ボディは、づくりが非常に丈夫なため、鉄鋼業の専属便となる場合が多くあり、基本的に製造工場間での配送がメインとなっています。しかし仕事は単調なものではなく、鉄骨の積み方はコツ(積む技術)が必要になります。
これから平ボディは、都市開発などの建設で多く活躍することが見込まれ、給料が高くなることもあるでしょう。そのため、他ボディの大型トラックより稼げる大型トラックといえます。
タンクローリー
液体を運ぶトラックは総称してタンクローリーと呼ばれます。
タンクローリーの仕事は、化学薬品の配送・牛乳の配送・燃料の輸送などさまざまありますが、共通していえることは「液体」を運ぶことを専門にした仕事ということです。
燃料の輸送の場合、ビニールハウスの暖房設備や建設現場の重機に補充していくのですが、牛乳などの液体においては製造工業から加工工場の往復が主になります。
キャリアカー
キャリアカーは大型トラックの中でも特徴的といえ、日本のクルマ社会にはかかせない存在といえます。
主に、大型キャリアカーでの仕事は港から自動車を積み込んで、自動車ディーラーに納車することです。(中古車オークションの会場から輸送する場合もある)そのため、色々な自動車を間近で見ることができるので、クルマ好きにはたまらない仕事といえるのではないでしょうか。
キャリアカーの仕事は、大型自動車メーカーの子会社化されている輸送業者も多くあり、休日面や給料面での待遇は比較的良い場合があります。
■女性の大型トラックドライバー「トラガール」が増えている?
大型トラックドライバーと聞くと、男性が働いているイメージがある人が多くいるのではないでしょうか。しかし、ここ最近では女性の大型トラックドライバーが下記の要因で増えてきています。
ECサイトの普及
女性の大型トラックドライバーが増えている大きなポイントはインターネットの普及といわれています。本や洋服などの注文が増え少量の配送が多くなったことで、女性ドライバーでも運搬が可能な小型荷物の運搬が増加しました。
また、一人暮らしの女性がランジェリーなどを注文する場合、女性に配達して欲しいとリクエストが多くなったのも女性大型ドライバーが増えた理由です。
トラガール促進プロジェクトの始動
トラガール促進プロジェクトとは、平成26(2014)年に女性の大型トラックドライバーがいないことや人材不足から国土交通省が始動させたプロジェクトです。
同年、国交省による公式サイトでPRがスタートし2020年までには、女性ドライバーを4万人まで増やしていく計画となります。(プロジェクト発表前は、トラガールの人数は2万人)
これは、国を挙げて女性ドライバーを増やすプロジェクトで、今後ますます女性ドライバーが増えていくことでしょう。
■大型トラックドライバーが不足=求人が増えている|その理由は?
女性ドライバーが増えている理由にもなっているECサイトの普及ですが、一方では配達量(配達需要)が増加したことによって、全体的なドライバー不足となっています。
国土交通省によると、配達便の取り扱い数はECサイトの拡大に伴って、2010年~2015年の間よりも、5.3億個も増加していると発表されました。
人手が追い付かなくなるほど宅配荷物が増えてしまった今、トラック運転手の不足は今までないほど深刻な問題となっているのです。
このような仕事が増えている現状とともに、トラック運転手の高齢化も人手不足の大きな要因で、総務省の労働力調査によると、60代のドライバーはトラック運転手全体の15%を占めています。
このようなトラックドライバーの人材不足を解消するため、国を挙げて施策が進んでいます。
平成27年には、厚生労働省と国土交通省が連携し、魅力のある職場づくりと人材確保・育成をすすめていくと発表されました。
公表された「トラックドライバーの人材確保・育成に向けて」の主なポイントは下記となっています。
「魅力ある職場づくり」・「人材確保・人材育成」の2つの視点
トラックドライバーの現状を踏まえ、2つの視点で両省が連携する対策を取りまとめ。
[1] 「魅力ある職場づくり」
トラックドライバーの処遇を改善し、安心して働けるための環境整備
・ 取引環境・長時間労働・賃金などの労働条件の改善
・ 雇用管理の知識習得・実践の推進
・ 雇用管理に資する助成制度の活用促進
・ 現場の安全管理の徹底
[2] 「人材確保・育成」
トラック運送業界への入職を促すため、トラック運送業の魅力の向上や人材育成などに向けたきめ細かな直接的な取組を実施
・ トラック運送業への入職促進
・ 女性の活躍促進
・ 関係団体などとの連携による人材育成・定着支援の推進
・ 事業主などによる人材育成の推進
長時間労働の改善や賃金の向上、職場の安全管理の徹底が「魅力ある職場づくり」には大切で、トラック業界への入職の促進や女性ドライバーの促進が含まれています。
■大型トラックドライバーの平均年収(給料)は?稼げるってホント?
中型・小型トラックの平均年収は300万円台なのですが、大型トラックドライバーの平均年収は350万円~400円前後とされ、仕事内容によって年収が上下に100万円を軽く変動します。
大型トラックドライバーの場合、大きな会社(従業員1000人以上)でも、中堅企業(100人~999人)でも年収に大差はないのですが、企業規模100人未満の会社の場合は中堅企業よりも年収が少なくなるようです。
参考に近畿地区の求人を見ると、大型トラックで近畿・東海・中四国エリアへの近・中距離輸送の仕事を募集しています。取り扱う積荷は、紙製品や一般雑貨などフォークリフトでの積み込みがメインで、力仕事を想像している人にとっては気軽に始められるお仕事といえるでしょう。
大型トラックドライバーは、夜間の長距離輸送で稼ぐという道もあるのですが、家族を持ったり年齢を重ねたりすると、仕事への価値も変化していきますので、働きやすさを考えるのであれば、このような大型トラックでの近・中距離輸送のお仕事も良いといえるのではないでしょうか。
こちらの平均月収は37万円となっており、年収で考えると444万円程度、別途で支給される手当(無事故手当、家族手当、時間外手当、水揚手当)もありますので、朝出勤してその日の夕方に帰社ができる「仕事とプライベートのバランス」を重視した働き方が可能なお仕事といえるでしょう。
大型トラックドライバーの仕事は、その他のトラックドライバーよりも平均年収で約50万円~170万円ほど高くなっています。そのため、トラックドライバーとして稼いでいきたいと考えているのであれば、おすすめすることができる職種です。
大型トラックドライバーは、小型・普通トラックと比較して月の労働時間が長くなっています。
それは、長距離配送が多くあり、配送まで2~3日かかる案件に携わることが理由です。また、歩合制の会社であれば、配送距離や配送量に応じて歩合が支給されるため、多く給料を得られるというメリットがあるといえるでしょう。
大型トラックドライバーの過酷な労働環境とは…?
近年、運輸産業の長時間労働が「政府の働き方改革推進」により注目を集めています。
厚生労働省がまとめている労災補償の支払い状況に「脳・心臓疾病の請求・支払い決定件数」があるのですが、自動車運転従事者の労災補償の多さは圧倒的に多く(全体の3割を占めるほど)過労死など健康に大きな影響を与えるといわれています。
このような背景には、トラック輸送事業の「年間総実労働時間2443時間」が深く関わっています。(全産業平均は2026時間)これは、発注者である荷主の物流に対する要請が年々厳しくなっているためで、とくに大型トラックドライバーの過酷な労働実態として現れていると言えます。
そこで2018(平成30)年11月6日、トラックドライバーの長時間労働改善に向けて、国土交通省はガイドラインをまとめ発表しました。
ガイドラインでは、2年間のパイロット事業で得た具体的な事例を交え、長時間労働の知見・業務内容の見直し・応分の費用負担、成果を測定するための指標の設定など紹介しています。
大型トラックドライバーに興味のある方は、これらの基準を参考にしつつ、具体的な労働環境を調べてみてはいかがでしょうか。
大型トラックの免許取得方法は?
もし中型免許まで持取得しているのであれば、直接試験場に行き1発合格を目指す方法もあるのですが、教習所に行くことをおすすめします。
なぜなら、教習所で使われる車両サイズが改定後、本当の10トン車になったからです。いきなり10トンの巨大マシンを操縦することに自信がないのであれば、教習所に通って慣れた方がいいでしょう。
普通免許しか取得してない場合は、実技で30時間、学科に1時間必要です。
中型免許を取得している場合は、学科なしの実技20時間となります。
取得までの期間としては、働きながらの免許取得して間得た場合、1時間の教習でも大変なので免許取得まで、約2ヵ月半かかると考えた方がいいでしょう。
大型免許の教習所所要日数と費用の目安については下記となりますので参考にしてください。
・中型免許(MT車):教習所最短日数10日、免許取得費用20~25万円
(2007年法改正以前取得の普通免許)
・普通免許(MT車):教習所最短日数13日、免許取得費用30~35万円
・中型免許:教習所最短日数7日、免許取得費用18~23万円
大型免許合宿の場合だと、一概に費用の目安を紹介しにくいのですが(地域差や教習所の差があるため)最も安いところでは上記と同じような金額で合宿ができるところが幾つかあるようです。
必要な費用で入学金は余裕をもって考え、仮免・卒検にかかる費用があることも注意しましょう。しかし、一生モノの免許ですので本気で大型トラックドライバーになれば、数か月で元はとれるといえます。
個人で大型車を持つ場合の費用は?中古で買うべき?
結論からいうと、会社の物ではなく自家用トラックを購入することはメリットが少ないといえます。もともと、自家用トラックを使用して(運賃をとって)他人の荷物を運ぶ配送業務は法律違反であり、高額な罰金が科せられるケースがあります。
しかし、運搬会社の荷物を「お客様の荷物」としてではなく「運送会社の所有物」として取り扱う形式にすれば、「給料」として収入を得る形にすることができます。つまり、自家用トラックを使用して運搬を行っても違法にはなりませんので、運搬を行うことはできます。
とはいっても、ドライバーにとって煩わしいことも多くありますので、自家用トラックがどうしても欲しいと考えている方以外はおすすめすることはできません。
マイトラックがどうしても欲しいという方は、下記のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
・メリット
トラックを購入した場合の1番のメリットは自分の所有物になるということです。そのため、トラックを売却することも自由にできますし、自分でカスタムすることも可能で、居心地の良い車内空間にすることができるというのは魅力的といえます。
・デメリット
デメリットとしては、トラックを新車で購入すると、家が建てられるほどの費用がかかることです。また、ローンを組むと利息が上乗せさせられ、さらに高額になりますし、そもそもローンを取り扱っていないところもあるようです。(事業者の購入が主で、銀行などで融資を利用するため)
上記の理由から、トラックを購入するのであれば中古がおすすめです。中古の大型トラック(10t)の場合だと、300万円程度で手に入れられる価格のため、元の値段を考えるとお得感「リーズナブルである」といえるのではないでしょうか。
■東日本大震災の復興支援で活躍した「73式大型トラック」とは?価格は1千100万円?
大型トラックといえば、この「73式」大型トラックこと「3トン半」を語らなくていけないでしょう。
この名前は知らなくても、東日本大震災の復興支援で多く活躍した73式の姿を見たことがある人は多くいるのではないでしょうか。
73式という名前の通り、初代のモデルは40年前に登場し、改良を重ねて現在では8代目のモデルになります。特徴としては、民間向けのトラックとは比べ物にならないほど、悪路走行で優れている点です。
3トン半とは、悪路走行時においての標準積載量のことで、一般道を走行する場合(平地など)の積載量は6トンとなります。
驚くべきは3トン半の価格は1千100万円を切る価格ということではないでしょうか。同クラスの民生用トラックの場合、プラス300万円ほどするのですが、それに比べると安いと言えます。
73式は、そもそも自衛隊向けの車両で、大量に製造されるわけでもなく、売り上げは全体の0.8%程度です。また、日本の天候・路面に合わせての開発などの他、武装輸出の制限があるため海外に販売することもできないのにも関わらず、製造され続けているのは、メーカーである、いすゞ自動車の「運ぶ」ことを支えるという理念が、「自衛隊の運ぶを支え続けるため」だからです。
3トン半は東日本大震災で、その性能を生かしと復興支援を行ってきました。いすゞ自動車は、被災地で活躍する3トン半のために支援体制(部品の確保など)を最優先で行う活動を続けている点は、日本の誇りといえます。
このように、大型トラックを運転・操縦する仕事は、目立つものではないのですが、トラックドライバーなしでは私たちの生活は成り立たないといっても過言ではありません。
社会をしっかりと支え「充実感を味わえ魅力があるトラックドライバー」という仕事は、日本の物流を支えるためには、不可欠なやりがいのある仕事といえるでしょう。
まとめ
大型トラックの求人増加の問題や労働問題、免許の取得方法、大型トラックの購入費用についてまとめて掲載させて頂きました。
ちなみに、大型免許の取得に関して大抵の運送会社では、取得費用をフォローしてくれるシステムがあることがあるようなので、利用するのも手です。
現在、大型トラックドライバーは人手不足ですので、上記で説明した求人・労働問題を参考に、取得方法や購入を検討する参考になれば幸いです。