フィルムアンテナとは?
フィルムアンテナとは自動車のフロントガラスやリアガラスに貼りつける形式のアンテナのことです。
製品の形状はとても薄く、フィルムのように貼りつけるためフィルムアンテナと名付けられています。10cmほどの大きさで、車内の所定の位置に設置して電波を受信します。
昔の車ではフロントガラスとリヤガラスに貼る場合もありましたが、現在はほとんどの場合フロントガラスのみに貼りつけます。その理由は、フロントガラスだけに貼りつけた方が作業の手間を簡略化できるためです。
なお、フロントガラス以外のガラスに貼っても問題ない場合もありますが、受信状況が悪くなることも考えられるため所定の位置に貼りましょう。
フィルムアンテナは必ずしも必要な装備というわけではなく、車最初から据えつけられているアンテナで電波を問題なく拾えるなら、設置する必要はありません。初期装備のアンテナでは受信状況が悪い時にフィルムアンテナを使いましょう。
あるいは、車内テレビで複数のチャンネルを視聴したい時にはフィルムアンテナを導入する必要があります。元からあるアンテナではワンセグだけの視聴形式になってしまう場合がありますが、その時にはフルセグ対応のフィルムアンテナを設置すれば、フルセグで視聴できるようになります。
フィルムアンテナの取付、貼り方は?
フィルムアンテナの取りつけ方法には特に工具はいりません。少々の時間があれば、少しの手間で貼りつけられます。
まず、最初に貼る位置をだいたい決めましょう。貼る位置を決める時には、テープを仮に貼りつけるなどして目印をつけると楽です。フィルムアンテナ付属の説明書では貼る位置が書いてあり、大体の場合はフロントガラス上部です。説明書を読んでから、実際に運転時の視界を確保できるか確かめてみましょう。
フィルムアンテナを貼る位置が決まったら、次に貼る部分の汚れをきれいに拭き取ります。この時、埃や汚れが残っているとうまくつかない場合があるため念入りに綺麗にしましょう。よく拭いた後は乾燥時間を設けて湿気を残さないようにしてください。
また、夜間や雨の日は空気中の湿度が高いため、湿気も残りがちです。フィルムアンテナを貼る時は空気が乾燥している時を選びましょう。
さらに、フィルムアンテナに使われている接着剤の成分は低温時には低くなります。冬の夜中など、気温の低い時にはドライヤーなどでフィルムアンテナ本体と貼りつけ部分の両方を温めながら設置しましょう。
汚れを取ったら、フィルムアンテナを貼りつけます。この時、フィルムアンテナにシワや気泡が入りやすいため十分注意してください。シワや気泡はアンテナの性能には何も関係しませんが、見た目が多少悪くなります。外見に気を使いたい人は綺麗に貼りましょう。
なお、一度貼ったフィルムアンテナは貼り直すことはできません。その理由は、はがす最中にアンテナが断線したり受信性能が悪化する危険性があるためです。
フィルムアンテナの貼りつけ方には大きく分けて2つの形式があります。
まず1つ目はセパレータ(接着面を保護するビニール)を順次はがしながらL字アンテナを貼りつける形式です。こちらの形式では接着面はフィルムアンテナの裏側だけになっており、L字の形の1辺ずつを順番にはがして貼りつけます。
セパレータを使う形式ではシワができにくいというメリットがありますが、後述するシートをはがす方法よりも貼りつけの難易度は多少難しいです。
もう1つの形式は、四角形のシートをフロントガラスに貼り、その後でシートを剥がしてアンテナ部分だけをフロントガラスに残すという形式です。
この形式は作業が簡単であるというメリットがあります。一方、シワや気泡が入りやすい、ゆっくりシートをはがさないとアンテナ部分も一緒にはがれてしまうといったデメリットもあります。製品の購入時には、貼りつけ方法にも注意してみましょう。
ここまでで、フィルムアンテナの貼りつけは完了です。
以上に述べた方法はほんの一例で、人によって違う手順で行なっていることもあります。
やりやすいようにアレンジしてみてください。
■取付・貼る前にフロントガラスはキレイに。
続いて取りつけ作業に入ります。
まずアンプという部品をフィルムアンテナの所定の位置に設置します。
この時にアンプの取りつけ位置がずれると受信できなくなるため要注意です。後はコードを車内テレビやカーナビに接続するわけですが、コードが外側に出たままだと運転の妨げになる場合があります。
そのため、フィルムアンテナの設置ではピラートリム(ピラー部分のカバー)やルーフライニングの一部を外して配線を目立たなくする手法が取られます。
ピラートリムなどの外し方は車種によって違いますが、ツメやネジで留められている場合がほとんどです。コードの配線を外から見えなくする方法には様々なものがありますが、コードが邪魔にならなければどんな配線でもかまいません。
■お店で貼ってもらえるの?
もしも細かい作業が苦手であったり、作業の時間が取れない場合はカーショップでフィルムアンテナの貼りつけおよび取りつけ作業を行なってもらえます。
カーショップなら基本的にどこでも作業を請け負っており、自分で買ったフィルムアンテナを持ち込むことも可能です。工賃は10,000円前後で、作業時間は1~2時間ほどです。
■取付には向きがある?
セパレータをはがして取り付ける方式のフィルムアンテナはL字形をしています。
このL字は片方の辺が枝分かれしたような形になっているなどして、2つの辺が同じ形になっていません。また、2つの辺の長さも一緒ではありません。良好な受信環境を保つために、説明書に記載されている通りの向きでフロントガラスに取り付けましょう。
ただ、もしも間違えて貼りつけた場合でも全く受信できなくなるわけではありません。多少受信しづらい場合もあるとは言われていますが、間違えて貼った人でもそれほど深刻な事態には陥っていないようです。
L字形のフィルムアンテナは、一般的に横に伸びている方がアースであり、下に伸びている方がエレメント(素子)です。エレメントとは、アンテナで電波受信を行う部分の名称です。
フィルムアンテナ自体の向きに加え、左右にも注意する必要があります。左右にとりつける形式のフィルムアンテナでは「A」と「B」というパーツ名がそれぞれ与えられており、Aは助手席側、Bは運転席側に貼りつけてください。
こちらも間違えたからといって電波を受信できなくなることはないようですが、やはり受信状況が多少悪くなるかもしれません。フィルムアンテナは左右も間違えずに貼りましょう。
フィルムアンテナの剥がし方は?
ここではフィルムアンテナの剥がし方を解説します。新しいフィルムアンテナに取り替えたい時などに参考にしてみてください。
まず、フィルムアンテナの装置全体を除去するためには、アンプとコードを外しましょう。アンプとフィルムアンテナの接続部分は強引に剥がしてください。ピラーの中などを通ってカーナビなどに接続していた配線も取り外します。
配線を除去できたら、次はフィルムアンテナ本体を剥がします。
フィルムアンテナを剥がすためには、それなりの道具が必要です。文房具のシールのように爪を使ってはがすこともできなくはありませんが、時間もかかりますし仕上がりもキレイになりません。なるべくなら、以下に紹介する道具を使って手早く取りましょう。
最も簡単で、跡も残さず取る方法は溶剤の使用です。ホームセンターや100円均一ショップなどで「シールはがし」といった名称の溶剤が売られており、これを使えばフィルムアンテナも簡単にはがせます。
溶剤は、ふきんや綿棒などを使ってフィルムアンテナに溶剤をよくしみこませる使い方が一般的です。数分待てばフィルムアンテナの粘着力もなくなり簡単に剥がせるはずです。溶剤は1,000円以下の値段で売られているため、値段も安くすみます。
もしも手近にある材料を使って節約したい時には、ホワイトガソリン、灯油、パーツクリーナー、マニキュアの除光液などが溶剤の代わりとして使用できます。ただ、灯油などにおいの強い材料もあるため、車内にこぼさないよう注意して使いましょう。
次に、出費が少なく済む方法として、ドライヤーで温めてはがす方法が挙げられます。この方法も簡単で、ドライヤーでフィルムアンテナを温めつつ、端からヘラのようなもので少しずつはがしていきます。
ドライヤーは接着面に使われている糊成分を温度で溶かすことができるためです。フィルムアンテナを剥がした後はふきんなどで拭いてのり成分を除いておきましょう。
フィルムアンテナを剥がす時にはヘラ状のものを使うことがあるかと思います。この時には、金属製のヘラを使っても問題はありません。もしも金属製のヘラがなければ、カッターナイフの刃などでも代用は可能です。
車のフロントガラスは頑丈にできているため、金属製のヘラで少しこすったぐらいでは傷はつきません。
フィルムアンテナおすすめ商品5選
最後にフィルムアンテナのおすすめ商品ベスト5を紹介します。
フィルムアンテナ購入の際には、なるべく使っている機器がフィルムアンテナの適合表に載っている製品を選びましょう。適合表に記載のない機械でも動くかもしれませんが、何かあっても自己責任となってしまうため注意が必要です。
■illumicraft 地デジフィルムアンテナ
イルミクラフトが提供するフィルムアンテナで、フィルムアンテナの中では価格は少し高めかもしれません。しかし、品質は群を抜いており、確かな受信感度から多くのユーザーから愛されています。さらに、説明書が丁寧で取り付けやすい点も好評で、Amazonでは五つ星評価を獲得するほどでした。取り付け作業に必要なウエスやカプラーも付属しているため、あれこれ買い揃える手間を省ける点も魅力的です。
参考価格:4,480円(2019年1月30日時点)
■イクリプス 地デジナビ用フィルムアンテナ
イクリプスから販売されている、四角形のフィルムアンテナです。L字形にくらべ少ない手間で取り付けることができ、とても便利です。
メーカーの純正品であるため動作も保障されており、ストレスなく使えます。受信感度もすばらしく、カーナビもフルセグ放送も問題なく受信できるでしょう。堅実な作りでユーザーからの評価も高い、優れたフィルムアンテナです。
参考価格:1,600円(2019年1月30日時点)
■DW 地デジアンテナ フィルムアンテナ
ワンセグ・フルセグ対応のフィルムアンテナです。
電源コード2本と配線止めパーツ2個が付属しています。安価な性能にも関わらず高い受信性能を備えており、フィルムアンテナとしての性能を十分満たしています。純正品のフィルムアンテナに比べるとやや不安定な部分はありますが、日常的に使用する分には全く問題ありません。フィルム部分が透明で、ドライブの際に目障りになりにくい点も好評を呼んでいます。
参考価格:1,680円(2019年1月30日時点)
■フィルムアンテナ ケンウッド
カー用品ブランドのケンウッドが販売しているフィルムアンテナです。 フィルムアンテナ本体の他にコード4本が付属しています。フィルムアンテナは4枚セットであるため、確かな受信性能を誇ります。さらに、コードも長めに作られているためサイズの大きい車でも問題なく配線を取り付けられます。コンパクトに作られているため、運転中にも視界の妨げになりません。
参考価格:4,300円(2019年1月30日時点)
■GT13 フィルムアンテナ
フィルムアンテナをフロントガラスの両側に取り付けるのがわずらわしいなら、片側だけのフィルムアンテナはいかがでしょうか。
この製品では、片側にしかフィルムアンテナを取り付けないため車内スペースを広く使えます。受信性能も高く、電波が乱れることもありません。また、接着力も高いため、使用中に剥がれてくることもありません。フロントガラスの見た目をシンプルにしておきたい人におすすめのフィルムアンテナです。
参考価格:1,480円(2019年1月30日時点)
まとめ
フィルムアンテナがあれば、カーナビの使い勝手をさらに良くできます。
また、車載テレビでフルセグ放送を視聴して、ドライブをさらに楽しくもできます。フィルムアンテナは比較的安価で小さなパーツですが、その役割は非常に大きなものです。
フィルムアンテナを使えば、あなたのカーライフもさらに便利で快適になるでしょう。ぜひあなたの車にもフィルムアンテナを導入してみてください。