白バイ隊員の素顔
ライトブルーの制服に身を包み、颯爽と現れ、風の様に去っていく白バイ隊員。普段の生活の中で、白バイ隊員とゆっくり話ができる機会はまずありません。白バイ隊員とはどの様な人たちなのでしょうか?
一般的に白バイ隊員とよばれるのは、各道府県警察本部(東京では警視庁)交通部交通機動隊または高速道路交通警察隊に所属している警察官のことです。
このほかに皇宮警察本部に所属する皇宮護衛官のことも、白バイ隊員とよばれることもありますが、目にする機会はあまり多くありません。
今回は、街中で目にする”普通の白バイ隊員”と”白バイ”についてみていきましょう。
■白バイ隊員になるには?
子供のころにみた白バイ隊員にあこがれて、警察官採用試験を受けて合格、警察に入ると同時に白バイ隊員デビュー、なんてことは起こり得ません。
警視庁及び、各道府県警察での白バイ隊員希望者の訓練は参加人数に厳しい制限があり、だれでも受けられるわけではないのです。
白バイ隊員になるには、普通の警察官として勤務を重ね、上司から推薦をもらう必要があるのです。どうしても白バイ隊員になりたいという想いを書いた志願書も必要になります。
希望者の適性を見極める期間は4週間ですが、修了試験に不合格だった場合は元の部署へ戻されます。白バイ隊員にはなれません。
また、試験に合格した場合でもすぐに白バイに乗れるわけではなく、一年ほど待機期間があります。その後、正式に 辞令を受けて、さらに訓練を受けたのちに、晴れて白バイ隊員となれるのです。
白バイの装備いろいろ
白バイは普通のバイクと何が違うのか? スマートな乗りこなしとは逆に、市販車両と比べてゴテゴテしている印象の白バイ。普通のバイクにはない、白バイならではの装備をみてみいきましょう。
■測定速度インジケータ
違反車両追尾時の速度を表示する装置です。インパネ中央部に備えられており、『CB1300P』では、フロントカウル内の収納ボックスに取り付けられたプリンタで、違反速度を記録した紙をプリントアウトできます。
尚、白バイの測定メーターは一ヶ月に一度、大きな計測誤差がでないようにするため、検査(較正という)を受けて常に正確さを保持しています。
■スピーカー
サイドバンパーパイプの左側に(トランジスタメガホンの)トランペットスピーカーを装備。右側には(サイレンのトランペットスピーカー)を装備しています。
また、緊急走行時のサイレン音はパトカーと白バイとでは音が異なります。(白バイの方が音は高い。)
■トップボックス(無線機箱)
無線機箱に納められているのは、無線機本体と本部との交信に用いる長めのアンテナ、白バイ隊員が装着しているトランスミッターとの交信に用いられる短めのアンテナ。ほかに、赤色回転警光灯が外側に付いています。
■サイドボックス(左側)
には、違反キップや地図、マーキング用の白墨など道具類が収められています。ほかに、新型車種には押すだけで本部に緊急事態を知らせる「EMボタン」が装備されています。
最近では「録画用小型ビデオカメラ」を装備する警察本部も一部ででてきています。快適装備としては、「グリップヒーター」を装備する車両もごく一部で存在します。
■こんなに違う!市販車と白バイの重さ
上記の様な、数々の専用装備を搭載している白バイですが、さぞや重いのだろうと思いきや、調べてみると、白バイの重量は公式には発表されていません。
『CB1300P』の場合、装備重量が300㎏近いといわれています。
ベースとなる市販の『CB1300SB』の車両重量は273kg。 白バイ用の装備で20kg以上重量が増えていることになります。どうでしょう、意外にも市販車との差が少ないかな?
■白バイのヘルメットの秘密
ヘルメットの製造は「アライ」が受け持っており、ベースとなるモデルは「SZ-M」「CT-Z」となっています。白バイ隊員のヘルメットには、メーカー名の表記はなく、「警察章」が付いています。バイザーは白です。
ヘルメット内での発話は、白バイ隊員が腰に装着したトランスミッター(送信機)を通じて白バイに搭載された短い方のアンテナがキャッチし、「切り替えスイッチ」によって、スピーカーから拡声される、または無線に乗ります。
ハンドルにマイクの出力先として、拡声器と警察無線とを切り替えるスイッチを備えています。逆に、無線を聴く場合は逆のルートでヘルメット内に音声が届きます。尚、無線機やマイクは、白バイのエンジン停止時でも使用することができます。
白バイには速度制限は適応されない?
警視庁の白バイ隊『クイーンスターズ』
白バイは、”何キロ出してよいか?”ということであれば、それは、一般道路で時速60キロ、高速道路で時速100キロとなります。
交通違反の取締り中の白バイは、指定最高速度(道路標識による速度規制)を守らなくてもよいとされています。なので、道路標識に最高時速30キロと書いてあっても、違反者追跡中であれば、時速60キロまでは出せる、ということです。
■白バイの最高速度はどれくらい?
また、最高何キロでるか?ということであれば、答えは時速180キロです。
白バイにも、市販車同様、180km/hのリミッター機能があるのでそれ以上はでない様です。それ以前に周囲の歩行者や自動車を巻き込む”重大事故”を起こしかねないので、「何キロでるからそこまで出す」ということはないでしょう。むしろ無線で応援をよんで、先回りをする方が安全ですからね。
白バイの車種は?排気量は?
白バイに使われる車両は、入札で決まるため、「どのメーカーのどの車種を白バイとして使いたい」という風に警察が決めることはできません。
逆にいうと、どのメーカーでも、スペックを満たし、価格が安ければ白バイとして採用されるチャンスがあるわけですが、日本の場合、ホンダ車が多い様です。
白バイとして利用されている代表車種と市販モデルとの違いについてまとめます。
■ヤマハの代表的車種 FJR1300P
市販モデルとの相違点
元になった市販車両はFJR1300で、市販モデルとはアップハンドル化、シングルシートカウル採用など。
■他メーカーの白バイも複数あり
他にもホンダからは「CB1300 SUPER BOL D'OR」を元としたCB1300Pや、スズキ「GSF1200」を元としたGSF1200Pなどが多く使われている車種の一例として挙げられます。
【おまけ】白バイを間近でみられるイベント
白バイを間近でみられるイベントがあります。女性白バイ隊員や楽隊の演奏など、華やかなイベントです。観覧無料なので興味のある方は是非一度見に行ってみてはいかがでしょうか。
画像にて紹介している「全国白バイ安全運転競技大会」は、基本、毎年10月最初の土日で開催が予定されています。
1969年より始まった歴史ある大会で、競技種目はバランス走行、トライアル走行操縦、不整地走行操縦(モトクロス)、傾斜走行操縦(スラローム走行)に別けられます。因みに、一般人も無料で観覧できます。
■白バイの大会(パレード)がある
警視庁及び、各道府県警察では、『年頭視閲式』とよばれるパレードを毎年1月にいっています。普段はなかなか落ち着いてみる機会のない白バイなどの警察車両をじっくりみることができます。
年末ころに警視庁及び、各道府県警察の公式サイトで周知されるので、興味のある方は忘れずチェックしましょう。
最後に
今回は、「白バイは普通のバイクと何が違う?」ということで、白バイに利用されている車種や装備、白バイ隊員についての情報を掲載させて頂きました。子供の頃に憧れていた白バイ隊員がもっと身近に感じられる様になりましたでしょうか。
これからもくれぐれも白バイ隊員のお世話にならない様、安全運転でいきましょう。