軽油とはどんな燃料?
レギュラーガソリンと軽油の価格差が34円に達していた熊本北方、山鹿のガソリンスタンド
軽油とは原油から精製されるディーゼルエンジン用の燃料で、ガソリンスタンドで販売されています。原油に含まれるガスや水分など不純物を除去したものを石油と呼び、この石油を蒸留することでガソリン、灯油、軽油、天然ガス、重油、潤滑油、アスファルトが精製されます。
軽油の沸点範囲は180度から350度で、精製直後は無色ですが誤用を防ぐためにエメラルドグリーンに着色され、販売されます。
■軽油の活用用途の紹介
基本的にはディーゼルエンジンの燃料として活用されます。ディーゼルエンジンは熱効率が良いためトラックやバスのように積載重量がかかる自動車に有効とされます。
ガソリンよりも粘度があり、潤滑性もありますが、潤滑油として使うことは出来ません。
ディーゼルエンジンの特徴
ディーゼルエンジン 1GD-FTV
ディーゼルエンジンには点火プラグはなく、高い圧縮熱を利用して燃料を自己着火させることでエンジンを作動させています。一般的にディーゼルエンジンの圧縮比は16から23、ガソリンエンジンの圧縮比は8から11と言われています。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより熱効率が良いとされます。
これは燃やした燃料がいかに運動エネルギーとして取り出せるかで、一言で言えば燃費が良いという解釈が出来ます。また、低回転でのトルクが高く発進時の加速性が良いため、貨物車のように荷物をたくさん運ぶ自動車に最適です。
一方デメリットもあります。車両代金が高額になりがちであることと、エンジン作動中のノイズがガソリン車よりも大きいことなどが挙げられます。
軽油価格の推移について
軽油に限らず、燃料の販売価格は随時変動します。1つの理由として日本は燃料を輸入に頼っていることが挙げられます。燃料を含めて多くの化学製品を取り扱う現代にとって石油は必需品です。それを輸入に頼ることは、政治や経済情勢に大きく左右されることを表します。
例えば販売元の国が自国の主張や利益確保のため石油の製造を止めたり価格をつり上げると、必ず市場価格は値上がりします。逆に増産し豊富に確保できると値下がりもします。
■全国平均
軽油の一般販売価格は一般財団法人 日本エネルギー経済研究所の石油情報センターが行っている集計から確認することができます。
1990年代は1リッターあたりの軽油販売価格は80円~85円でした。
2000年頃から徐々に価格が上昇し2005年には100円台に突入しました。2008年には記録史上最高値の165円台を記録しました。
2016年には98円台に値下がりしましたが、2019年には130円台まで上昇しています。
■地方のばらつきについて
神奈川県磯子港 新日本石油 根岸製油所
軽油に限らずガソリンなど燃料の販売価格には地域差があります。この原因の一つとしてガソリンスタンドの製油所からの距離が関係しています。というのもタンカーの入港できる港や石油精製所は全国でも限られているためです。
製油所からどこまで運搬するかで輸送コストが異なり、価格に地域差があらわれます。その他にも地域で販売価格調整を行っていることも影響しています。
主なタンカー入港先と製油所は次の通りです。
1.北海道 港;苫小牧、室蘭 JXTGエネルギー室蘭製造所
2.宮城県 港;仙台塩釜 JXエネルギー仙台製油所
3.関東地方 港;千葉、川崎、横浜、鹿島 JXTGエネルギー根岸製油所
4.中部地方 港;名古屋、四日市 JXTGエネルギー知多製造所
5.和歌山県 港;和歌山下津 JXTGエネルギー和歌山製油所
6.大阪 港;堺 大阪国際石油精製
7.岡山県 港;水島 JXTGエネルギー水島製油所
8.山口県 港;徳山 JXTG麻里布製油所
9.香川県 港;香川坂出
10.九州地方 港;大分、鹿児島喜入、沖縄金武中城 JXTGエネルギー大分製油所
■何故価格に変動があるのか?
石油輸出国機構(OPEC)が大きな影響力を持っています。加盟国にはアフリカ、中東、南アメリカの産油国が閉めており、石油産出国の利益を守るため1960年9月に設立されました。OPECが減産態勢を取ると、原油価格が高騰します。
この他、景気動向や国際貿易問題、為替の問題なども影響します。日本はどちらかというと、影響を一方的に受ける側で、多国間の貿易摩擦であっても結果的に輸入価格が上がってしまい、ガソリン・軽油価格が値上がりすることがよくあります。
軽油の将来性について
軽油の将来性はイコール・ディーゼルエンジンの将来性ととらえることが出来ます。2019年においては運送業を中心としてまだまだディーゼルエンジンが活躍していますが、乗用車は2015年に起こったフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン・排ガス不正を発端に、各自動車メーカーでディーゼルエンジンへの取り組みがハイブリッド車や電気自動車開発へと大きく方針転換が進められています。
まとめ
軽油価格と経済性、将来性について考えることで、軽油車両の選択は現代においてはかつてほど魅力的では無いことが分かってきました。ただし、エンジン特性より、アウトドアを中心として自動車を活用するのであれば、魅力は多分にありますので、用途次第で選択肢になりうるのではないでしょうか。