ヨーロッパに負けないBセグ車をつくる
トヨタ自動車が意思決定の迅速化を狙いに製品開発から生産までを一貫して責任を負うカンパニー制を導入してから10か月が経過しました。『ヴィッツ』や『アクア』などの主力小型車を手がける「Toyota Compact Car Company(トヨタ・コンパクト・カー・カンパニー)」は、トヨタにとっての大黒柱でもある。年内に発売予定の次世代タクシーも抱え、同カンパニーが世に与えるインパクトは決して小さくないです。
大規模マイナーチェンジを果たしたヴィッツの発表に合わせ、同カンパニーのプレジデントを務める宮内一公専務役員に、トヨタのコンパクトカーの今、そして“ミライ”を訊きました。
◆Toyota Compact Car Companyの役割とは
----:カンパニーの導入から10か月が経過して、仕事の仕方はどう変わりましたか
宮内プレジデント(以下:敬称略):例えば何か問題が発生すると、以前なら「その問題はそこの領域の問題だ」みたいなとらえ方をして、自分の領域は守るという力が働いて、もともとの対策を決めるまでに時間がかかっていた。
だが今は何か問題が起これば、各部長のところに情報が広がるので、みんなが集まって一緒になって対策を考える。設計変更をやるとなった時には、生産のメンバーも含めてコミュニケーションしているので、問題解決のリードタイムが今は短くなっている。
----:先進技術開発カンパニーやパワートレーンカンパニーとの連携もやりやすくなっているのでしょうか
宮内:我々は小さなカンパニーだが、先進技術開発カンパニーやパワートレーンカンパニーは大きな組織。そこは多分、ずうずうしく提案していかないと、反対にカンパニー間の溝ができると思っている。プレジデント同士では色々なところで会って、声を掛け合っている。
----:例えば新しい先進技術がいくつかあれば、「うちでは次はこれを使いたい」というような形で働きかけていくということでしょうか
宮内:これまでのトヨタの価値観でいくと、レクサスから順番に最新の技術が入っていって、小さいクルマは順番が来るまで待つという状況だった。
しかしカンパニー制に変わってからは、僕らはコンパクトカー市場のお客様を背負っているので、先進技術開発カンパニーの伊勢清貴プレジデントには『早くうちでも使わせてくれ』と働きかけることを積極的にやっている。急に変わるわけではないが、実際に色々と許可をもらったものもある。少しでも商品のレベルを上げていく形にしていきたい。
ビッグマイナーチェンジを受けたトヨタヴィッツ
気になる!新型ヴィッツの性能とは
ヴィッツは欧州基準でBセグメントに属するハッチバックモデルで、トヨタのコンパクトカーを長らくけん引してきた人気の車種です。
トヨタ自動車のコンパクトカー『ヴィッツ』は一部改良を機にハイブリッドモデルが新たに追加されたことに加えて、外観も大きく変わったのが特徴となっています。
ヴィッツを手がけるトヨタコンパクトカーカンパニーでデザイン部長を務める服部繁也氏は「マイナーチェンジする前は国内向けの顔とヨーロッパ向けの顔が少し違っていた。ヨーロッパの顔は『RS』グレードとして国内に入れていて、それ以外のグレードは国内専用の顔つきだった。今回は、ヨーロッパも国内も顔一本でいこうということで、ヴィッツの主戦場であるヨーロッパでデザインを行った」と明かしています。