後部座席のシートベルト着用は義務!?
シートベルト
■2008年より後部座席のシートベルト着用は義務化
結論から申し上げますと、後部座席のシートベルト着用は義務です。
2007年の6月20日に道路交通法が改正され、2008年6月1日よりシートベルトの着用は全席義務となりました。(道路交通法 第71条第3項)
参考:道路交通法 第71条第3項
第七十一条の三 自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
2 自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
3 自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)
道路交通法を見ていただくとわかりますが、全席シートベルトを着用していなければ、運転してはいけないという決まりになっています。
以前は運転席と助手席だけでしたが、先ほども記述したように2008年6月1日より後部座席も着用が義務化されました。
※同項の3においてチャイルドシート(幼児用補助装置)の着用も定められています。
■しかし後部座席のシートベルト着用率はまだ低い
シートベルト
参考:一般道路でのシートベルト着用率(2019)
【一般道路のシートベルト着用率】
調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率 |
運転者 | 300,262 | 3,571 | 303,833 | 98.8% |
助手席同乗者 | 47,590 | 2,037 | 49,627 | 95.9% |
後部座席同乗者 | 21,976 | 34,132 | 56,108 | 39.2% |
※警察庁/日本自動車連盟(JAF)調べ:シートベルト着用状況全国調査2019より作成
※調査箇所数782
参考:高速道路などのシートベルト着用率(2019)
【高速道路などのシートベルト着用率】
調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率 |
運転者 | 55,501 | 217 | 55,718 | 99.6% |
助手席同乗者 | 18,215 | 320 | 18,535 | 98.3% |
後部座席同乗者 | 10,171 | 3,559 | 13,730 | 74.1% |
※警察庁/日本自動車連盟(JAF)調べ:シートベルト着用状況全国調査2019より作成
※調査箇所数104
警視庁のシートベルト着用状況調査(2019年)を見ると、一般道路での後部座席シートベルト着用率は39.2%、高速道路での後部座席シートベルト着用率を見ても74.1%。
高速道路では完全に義務化されているのにも関わらず、70%台というシートベルトの着用率の低さには驚いてしまいます。
では、シートベルトを着用していない場合で見つかった場合の違反や罰金はいくらになっているのでしょうか?
違反点数・罰金はいくら?
後部座席のシートベルトを着用していなかったとき、罰金はある?
後部座席のシートベルトを着用していないまま運転していて、警察に見つかった場合車は停車させられてしまいます。
停車させられたあとは、
①一般道・・・口頭で注意を受ける(罰金や減点なし)
②高速道路・・・1点の減点(罰金なし)
※運転席や助手席の場合も、罰金はないが一般道や高速道路でも1点の減点
具体的な違反点数や罰金の状況はわかりましたね。
こうやって義務化されている背景には、もちろんそれ相応の理由があります。
後部座席でシートベルトを締めていないと、どれくらいの危険があるのでしょうか。
後部座席でシートベルトをちゃんと締めないとどうなる?危険性は
後部座席シートベルト
警察庁が発表した統計データによれば、
①シートベルト未着用者の死亡率は着用者の約15倍
②シートベルト未着用者が車外へ投げ出される確率は着用者の約22倍
③後部座席シートベルト未着用者が窓ガラスを突き破り車外へ飛び出す割合は着用時の約13倍
④後部座席シートベルト未着用者の前の席の者が頭部に重傷を負う割合は着用時の約51倍
上記の結果を見てもわかるように、シートベルト未着用だと自分自身がケガや死亡する確率も大幅に上がるだけではなく、自分の身体が前に飛び、前の席の人にまでケガをさせてしまう可能性も高くなってしまうのです。
最近では、エアバックの普及や最新の安全性能の高さにより、歩行者や車両をカメラで検知する安全装備も注目を浴びてきていますが、基本はシートベルトを全席着用することで安全性は大きく変わってきます。
必ず着用するように心がけることで、自分や家族の安全を守ることができます。
シートベルトは必ず着用するようにしましょう。
安全第一
シートベルトにまつわる素朴な疑問
■シートベルトを着用しなくてもいい職業がある?
シートベルト
シートベルトを着用しなくていい職業があるのはご存知でしたか?
シートベルトを着用しなくていい職業は、実は定められているのです。
■道路交通法施行(第26条3の2)
・消防士
・警察官
・郵便局の配達業務
・選挙の立候補・選挙運動の従事者
■座席ベルトの装着義務の免除に係る業務をを定める規制(昭和60年国家公安委員会規制第12号)
・クリーニングの受け取りは引き渡し
・米・酒・牛乳などの宅配
・ゴミ(一般廃棄物)の収集
・食品業者の配達業務
・運送業者の配達業務
※これらの職業でシートベルトを着用しなくて良いのは、「頻繁に自動車に乗降することを必要とする区間に限定」されています。
それ以外の区間では通常通りシートベルトを着用しなくてはいけませんので注意してください。
職業以外にもシートベルトを免除される場合についても見ていきましょう。
■シートベルトを免除される場合がある?
全席での装着が義務付けられているシートベルト。
ですが道路交通法施行令第26条の3の2によれば、着用義務が免除となる場合もあります。
妊娠やケガでシートベルトが安全に装着できない
①妊娠やケガ(負傷・障害)などでシートベルトが着用できないとき
②肥満・座高が著しく高い、又は低くシートベルトが装着できないとき
※しかしながら、療養上適当でない、物理的に不可能だと警察が判断しない場合には違反になる可能性もあります。そのため、可能な限りシートベルトは着用しましょう。
参考:道路交通法施行令
第二十六条の三の二 法第七十一条の三第一項ただし書の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、次に掲げるとおりとする。
一 負傷若しくは障害のため又は妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが療養上又は健康保持上適当でない者が自動車を運転するとき。
二 著しく座高が高いか又は低いこと、著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に座席ベルトを装着することができない者が自動車を運転するとき。
三 自動車を後退させるため当該自動車を運転するとき。
四 法第四十一条の二第一項に規定する消防用車両(次項第四号において「消防用車両」という。)である自動車の運転者が当該消防用車両である自動車を運転するとき。
五 人の生命若しくは身体に危害を及ぼす行為の発生をその身辺において警戒し、及びその行為を制止する職務又は被疑者を逮捕し、若しくは法令の規定により身体の自由を拘束されている者の逃走を防止する職務に従事する公務員が当該職務のため自動車を運転するとき。
六 郵便物の集配業務その他業務のため自動車を使用する場合において当該業務に従事する者が頻繁に当該自動車に乗降することを必要とする業務として国家公安委員会規則で定める業務に従事する者が、当該業務につき頻繁に自動車に乗降することを必要とする区間において当該業務のために使用される自動車を運転するとき。
七 自動車に乗車している者の警衛若しくは警護を行うため又は車列を組んでパレード等を行う自動車に係る交通の安全と円滑を図るためその前方及び後方等を進行する警察用自動車(緊急自動車である警察用自動車を除く。次項第七号において同じ。)により護衛され、又は誘導されている自動車の運転者が当該自動車を運転するとき。
八 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙における公職の候補者又は選挙運動に従事する者が同法第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車を当該選挙運動のため運転するとき。
2020年、シートベルトが変わる?シートベルトリマインダーが全席に
シートベルトリマインダーの警報を全座席対象に
2012年7月1日以降に発売された乗用車から、補助席を除いてシートベルトが改良され3点式になりました。それ以前の車については、後部座席のシートベルトは2点式でしたよね。
そして、国土交通省によれば2020年9月発売以降の車を目途に、未着用アラート「シートベルトリマインダー」を後部座席を含めた全座席を警報の対象にするとのこと。
これで、後部座席のシートベルト着用率が向上しそうですね。
参考:国土交通省
1.シートベルトリマインダーの国際基準の改正
[1] シートベルトリマインダーとは
自動車の衝突事故時などに乗員を保護するためにはシートベルト着用が重要となっております。
シートベルトリマインダーは、シートベルトをせずに走行すると、運転者に対して警報ランプが点灯し
警報音が鳴り、シートベルトの着用を促す装置です。
[2] 改正案のポイント
これまでは、乗用車等の自動車の運転者席のシートベルトのみが警報対象でしたが、
乗用車等においては、後部座席を含めて全座席を警報対象とし、トラック・バス等については、
運転者席、助手席を警報対象とするものです。この改正への取り組みは、日本が主導し、
EUや韓国と連携して進めてきたものです。
[3] 今後の予定
早ければ来年6月に同改正が発効することとなります。我が国では、これに合わせ、
有識者会議での審議、パブリックコメント等を経て、この基準を道路運送車両の保安基準として
採用していく方針としております。
まとめ
シートベルトを着用しよう!
シートベルトは全ての席において着用義務があることは、本記事を読んでいやというほどおわかりいただけたかと思います。
車に乗ったらドライバーから全席にシートベルトを装着してもらうように声掛けするなど、サポートしていきましょう。
一人ひとりの心がけで、死亡率や事故率を低くすることができます。この記事を読んでいただいたあなたも、ぜひ今日から改めて心がけてくださいね。