オフロードは走らない人にも大人気のSUV、ヒットの理由は?
トヨタ ハイランダー
一昔前までは、アウトドア好きな一部の人向けの車、という印象も強かったSUV。
1980〜1990年代の日本では、ウィンタースポーツの流行などと合わせて当時は「RV」と呼ばれていたクロカン車が人気な時代もありましたが、近年では国内だけでなく世界的にSUVを乗用車的に、普段使いの車として利用する乗り方が広まっています。
それによって高まっている需要に対応すべく、各自動車メーカーはSUV系へラインナップを集中気味。特にブームが著しい北米などでは、これまで生産していた乗用車系を取りやめてまでSUV系に集中するメーカーも出てきているほどです。
一つの国だけでなく、世界的な流行ということは、確固たる理由がどこかにあるはず。一体、SUVのどの部分がここまでの人気を呼んでいるのでしょうか? SUVならではの魅力と合わせて、詳しく見ていきましょう。
■理由1:高めの地上高と四輪駆動で優れた悪路走破性
ランドローバー ディフェンダー 110
もちろん、SUVとして最もわかりやすい特徴は、大きめのタイヤと高めの最低地上高、それに四輪駆動によるどんな道でも走り抜けられそうな高性能なイメージでしょう。
実際は近年、SUVルックながら乗用車的な地上高であったり、二輪駆動モデルしか用意がない車種も多々見られるなど、SUV全体に当てはまる特徴ではないのですが、すでに定着しているその四駆ならではのパフォーマンスというイメージを得られる点だけでもうれしいオーナーもいるはずです。
近年では急激にやってくるゲリラ豪雨や浸水被害が多発するなど、世界的な気候の変動が実感されていることもあり、いざという時に余裕で走り抜けられそうなSUVのイメージは、安心感がありますよね。
■理由2:アウトドアなどアクティブなイメージがある
キア テルライド
先ほどの悪路走破性にも関連する部分ですが、そんな走破性を利用して道なき道を分け行ってキャンプ、などというアウトドアなイメージがSUVを通して見え隠れする点も、SUVを選ぶ大きな理由の一つではないでしょうか。
実際に毎週山奥に釣りに行ったり、海までサーフィンしに行ったりはしなくても、乗っているだけでもアクティブなライフスタイルを演出できる点は、ハッチバック車やミニバンにはないSUVならではの魅力と言えるでしょう。
さらに、実際にそれらのアクティビティに使う際に使い勝手がいいのもSUVの特徴。室内空間もゆとりのあるモデルが多く、ルーフラックなどを利用すれば、実用性と雰囲気を両方ともさらに引き上げることができます。
■理由3:存在感のあるボディでドヤれる
ランボルギーニ ウルス
こちらもSUVを選ぶ大きな理由の一つと思われるのが、スタイルがゴツくて威圧的なモデルが多いという点でしょう。
車高が高く、分厚いボディで迫力があったり、プロテクター類が目立つようなデザインが多く採用されるSUVは、例えば高級セダンと並んでも押し出しでは劣らないものも。メッキギラギラの高級ミニバンが流行している点とも重なりますが、同等クラスの乗用車と比べて路上でのプレゼンスがあるという点が、オーナーの自尊心をくすぐる点は否めないでしょう。
そのこともあってか、SUVのデザインとしても、目力が強かったりグリルが大きかったりなど、先鋭的な仕上がりのものがどんどん増えてきていますよね。
■理由4:車種ラインナップが広い
ルノー アルカナ
こちらはSUVの人気があるからこその面もありますが、今やバリエーションの豊富さが乗用車の中でも随一のものであることも、SUVを選びやすい理由の一つでしょう。
本格派のクロカン系、街乗りも楽々のコンパクト系だけでなく、クーペSUVといった新種までどんどんとラインナップが広がってきているので、オーナーの個性に合わせた車選びがしやすくなっていますよね。
例えばトヨタを見てみれば、もはやSUV系だけで8車種も用意されているので、サイズだけでなく車種の性格の違いでも選びやすくなっていますよね。趣味要素の強い車だけに他人とはカブりたくないという方にとっても、グレード展開が豊富な点はメリットの一つでしょう。
魅力的なSUV、向いている人と向いていない人は?
スバル フォレスター
ここまでご紹介してきた通り、魅力いっぱいのSUV。しかし、そんな魅力はもちろん万人に当てはまるものではなく、SUVがおすすめできる人と、他の車型の方が満足できそうな人に分かれる点は注意が必要です。
詳しく見ていきましょう。
■【向いている人】存在感のある車が欲しい人、流行を着こなしたい人
BMW X7
もちろん日常的に四輪駆動の走破性を必要とする方はSUV系を選ばざるを得ない場合もあると思いますが、普段の足としてSUVを選ぶ場合でも、存在感のある車が欲しい方ならSUVを選べば満足できることでしょう。
ガッチリしたボディと大きめのタイヤがもたらすそのスタイルは、単純にカッコいいですよね。大柄なサイズは、狭めの道や駐車場では持て余す場合もありそうですが、最新のSUVならカメラ類も豊富に装備されていたりするため、そこまで運転に自信がない方でも問題なく乗れることでしょう。
また、流行のスタイルをしっかり追っていきたい方にもSUVはぴったりです。今や各自動車メーカーはさまざまなコンセプトのSUVを続々と発売し続けているので、一昔前のようなクロカン一辺倒のSUVとは異なってトレンド最先端の車選びが可能。
クーペSUVなどが普及価格帯にまで出現してきているなど、これからも段々と進化していきそうなSUVは流行に敏感な方におすすめです。
■【向いていない人】コスパにこだわりたい人、低燃費にこだわりたい人
トヨタ カローラツーリング
反対に、SUVが向かないのは、コストにもこだわりたい方でしょう。同等クラスの乗用車と比べても、四輪駆動システムなどの追加分か、車両価格が高くなりがちなのがSUV。
近年ではSUVでない乗用車でも4WDの設定があることも多く、かっこよさのためだけにお金を使うなんてナンセンス!とお思いなら、SUVには利点がないことでしょう。
また、ガソリン価格が大幅に下がりそうな気配のない現代ですので、燃費を気にしたい方にもSUVは向きません。空気抵抗で劣る大柄なボディや走行抵抗の大きい大径のタイヤが装備されがちなSUVは、たとえ低燃費なハイブリッド仕様であっても乗用車よりも劣る燃費性能となるためです。
SUVの室内ユーティリティが必要な場合であっても、高さが抑えられるとはいえステーションワゴンやハッチバック車などで十分代替可能な場合も多いはず。より全高の低い低燃費車を利用すれば、普段の燃料代が節約できる上に、税制面でも大きな優遇が受けられる場合もあるため、トータルコストで大きな差がつく可能性もあります。
話題の最新SUVをご紹介!個性派SUVで目立っちゃおう
■マツダ MX-30:パーソナルクーペの優越感
マツダ MX-30
国産車の中でも、こだわりの車作りに定評のあるマツダのSUV。そんなマツダの最新作が、MX-30です。
当初欧州向けのEVモデルからデビューしたMX-30ですが、国内仕様ではガソリンエンジンとマイルドハイブリッドの組み合わせによって低く抑えられた車両価格で話題を呼んでいますよね。
また、使い勝手のいい5ドアボディながら、後部ドアが観音開き式の「フリースタイルドア」を採用するなど、ユーティリティ性だけにとらわれない、パーソナルな使い勝手が独自の世界観を醸し出すMX-30。
これまでSUVには興味のなかった方でも、こんなオシャレさなら選んでもいいかなと思わせるようなスタイルが魅力的です。2021年以降、EVモデルなどの国内導入も予定されているので、これからも目が離せませんね。
マツダ MX-30のスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,395mm×1,795mm×1,550mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,655mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,520kg | |
燃費 | WLTCモード:15.1km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリンハイブリッド 1,997cc | |
エンジン最高出力 | 115kW(156PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 199N・m(20.3kgf・m)/4,000rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 5.1kW(6.9PS)/1,800rpm | |
モーター最大トルク | 49N・m(5.0kgf・m)/100rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 6速AT | |
新車価格 | 2,415,000円(消費税抜き) |
■アウディ e-tron:SUVでも広がるフルEVの波!
アウディ e-tronスポーツバック
アウディとして史上初となる電気自動車、e-tron。国内仕様では流麗なクーペボディを持つe-tronスポーツバックからの導入となっていますが、2021年春以降にはよりオーソドックスなSUVフォルムを持つe-tronも導入が予定されています。
そのスタイルは、アウディラインナップの一員であることを強く感じさせながら、電子サイドミラーの「バーチャルエクステリアミラー」やマトリクスLEDヘッドライトなど、先進感を強く感じさせる仕上がりですよね。
先ほどご紹介したMX-30は、EV仕様でも航続距離は控えめにわざと抑えた仕様としているのですが、e-tronスポーツバックではWLTCモードで405kmと余裕の性能を実現。
前後に1基ずつ装備されるモーターは、EVらしい瞬発力のある加速と高級車らしいゆとりのクルージングを両立できる、優れたチューニングが施されています。
アウディ e-tronのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,900mm×1,935mm×1,615mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,930mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 2,560kg | |
一充電走行距離 | WLTCモード:405km | |
交流電力量消費率 | WLTCモード:245Wh/km | |
モーター搭載数 | 2基(フロント1・リヤ1) | |
モーター最高出力 | 300kW | |
モーター最大トルク | 664N・m | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 1速固定式 | |
新車価格 | 12,063,637円(消費税抜き) |
■メルセデスベンツ GLS:新しい高級車の大定番となるか
メルセデスAMG GLS63 4MATIC+(海外仕様車)
近年のSUVの利用シーンの拡大に伴って変化が見られるのが、VIPの送迎車両としての使用もされているという点でしょう。イギリス王室御用達のレンジローバーなど、動力性能面でも余裕のある大型モデルを中心に、セダンでは実現できなかった室内のゆとりも合わせて好評を得ている様子です。
そんな用途にも十分応えられそうな高級感極まるSUVが、メルセデスベンツ GLSでしょう。同社のフラッグシップに据えられるGLSは、「S」の名を車名に持つ車らしく類まれな乗り心地と静粛性が実現されており、上質な素材に囲まれるインテリアはまさに至極の空間となっています。
新たに最上級パフォーマンスモデルであるメルセデスAMG GLS63もラインナップに加わるなど、高級感だけでなくスポーティさも選べるというGLSは、どんな場面にも対応できるマルチパーパスさが魅力の次世代の高級車と言えるかもしれませんね。
メルセデスベンツ GLSのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,245mm×2,030mm×1,840mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 3,135mm | |
最大乗車定員 | 7名 | |
車両重量 | 2,680kg | |
燃費 | WLTCモード:- | |
エンジン種類 | V型8気筒ガソリンツインターボハイブリッド 3,982cc | |
エンジン最高出力 | 450kW(612PS)/5,750〜6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 850N・m(86.7kgf・m)/2,500〜4,500rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 16kW | |
モーター最大トルク | 250N・m(25.5kgf・m) | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 9速AT | |
新車価格 | 19,845,455円(消費税抜き) |
まとめ
アストンマーティン DBX(海外仕様車)
世界的なSUVの理由を具体的に探ってきましたが、いかがでしたか。SUV「でなければならない」利用シーンは非常に限られるように思いますが、SUV「でしか得られない」魅力もたっぷりあることがお分かりいただけたかと思います。
今やロールスロイスやフェラーリですらSUVビジネスに参入するような現代、これからもSUVの進化は続くと思われますので、まだまだ目が離せませんね。