「ザ・トヨタのコンパクト」を20年!トヨタ ヴィッツ
トヨタ ヴィッツ(3代目)
車というのは、商品として優れていてもヒット車種となるかどうかがわからない難しさがあります。また、初代でヒットした車種でも、2代目にモデルチェンジした途端に人気が失速、なんていう車種も少なくありません。
そんな波乱の自動車業界において、コンパクトカーを代表するような知名度の高さと人気を20年以上も維持し続けた車こそ「トヨタ ヴィッツ」です。ヴィッツは、登場当初から国内だけでなく欧州にも投入され、コスト面だけでなく走行性能も厳しく判断される欧州市場においても高い評価を受けてきたモデルです。
2020年には、後継としてトヨタ ヤリスが登場したことで、ヴィッツは販売を終了しています。とはいえ、豊富な中古車在庫を持つヴィッツを愛車候補にしているという方も少なくないかもしれません。そんな方なら、ヴィッツの燃費性能が気になっているのではないでしょうか。
この記事では、カタログ燃費や実燃費、ライバル車種との比較を通して、ヴィッツの燃費情報を詳しくご紹介していきます。
トヨタ ヴィッツの歴史をサラッとおさらい
■初代:革命的コンパクト、国内で欧州で高評価を獲得
トヨタ ヴィッツ(初代)
初代ヴィッツは、1999年1月に日本で発売されました。その当時のコンパクトカーは、ボンネットが長めでキャビンが後方に追いやられているようなフォルムのものも多かったなか、ヴィッツはノーズからルーフまで滑らかにつながるワンモーションフォルムを備えており、話題を呼びました。
スタイルが革命的だっただけではなく、コンパクトカーながら広々とした室内、優れた乗り心地、クラスを超えたパンチ力のあるエンジンなど、初代にしてコンパクトカーに求められるさまざまな性能を余裕で実現していた優等生でした。
初代ヴィッツの人気は国内だけに収まらず、当初から展開されていた欧州市場でも大人気。1999-2000日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しただけでなく、2000年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーをトヨタ車として初めて受賞するなど、国内外で高い評価を得ました。
■2代目:ボディを拡大、まるっとしたフォルムがモダン
トヨタ ヴィッツ(2代目)
初代の大成功があっただけに責任重大だったのが2005年に登場した2代目ヴィッツ。ボディサイズを拡大することでよりスタイリングがふっくらとし、初代の印象を残しつつもモダンなスタイルへ進化しました。
当然、動力性能や乗り心地もグレードアップ。ボディ剛性を高めたことでサスペンションの性能を引き出し、欧州の息吹を感じさせるような適度に引き締まった快適な乗り心地を実現していました。
スポーティグレードの「RS」を継続設定したほか、本革シートなど上質な内外装を備えた「I‘ll」を新たに設定するなど、キャラクターの違うグレードがふんだんに用意されていた点も魅力的でした。
■3代目:燃費を伸ばした3代目、販売期間の長さがすごい!
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(3代目)
2代続けて人気を得たヴィッツは、2010年に3代目にモデルチェンジ。フォルムの印象こそヴィッツらしさを感じさせるものの、ロー&ワイドさを感じさせる造形になり、全幅は5ナンバーサイズのままながらサイズアップしたかのような印象を与えていました。
全長とホイールベースをさらに伸ばして室内のゆとりが向上したほか、空気抵抗の低減やアイドリングストップ機構の採用などで燃費性能を追求し、2017年の改良からはハイブリッド車も追加されるなど、エコカーとしての役割も担うようになりました。
2010年の登場に対して販売終了は2020年と、モデルライフが長めという点も3代目の特徴ではありますが、それに伴って2回も大規模なフェイスリフトを実施した点も特徴的でした。登場当初のモデルと最終型を比べるとその差は歴然。トヨタのデザイン言語の変遷を感じさせる車ともなりました。
■そして4代目でヤリスに改名!世界共通のコンパクトカーブランドに
トヨタ ヤリス
2020年に登場したトヨタ ヤリスは、実質上ヴィッツの後継車。というのも、初代から海外市場では一貫してヴィッツではなく「ヤリス」の車名が用いられてきており、4代目にして世界的に車名を統一した格好のためです。
スタイルは、フロントガラスが寝かされ、車体後部を大胆に絞り込んだフォルムとなったことで、よりパーソナルでスポーティな印象にイメージチェンジ。シャープな目つきのヘッドランプなど、これまで以上に存在感を感じさせるスタイルは、小型車ながら凄みを感じさせます。
TNGA思想に基づく新小型車向けプラットフォーム「GA-Bプラットフォーム」を初採用するなど、車体の骨格から進化を遂げたヤリスは、運転の楽しさが大幅にレベルアップしている点も特徴的です。
ヴィッツはこんなところが魅力的!厳選3選
■5人しっかり乗れるのに、狭い道も安心のコンパクトサイズ
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(3代目)
世代によってもサイズは異なるものの、ヴィッツは全車で5ナンバーサイズ。特に全長は4mを下回るサイズが維持されていますので、取り回し性能もよく駐車スペースへの収まりも抜群です。
海外では3ドア仕様も継続して販売されていたものの、2代目以降のヴィッツは基本的に全車5ドア。後席への乗り降りもしやすく、普通車ならではの余裕である5人乗りも十分にこなします。
■経済性抜群!燃費の良さや税金の安さで維持費が低い
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(3代目) エンジンルーム
コンパクトなボディサイズは軽量な車重につながり、その結果エンジンの排気量も小さめで済むので、自動車税額が低めに抑えられる点も、ヴィッツをはじめとしたコンパクトカーの大きな魅力です。
さらにヴィッツは、燃費の良さも注目ポイント。高効率なガソリン車だけでなく、3代目の途中からはハイブリッド車も追加設定がされており、車両価格の低廉さに加えて毎日のガソリン代もきっちり節約できそうです。
■スポーティなRS、シックなジュエラなどグレード展開も豊富
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(3代目) RS
さまざまなユーザーが選ぶヴィッツだけに、個性的なグレード展開が豊富な点もヴィッツの見どころです。初代から3代目まで継続設定されてきたスポーティグレード「RS」は、専用の内外装意匠やマニュアルトランスミッションで、走り重視のドライバーをも満足させる実力派です。
また、通常のヴィッツよりも上質感を重視したグレードも各世代で人気。初代の「クラヴィア」、2代目の「I’ll」、3代目の「ジュエラ」などを選べば、一味違う上質なヴィッツを楽しむこともできます。
世代別にヴィッツの燃費性能をチェックしよう!
ここからは、初代から3代目までのヴィッツの燃費情報を詳しく見ていきましょう。
カタログ燃費とともに、ユーザーが投稿した実燃費記録を詳細にまとめている情報サイト「e-燃費」のデータも参照してご紹介していきます。
■初代ヴィッツのカタログ燃費と実燃費平均
トヨタ ヴィッツ(初代)
初代ヴィッツの2004年2月時点のカタログをチェックしてみると、もっとも低燃費なのは1.3リッターエンジンにCVTとアイドリングストップシステムを組み合わせたグレードで、10・15モード燃費が25.5km/Lとなっています。現行車と計測モードが違う点に注意する必要があるものの、リッターあたり25キロ超えはかなりの低燃費です。
「e-燃費」で実燃費データをチェックしてみると、2021年11月現在、初代ヴィッツはデータ数が少なめなこともあってか、もっとも低燃費なのは1.0リッターのマニュアル車で19.32km/Lとなっています。そのほかのグレードでは、おおむねリッターあたり15キロ前後にまとまっているようです。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,640mm×1,660mm×1,500mm | |
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ホイールベース | 2,370mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 970kg | |
燃費 | 10・15モード:25.5km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリン 1,296cc | |
エンジン最高出力 | 64kW(87PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 116N・m(11.8kgf・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,320,000円(消費税抜) |
■2代目ヴィッツのカタログ燃費と実燃費平均
トヨタ ヤリス(海外仕様車 国内名:ヴィッツ 2代目)
2代目ヴィッツの2009年8月時点のカタログをチェックしてみると、もっとも低燃費なのは1.0リッターエンジンにCVTとアイドリングストップシステムを組み合わせたグレードで、10・15モード燃費が24.5km/Lとなっています。
初代でもっとも低燃費だったのが1.3リッターエンジン車であったことを考えると、2代目でもっとも低燃費なグレードは、排気量が1.0リッターながらやや燃費値が落ちている形に。ボディサイズの拡大に伴う車重の増加や、排気ガスのクリーン化などの影響が予想されます。
「e-燃費」で実燃費データをチェックしてみると、2021年11月現在、 2代目ヴィッツでもっとも低燃費なのは1.5リッターのマニュアル車で15.72km/Lとなっています。カタログ燃費でトップを飾ったアイドリングストップ機構つきの1.0リッター車は14.82km/Lとなっており、実燃費への貢献度があまり高くなかったのかもしれません。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,785mm×1,695mm×1,520mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,460mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,000kg | |
燃費 | 10・15モード:24.5km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 996cc | |
エンジン最高出力 | 52kW(71PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 94N・m(9.6kgf・m)/3,600rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,220,000円(消費税抜) |
■3代目ヴィッツのカタログ燃費と実燃費平均
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(3代目)
2代目ヴィッツの2018年5月時点のカタログをチェックしてみると、もっとも低燃費なのは1.5リッターハイブリッドで、JC08モード燃費で34.4km/Lとなっています。
10・15モードよりも厳しめの燃費値が出るとされるJC08モードでありながら、初代・2代目からは一気にジャンプアップした感のあるリッターあたり30キロ台の燃費値はさすがのハイブリッド。対するガソリン車でもっとも低燃費なのは1.3リッター車の2WD仕様で25.0km/Lと、こちらもかなり立派な数値となっています。
「e-燃費」で実燃費データをチェックしてみると、2021年11月現在、3代目ヴィッツでもっとも低燃費なのはやはりハイブリッド車で、26.62km/Lとなっています。続いて1.5リッターのマニュアル車が22.70km/Lと2位にランクインしていますが、データ数が少ないためあまり参考にならないかもしれません。
ガソリン車の実燃費としては、1.3リッターの2WD仕様が17.59km/Lでトップ。3代目ではボディサイズがさらに拡大されていることを考えれば、ガソリン車の実燃費値も代を重ねるごとに改善が進んでいることがわかりますね。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,945mm×1,695mm×1,500mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,510mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,110kg | |
燃費 | JC08モード:34.4km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリンハイブリッド 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 54kW(74PS)/4,800rpm | |
エンジン最大トルク | 111N・m(11.3kgf・m)/3,600-4,400rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 45kW(61PS) | |
モーター最大トルク | 169N・m(17.2kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 1,923,000円(消費税抜) |
■ヴィッツのカタログ燃費、同世代のライバルと比べてどうなの?
《画像提供:Response 》ホンダ フィット RS
3代目ヴィッツと同時期に発売されていたコンパクトカーのライバルとしては、ホンダ フィットなどが挙げられます。先ほどご紹介した3代目同様、2018年に販売されていたモデルで比較してみましょう。
フィットもハイブリッド車とガソリン車の2本立てで、特にハイブリッド車はJC08モード燃費がもっとも低燃費なグレードでは37.2km/Lと、ヴィッツのハイブリッド車を引き離す燃費性能を誇ります。またハイブリッド車に4WDの設定がある点もフィットの特徴です。
ガソリン車では、ヴィッツが1.0リッターと1.3リッターだけでなく、2017年の改良前までは1.5リッターも合わせて3種類を用意していたのに対し、フィットは1.3リッターと1.5リッターの2種類。JC08モード燃費ももっとも低燃費なグレードで24.6km/Lと、ヴィッツ同等の燃費値となっています。
■後継のヤリスは燃費オバケ!ハイブリッドは世界トップの燃費性能
トヨタ ヤリス
ヴィッツのポジションを引き継いで新たに登場したヤリスは、新プラットフォームによる軽量化やパワートレインの高効率化によって、なんとハイブリッド車が世界トップレベルの低燃費を実現するほどの低燃費モンスターとなっています。
ここまでのご紹介で用いてきた10・15モードやJC08モードよりもさらに厳しく、より実燃費に近い数値が出やすいとされるWLTCモードにおいて、ヤリスのハイブリッド車でもっとも低燃費なグレードは36.0km/Lと圧倒的な燃費値を記録。
この燃費値は、現在販売されているアクアやプリウスといったハイブリッド専用車を超えているほどです。
カタログ燃費だけ良いのではなく、実燃費でもリッター30キロ台が普段通りの運転で狙えるというほど。e-燃費のデータを見ても、2021年11月現在、実燃費平均は30.39km/Lと驚異的な数値を叩き出しています。
まとめ
《画像提供:Response 》トヨタ ヴィッツ(2代目) RS
歴代ヴィッツの燃費情報をご紹介してきました。
販売が終了した今でも高い知名度と人気を誇るヴィッツだけに、中古車探しもかなり容易。在庫台数が多めなので、お好みのグレードやボディカラーの車両を探しやすくなっています。
最終型となった3代目モデルもお値段はかなりこなれてきており、運転免許を取ったばかりの方の初めての車として、または小回りのきくセカンドカーとして選ぶのにもぴったりですね。
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よくある質問
■ヴィッツはもう売ってないの?いつまで売ってたの?
トヨタ ヴィッツは、2020年のフルモデルチェンジを機に、海外仕様車名として用いてきた「トヨタ ヤリス」を国内仕様でも統一して使用するようになっています。そのため、20年以上にわたるヴィッツという車名の歴史は2020年に幕を閉じました。
■ヴィッツの中古車は安い?狙い目の世代は?
トヨタ ヴィッツは、新車時から廉価な価格設定がされていたこともあり、中古車市場でもお手頃な車両が多数見られます。特におすすめしたいのは最終型となる3代目モデルで、現代的な装備が充実しているだけでなく、9年と長期間にわたって販売が続いたこともあり、在庫車両が豊富な点もポイントです。