「ワゴンもあーる」のシャレが大ヒット?!「スズキ ワゴンR」
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ
スズキの主力車種として非常に高い知名度を誇るのが「スズキ ワゴンR」です。
近年では販売台数ランキングの上位をスーパーハイトワゴン系車種に譲ることも多かったものの、抜群のユーティリティ性とお求めやすい価格を両立しているワゴンRは、多くの軽ユーザーを支える名車です。
現行型のワゴンRは2017年に登場した6代目モデルで、多くのグレードをマイルドハイブリッド仕様とすることで燃費性能に磨きをかけるなど、環境意識の高まりにもしっかり対応したモデル。
もちろんワゴンRらしく細やかな気配りのきいた室内の使い勝手も抜群ですし、後席足元などはゆったりと足が組めるミニバン級の空間が備わっており、スーパーハイトワゴンじゃなくてもこんなに広いのか!と驚いてしまうほどです。
派生車種としてワゴンRスマイルが追加されたこともあり、にわかに注目度が高まっているワゴンR。愛車として検討するなら、やはり気になるのはその燃費性能ですよね。
この記事では、カタログ燃費や実燃費をチェックしつつ、ライバル車種との比較なども通して、ワゴンRの燃費情報を詳しくご紹介していきます。
■ワゴンR登場前夜、軽はガマンが多かった!
スズキ 歴代ワゴンR(手前から初代、2代目、3代目)
今でこそ軽自動車は全高が高めのユーティリティ性を重視したハイトワゴンタイプやスーパーハイトワゴンタイプが定番となっていますが、1993年にワゴンRが登場する前夜、80年代後半から90年代前半の軽自動車市場の主力はセダンタイプの車種でした。
ワゴンR登場前夜にセダンタイプで代表的だったスズキの車種は、1988年に登場していた3代目アルトで、先代比でホイールベースを伸ばすなど室内空間拡大の努力は見えたものの、乗員のゆとりや荷室スペースの余裕は「そこそこ」にとどまっていました。
室内が広い軽としては、商用バンベースのキャブオーバーワゴンがあったものの、エンジンレイアウトの都合からフロア高が高く乗り降りがしにくかったり、乗り心地面で乗用車の快適性に劣るなどのデメリットも。当時の軽自動車選びは、快適性と室内の広さ、どちらかを選ぶしかない状況でした。
そんな軽自動車業界に革命を起こしたのが1993年に登場した初代ワゴンR。全長と全幅とホイールベースは当時のアルトと共通ながら、アルトよりも200mm以上も全高を高めたことで、これまでにない室内の広さを手に入れていました。
さらに、乗用車系のシャシーを用いたことでフロアは低く、シートを格納すれば広大な荷室アレンジも可能と、軽自動車の利用シーンを大いに広めたワゴンRの万能性は、驚きを持って市場に迎えられました。
「セダンもあるけど、ワゴンもあーる」という駄洒落のような車名で登場したワゴンRは、たちまち大ヒット。その衝撃の大きさは、軽自動車の定番がハイトワゴンタイプに移行したほどでした。
ワゴンRの多すぎる魅力ポイント、4点にまとめました
■雰囲気別に3バリエーション!あなた仕様がきっと見つかる
スズキ ワゴンR(左:ハイブリッドFZ、中:ハイブリッドFX、右:スティングレー)
ワゴンRは、親しみやすい表情の「標準系」、人気だった2代目のスポーツグレード、RRを彷彿とさせる「FZ系」、縦型ヘッドランプが斬新な「スティングレー系」と、雰囲気別に3バリエーションを用意する幅広いラインナップが特徴的です。
どのグレードも充実の装備が特徴的なので、内外装の好みで選んでも問題なし。選べるボディカラーがグレードごとに異なる場合もありますので、お好きな色を先に決めるグレード選びも楽しいかもしれませんね。
■マイルドハイブリッドで軽ワゴンNo.1の低燃費
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFX エンジンルーム
自然吸気エンジンとマイルドハイブリッドの組み合わせでは、WLTCモード燃費が25.2km/Lという低燃費性能を実現しており、この燃費値は軽ワゴン車としてNo.1だそう。
スペースやコスト面での制約も多い軽自動車ながら、リチウムイオンバッテリーとISG(モーター機能付発電機)の組み合わせによるマイルドハイブリッドが幅広いグレードに装備されているので、いつも通りの運転でこれまで以上のエコ運転ができることでしょう。
■外見から想像できないほど広い!ゆとりの室内空間
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ インテリア
こちらも軽ワゴン車としてNo.1という2,450mmの室内長は、車内に乗り込むとすぐわかるほどの余裕です。特に後席足元は大型セダンやミニバンを思わせる広さがあり、足を組んでもまだまだ余裕なほど。
また後席は、左右独立でスライドとリクライニングができるので、乗員の好みに合わせたり、荷室容量とのバランスを取ることも自由自在。ワンタッチでフラットに格納できる後席によって、かさばる荷物の収納もお手のものです。
■細やかな気遣いがうれしい、工夫いっぱいの室内装備
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFX アンブレラホルダー
ワゴンRの室内空間は、細やかな気遣いが感じられる便利な装備がたくさん。中でも注目は、両側のリヤドアに内蔵されたアンブレラホルダーでしょう。雨の日の運転で、傘の置き場所に意外と困った経験がある方も少なくないと思います。このアンブレラホルダーは、雨水を車外に排出する構造になっているなど、なぜ他の車種にも普及しないのか不思議なほどの便利装備です。
そのほかにも、手の届きやすいところにちょうどいいサイズの収納が数多く用意されているので、車内の整頓も楽々。ただ広いだけでなく、しっかりと活用できる空間がワゴンRの大きな魅力です。
スズキ ワゴンRのスペックはこちら
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,650mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,460mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 790kg | |
燃費 | WLTCモード:25.2km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンハイブリッド 657cc | |
エンジン最高出力 | 36kW(49PS)/6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 58N・m(5.9kg・m)/5,000rpm | |
モーター種類 | 直流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 1.9kW(2.6PS)/1,500rpm | |
モーター最大トルク | 40N・m(4.1kg・m)/100rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,292,000円(消費税抜) |
スズキ ワゴンRの燃費情報を総まとめ!おすすめグレードは?
スズキ ワゴンRスティングレー
ワゴンRの魅力をご紹介してきましたが、やはり実際に購入を検討する際に気になるのは燃費性能ですよね。ここからは、ワゴンRの燃費性能を詳しく見ていきましょう。
まずは、カタログ燃費値です。新車販売されるすべての乗用車のカタログに表示されている「WLTCモード燃費」を確認することによって、おおよその燃費性能を把握することができます。
現行モデルのワゴンRのWLTCモード燃費は、意外とバリエーションが多く、自然吸気とターボのエンジン種別、2WDと4WDの駆動方式の違い、ハイブリッドの装備有無、さらに最廉価グレード限定の5MT仕様と、どれも細かく差異が見られます。
もっとも低燃費なのは、マイルドハイブリッド仕様の自然吸気エンジンに2WDとCVTを組み合わせたモデルで、WLTCモード燃費で25.2km/Lを記録しています。
最廉価グレード限定とはなるものの、マイルドハイブリッドを装備しないガソリン車も健闘しており、2WDと5MTの組み合わせでは24.8km/L、2WDとCVTの組み合わせでも24.4km/Lとなっています。
スティングレー限定となるターボ車も、マイルドハイブリッドの影響か意外と燃費値の落ち込みは少ない印象で、CVTと2WDを組み合わせたモデルでは23.4km/Lとなっており、こちらは軽ワゴンのターボ車としてNo.1の低燃費とされています。
スズキ ワゴンRのカタログ燃費まとめ表
ハイブリッド車 | 自然吸気 CVT 2WD |
自然吸気 CVT 4WD |
ターボ CVT 2WD |
ターボ CVT 4WD |
---|---|---|---|---|
WLTCモード燃費 | 25.2km/L | 24.2km/L | 23.4km/L | 21.8km/L |
市街地モード(WLTC-L) | 23.0km/L | 22.3km/L | 20.0km/L | 18.8km/L |
郊外モード(WLTC-M) | 26.5km/L | 25.1km/L | 25.0km/L | 23.3km/L |
高速道路モード(WLTC-H) | 25.4km/L | 24.5km/L | 24.2km/L | 22.4km/L |
ガソリン車 | 自然吸気 2WD 5MT |
自然吸気 2WD CVT |
自然吸気 4WD 5MT |
自然吸気 4WD CVT |
---|---|---|---|---|
WLTCモード燃費 | 24.8km/L | 24.4km/L | 23.0km/L | 23.2km/L |
市街地モード(WLTC-L) | 20.9km/L | 20.2km/L | 19.8km/L | 19.6km/L |
郊外モード(WLTC-M) | 26.8km/L | 26.2km/L | 24.6km/L | 24.8km/L |
高速道路モード(WLTC-H) | 25.6km/L | 25.5km/L | 23.6km/L | 24.1km/L |
■スズキ ワゴンRでもっとも低燃費なのはどのグレード?
スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ
WLTCモードによるカタログ燃費では、もっとも低燃費なのはマイルドハイブリッドの自然吸気エンジンに2WDとCVTを組み合わせたモデルで、25.2km/Lの燃費値を記録しています。
軽ワゴンNo.1というこの燃費値は、ワゴンRの広々とした車内空間を思えばかなりの低燃費。ハイトワゴンタイプながら2WD仕様では700kg台という軽量な車重も好影響をもたらしたものと思われます。
そのほかのパワートレインの組み合わせでも、ターボの4WD仕様も含めて全車でリッター20キロ台に乗せており、スズキの高い技術力が感じられますね。
最廉価グレードとなる「FA」限定とはいえ、近年ではスポーツカーも含めて設定が激減しているマニュアルトランスミッションが選べる点はワゴンRの隠れた特徴。マイルドハイブリッドを備えないながら2WDと5MTを組み合わせた仕様で24.8km/Lと、こちらも優れた低燃費性能を誇ります。
■実オーナーが投稿!スズキ ワゴンRの実燃費データまとめ
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ インテリア
カタログ燃費が優秀でも、現実世界における実燃費が伸びなくては意味がないというもの。そこでしっかり確認しておきたいのが、実オーナーが投稿した燃費記録をまとめている情報サイト「e燃費」のデータです。
2021年11月現在、現行モデルのワゴンRの実燃費平均値を確認してみると、もっとも低燃費なのはマイルドハイブリッドの自然吸気エンジンに4WDを組み合わせたモデルで24.41km/L、ついで自然吸気エンジンに4WDと5MTを組み合わせた仕様で23.64km/L、同2WD仕様で23.24km/Lと続きます。
4WD仕様の実燃費平均が2WDのそれを上回っている結果となっていますが、全体に現行モデルのワゴンRはデータ提供数が少なめで、さまざまなユーザーの利用シーンを網羅した実燃費平均としては信頼性が不足している印象もあります。
多くのグレードでリッターあたり20キロ前後が、実燃費のひとつの目安といえそうです。
■スズキ ワゴンRのカタログ燃費、ライバル車と比べるとどうなの?
ダイハツ ムーヴカスタム
ワゴンRと長年シェア争いを繰り広げているライバル車種といえば、ダイハツ ムーヴ。全体のフォルムはワゴンRよりも丸みを帯びた印象で、サイズはワゴンRと近いのに、見た目の印象は意外とはっきり異なります。
ムーヴはマイルドハイブリッドやマニュアルトランスミッションなどのバリエーションはなく、自然吸気エンジンとターボエンジン、2WDと4WDの組み合わせのみです。
ムーヴのWLTCモード燃費をチェックしてみると、自然吸気の2WD仕様が20.7km/L、同4WD仕様が20.0km/L、ターボの2WD仕様が19.5km/L、同4WD仕様が18.8km/Lとなっており、どのバリエーションでもワゴンRに大きく劣る燃費値となっています。
■スズキ内に刺客あらわる!「ワゴンRスマイル」も燃費良好
スズキ ワゴンRスマイル
2021年9月に突如登場したスライドドア装備のワゴンR派生車種が「ワゴンRスマイル」です。スーパーハイトワゴン風のフォルムながらちょっぴり低めの全高で、ワゴンRとスペーシアの中間の立ち位置になるモデルです。
デザインも含め、既存のワゴンRとの共通性はあまりありませんが、使い勝手の良さはワゴンRファミリーならでは。ほとんどのグレードで両側電動タイプとなるスライドドアは、狭い場所での乗り降りなどで抜群の使いやすさです。
そんなワゴンRスマイル、全車で自然吸気エンジンとCVTの組み合わせながら、マイルドハイブリッドを装備したグレードでは非常に優れた低燃費が自慢。WLTCモード燃費はマイルドハイブリッドの2WD仕様で25.1km/Lと、ワゴンRには及ばないものの、クラスとしては十分以上の低燃費を実現しています。
まとめ
《画像提供:Response 》スズキ ワゴンR ハイブリッドFX
スズキ ワゴンRの燃費情報を詳しくご紹介してきました。
スズキを代表する車名のひとつであるワゴンRだけに、その魅力はまさに全方位的。室内の使い勝手、走行性能、乗り心地だけでなく、燃費性能までしっかりと追求されているので、毎日の相棒にぴったりですね。
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よくある質問
■ワゴンRが軽で一番売れてるって本当?
2021年10月の新車販売台数データを参照すると、前月6位だったスズキ ワゴンRが突如1位に躍進しています。これはワゴンRという車名のカウントに含まれる派生車「ワゴンRスマイル」が9月に登場したことによる影響が大きいとされます。ワゴンRが販売台数ランキングで1位を獲得するのはおよそ7年ぶりです。
■ワゴンRはいつから売ってる車なの?
スズキ ワゴンRは、初代が1993年に登場しました。当時の軽セダンであるセルボモードなどとメカ面を共有しつつ、乗員の目線を高めた新鮮な使い勝手で好評を得て、登場当初から大ヒット車となりました。現在販売されているワゴンRは2017年に登場した6代目モデルです。