電気自動車(EV)と燃料電池自動車(FCV)の違いは?
クルマの“脱石油”技術として注目されている電気自動車(EV)と燃料電池自動車(FCV)比較して、どのような特性の違いがあるのか、実際の車をみながら考えてみましょう。
■エネルギーの補給はどちらが便利?
クルマ単体として見た場合、普通のエンジン車と同じような使い方ができるのは燃料電池車のほうです。トヨタの新型燃料電池車の場合、満タンぶんの水素5kgの燃料補給にかかる時間は前後の操作を除いて約3分で完了します。一方、電気自動車の場合は急速充電でも30分くらいかかります。
このため燃料電池車はガソリンスタンドのように水素ステーションが充実すれば、これまでのエンジン車と同じように燃料の充填をする事ができるようになります。
ただし現時点では水素ステーションの整備が十分ではないため、時間はかかるが自宅で充電ができる電気自動車の方が圧倒的にエネルギー補給が容易です。
日産の電気自動車 リーフ
現在普及が進んでいるのは日産のリーフです。航続距離228キロです。普及には充電場所がさらに必要と言われていますが、モーター特性によるアクセルレスポンスの良さや重量バランスが良いので走行が静かで早いのです。
日産の開発者は人間の感覚に近い動きを実現したと言っています。試乗している人も走りが気持ち良い、と操作と車の動きが極めてスムーズで反応が良いことがこの気持ちの良い感覚を実現しています。
運転が苦手な人でも運転が上手くなったと思うほどスムーズは走りが実現可能です。
■日産リーフ、人気のヒミツ
人気の秘密は電気自動車にかかる電気代は同クラスのガソリン代に比べて安価になります。ほとんどの方が自宅充電にしています。日産リーフで実燃費20キロ/ 1リットルなので軽自動車を含めたほとんどの乗用車より高燃費なのが特徴です。
電気自動車のバッテリーはリチウムイオンバッテリーというものを搭載しています。これは2次電池と言って繰り返し充電が可能な電池です。スマホにも採用されています。これは高価ですが軽く小さく、出力も高いのです。
なので車両も軽くなり高燃費が実現できるのです。
■日産 リーフ。実際に走行した感想は?
では実際にEVで走行した感想ですが圧倒的に乗心地がいいのが特長です。揺れが少なく、加速も非常にスムーズです。
走るというよりは滑っているイメージでしょうか。加速も減速もガクッという振動が少なく、滑らかなのが特長です。ウイーンというエンジンの音がないため、思わず予想以上のスピードが出てしまうほどです。
エコモードを利用すると一気に電費が抑えられ、水の上に浮いて引っ張れているような感覚になります。EV車の価格はいずれも次世代車ということもあり各メーカーとも高価格です。
■これからの展望について
日産リーフ、充電中。なんだかほっこり
これからは電気自動車の充電スタンドも拡充され、EVが徐々に普及するとみられています。そしてトヨタがMIRAIというFCV車を開発しましたが、これは水素で動いて、水のみ排出するという夢の自動車です。時代は化石燃料を一切消費しない方向に世界のメーカーが向かっています。
維持費が安い、手軽にスマホのように充電できるなど多くのメリットもありますが、長距離の走行やガソリン車は5分で満タンになることに比べて充電自体の時間が急速充電でも30分も時間がかかるなど、普及に向けて課題もあります。いずれにしても日々進化を遂げているのがEV、FCV車です。
トヨタの燃料電池自動車 ミライ
燃料電池自動車のトヨタのミライは、水素を電気に変えて走行をする自動車です。走行時に排出するのは水だけで、これは水素と酸素が結びついて出来たものなため環境に優しいです。
水素の充填時間は3分で、約650キロが走行出来ます。エンジンがないため運転していても静かな走りながらも、加速はパワフルさがあり衰えていません。
ミライは名前の由来から、車と地球と子ども達の未来のための思いを込めて開発されています。1992年から考えられた技術が、ミライに詰まっています。
■燃料電池自動車(FCV)ってどうなの?
水素ステーション
水素を燃料として走る自動車と聞くと、水素って大丈夫?と思う人もいるはずです。しかし検証を行った結果、ガソリン車と同じ安全性を立証しています。
それは無味無臭で可燃性があり、空気に拡散しやすいからです。また二酸化炭素を一切出さないため、地球に究極に優しいエネルギーになっています。安全性は分かっても、水素ステーションはどこにあるのと第一に思う事でしょう。
東京を中心とした大都市に広がっていて、現在では北は宮城県から南は大分県まで全国に設置されています。今後も各地に設置場所が、広がっていきます。
■ミライ、実際に走行した感想は?
実際に走行してみると驚異な滑らかな走行で、これはレクサスLS以上の快適な乗り心地である事が分かります。柔らかいサスペンションで、試乗した日が雨でしたが路面が濡れていても安定走行が出来ています。
ミライは公用車としては運用はするレベルには達していますが、一般ユーザーには価格が補助金込みで500万円であるため大衆車向けです。実用性は水素の価格が1188円/Kgで1キロあたり8.5円になり、ハイブリッド車に換えると17.6キロの燃費で一般向けにはまだまだ難しいのが現実です。
三菱 i-MiEV
i-MiEV(アイミーブ)
三菱i-MiEVは軽自動車をベースにしたEV、電気自動車です。
2010年の発売以来すでに6年を経過していますが、その魅力は衰えていません。
発売当初から高い評価を得ていた斬新なエクステリアデザインや乗り心地などの快適性、EVでありながらドライバーを楽しませることを追求したチューニングなど、現在の軽自動車と比較してもそのドライビンクプレジャーはかなり優れています。
唯一欠点としてあげるとすれば、ラゲッジスペースが不足気味なことですが、フル乗車しなければ気にならないでしょう。
■気になる充電スポットは?
i-MiEVは電気自動車ですので、ガソリンスタンドではなく充電スポットで充電しなければなりません。
またi-MiEVの航続距離は一充電では172kmがメーカー公表値となっていますので、長距離ドライブよりは市街地での短距離ドライブを得意としています。
充電スポット情報が記録された専用のカーナビを装着すれば、ポイントを見つけることは難しくありませんし、スマートフォンなどでも充電スポット情報は検索できます。
一定のエリア内での使用が多いのであれば、あまり気にすることなく普段使いできます。
■どういう人がi-MiEVに向いてるの?
i-MiEVはベースが軽自動車のEVです。もともと街乗りが主体の軽自動車ですからスポーツカーのような走行性能を高次元で求める必要はありません。しかし、i-MiEVの開発者はエコカーとしての魅力ではなく、車としての魅力を高めることを重視しました。
他の軽自動車と同じ出力しかないモーターですが、その回転の上がり方やサウンドには、独特の高揚感をもたらすチューニングが施されています。
乗心地も発売当初は軽の水準を遥かに超えたと評価され、今でも色あせません。価格はややお高い感はありますが、発売から6年経過したモデルとは思えないレベルです。
■EVの進化はまだまだこれから
i-MiEVが発売された頃から比べ、EVは大きく進化しました。競合する他社もEVを発売し、航続距離も伸びました。私達ユーザーの選択肢も広がりました。
ハイブリッド車はEVやFCVなど究極のエコカー普及までのつなぎであると言われていますが、EVはその航続距離と充電インフラの整備が、車両普及のための大きな課題とされています。
一社一車種で社会を動かすことは並大抵のことではありませんが、i-MiEVはEVの魁として十分その使命を果たしてきました。これからもシティコミューターとしてEVの可能性を広く知ら示す存在であるでしょう。