リセールバリューが高い車の特長
《画像提供:Response》《撮影 中野英幸》メルセデスベンツ Gクラス 新型
■高い車でも高く売れれば、結果的に支出は少なくなる
リセールバリューとは、購入した車を売却(リセール)する時の価格(バリュー)です。
中古車は限界が来るまで乗りつぶして終わり、と考えている方も多いかもしれませんが、車は他の一般消費財とは異なり、中古でも購入したい人が常にたくさんいるため、いつでも売却する事が出来ます。
そのため車を買う時には、購入時の価格だけでなく売却時の価格まで考えて、車を選ぶのが賢明です。
例えば、300万円で買って5年乗って150万円で売れる車と、500万円で買って5年乗って450万円で売れる車は、どちらが得でしょうか。
購入価格が安くても、売却価格との差が大きければ、たくさんのお金を使う事になります。
購入価格が高くても、売却価格との差が小さければ、一時的にはたくさんのお金を使いますが、売却時にほとんど戻ってくるため結果的にはあまりお金を使わずに乗れた事になります。
長い目でなるべくお金を減らさずに車に乗るには、購入価格と売却価格の差が小さい、リセールバリューの高い車を選ぶ必要があります。
■価値の高い車とは人気(需要)に対して玉数(供給)が少ない車
《画像提供:Response》シボレー コルベット Z06
では、リセールバリューの高い車の条件とは一体何なのでしょうか。
車に限らず、モノの価値は需給バランスで決まります。
需要に対して供給が少なければ、取り合いになるので価値は上がって価格が高くなり、多ければ余るので価値は下がって価格が安くなります。
リセールバリューの高い車は、人気(需要)に対して玉数(供給)が少ない車です。
人気がある車とは、その車しか持っていない独自の魅力や特長があり、価格が高かったり新型モデルがあったり年式が古かったりしても、その車を欲しがる人が常に一定数いるような車です。
玉数が少ない車とは、既に生産終了して新たな供給がなく、元々生産台数が少なかったり、海外輸出や事故や廃車で台数が減ったりして、市場にある台数が限られていて今後も減っていくような車です。
多くの車は、新車販売時は人気で需要が多くても、新型モデルや競合車種の登場により年数の経過と共に需要が減って価格が下がっていきます。年式が古くなると、価格の安さ以外であえてそのモデルを選ぶ人が少なくなり、供給が余るので価格は下がる一方で、最終的に売却価格は0円になります。
一方リセールバリューの高い車は、新車が販売されている間は年数の経過と共に価格が下がっていきますが、安定した人気があるのである程度の価格で下げ止まり、さらに年数が経過して台数が減ってくると今度は価格が上がっていきます。
こういった車は、人気は変わらず玉数は減っていくので、自然な流れで価値が上がっていくのです。
では、リセールバリューの高い車は例えばどんな車でしょうか。需要>供給の条件に当てはまる車種のおすすめを5台を紹介します。
リセールバリューが高い車おすすめ5選
■日産 フェアレディZ(Z32)
《画像提供:Response》〈写真撮影:雪岡直樹〉日産フェアレディZ Z32
新型フェアレディZのモチーフにもなった車
日本が世界に誇る名車、フェアレディZです。
日産を代表するフラッグシップモデルとして、日産 スカイラインGT-Rと並んで長く多くの人に愛され、ポルシェ 911と並び同じ車名で半世紀以上生産されている数少ない車です。
2022年に新型モデル(RZ34)が発売され、注文が殺到したため2022年7月末で受注を一旦停止して話題になりました。
その新型Zは、人気が高かった歴代モデルの特徴的なアイコンを再現している事も有名で、ヘッドランプは初代(S30)、テールランプは4代目(Z32)をモチーフにデザインされています。
今や世代を問わず人気が高くなった
《画像提供:Response》〈写真撮影:雪岡直樹〉日産フェアレディZ Z32
そんな新型Zのモチーフにもなった4代目(Z32)は、歴代Zの中でも少し特別な存在で、当時乗っていた人や当時憧れていた人、当時を知らない若者まで幅広い世代に今でも愛される人気の高いモデルです。
4代目(Z32)は、ユーノス ロードスター(NA)やスカイラインGT-R(R32)など日本に数多くの名車が誕生した「ヴィンテージイヤー」と呼ばれる1989年に登場し、2000年まで生産されました。
搭載していた3リッターのV6ツインターボは国産車で初めて280馬力を達成し、少し後に登場したスカイラインGT-R(R32)と共に国内最高クラスのパフォーマンスを発揮しました。
エンジンはターボ/自然吸気、ボディは4シーター/2シーター、ミッションはMT/AT、その他TバールーフやスーパーHICASなど様々な組み合わせのグレードがあり、好みに合わせて選べるのも魅力です。
デビュー当時の新車価格はベースグレードで330万円、最上グレードで440万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で102台、価格は主に走行距離とグレードによって70万円~598万円とかなりバラつきがあり、平均価格は222万円となっています。
人気の条件で「10万km以下、修復歴なし、MT」で絞ると、全国で25台、価格は145万円~579万円でした。(中古車情報参考:2022年10月時点 グーネット調査)
走行距離が少なく状態の良い車両は既に新車価格を超えているため、今後も平均価格がジワジワと上がってくるでしょう。
■ホンダ NSX(NA1・NA2)
《画像提供:Response》〈写真提供:ホンダ〉ホンダ NSX 初代(1990年)
国産のスーパーカー
日本が世界に誇る国産スーパーカー、NSXです。
ここでは、2017年から2022年まで生産された二代目NSX(NC1)ではなく、1990年から2005年まで生産された初代NSX(NA1・NA2)に注目します。
NSXもヴィンテージイヤーの1989年に登場した名車の一台で、フェラーリやポルシェに対抗できるスーパーカーを日本から生み出そうと、ホンダが最先端技術を結集して開発した渾身の一台です。
量産車として世界初のオールアルミモノコックボディをはじめ、エンジン、シャシー、足廻り、シートの構造部材に至るまでアルミ合金を多用し、大幅な軽量化を実現しています。
エンジンは、3リッターの自然吸気V型6気筒DOHC VTECエンジンをミッドシップに搭載し、圧倒的なパフォーマンスと操縦性を高い次元で両立しています。
中古価格はもはや新車価格よりも高くなってきた
《画像提供:Response》〈写真提供:ホンダ>ホンダ NSX 初代(1990年)
ホンダはもちろん国産車の最高峰と言っても過言でなく、車好きで一度もNSXに憧れたことがない人はいないといってもいいかもしれません。
デビュー当時の新車価格はMTモデルが800万円、ATモデルがで860万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で65台、価格は主に走行距離とミッションによって609万円~2,490万円とバラつきがあり、平均価格は1,023万円となっています。
人気の条件で「10万km以下、修復歴なし、2001年以前(前期型)」で絞ると、ATは全国に13台で798万円~1,280万円、MTは全国に25台で1,580万円~2,490万円でした。(中古車情報参考:2022年10月時点 グーネット調査)
やはりMTの方が人気ですが、あまりに価格差が大きいので現実的な選択肢としてATも多くの需要があります。
走行距離が少なく状態の良い車両は新車価格を大幅に超え、全体的にもこの十年で明らかに平均価格が上がっているので、今後もさらに希少価値が増して上がり続けるでしょう。
■BMW M3(E46)
《画像提供:Response》BMW M3(E46)
「シルキーシックス」を搭載する最後のM3
「駆け抜ける歓び」を謳うBMWが、F1で培った技術を注ぎ込んで開発したハイパフォーマンスモデルがM3です。
歴代M3の中でも、伝説的名車の呼び声高く圧倒的な人気を誇っているのが、2000年から2006年まで生産された3代目M3(E46)です。
なぜ3代目M3(E46)が特別かと言うと、BMWの代名詞とも言える「シルキーシックス」を搭載した最後のM3だからです。
シルキーシックスとは、BMW特有の絹のように滑らかな回転フィーリングを持った直列6気筒エンジンで、エンジンメーカーのルーツを持つBMWのアイデンティティでもあります。そのシルキーシックスの集大成であり最高峰の3.2リッターの自然吸気直6エンジンを搭載したE46は、単純な速さだけでなく唯一無二のエンジンフィーリングで多くの車好きを魅了します。
台数はかなり少ない
《画像提供:Response》BMW M3(E46)
デビュー当時の新車価格はMTが800万円、SMGIIと呼ばれるセミATが843万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で22台、価格は主に走行距離とミッションによって250万円~570万円の幅があり、平均価格は396万円となっています。
人気の条件で「10万km以下、修復歴なし、MT」で絞ると、全国で3台、価格は525万円~569万円でした。(中古車情報参考:2022年10月時点 グーネット調査 )
今回紹介する車種の中でも特に人気に対して台数が少なく、今後も間違いなく希少価値とともに価格が高くなるでしょう。
■アストンマーティン DB9
《画像提供:Response》〈撮影:宮崎壮人〉アストンマーティン DB9カーボンブラック
あのスパイ映画で有名なアストンマーティン
007の愛車として、車好きなら誰もが一度は憧れるイギリスのハイエンドブランド、アストンマーティンのDB9です。
歴代DBシリーズの中でも、この上なく流麗で迫力のあるスタイリングを持つDB9は、ハイパフォーマンスと快適性を兼ね備えた、紳士のための上品なグランドツーリングカーです。
イギリス本国で職人の手で一台ずつ丁寧に手作りされる、オールアルミ製の軽量ボディや伝統の6L自然吸気V型12気筒エンジン、オーダーメイドのインテリアなど、最高級の素材とクラフトマンシップで生み出された至高の一台です。
フェラーリやランボルギーニとはまた志向の違った、静かに圧倒的な存在感を放つDB9をさりげなく紳士的に乗りこなす、そんなライフスタイルも素敵ですね。
今は「お買い得」、今後は上がる可能性大
《画像提供:Response》〈撮影:宮崎壮人〉アストンマーティン DB9カーボンブラック
新車価格はMTが1,795万円、タッチトロニックと呼ばれるパドルシフト付ATで1,848万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で15台、価格は主に走行距離と年式によって530万円~1,600万円の幅があり、平均価格は705万円となっています。
手頃な「10万km以下、修復歴なし、2011年以前(前期型)」で絞ると、全国で11台、価格は530万円~949万円でした。(中古車情報参考:2022年10月時点 グーネット調査)
車格ゆえに価格帯は高めですが新車価格からすればかなり割安で、後継モデルもあるため現在が底値と思われます。
モデル自体の魅力とV12エンジンの希少性から、今後価値が上がっていく狙い目の一台と言えるでしょう。
■アルファロメオ MiTo
《画像提供:Response》〈撮影:雪岡直樹〉アルファロメオ MiTo コンペティツィオーネ
アルファロメオのエントリーモデル
少しマニアックかもしれませんが、イタリアの名門アルファロメオのMiTo(ミト)です。
ベイビーアルファと呼ばれるアルファロメオのエントリーモデルとして2009年に登場し、2018年まで生産されました。
アルファロメオのフラッグシップスポーツカー「8C」、それに次ぐ「4C」と共通のデザインモチーフを持ち、全長4mのコンパクトカーとは思えない存在感を放っています。
1.4L直列4気筒DOHCターボ(155ps/MT)の「1.4ターボスポーツ」、1.4L直列4気筒マルチエアターボ(135ps/AT)の「スプリント」「コンペティツィオーネ」が標準グレードですが、おすすめは1.4L直列4気筒マルチエア16バルブターボ(170ps/MT)を搭載する最上級グレードの「クアドリフォリオヴェルデ」です。
1,250kgの軽量ボディとパワフルなターボエンジンで、スポーツカーに引けを取らないパフォーマンスを発揮しつつ、全席レザーシートやBOSEサウンドシステムで高級感もあり、高燃費と実用性も兼ね備えたバランスの良いプレミアムホットハッチです。
純ガソリンエンジンでMTの設定がある点も、今後需要が高まる一因になります。
いまが底値?今後はジワジワ上がっていきそう
《画像提供:Response》〈撮影:雪岡直樹〉アルファロメオ MiTo コンペティツィオーネ
新車価格は最下グレードで278万円、最上グレードで348万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で119台、価格は主に走行距離とグレードによって29万円~239万円と幅があり、平均価格は88万円となっています。
人気の条件で「10万km以下、修復歴なし、クアドリフォリオヴェルデ」で絞ると、全国で14台、価格は87万円~199万円でした。(中古車情報参考:2022年10月時点 グーネット調査)
モデル年式が比較的新しいので、現在が底値でまだ値上がりは始まっていない印象ですが、台数が少ないので今後平均価格はジワジワ上がっていくと思われます。
今は全体的に中古車が高い…価値が残るのは一部の車種のみ
今は全体的に中古車が高い…価値が残るのは一部の車種のみ
昨今はコロナ禍やウクライナ情勢、半導体不足、円安など様々な要因で新車の生産が遅延し、納期が長期化した事で中古車の需要が高まり、中古車の価格が全体的に上がっています。
しかしそれは市況に応じた一時的な傾向で、今後も全車種の価格が上がり続ける事はないでしょう。
ただ今回紹介したような条件の車は、車種自体の価値によって価格が上がるため、市況に関わらず今後も上がり続ける事が予想されます。
リセールバリューの高い車を選べば、購入価格とあまり変わらない金額か、場合によっては購入価格より高い金額で売却できる可能性も十分あります。
こういった車の購入と売却を繰り返してうまく乗り替えていくと、あまりお金を減らさずに色々な車に乗る事ができ、今後より自由で充実したカーライフを実現できるかもしれません。