【2023年版】世界のモーターショー スケジュールまとめ

モーターショーは、世界中の自動車メーカーが新型自動車や関連製品、コンセプトカーなどを一堂に会して催される見本市のことで、オートサロンやオートショーとも呼ばれます。

多くのクルマ好きが来場するほか、メディアからの注目度も高いため、新型自動車の発表の場として活用されています。

また、市販化を目指していないものの、今後の技術やデザインの発展を考慮したショーモデル的な自動車も数多く展示されるという点も特徴です。

なお、ここ数年は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により世界のモーターショーも延期や中止が相次ぎましたが、2022～2023年にかけて各モーターショーは久々の開催が続いています。

【開催日】2023年2月11日～2月20日

シカゴオートショーは120年以上の歴史を持つ自動車見本市で、毎年アメリカ・シカゴで開催されている全米最大級のオートショーです。2023年は、現地日程2月11日～2月20日で開催され、新型車の発表のほか、レーシングカーやスーパーカー、レトロカーなど、多数の車が展示されました。

出展した自動車メーカーは、アルファ ロメオ、アストンマーティン、ベントレー、BMW、フォルクスワーゲン、ランボルギーニ、マセラティなどのヨーロッパメーカーのほか、フォード、クライスラー、ゼネラルモーターズなどのアメリカビッグスリー、そしてトヨタ、ホンダ、日産、スバルなどの日本の自動車メーカーです。

このモーターショーでトヨタは、アメリカ市場に投入する新型ミドルクラスSUV「グランドハイランダー」を発表しました。アメリカ「Calty Design Studios」によって設計されたこの新型SUVは、3列シートを備え、大人にも充分な足元のスペースを持つサードシートと、収納力抜群の荷室を装備した車です。2列目は、ベンチシート仕様とキャプテンシート仕様が用意されており、多様なニーズに対応します。

また、フォルクスワーゲンは北米向け大型SUVのアトラス（Volkswagen Atlas）の改良版を初公開しました。新しいフロントデザインが採用され、ワイドフロントグリル、LEDヘッドランプが力強くも精悍なイメージを醸し出しており、リアには大型スポイラーが追加されています。

【開催日】2023年2月16日～2023年2月26日

インドネシア国際モーターショーは、1986年にインドネシア自動車工業会が主催する自動車展示会をルーツとするモーターショーで、インドネシア・ジャカルタで開催されることから、ジャカルタモーターショーとも呼ばれています。新型コロナウイルスの感染拡大で2020年は開催が中止されましたが、2021年から再開し、2023年も開催されました。

今回のインドネシア国際モーターショーには、2輪車を含め45ブランドが参加し、そのうち18モデルが初披露されました。初日のプレス＆VIPデーには、ジョコ・ウィドド インドネシア大統領が出席し、オープニングセレモニーとプレスカンファレンスを開催しています。

ASEAN（東南アジア諸国連合）で開かれるモーターショーは販売を目的としているものが多く、今回のインドネシア国際モーターショーでも特別ローン金利などの販売キャンペーンを実施。日本の各自動車メーカーも力を入れ、新型車をいくつも発表しました。

スズキのインドネシア生産子会社「P.T. SUZUKI INDOMOBIL MOTOR」は、最新SUVで同社としては最上位となるグランドヴィターラをインドネシアで発売すると発表。初代と2代目は日本でエスクードとして販売されていた車で、オフローダー的な力強さにスズキのスマートハイブリッド技術を搭載し、インドネシア市場の更なる展開を目指しています。

【開催日】2023年3月22日～2023年4月2日

バンコク国際モーターショーは2023年で44回目を迎えた歴史あるモーターショーで、2023年はバンコク北西郊外にある国際展示場インパクト・アリーナで開催されました。40を越えるブランドが自動車・バイクなどを展示し、前年とほぼ同程度の162万人ほどが来場。販売が非常に好調で、期間中、自動車・バイクの売り上げは前年比35.5％増となる4万5,983台でした。

タイでは日本車の販売シェアが8割～9割といわれ、日本の自動車メーカーはこぞって力を入れた展示をしましたが、より存在感を見せたのは中国系メーカーでした。100％電気自動車（BEV）をてこに販売攻勢をかけ、BYD（比亜迪汽車）、GWM（長城汽車）、MG（上海汽車傘下のモーリス・ガレージ）などの中国系メーカーが日系メーカーをしのぐ規模のブースを構えていました。

なかでもBYD REVER タイランドは、日本でも2023年中に販売が予定されている電気自動車（BEV）のハッチバックモデル、BYD ドルフィンの右ハンドル車を発売しました。ベーシックモデルとなるスタンダードレンジは、バッテリー容量が44.9kwhで航続距離は最大410kmと発表。DC急速充電に対応し、モーターは最高出力70kW、最大トルク180N・mと必用十分なスペックです。

トヨタは、ハイラックス・レボBEVコンセプト、新型プリウス、LPG対応HEVタクシーを披露しました。ハイラックス・レボBEVコンセプトは8代目ハイラックスをベースとした100％電気自動車（BEV）。LPG対応HEVタクシーは、バンコクのほとんどのタクシーが使っている、LPG（液化石油ガス）に対応した、さながら「ジャパンタクシー」です。

【開催日】2023年4月7日～2023年4月16日

ニューヨーク国際オートショーは、第1回が1900年に開催された、120年以上の歴史を持つモーターショーで、2023年は4月7日からマンハッタンのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催されました。

残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の前となる2019年と比べると出展ブランドがほぼ半数の20に減少し、展示会場も1フロアになるなど、オートショー自体の規模は縮小して開催されました。

規模縮小のなかでも前年により面積を拡大して展示されたのが100％電気自動車（BEV）。GM ボルト、フォード マッハE、フォルクスワーゲン ID.4、BMW iXM50、日産 アリア、ヒョンデ アイオニック6、キア ニロなど、各自動車メーカーが誇るBEVの試乗スペースが人気を博しました。

多国籍自動車製造会社ステランティス傘下のラム・トラックはニューヨーク国際オートショーにおいて、ブランド初のEVピックアップトラックのラム1500 REVを初公開。バッテリーの蓄電容量は168kWhを標準装備し、オプションも利用した蓄電容量は驚異の229kWh、航続走行距離は最大804kmとのこと。

韓国のヒョンデ（現代自動車）は小型電動SUV コナのアメリカ仕様車を初公開しました。アメリカ仕様車では1充電での航続走行距離で最大418km。近未来を思わせるデザインと共に話題になり、2023年中に日本市場にも導入予定とあって、反響を呼びそうです。

【開催日】2023年4月18日～2023年4月27日

上海モーターショーは、世界有数の中国自動車市場を背景に、2023年で20回を数える世界最大規模のモーターショーです。会場の面積は36万平方メートルで、東京モーターショーの会場としてもおなじみの東京ビッグサイトの9倍以上の広さを誇ります。

今年の上海モーターショーでは、EV車やBEVなど1,413台が展示され、10日間の開催で90万人以上が来場。フェラーリやランボルギーニ、ロールス・ロイスなど、ヨーロッパの超高級車メーカーから、トヨタ、ホンダ、日産などの日本勢、地元中国メーカーが新型BEVを展示の目玉に参加しました。

BYDとメルセデス・ベンツ グループの合弁会社のデンツァ（Denza 騰勢）が、トヨタ アルファードと似ているとして一部で話題になった「D9 PREMIER創始版」を発表。ビジネスユースを念頭に置いた同モデルは、シャープなデザインに力強さが加わり、十分な存在感を示していました。

レクサスは、新型高級ミニバンのレクサス LMを世界で初公開。2023年の秋ごろより日本での販売も開始される予定で、3列シートの6人または7人乗りの用意に加え、ショーファードリブンMPVを想定した4人乗り仕様もラインアップしています。乗る人すべてがゆったりとくつろげる居住空間を目指し、新しい高級感を表現しました。

英国国際モーターショーは、イギリスで開催される国際自動車工業連合会（OICA）認定の自動車展示会で、第1回は1903年に開かれた歴史あるモーターショーです。

2006年から会場がバーミンガムからロンドンに移ったため、ロンドンモーターショーとも呼ばれています。

これまで基本的には2年に1度、偶数年に開催されてきましたが、世界金融危機などもあって近年は中止される年も多くなっています。ちなみに前回は2021年7月16日～7月18日に開催されました。

隔年の開催であれば2023年は開催されるかもしれませんが、執筆時点では公式の情報は見つけられませんでした。

モスクワ国際モーターショーは、偶数年に隔年で開催されてきた国際自動車展示会で、地元ロシアのブランド LADA（ラーダ）に関する充実した展示ブースと、プレスカンファレンスが楽しめることでも有名です。

2020年の開催は中止になり、2016年と2018年の開催はEUをはじめとした西側諸国との政治的な対立もあって、西ヨーロッパやアメリカ、日本の各自動車ブランドがショーに参加していません。

ウクライナ情勢で揺れるロシアで、2023年は開催されるのか、執筆時点では情報を見つけられませんでした。

【開催日】2023年9月13日～2023年9月24日

北米国際自動車ショーは、NAIASが主催する世界5大モーターショーのひとつで、自動車産業が盛んなアメリカ・デトロイトで開催されることから、デトロイトモーターショーとも呼ばれています。2023年は上記日程で開催予定です。

前回開催の2022年北米国際自動車ショーでは、キャデラックブランドとして初となるEV車のリリックや、フォードで初となるEVピックアップトラックのF-150ライトニングが出展されるなど、EVやPHEVに注目が集まるオートショーとなりました。

今年2023年は、参加ブランドが前回の2倍になり、トヨタやレクサスなど合計35ブランドが参加。複数の新型車も発表されており、引き続き大きな注目を浴びるモーターショーとなりました。

【開催日】2023年9月5日～2023年9月10日

ミュンヘンモーターショーとしても知られる「IAAモビリティ」は、世界5大モーターショーのひとつに数えられるヨーロッパ最大規模の国際的なモーターショーです。

2019年までドイツのフランクフルトで開かれていたことから、これまでフランクフルトモーターショーと呼ばれてきました。しかし、「IAAモビリティ2021」から会場を同じドイツのミュンヘンに移し、モビリティ全体に焦点を当てる内容にリニューアルされ、以降は「IAAモビリティ2023（ミュンヘン・モーターショー）」と呼ばれています。

前回2021年の開催では、世界95か国から40万人が来場し、744社が出展、936名の講演が実施されました。今年2023年も、メッセ・ミュンヘンを利用するサミット会場と、旧市街の街並みを活用した屋外展示場のオープンスペースの「2会場」構成の特徴を活かしたモーターショーを開催。自動車だけでなく、自転車、都市計画、新しいアイデアやデジタルサービスなど、幅広くモビリティを対象としたモーターショーとなりました。

【開催日】2023年10月5日～10月14日（一般公開は7日～14日）

ジュネーブ国際モーターショーは、サロン・アンテルナショナル・ド・ロトとも呼ばれ、スイスのジュネーブで毎年開催されている大規模国際自動車見本市です。

1905年に開始されたこのモーターショーは、世界5大モーターショーのひとつに数えられていましたが、他のモーターショーと同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2020年から中止。今年2023年は2月の開催が発表されていましたが、2022年8月にジュネーブモーターショー2023を中止すると発表されました。

その代わり、2023年11月に姉妹イベントとなるカタールドーハでのモーターショーが予定されています。ジュネーブ国際モーターショーがカタールで開催されるのは今回が初めて。主催団体による2022年8月の発表によれば、今後カタールでのイベントは2年ごとに開催する予定とのことです。

また、2023年7月に追加された情報では、ジュネーブ・モーターショーがサポートする形で開かれる今回のモーターショーは、「GIMSカタール」という名称となり、ドーハ・エキシビション・アンド・コンベンションセンターをメインに、合計4会場で開催されます。

ちょうど、2023年10月6〜8日には、同じドーハのルサイル・インターナショナル・サーキットで、F1第18戦「カタールGP」が開催されるため、これに併せて開かれる「GIMSカタール」は大きな注目を集めることが予想されています。

参加ブランドは、ランボルギーニをはじめとした30ブランドとなる予定で、GIMSの公式SNSなどで詳細が発表されていくようです。

「FIFAワールドカップ カタール2022」でも大いに注目を集めたカタール。改装されたドーハのエキシビション・アンド・コンベンションセンターを最大限に活用し、ラグジュアリー、スポーツ、クラシックなど、自動車のあらゆる魅力を展示するモーターショーに期待が高まります。

【開催日】2023年10月26日～11月5日

東京モーターショーは、世界5大モーターショーのひとつで、国内自動車メーカーだけでなく、海外自動車メーカー、各種部品やタイヤメーカーなども参加する大規模な国際見本市です。

2023年から、モビリティの枠を超えた新しい仲間を募り、名称を「JAPAN MOBILITY SHOW 2023 （ジャパンモビリティショー）」として開催することが発表されています。

開催期間は上記のとおりですが、10月26日はプレスデーとオフィシャルデー（開会式等招待者）、10月27日は特別招待日とプレビューデーのため、一般公開は10月28日から11月5日となります。会場は東京ビッグサイト全館（東/西/南展示棟）です。

第47回として予定されていた2021年の東京モーターショーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で完全中止となり、2023年に無事開催されれば2019年以来となります。

ベトナムモーターショーはベトナム最大の自動車見本市で、前回2022年はトヨタやホンダなどの日本勢に加え、アウディ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンといった14ブランドが集結。しかし2023年は自動車市場の需要低迷を受け、今のところ開催されない見通しのようです。

これは業界筋の話として2023年3月にVNエクスプレスが伝えたもので、執筆時点では主催団体であるベトナム自動車工業会（VAMA）からの公式な中止の発表はありません。

【開催日】2023年10月31日～11月3日

SEMAショーは、米国自動車用品工業会（SEMA）が主催する世界最大規模のアフターパーツトレードショーで、世界中のカスタムパーツメーカーやバイヤー、自動車メーカーが一堂に会する展示会です。

日本におけるカスタムカーイベントといえば、第一回開催が1983年の東京オートサロンが有名ですが、アメリカ・ラスベガスで開かれるSEMAショーははるかに長い歴史を持ち、1967年から開催されています。

アフターパーツを駆使したカスタムカーが所狭しと展示されるSEMAショーでは、そうそうお目にかかれない車たちに出合えます。

毎年、ピックアップトラックのカスタムカー、クラシックカーにあえて大排気量のエンジンを搭載させたハイパワー車、ローライダー、アウトドアカスタムなど、世界にふたつとない車たちが待っています。

【開催日】2023年11月17日～11月26日

1907年にスタートし、2023年で116年の歴史をもつロサンゼルスオートショーは、北米最大級のオートショーで、2023年はLAコンベンションセンターで開催されます。

執筆時点で、トヨタやホンダなど日本の自動車メーカーに加え、キャデラックやシボレーといったアメリカブランド、フォルクスワーゲンやポルシェといったヨーロッパブランドなど、合計30の自動車ブランドが参加すると発表されています。

前回2022年の開催でも、世界のトップメーカーが30以上も名を連ね、60回以上のテストドライブやさまざまな体験イベント、アフターマーケットなどが開催されました。2023年も世界中のアナリストやデザイナー、開発者たちが参加し、盛り上がりをみせるはずです。

広州国際モーターショーは、毎年11月または12月に中国・広州市で開催されている自動車展示会です。

「広州国際モーターショー2022」は2022年12月30日～2023年1月8日に開催され、東風ホンダが新型電動コンセプトカーであるe:N SUV コンセプトや、東風日産の新型BEVとPHEVを発表しました。

なお「広州国際モーターショー2023」も開催されるのか、執筆時点では情報を見つけられませんでした。

今回は、2023年に世界で開かれる主要なモーターショーの主な内容と開催スケジュールをまとめました。なお、各モーターの情報は2023年5月上旬の執筆時点のものとなります。各モーターショーの最新情報は、公式HPやSNSを参考になさってください。

今回の記事を参考に、ぜひ世界の自動車の最先端を体感しにモーターショーへ出かけてみませんか？