中古でも根強い人気!トヨタ スープラはどんな車?
トヨタのフラグシップクーペ、スープラ。
30歳以上の車好きの方なら誰しもが知っている排気量3,000ccの直6エンジン+FR駆動の2ドアクーペであり、上位グレードはツインターボにより当時の日本車自主規制の上限値である280psに、ゲトラグ社の6速MT、REAS(相互連携アブソーバーシステム)を採用した、日本を代表する生粋のハイパワースポーツカーです。
そんなトヨタ スープラですが、意外と長い歴史を持っていることをご存知ですか?
そもそもスープラは、1970年代、トヨタの人気スポーツカーだった「セリカ」を北米市場へ輸出する際に使用された輸出名でした。
トヨタ・セリカXX(2代目)A60型
輸出名という過去が存在する為、どの型式が初代になるのか、数え方は様々ですが、一般的には国内で初めてスープラと名乗った「A70(JZA70)型」を初代スープラと言うことが多いようです。
その後、初代スープラとしてA70(JZA70)型スープラがセリカから独立した車種となり、最終的に2代目 A80(JZA80)型スープラまで、トヨタの最上位スポーツカーとしての地位を築くことになります。
2代目スープラ(厳密に言えば2代目のマイナーチェンジ後の型)が最終型スープラとなり、2002年に生産を終了。スープラは新車市場から姿を消しました。
最終型2002年式のJZA80スープラの中古価格は、落ちる気配が全く無く、逆に高騰中。その他の年式の中古車スープラも、今なお非常に高い人気を誇っています。
が、実はそれほど「台数が売れた車ではない」のです。
JZA80スープラはトヨタの最上位スポーツですから、簡単に手が届く新車価格ではなかったというのが一番の理由のようですが、それ以外にも、バブル崩壊やスポーツカーブームの終焉、燃費や維持費の問題、ライバルの存在など、様々な理由が絡んでいます。
販売台数は少なくても人気が高い、つまり「憧れの的」、「高嶺の花」と言える車だったのです。
トヨタ 80 スープラ、人気の理由は?
現在、中古市場価格が高騰しているトヨタ JZA80スープラですが、具体的な人気の理由はどこにあるのでしょうか。
トヨタ JZA70スープラと比較すると、外観は全く別物と言えるほど変化し、排気量も3,000ccにアップ。
全体的に丸みを帯びたフォルムは、年式を感じさせない、現代でも通用する「The GTカー」と言えるデザインです。
性能面でも出力、旋回性、燃費、快適性の全ての面で進化していますので、JZA80スープラの人気が高いのも頷けます。
■JZA80スープラ グレードとスペックは?
まずは、JZA80スープラのグレードとスペックを見てみましょう。
トヨタ JZA80スープラには実にたくさんのグレードが用意されており、また、マイナーチェンジも3度行われました。その度にグレードの追加と削除があり、年式によってグレードの仕様が違ったり…と、極めて複雑です。
年式によって差がありますので、「無理やり」比較のために一覧にすると、上位グレードから順に以下のような感じになるかと思います。
グレード | 性能 | 仕様 |
---|---|---|
GZ | ツインターボ、4AT | 本革シート・エアロトップ(取り外し可能な屋根)・ウッドパネルなど、ラグジュアリー方向へ振った最上位グレード |
RZ | ツインターボ、6MT | 6速マニュアルミッション+ツインターボという、走行性能を追求したグレード |
RZ-S | ツインターボ、6MT / 4AT | 4速オートマが選択可能 |
SZ-R | NAエンジン、5MT / 6MT | ノンターボの下位モデル、後に6MTが追加 |
SZ | NAエンジン、5MT / 4AT | ノンターボの下位モデル、4速オートマが選択可能 |
これ以外にもシートやオーディオの仕様等の細かな差異があり、またボディカラーも何度も変更されています。
現在、JZA80スープラで最も人気が高いグレードは、最終モデル2002年式のRZ(またはRZ-S)ですが、その人気の理由は排気量3,000ccの直6ツインターボ+6MTという素のスペックの高さです。
トヨタ 2JZ(排気量3,000cc / 直6)エンジンにシーケンシャルツインターボで、日本車の自主規制上限値だった280psの馬力を発生します。しかも捻り出しているという訳ではなく、相当な余裕を持って280psを出しています。
そして、そのトヨタ 2JZエンジンはチューニングベースとなりうるエンジンの中でも最高クラスの耐久性を持っています。
トヨタ JZA80スープラの純正タービンはセラミックタービンですので、耐久性という意味ではそこまで優秀ではありませんが、シーケンシャル化されていますので、排気量3,000ccのエンジンと相まって、低回転域から扱いやすい設定になっています。
また、RZに採用されている6速マニュアルミッションは、通称「ゲトラグ6速」という、ゲトラグ社製のミッションが採用されています。ゲトラグミッションは”シフトの入れやすさ”に少々クセがありますが、極めて高い耐久性を持ちます。
800psまではそのまま使えるなんていう話もあるほどです。
スープラがハイパワーカーと言われる所以はこの辺りにあるのでしょう。実際、長いホイールベースや欠点と言われる車両重量は直進安定性が高く、ストレートを得意とする車両なのは間違いありません。
しかし、実はスープラに乗ったユーザーのほとんどの人は、口を揃えて「スープラはコーナリングマシンだ」と言うのです。
サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式、ブレーキも4輪ディスクブレーキという豪華さ。
そして、車体サイズからは想像できないかも知れませんが、様々なモノが車体の中心にギュッと詰め込まれたパッケージになっており、スラロームする際の回転軸が車体中心になるように設計されています。
そのサイズ・重量から考えられる性格とは真逆に、運転するとコンパクトにステアリングと車体が同調して旋回するように感じられる、トヨタのスポーツカーらしい車なのです。
エンジン自体の性格や、ステアリング切れ角や重量の問題からコンパクトサーキットで積極的に使用されることは少ないスープラですが、ハイスピードサーキットなどでは高速コーナーを難なく処理しスムーズにパスしていくことが可能です。
また、JZA80スープラのボディ剛性は、クーペというカテゴリーの中では現在販売されている他のスポーツカーと比較しても、突出して高いと言われています。
当時のトヨタ車全般に言えることですが、バブル期トヨタの制作構想により使用材料に余裕を持てたことや、車格の観点からも重量増を問題視していなかったことから、ボディ剛性はクーペとは思えない程の高さを誇ります。
つまり、チューニングベースとしても非常に優れているのがJZA80スープラのRZなのです。
給排気系とECUをちょっと弄れば、エンジン本体を弄ることなく、すぐに400psの大台を超え、クラッチ・タービン・ブレーキパッドを強化品へ換装すれば、そのままサーキットの全開走行も余裕です。
インテリアに関しても評価は高く、ドライバーを囲むような、コクピット然と配置された運転席に座ると、走りに重きを置いた車なのだということが良く分かります。
これ程チューニングベースとして優れている車は、国内外を見回してもちょっとお目にかかれないかも知れません。
中古の80 スープラ、価格、相場は?
そんなトヨタ 80スープラですので、中古車になってからもチューニングベースとして非常に人気が高く、中古車両価格も落ちるどころか日を増すごとに上昇しています。
映画「ワイルド・スピード」にも何度か登場したことでも、更に人気を集めました。
映画「ワイルド・スピード」シリーズのミニカー!&2000万円超えのスープラ!
https://matome.response.jp/articles/260アメリカの玩具メーカー「マテル」の日本法人マテル・インターナショナルから、カーアクション映画「ワイルド・スピード」シリーズに登場する車種を集めた、ミニカー「ワイルド・スピード ダイキャストカーシリーズ」が3月25日に発売されました。
また、他の中古車両と違ってJZA80スープラは「チューニング中古車に高値が付く」という独特な風潮が存在します。
中古車のスープラ購入者のほとんどがチューニングを前提として購入するため、最初からある程度チューニングされた中古車の需要が高いようです。
中古車両価格高騰の理由は他にもあり、
「ショップ等がデモカーとして丁寧に扱っていた車両が多い」ことや、
「車体サイズが比較的大きいため、峠などで乱暴に扱われた車両が少ない」こと、
「耐久性が高いためチューニングされた中古車でも十分に耐えられる」こと、
「購入層が比較的限られ、維持メンテナンスに十分にお金を掛けることができるユーザーが多かった」
といった、スープラの中古車だからこその理由があります。
トヨタ JZA80スープラの中古車相場を見てみると、最も安い下位グレードのSZ(4AT)で50万円程度~、人気のRZになると400~500万円もの値段が付く車両も珍しくなく、新車販売当時とほぼ同等の価格を付けている中古車も多いようです。
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これには流石に驚きますね…。
現在流通している中古車のトヨタ JZA80スープラの傾向として、2通りの種類が見られます。
一つは「チューニングカータイプ」、もう一つは「カスタムカータイプ」です。
チューニングカータイプのスープラは、所謂「走り屋系」の車両です。RZグレードやMTの車両が多く、チューニングについても走行性能の向上を目的としたチューニングが多く見られますが、その性格故にボディの傷みなども見られ、比較的安価な中古車が多いようです。
対するカスタムカータイプは、「見た目重視」に仕上げられた車両です。走りを前提としていませんのでATやNAモデルのSZグレードの車両が多く、エアロ、塗装、バイナル、オーディオ、ネオン管などによるカスタムが特徴です。
ハードな走行をしていない車両が多いため程度が良く、中古車価格も高めになる傾向があります。
中にはガルウィング化やトランク部がフルオーディオシステム化された車両などもあり、通常の日本車とは一味違う弄られ方をされているのがスープラらしいですね。
80 スープラ、燃費や維持費はどのくらい?
JZA80スープラの燃費はターボモデルで7km/L(ATモデルは6km/L)程度、NAモデルで8km/L(ATモデルは7km/L)程度と、今では少々悪いと言わざるをえません。
が、当時のスポーツカーは概ねこの程度でした。スープラだけが特に悪いという訳では無いでしょう。
国土交通省「自動車燃料消費量統計年報」によると、自家用車の1日あたりの平均走行距離は23.2kmとのことですので、燃費が7km/Lだと、月間で696km(消費ガソリン:99.4L)、年間8,468km(消費ガソリン:1,211L)となります。
ガソリンの全国平均価格は132.3円(資源エネルギー庁が9月27日発表価格)ですので、年間のガソリン代は160,215円程となります。1ヶ月あたりに直すと13,351円です。
自動車税は2,997ccですから、51,000円/年です。重量税は1510kg/年ですので、10,000円となります。
月間維持費(税金は年間費用を月に換算) | 年間維持費 | |
ガソリン代 | 13,351円 | 160,215円 |
自動車税 | 4,250円 | 51,000円 |
重量税 | 834円 | 10,000円 |
表の維持費には含んでいませんが、国産スポーツカー代表のスープラは、任意保険が高くなりがちですので、その辺もネックになるかも知れませんが、他のスポーツカー全般と比較しても飛び抜けて維持費が高いという訳でもありません。
トヨタ スープラの歴代モデルを紹介!
せっかくですのでセリカXXまで遡って、歴代のスープラをご紹介します。
セリカXX(A40型/50型)
当時、にわかに日本車ブームが起こっていた北米市場へ向け、国内で人気だったトヨタ セリカの上位版として制作されました。
国内版セリカが4気筒を搭載していたため、XXでは6気筒を採用。トヨタ車初の4速ATが搭載された車種でもあります。
セリカXX(A60型)
先代セリカXX(スープラ)から、ソアラが発生し高級車路線を担うことになったため、トヨタはセリカXXをスポーツカー路線へと舵を切りました。
トヨタ車らしいロングノーズと直線的なフォルムにリトラクタブルヘッドライトを採用し、ターボモデルも用意されました。
当時のトヨタのラインナップの中では、高級車としての側面も併せ持っており、各種の豪華装備も特徴的です。
A70型スープラ(国内向けでは初代スープラ)
バブル真っ只中を駆け抜けたハイパワーFRトヨタ車の代表とも言える車両です。
このA70(JZA70)型から、トヨタは国内向けに「スープラ」という名前を使用することになります。
基本的なデザインやリア周りはセリカXX(A60型)を継承。
2L~3L、NAモデルからシングルターボ、ツインターボモデルと幅広いグレードが登場し、2.5GTツインターボでは280psに到達しています。
グループAのホモロゲモデルも発売されるなど、走りを追求したモデルと言えます。