コアキシャル・スピーカー
どのような趣味においても、道具選びは楽しいものです。カーオーディオでもそれは同じ。あれでもないこれでもないと、好みの製品を見つけ出すところから楽しみ尽くしましょう。それをサポートするべく当記事を更新します。
モノ選びの指針となるような情報を、多角的にお届けしていこうと思います。まずはスピーカーのタイプ分析から。まず最初に取り上げるのは、「コアキシャル・スピーカー」です。
“コアキシャル”とは、“同軸の”という意味です。というわけで「コアキシャル・スピーカー」とは、ミッドウーファーとトゥイーターが、“同軸上”に設定されたスピーカーを指します。
なお、ミッドウーファーとトゥイーターは別パーツではあるものの、見かけ上は一体化しているために、1つのユニットで全帯域をカバーするスピーカー、つまり、「フルレンジ・スピーカー」と呼ばれる場合もあります。
最近は、「セパレート・スピーカー」が人気ですが、「コアキシャル・スピーカー」も捨てたものではありません。利点をいくつか持っています。
まずは、「インストールが比較的簡単であること」がメリットです。トゥイーターを取り付ける手間があまりかかりません。
2つ目のメリットは、「サウンドがまとまりやすいこと」。音の出所が1か所であり、トゥイーターとミッドウーファー間の時間差や、位相ズレが起こりにくいことにより、このメリットがもたらされます。
ただし、音が足元に溜まりやすい、というデメリットもあります。この部分を敬遠する向きは多く、なので最近は、「セパレート・スピーカー」が主流となっているのです。
とはいえ、「コアキシャル・スピーカー」の音のまとまりの良さは、メリットとして大きいです。その部分を重視して、「コアキシャル・スピーカー」を選ぶという手は、大いにあります。
カスタムフィット・スピーカー(トレードイン)
続いては「カスタムフィット・スピーカー」について解説していきます。
結論から言うと、「カスタムフィット・スピーカー」とは、“簡単装着が可能”なスピーカーです(「トレードイン・スピーカー」と呼ばれる場合もある)。
つまり、ドアの内張りパネルを切る等々の、大がかりな加工をせずとも、装着が可能なのです。なぜに大がかりな加工をしなくてすむのかというと、“奥行き寸法”が短いから、です。
これにより、多くの車種において、ドアの内張りパネル内のクリアランスの中に、スピーカーを収めることができるようなっています。
さらには、車体メーカーごとの取り付け用スペーサーや、ハーネス類が同梱されているモデルも多いです。このようなモデルでは、他のパーツを用意しなくても交換が行えます。
ただし製品によって、同梱されるパーツの中身は異なります。充実度合いに結構な差があるのです。さらには、ある程度同梱パーツが充実している製品であっても、すべての車種に対応しているわけではないのでその点はご注意して頂きたい。
なお、取り付けに必要な各パーツは、それぞれ単品で購入できるのでご心配なきように。スペーサーの役割もする“インナーバッフル”というパーツも、車種別に多彩にラインナップしています。汎用ハーネスや端子類も、ひととおり売られています。
ちなみに言うと、音質面のことを考えるならば、取り付けスペーサーが同梱されていたとしても、既成の“インナーバッフル”を活用したほうが良い結果が得られやすいです。
さらに言うならば、「カスタムフィット・スピーカー」であっても、良い音を得ようと思うなら、ある程度手をかけて取り付けたほうが良いでしょう。簡単に取り付けるよりも、手数をかけたほうが良い音になる。この点は、是非とも覚えておいていただきたい。
コンポーネントスピーカーor単品販売
続いては「コンポーネントスピーカーor単品販売」と題して、それぞれの言葉の意味するところを、端的に解説していきます。
今回は「スピーカー」の製品形態について考えてみます。大きくわけて2とおりがあり、1つが、「コンポーネントスピーカー」(すぺてがセットされたもの)であり、もう1つが、各ユニットが「単品販売」されるタイプです。
どちらかしか設定されていない製品もあれば、両方ともラインナップしている製品もあります。
どちらを選ぶべきかは、自分が組もうとしているシステムレイアウトによって決まります。
“パッシブクロスオーバーネットワーク”を使ったシステムレイアウトを取る場合には、「コンポーネントスピーカー」を選んだほうが手っ取り早いです。
対して、スピーカーユニット1つ1つにパワーアンプの1chをあてがう“マルチアンプシステム”を構築しようと考えるのならば、“パッシブクロスオーバーネットワーク”が要らなくなるので、「単品販売」で必要なスピーカーだけを買い揃えていくほうがお得です。
ただし、実際のところは「単品販売」タイプを用意している製品は、どちらかと言えば少数波。特に、エントリーグレードからミドルグレードの「スピーカー」において、その傾向が顕著です。“マルチアンプシステム”が前提となっていても、「コンポーネントスピーカー」を選ばざるを得ないケースが多くなっています。
ちなみに、開発者目線で考えた場合、“パッシブクロスオーバーネットワーク”も含めた「コンポーネントスピーカー」状態のサウンドが、その製品本来のサウンド、と言えます。設計者は、“パッシブクロスオーバーネットワーク”も含めて、製品の音決めを行っていくからです。
設計者の意図を知ろうと考えるならば、“マルチアンプシステム”を構築する場合でも、1度は「コンポーネントスピーカー」状態の音も聴いておくと良いでしょう。
車種別専用スピーカー
「車種別専用スピーカー」とは、先ほど取り上げた「カスタムフィットスピーカー」の発展型です。「カスタムフィットスピーカー」は、“大がかりな加工を伴わずに取り付けられる”ことを最大の特長としていますが、「車種別専用スピーカー」も、その部分は基本的に同様。その上で、対応車種を絞って製品化されているのが「車種別専用スピーカー」です。
なお、「カスタムフィットスピーカー」は、取り付けに必要な部材が、何から何まで揃えられている、とは限らなかったのだが、「車種別専用スピーカー」では、それらが充実しているモデルが多いです。
結果、工賃以外の部分では費用が膨らまず、予算を計算しやすいというメリットも有しています。
ここ数年、「車種別専用スピーカー」のラインナップは拡充傾向にあり、特に欧米スピーカーメーカーからの新製品リリースが目立っています。
対応車種として目立つのはズバリ、「BMW」です。アメリカンブランドの「ロックフォード・フォズゲート」や、ドイツの「レインボウ」あたりも、「BMW」専用モデルをラインナップしています。フランスの「フォーカル」も「BMW」用のモデルを持っています(同社は、『VW』用や『TOYOTA』用等も擁している)。
また、「カスタムフィットスピーカー」はリーズナブルな製品が主体ですが、「車種別専用スピーカー」では、ハイグレードなモデルも多数見受けられます。「車種別専用スピーカー」=リーズナブル、という図式はあてはまらず、その点も「カスタムフィットスピーカー」との違いです。