限定解除とは?
限定解除とは「限定的条件がつけられている免許」を、「限定条件のない免許」に変更するための審査のことです。正式名称を「限定解除審査」といいますが、一般的に限定解除と呼ばれます。
限定解除と言えば、バイクの免許が「自動二輪免許」の1種類のみであった頃に、小型・中型限定の条件を解除し、「大型自動二輪免許」を取得することを示していました。
■限定条件がある免許の種類一覧
限定解除の対象となる、つまり限定条件がある免許の種類は以下になります。
AT(オートマチック)限定免許(自動車、二輪車ともに)
中型自動車免許8t限定
準中型自動車免許5t限定
普通自動二輪車免許小型限定
大型特殊自動車免許カタピラ車限定又は農耕車限定
大型自動車免許自衛隊車両限定
本記事では自動車の中でも、
・AT限定免許
・中型自動車免許8t限定
・準中型自動車免許5t限定
の3つについてご紹介します。
限定解除の際の受験資格
限定解除をして免許を取得する場合であっても、免許取得時と同じ受験資格を満たしている必要があります。この条件を満たしていない場合は、限定解除をしても免許を取得することができません。
限定解除後に取得する免許 | 年齢 | 聴力 | 視力 | 運転経歴 |
---|---|---|---|---|
普通免許 | 18歳 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可) | 両眼で0.7以上、かつ片眼で0.3以上 | 不要 |
準中型免許 | 18歳 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可) | 両眼で0.8以上、かつ片眼で0.5以上、深視力検査での3回検査した誤差が2cm以下 | 不要 |
中型免許 | 20歳 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可) | 両眼で0.8以上、かつ片眼で0.5以上、深視力検査での3回検査した誤差が2cm以下 | 普通免許、準中型免許又は大型特殊免許を取得して、いずれかの運転経歴が通算して2年以上あること |
大型免許 | 21歳 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可) | 両眼で0.8以上、かつ片眼で0.5以上、深視力検査での3回検査した誤差が2cm以下 | 中型免許、準中型免許、普通免許又は大型特殊免許を取得して、いずれかの運転経歴が通算して3年以上あること |
他にも法で定められた病気や、アルコール、麻薬や覚醒剤の中毒にかかっていないことや免許の欠格期間中でないことなどの条件があります。
限定解除の方法には何がある?
まず、限定解除の方法には2種類あり
1. 指定教習所に通学または合宿して、運転練習+技能審査を行い限定解除する方法
2. 運転免許試験場で限定解除審査のみを行う方法
という2つがあります。
下記で限定解除の方法とながれについてご説明します。
■【限定解除の方法・ながれ】教習所の場合
教習所で限定解除をする方法は、下記のようなながれとなります。
1. 指定教習所で技能教習を行い、技能審査に合格
2. 運転免許試験場手数料を払い、免許証の限定解除を表記してもらう
技能審査は、一発試験における限定解除審査と同等の効力を持つため、運転免許試験場では免許の変更手続きをするだけです。
■【限定解除の方法・ながれ】一発試験の場合
運転免許試験場で普通免許限定解除審査(一発試験)を受ける方法は、下記のようなながれとなります。
1. 運転免許試験場で一発試験を受け合格
2. 運転免許試験場で手数料を払い、免許証に限定解除を表記してもらう
教習所と違い、運転免許試験場で実際に試験を受ける必要があります。
限定解除までかかる時間はどちらが多い?
限定解除にかかる日数は、免許によりますが教習所では最低3日、一発試験は試験日のみとなっています。下記に最低時限や必要日数の詳細をご説明します。
■【限定解除にかかる時間】教習所
所持している免許 | 限定解除後に取得する免許 | 技能教習の必要最低時限 | 最低必要日数 |
---|---|---|---|
普通AT免許 | 普通免許 | 4時限 | 最低3日 |
準中型(5t)限定AT免許 | 準中型免許 | 8時限 | 最低5日 |
準中型(5t)限定MT免許 | 準中型免許 | 4時限 | 最低3日 |
中型(8t)限定AT免許 | 中型免許 | 9時限 | 最低5日 |
中型(8t)限定MT免許 | 中型免許 | 5時限 | 最低4日 |
必要最低時限数は法令で定められている
まず、教習所に通う場合は法令で定められた技能教習の必要最低時限数は技能教習を受けなければなりません。あくまで必要最低時限のため、教官が必要とした場合は追加で補講が行われます。
内容としては
・ギアとクラッチの操作
・坂道発進
・踏切での停車と発進
・S字走行
・クランク
・縦列駐車
などを学びます。
1日に受けられる技能教習の時間は決まっている
1日に受けられる技能教習時間も法令で「第1段階は1日に2時限、第2段階は1日に3時限」
と決まっています。
また、教習所のカリキュラムや混雑状況等によっては1日にの技能教習時限数がさらに少なくなる場合があります。
どの免許にも、最短教習時限数に加えて技能審査が1時限ある
図の最低教習時限数に加えて、限定解除審査と同じ効力をもつ技能審査を行う必要があります。
この技能審査に合格すれば、あとは運転免許試験場にて免許証を発行してもらうだけです。
■【限定解除にかかる時間】一発試験
一発試験には、教習所のように校内コースで練習する時間は存在しません。
かかる時間は運転免許試験場での試験のみのため、時間が無く運転に自信がある方にはおすすめです。
限定解除にかかる費用 教習所と一発試験の違い
限定解除にかかる費用は、当然ではありますが教習所の方が高く、一発試験の方が安くなっています。
下記では教習所を利用した場合の相場や、一発試験の場合の手数料など詳細にご説明します。
■【限定解除にかかる費用】教習所
教習所で限定解除をする場合は、教習所代金+運転免許試験場での手数料がかかります。
こちらでは教習代金と運転免許試験場の手数料を分けて説明致します。
【限定解除にかかる費用】教習所の代金
所持している免許 | 限定解除後に取得する免許 | 費用相場 |
---|---|---|
普通AT免許 | 普通免許 | 5万円前後 |
準中型(5t)限定AT免許 | 準中型免許 | 10万円前後 |
準中型(5t)限定MT免許 | 準中型免許 | 7万円前後 |
中型(8t)限定AT免許 | 中型免許 | 12万円前後 |
中型(8t)限定MT免許 | 中型免許 | 10万円前後 |
上記の図は限定解除の費用相場を表した図です。通学・合宿する教習所や、シーズンによって費用が大きく異なるため、あくまでも参考としてご利用ください。
また、教習費用には入学金・適正検査・教習・技能審査・卒業証明書の発行代金などが含まれています。
もし、教官に補講が必要と判断された場合や、技能審査に不合格だったために再度技能審査を受験する場合は追加で費用がかかるためご注意下さい。
【限定解除にかかる費用】運転免許試験場(指定教習所で技能試験に合格した場合)
運転免許試験場では手数料のみがかかります。
どの免許であっても、手数料1,450円がかかります。
■【限定解除にかかる費用】一発試験
一発試験で限定解除をする場合は、運転免許試験場での受験料しかかかりません。
運転免許試験場ではどの免許であっても試験車両使用料1,550円と手数料1,450円がかかります。
限定解除の必要書類と申込方法
■【限定解除の必要書類と申込み方法】教習所
教習所の申し込みに必要なもの
教習所の申し込み方法や必要なものは、教習所によって異なりますが、一般的には下記の書類が必要です。
■必要書類 免許証、顔写真、認印、免許証条件欄に眼鏡等の記載がある場合はメガネ、コンタクト
運転免許試験場に必要なもの
指定教習所で技能審査に合格した方は運転免許試験場で免許の限定解除を行います。教習所の技能審査に合格しているので、一発試験のように運転のテストはありません。
必要書類を持って手数料を払うと、免許の裏に限定解除をした旨が記載されます。
■受験日 平日のみ(休日、祝日、年末年始を除く)
■受付時間 午前8:30〜午後16:30まで(正午から午後1時までを除く)
■必要書類 運転免許証、技能審査合格証明書
■【限定解除の必要書類と申込み方法】一発試験
運転免許試験場での一発試験の申し込みは、住所地の運転免許試験場で行います。
運転免許試験場での限定解除審査は、受験日の事前予約が必須です。
■受験日 平日のみ(休日、祝日、年末年始を除く)
■受付時間 午前8:30〜午後16:30まで(正午から午後1時までを除く)
■必要書類 運転免許証
■受験日の予約 必須
また、免許証に視力に関する条件が記載されている方はコンタクトやメガネを装着してください。
まとめ
本記事では普通AT免許、準中型免許、中型免許の教習所と一発試験にかかる時間、費用、必要な手続きをご紹介しました。