トップへ戻る

ミスファイアリングシステムとは?モータースポーツ発祥の技術?

ミスファイアリングシステムとは?モータースポーツ発祥の技術?

スバルの「WRX」や三菱の「ランサーエボリューション(ランエボ)」に搭載されていたミスファイアリングシステム。今回は構造や仕組みを紹介するだけでなく、やり方まで解説していきます。

[PR]本ページはプロモーションが含まれています
⏳この記事は約3~4分で読めます。


ミスファイアリングシステムとは?

「ミスファイアリングシステム」とは、トヨタで言う所の「アンチラグシステム」に当たり、英語圏では「Anti-lag system」と、トヨタと同じ名称で称されています。

そのアンチラグシステムのスバルでの呼称がミスファイアリングシステムで、三菱では2次エア供給システムと称されています。アンチラグシステムという名前の通り、読んで字のごとく、ターボチャージャー(以下ターボ)の弱点であるアクセルオン・オフ時に起こるターボラグを防ぐ目的で改善された機構の名称を指します。

比較的直線が多い場面ではターボは驚異的なパワーを見せる一方、コーナーが連続する様なワインディング走行では、このターボラグが仇となり、NAの方が立ち上がりの良さで優位に立つ場合があります。

つまり、コーナー進入時の減速時のアクセルオフの状態から、コーナーを曲がり切った後の立ち上がりに生じるターボラグを如何に少なくするかという趣旨のもと、開発されたシステムがミスファイアリングシステムという事です。

ランサーエボリューションやWRXの市販車にも搭載されている?

三菱ではランサーエボリューション (エボIII以降)、スバルではインプレッサ - 2代目以降のWRX STi、トヨタではセリカGT-FOUR3代目のWRC仕様と市販車両での採用例もあります。

この採用ラインアップを見てピンと来た人もいるでしょう。WRCに出場できる規定に市販車両をベースに制作する事が規定となっている為、純正装備されていない場合は規定に違反してしまいます。

その為純正でミスファイアリングシステムを搭載していない場合は、チューンで後付する事が違反となりますので、純正として装着しているケースもあります。ただし、排出ガス規定に適合しない為、通常は作動はしません。

構造や仕組みは?

では、そのミスファイアリングシステムの仕組みはどのようなものでしょうか。

まず、ミスファイアリングシステムの解説の前に、最近話題になっているダウンサイジングターボにも用いられている、排気タービン式ターボチャージャー(以下ターボ)の基本的な仕組みについて解説したいと思います。

ターボとは、排気ガスの流れを利用してタービンを回転させて、より多くの空気を過給する機構の名称。より多くの空気に見合った多くの燃料をシリンダーに送り、より大きな爆発力を生む事が可能となります。つまり、同じエンジンの1,000ccで、ターボエンジンとNA(自然吸気)エンジンを比較した場合、排気量は同じでもターボエンジンの方が断然パワーがあるという事になります。

では、先の項で説明したターボラグとはどういった原因により起こるのでしょうか。

ターボのパワーとは基本的に中・高回転域で最大限にパワーを発揮するように設定されています。減速などでアクセルをオフにした状態から、ふたたびアクセルをオンにした際に、排気が少ない状態ではタービンの回転も少なくなっています。

つまりコーナーの立ち上がりなどの瞬時にパワーが欲しい場合にも、タービンが回転するまではレスポンスが悪くなってしまうということ。ツインターボの場合も同じく、低回転域でもタービンが回転するまでは、パワーを瞬時に発揮することができません。

この弱点を改善すべく、ミスファイアリングシステムとはアクセルオフ時にも爆発力を得るために、エキゾーストマニホールドからタービンまでの空間で未燃焼ガスを燃焼させ、タービンを回転させます。

ミスファイアリングシステムのやり方は?

ミスファイアリングシステムと言えば、マフラーから火を噴きながら「パンッ!パンッ!」と銃声のような破裂音が鳴っている状態を想像する人も少なくないでしょう。

夜間などでは昼間よりも火が見えやすく、ステンレスのマフラーエンドから火を噴くその様子は、確かにカッコイイです。

イメージ画像

しかし、ここで注意したいのが、爆発音を轟かせながらマフラーから火を噴いている状態は、要調整の状態であり、芳しくない状態であるという事です。その状態は完全に爆発を起こしたアフターファイヤーの状態であり、車へのダメージは当然ながら、最悪火災になってしまう危険性もあります。

ミスファイアリングシステムがカッコイイけどデメリットが多い事を認知した上で、ミスファイアリングシステムをアフターファイヤー目的の玩具として使用する場合の、二通りの選択をご紹介します。

【ミスファイアリングシステムの使用法《アフターファイヤー目的編》】

一つ目は、純正品でミスファイアリングシステムが搭載されている車種で、ミスファイアリングシステムによるアフターファイヤーを引き起こす方法です。

先の項で解説した通り、WRCへの採用目的で市販車に搭載している車種がありますが、純正のままでマフラーから火が出る危険な車を市販する事は問題があり、検査も通らないので、純正状態では火を噴かない用に設定しています。つまりこの設定を変更する必要があります。

燃料調整などの設定はコンピューターで制御していますので、社外品でそれらの調整を変更する必要があります。

オススメの方法としては、専門ショップで嗜好目的でアフターファイヤーを引き起こしたい旨を伝え、任意でミスファイアリングシステムをオン・オフできるシステムを組み込む事です。デメリットが多すぎるため、任意のタイミングでアフターファイヤーを引き起こして満足する程度に留めておきましょう。

そしてもう一つの方法は、マフラーに点火システムを導入して、強引にアフターファイヤーを引き起こす方法です。

こちらの方法は、ミスファイアリングシステム搭載車以外の車でも容易にアフターファイヤーを引き起こすことが可能となっています。マフラーにプラグがついていますので、完全なるパフォーマンス用途にはなりますが、スイッチなどがついているものもあり、任意のタイミングで爆発できるのがメリットでしょう。

どちらの方法も純正マフラーでは、爆発しなかったり、音が抑えられたりする為、マフラーも社外品に交換することが求められます。

【ミスファイアリングシステムの使用方法《実用編》】

ミスファイアリングシステムをチューンで作動可能にし、実際に作動させるにはどういう運転をすれば良いでしょうか。

作動という事であれば、アクセルをオフにした際に、エキゾーストマニホールドからタービンの間でミスファイアが起こって、ブーストがかかっているので、作動はしています。活用という事であれば、レースの様な走りをしなければ、ミスファイアリングシステムの恩恵を感じる事は少ないかもしれません。

公道でやってもよいのか?

ミスファイアリングシステムを作動できる状態にしていても、車検時にオフにしておけば車検には通る事もあります。道路交通法においては、原則、ミスファイアリングシステムを取り締まる法律が無い為、問題は無いでしょう。かといって、むやみにアフターファイヤーをし過ぎると道徳的な観点や、道路交通法以外の法律や条例に抵触する可能性もあります。

公道で行うメリットは殆ど無いといっても過言ではありませんので、レースへの参加等以外で利用するのは控えるべきでしょう。

まとめ

ミスファイアリングシステムは、パフォーマンス的には派手でカッコイイのですが、周囲への騒音による迷惑や、車へのダメージも考えると非常に悩むところではあります。

純正のミスファイアリングシステムでアフターファイヤーを楽しむ方法と、社外品による点火式のアフターファイヤーのどちらにもオン・オフ機能が付いているものもあるので、パフォーマンス目的で気軽に導入してみてもいいんじゃないでしょうか。

ただし、やり過ぎは迷惑だけじゃなくて、自身の車のダメージや火災の原因にもあるので、“火遊び”は程々にしましょう。

よくある質問

ミスファイアリングシステムの仕組みは?

アクセルオフ時にも爆発力を得るために、エキゾーストマニホールドからタービンまでの空間で未燃焼ガスを燃焼させ、タービンを回転させることができる装備です。

ミスファイアリングシステムのデメリットは?

爆発音を轟かせながらマフラーから火を噴いている状態は、要調整の状態です。その状態は完全に爆発を起こしたアフターファイヤー状態であり、車へのダメージは当然ながら、最悪火災になる危険性もあります。

こちらの記事もおすすめ!

関連する投稿


三菱 ランサーってどんな車だったの?エボリューションとは何が違う?

三菱 ランサーってどんな車だったの?エボリューションとは何が違う?

ランサーと言えばすぐにエボリューションが思い浮かんでくることでしょうが、ランサーはエボリューションの原形モデルとしてラリーなどでも活躍した車です。その性能は当時としては、ずば抜けたものがありました。今回は三菱ランサーを見ていきましょう。


三菱 ランサーエボリューションは今が買い?!おすすめの中古車は?

三菱 ランサーエボリューションは今が買い?!おすすめの中古車は?

2015年に発売された「ランサーエボリューション ファイナルエディション」をもって製造販売が終了した今も人気の高い車、ランエボの愛称で呼ばれたこのランサーエボリューションについて今回は話を進めていきたいと思います。


中古車高騰?伝説の歴代ランサーエボリューションを復習!

中古車高騰?伝説の歴代ランサーエボリューションを復習!

SUVに注力している近年の三菱からは存在を想像するのも難しくなってきていますが、三菱のイメージリーダーとして長年活躍したスポーツセダン、ランサーエボリューションの伝説は、そんな現在でも語り継がれていますよね。出自は落ち着いたセダンながら、ラリーに勝つために進化を続けたスーパーウェポンだったランエボ。歴代車種について、サクッと復習していきましょう。


映画ワイルド・スピードに登場している日本国産の名車12台!価格も紹介

映画ワイルド・スピードに登場している日本国産の名車12台!価格も紹介

ワイルド・スピードは、世界中で公開されているアクション映画で、劇中にはたくさんのクルマが登場します。今回は、「そもそもワイルド・スピードとはなにか?」に加え、9作品の中で登場する日本の名車12台を現在の中古車価格と共に掲載します。


安全運転支援システム ホンダセンシングとは?その性能も解説

安全運転支援システム ホンダセンシングとは?その性能も解説

安全な運転をしたいというのは誰でも思うことでしょう。事前に事故を防げるシステムがあれば、使ってみたくなりませんか?今回は、安全に運転をサポートしてくれる技術、ホンダセンシングについてご紹介していきます。


最新の投稿


ダイハツ新型「ロッキー」発表!安全性の向上と価格改定を実施

ダイハツ新型「ロッキー」発表!安全性の向上と価格改定を実施

ダイハツは2024年11月5日に、コンパクトSUV「ロッキー」の一部改良モデルを発表しました。安全性を高めたほか、価格を改定したといいます。


車の雪対策に!準備しておきたいグッズや降雪時の運転前・運転中・駐車時に気を付けるべきポイントを徹底解説

車の雪対策に!準備しておきたいグッズや降雪時の運転前・運転中・駐車時に気を付けるべきポイントを徹底解説

突然の積雪に見舞われると、準備不足から大きなトラブルにつながることもあります。雪による交通事故や車の故障を防ぐためには、事前の準備と適切な対策が欠かせません。この記事では、車の雪対策として、事前に揃えておきたいグッズや雪道での運転時の注意点、駐車時の積雪への対策などを詳しく解説します。これから始まる寒い季節に備え、この記事を参考に雪対策の準備を整えておきましょう。


MOTA(モータ)の新車見積は超便利!自宅で簡単比較見積

MOTA(モータ)の新車見積は超便利!自宅で簡単比較見積

MOTA(モータ)が提供する新車見積は、これから新車を購入する人にオススメのサービスです。通常、新車を購入するには、ディーラーや販売店へ足を運んで見積りや商談を直接やり取りしたり、比較検討するために複数のディーラーや販売店へ出向かなければならなかったりと大変です。しかし、MOTA(モータ)の新車見積は自宅に居ながらWEBだけで、気になる新車を簡単に複数のディーラーや販売店から見積りをしてもらうことが可能です。そこで本記事では、MOTA(モータ)の新車見積サービスについて、特徴からメリット・デメリット、そして利用方法についても詳しく解説していきます。新車購入を検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。


スバル新型「サンバーバン」発表!安全性高めた「軽バン」登場

スバル新型「サンバーバン」発表!安全性高めた「軽バン」登場

スバルは2024年11月7日に、軽バン「サンバーバン」の一部改良モデルを発表しました。側面衝突時の乗員保護を高めたといいます。


オートウェイのタイヤは安い?特徴・注意点や購入の流れを解説

オートウェイのタイヤは安い?特徴・注意点や購入の流れを解説

タイヤが安く買えることをテレビCMなどでアピールしている「オートウェイ」。本当に安く買えるのでしょうか。また、安く買えたとしても品質に問題はないのか不安に思われる方もいるでしょう。さらに、オートウェイはネットで簡単にタイヤが買えますが、取り付けはどうすればいいのか気になるところです。そこで本記事では、オートウェイの特徴や注意点をはじめ、本当に安いのか、品質は大丈夫なのかということや、購入して取り付けするまでの流れも解説します。そろそろタイヤ交換を考えている方は、この記事を読んで参考にしてください。