冷却水とは?役割を説明
エンジンは稼動し続けると、熱を帯びます。だんだんと高温になり、そのまま放置してしまうと、オーバーヒートして壊れてしまいます。そのため、エンジンを常に冷やし、性能を保持する必要があります。
その役割を担っているものを、総称して冷却水と呼びます。別名「ラジエーター液」「クーラント液」「不凍液」とも呼ばれています。
点検しやすいように着色されており、鮮やかな赤色や緑色など、メーカーによって異なります。
冷却水は、エンジン内部を循環するように設計されています。エンジンにこもった熱をラジエーターまで運び、冷却する仕組みとなっているからです。
このように、冷却水は「エンジン熱の運搬係」として、重要な役割を担っています。
■最近の冷却水(クーラント)はLLCで寿命も長い
冷却水と言っても、単なる真水を使用しているわけではありません。最近は、「LLC(ロングライフクーラント」と呼ばれる液体が使用されています。
LLCは、防腐効果・防錆効果・不凍効果などの性能を持つ添加剤が混ざっています。なぜこのような効果があるのかは、次の項目で詳しく解説します。
LLCの寿命はおよそ2年程度ですので、車検ごとの交換がおすすめされています。
ちなみに、「スーパーロングライフクーラント」であれば、最長で7〜8年、走行距離にして16万キロほどの寿命があります。長く持つので、交換の手間が少ないメリットがあります。
冷却水の代わりに水道水は入れて良い?
冷却水の代わりに、同じ水である「水道水」を利用しても良いのか、気になりますよね。
結論としては、応急処置として必要な場合や、一部を補充する形で使用する分には、問題ありません。
ただし、全てを水道水に取り替えることは、絶対に避けましょう。
■サビやエンジンの故障につながる
冷却水を全て水道水に替えてしまうと、LLCにあった機能が失われ、エンジンが壊れる可能性があります。
つまり、「防錆機能」「不凍機能」がないのです。
冷却水は、つねにエンジン内部のパイプを通って、循環しています。金属に触れているわけですから、使用するうちに、どんどんと水が錆びていきます。錆びてしまうと、放熱機能が低下してしまいます。それだけではなく、ラジエーターに酸化物が詰まりやすくなったり、ウォーターポンプのシールが痛みやすくなったりします。
また液体は凍結することにより、体積が膨張する特性があります。不凍機能のない水道水を、冷却水として使用し冬場の寒い日に放置した場合、水は膨張し、ラジエーターなどを圧迫します。最悪のケースでは、破裂する恐れがあるのでとても危険です。
以上の2つの理由より、「少しでもコスパを良くしよう」と水道水を入れるような行為は、絶対に避けてください。
冷却水の交換時期について
冷却水には防腐・防錆効果があるとお伝えしましたが、使用するたびにその効果はだんだんと薄れていきます。同時に冷却機能も低下していきますので、「水温が下がりにくくなった」と感じたら、冷却水が劣化していないかを確認しましょう。
冷却水の交換時期の目安としては、前述のとおり2年ごとです。そのため、2年に1回の車検に合わせて行うのがベストです。店舗などで車検を依頼すると、交換項目としておすすめする店が多いです。
しかし、冷却水の色が極端に濁っていたり、量が減っている場合は、たとえ2年経っていなくても、交換することをおすすめします。
冷却水の交換方法・入れ方と注意点
冷却水は、自分で交換することもできます。ここでは、冷却水の交換方法を、詳しくご紹介していきます。
■冷却水の入手方法
冷却水は、カー用品店はもちろん、ホームセンターなどでも売られています。
値段は200円〜2,000円ほど。原液でそのまま使用するタイプと、水と混合することで濃さを調整するタイプの2種類があります。冷却水を全部取り替えるなら前者のタイプを、補充するなら後者のタイプをおすすめします。
色に関しては、どれを使っても成分に違いがあるわけではないので、問題ありません。ただし、もともと入っている色と違う色を使用すると、見た目が悪くなったり、冷却水が劣化しているのかわからなくなる可能性があるので、元の色と揃えた方が良いでしょう。
■冷却水の場所を確認する
冷却水は、リザーバータンクに入っています。半透明の樹脂でできているタンクのことです。エンジンルームのラジエーターに繋がっているホースをたどれば、リザーバータンクを見つけやすいです。
「ウィンドウウォッシャータンク」と間違えないように、注意しましょう。キャップに「冷却水」「COOLANT」と書かれていれば、間違いありません。
ちなみに、FULLとLOWの間に冷却水が入っている状態が、正常となります。
■冷却水を抜く
ラジエーター下部に、コック(ドレンコック)があります。そのコックを緩めることによって、リザーバータンクより冷却水が勢いよく出てきます。全て排出し終えたら、コックを一旦、締めましょう。
■冷却水経路のすすぎをする
すぐに交換用の冷却水を入れる前に、水道水で冷却水の経路を綺麗にしておきましょう。
水道水を8割〜満水になるまで、入れます。その後、エンジンを作動させて循環させましょう。目安としては、3分〜5分くらいです。時間が経ったら、エンジンを停止させて冷やしましょう。それから、水道水を排出させます。これを2回〜3回繰り返すことで、水道水に汚れが付着しなくなります。
■交換用の冷却水を補充する
すすぎをして綺麗になったら、交換用の冷却水を補充していきましょう。これで、冷却水の交換はだいたい終わりになります。
注意点としては、冷却水の交換はエンジンが冷えているときに行いましょう。エンジンが温まっていると冷却水も熱くなっており、圧力が高くなります。コックを開けた瞬間に飛び出てくる可能性があり、危険だからです。
なお、自分で交換を行うのが不安なら、ガソリンスタンドや整備工場などで依頼することも可能です。工賃の相場としては、おおよそ1,000円〜2,000円ですが、これに冷却水本体の価格が請求されるケースがほとんどです。
■補充時・交換後はエア抜きも忘れずに
冷却水を補充したり交換したあとは、エア抜きをしましょう。空気を抜くことで、エンジンが作動して熱を帯びたとき、空気が膨張してリザーブタンク内に冷却水があふれ出すのを防ぐことができます。
やり方は簡単。ラジエーターキャップを外したまま、エンジンを作動させるだけです。このとき、ラジエーターの水が減っていたら、冷却水を補充しましょう。
エンジンを稼働し続け、ラジエーターの口からボコボコと大きな空気がでなくなったら、エア抜きは完了です。ちなみに空気が少々残っていたとしても、使用するうちに自然と抜けていくので、問題ありません。
冷却水が漏れている場合の対処と点検方法
たまに、冷却水が漏れているケースもあります。漏れやすい箇所としては、「ラジエーター本体」「ヒーターホース」などが挙げられます。
ここでは、冷却水が漏れる原因や点検方法、対処法をご紹介します。
■冷却水が漏れる原因は
冷却水が漏れる原因は、走行中の飛び石などが考えられます。飛び石がラジエーターに当たることによって穴が空いて、そこから冷却水が漏れるケースです。
ほかにも、「ヒーターホース」などのホース類から漏れるケースも多く見られます。ホース類はゴムでできているために、劣化するとひび割れが発生するからです。
冷却水が漏れる原因は、走行中の飛び石などが考えられます。飛び石がラジエーターに当たることによって穴が空いて、そこから冷却水が漏れるケースです。
ほかにも、「ヒーターホース」などのホース類から漏れるケースも多く見られます。ホース類はゴムでできているために、劣化するとひび割れが発生するからです。
冷却水が漏れる原因は、走行中の飛び石などが考えられます。飛び石がラジエーターに当たることによって穴が空いて、そこから冷却水が漏れるケースです。
ほかにも、「ヒーターホース」などのホース類から漏れるケースも多く見られます。ホース類はゴムでできているために、劣化するとひび割れが発生するからです。
■点検方法は簡単
駐車中の車の下に、液だまりができていないか、確認しましょう。もしも液だまりができていた場合、冷却水が漏れている場合があります。赤や緑などの色がついていたり、変な匂いがしているようなら、冷却水である可能性が高いです。
また、水温計の動きにも注目してみましょう。冷却水が漏れていると、上手くエンジンを冷やすことができず、高温状態が続きます。最悪の場合はオーバーヒートに繋がり、エンジンが故障する原因となります。
普段よりも「H(高温)」を指している時間が続いている場合、冷却水の量を一度チェックしてください。
■緊急対処としては漏れ止め剤の利用も
もしも走行中に冷却水が漏れているのに気づいた場合は、どうすれば良いのでしょうか。緊急対処としては、「漏れ止め剤」を活用する方法があります。
漏れ止め剤には、冷却水の粘度を上げることによって、漏れている箇所に膜を作りだす効果があります。これによって、一時的ではありますが、漏れをふせぐことができます。
漏れ止め剤は、ワコーズなどが定番です。
しかし、粘度を上げることによって、目詰まりがしやすくなるというデメリットがあります。入れすぎると冷却水の経路が詰まってしまい、流れが悪くなってオーバーヒートしてしまう可能性があります。きちんと適量を入れるようにしましょう。
また、あくまでも漏れ止め剤は緊急処置です。しばらくすれば、また漏れ出す可能性もあります。
漏れの原因によっては、根本的な解決が必要です。店舗や整備工場などで、すみやかに点検・修理してもらうことをおすすめします。
【最後に】減るのが早いと思ったら修理・点検を
冷却水は前述したように、エンジンの熱を逃がす大切な役割があります。もしも冷却水が機能しなくなったら、オーバーヒートを起こしてしまい、エンジンの故障に繋がります。高額な修理費がかかりますから、大きな痛手ですよね。
そのため冷却水の点検・補充・交換は、非常に重要です。2年に1回の車検時に交換してもらうのはもちろんですが、最低でも1年に1回は、定期的に量をチェックすることもおすすめします。
もしも冷却水の減りが早いと感じたら、すぐに整備工場、カー用品などで点検してもらいましょう。