スバルのWRX STIとは?
スバル インプレッサ WRXは、世界トップクラスの競技(WRC、ニュルブルクリンク24時間耐久レース)で勝つために誕生した高性能グレードです。
実際、現在のWRXはスポーツカーとして磨きがかかり、日本のみならずアメリカなどでもファンが多くいます。このインプレッサ WRXの発売から1年後、STI社製のコンプリートカー「WRX STI」が限定販売されたのですが、これがWRX STIのはじめのモデルになります。
STIは「SUBARU TECNICA INTERNATIONAL INC.」の省略であり、富士重工業(スバル)の連結子会社でモータースポーツの販売やパーツ開発などを行う会社です。イメージ的には、メルセデス・ベンツのAMGとの関係にSTIはよく似ています。
WRX STIは、STIの技術部品をWRXの純正パーツと生産の時点で置き換えて適応した「メーカー純正のチューニングカー」といえるものです。
WRXとの違いは、
・大径マフラー
・専用ECU
・大型リアスポイラー
・対向4ポットブレーキキャリパー
・鍛造ピストン
・アルミ製ボンネット
など多くあります。さらにWRXで標準装備されているフォグランプがSTIでは省略され、オプションになるなど軽量化のために装備が省かれていることもあります。
WRX STIの限定モデルのエンジン性能は、WRXよりも数十馬力高く、あまりの人気のために生産が追い付かず販売中止となりました。その後、1995年にWRX STIが再び生産を開始し限定モデルからカタログモデルとなり、今日までWRX STIの生産が続いています。
■インプレッサ WRX STI GDBの時代へ
2000年8月にインプレッサは初のモデルチェンジを迎えたのですが、その当初にラインナップしていたWRXは先代のモデルと意味合いが異なるもの(一般よりのモデル)となりました。
その後、2ヵ月遅れで登場した280馬力のWRX STIがモータースポーツをはじめフィールドで活躍していきます。この2代目インプレッサからGDB時代といわれており、7年に及ぶモデルライフの途中で大きなデザイン変更を2回行っています。
特に大きく変わったのはフロントフェイスで、そのヘッドライトデザインから下記のようにA型~G型と呼ばれています。
・初期=A型、B型(丸目のデザイン)
・中期=C型、D型、E型(涙目のデザイン)
・後期=F型、G型(鷹の目デザイン)
そのためGDB時代であっても、見た目は大きく異なります。また、同じGDBでも競技ベースモデル「type RA」、装備をシンプルにした「type RA S仕様」があり、後に「type RA specC」が登場しました。
2代目インプレッサの250馬力(2リッター4WDターボ)は一般向けで、WRX STIの280馬力が入パフォーマンスモデルとなっています。競技ベース車「WRX STI typeRA」が存在している点は、初代インプレッサWRX(GC8)と同じです。
GDBでは、さらにその上の「WRX STI typeRA specC」を設定しました。モータースポーツでは通称「スぺC」が使われ、負荷の高い走行用に専用タービンや空冷オイルクーラーなど高負荷・高回転運動に耐えられるようになっており、勝つために「最高モデルの中の上」が求められていたのです。
スバル GDB インプレッサWRX STI スペックC(2006年式)の代表的なスペックは下記となります。
・全長×全幅×全高(mm):4,465×1,740×1,425
・ホイールベース(mm):2,540
・車両重量(kg):1,390
・エンジン仕様・型式:EJ20 水平対向4気筒DOHC AVCS16バルブ ICターボ
・総排気量(cc):1,994cc
・最高出力:280ps/6,400rpm
・最大トルク:43.0kgm/4,400rpm
・トランスミッション:6MT
・駆動方式:4WD
■インプレッサWRX STI ハッチバックGRBとGVB
2代目インプレッサWRX STIは、4ドアセダンで統一されていたのですが、2007年にデビューした3代目インプレッサWRX STIからは、5ドアハッチバックのGRB(GRF)と変更になった後に、4ドアセダンのGVB(GVF)が追加となっています。
メインとなっていたGRBは、ホイールベース延長でリアオーバーハングが短縮されています。これは、WRCで活躍していくためにライバルに対抗したモデルといえます。
実際は、2008年限りでWRCを撤退したため、十分な結果は残せなかったのですが、国内モータースポーツ、プライベーターやグループNラリーでは活躍を続けていきました。さらに、4ドアを希望するファンの声もありGVBを加え、WRC以外のステージで引き続き激闘を続けていきました。
この世代までが「インプレッサ」の名が入っており、次世代からは「WRX STI」にバトンを繋いでいきます。
■インプレッサWRX STI A-Line
2009年2月にインプレッサ WRX STIのマイナーチェンジとともに「A-Line」が追加されました。WRX STI A-Lineは初の2ペダルと、水平対向4気筒の排気量をWRCのレギュレーションに準じた2リッターから2.5リッターに拡大し、WRC撤退を決めたことで良い切り替えができたといえるでしょう。
当時スポーツカーでありながらも2ペダルを用意するのは、世界的にも驚いたことでしょう。
確かにライバルの三菱もヂュアルクラッチMTを導入し、AT追加は当然といえるのかもしれませんが、2リッターではなく扱いやすい2.5リッターを組み合わせた点には好感がもてたのではないでしょうか。
インプレッサ WRX STIのスペック「308ps/43.0kgm」には及ばないものの、インプレッサ WRX STI A-Lineの「300ps/35.7kgm」は、当時のレガシィアウトバッグ2.5XTを上回る専用チューンです。
それ以外では、4WDシステムがドライバーズコントロールセンターデフからVTD-AWD(電子制御)になるとともに、リアLSDはビスカスに、フロントシートはアルカンタラ/本革からファブリック/合成皮革のコンビにチェンジしています。
ブレンボ製ブレーキキャリパーやフロント・ヘリカルLSDが省かれているという違いはありますが、エクステリアは18インチのホイール/タイヤを含めて共通しています。
インプレッサからWRX STIへ変わっていく
WRXは日本でも大人気の車なのですが、アメリカでも高い人気があり「Subie」とスバルのファンの間で呼ばれています。WRXは「小さなサイズ感でありながらダイナマイトのような走りをする」と評価が高いです。
ここでお気づきの方もいるかと思いますが、現在のWRXの名称はインプレッサの名前がありません。実は、2010年7月のマイナーチェンジの際にスバル公式HPなどから「スバル インプレッサ WRX STI」から「スバル WRX STI」に変更になりました。
WRX STIとインプレッサのイメージの棲み分けをしてイメージを変えようという事情があったためです。このことによって、よりスポーツカーとしての磨きがかかることになります。
2019年8月頃 新型WRX STIが降臨する!?
2018年東京オートサロンで「SUBARU VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPT」を出展しました。こちらは、 VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPTをベースにした「STIバージョン」です。
スタイリングは、空力性能を考慮しておりレッドのアクセントラインなど、エクステリアはハイパフォーマンスモデルらしいカッコ良さがあります。市販型モデルは、ここまで派手なデザインではないと思いますが、基本的なデザインは色濃く反映されていくでしょう。
新型WRX STIの特徴は下記となります。
・赤いアクセント加飾
・フロントグリルにSTIロゴ
・専用フロントバンパーとエアインテーク
・専用リアバンパー
・専用サイドシルスポイラー
・専用リアスポイラー
■新型WRX STIのインテリアはどうなる?
新型WRX STIは、スポーティな雰囲気にするために、例えば赤ステッチや差し色があしらわれて質感の向上をしていくのではないでしょうか。現行の内装はレヴォーグと同じなのですが、新型では差別化を図るかも知れません。
■新型WRX STIに待望の新世代ボクサー
現行WRX STIは、旧世代のEJ20型ターボを積んでいますが、新型では新設計したFA20型DIT(直噴ターボ)を搭載します。これは、レヴォーグやレガシィ、WRX S4に採用しているユニットです。
■トランスミッション・駆動方式
トランスミッションは、現行と同じ強化6速MTを採用しています。2ペダル仕様は、現在のCVT(スポーツリニアトロニック)を卒業し、ATの多動へ変更される可能性があります。
全輪駆動車(AWD)のシステムは、STIに導入されている新電子制御マルチモードDCCDを引き継ぎ搭載し、2ペダル仕様はVTD-AWDと変更はありませんが、エンジンスペック向上に合わせて次世代のバージョンにアップする見通しです。
■新型WRX STIにアイサイトを装備
アイサイトは現在S4だけに装備されるシステムですが、新型STIにも搭載される予定です。実際にオートサロンで展示されたSTI CONCEPTにはステレオカメラが装備されています。
マニュアル車とアイサイトを組み合わせる技術力はスバルの誇りであり、新型車に対する情熱・向上心とクオリティの高さを示しているといえるのではないでしょうか。
新型WRX STIの発売時期は2019年と想定されていますが、しかし2020年にずれ込む可能性も高まっています。なぜなら、次世代アイサイトの開発に遅れが生じているという情報があるからです。
可能であれば、2019年秋の東京モーターショーで新型WRX STIの最終プロトタイプを披露して欲しいですね。
WRX STIのカスタム
カーライフを充実させたいのであれば「スバル WRX STI」をカスタムするのもオススメです。
おすすめのホイールとマフラーのカスタムを厳選しましたので、見ていきましょう。
■WRX STIのホイール
WRX STIのホイールをカスタムするのであれば、「RAYS VOLK RACING G25Edge」をおすすめします。このホイールは美しいだけではなく、操縦性や走行安定性を高めるために高い剛性性能を追求しています。
20インチあるため、好みは分かれますがイメージをガラッと変えたいのであれば満足することができるホイールです。
■WRX STIのマフラー
WRX STIのマフラーカスタムをするのであれば「ROWEN JAPAN(TOMMYKAIRA JAPAN) PREMIUM 01TR HEAT BLUE TITAN」をおすすめします。
このマフラーは、チタンの焼き色の美しさと「音」の重低音が特徴としてあります。また、純正のマフラーと比べ立ち上がりの加速がするどくなったという感想もあります。
WRX STIの燃費&維持費はいくら?
WRX STIの燃費はカタログ上では9.4㎞/Lとなっていますが、実際の燃費は6.6㎞/L程度になります。
WRX STIのガソリン代はリッター135円(ハイオク)で1年1万キロ走った場合、下記となります。
■走行距離1万㎞ ÷ 実燃費6.6km/l × ガソリン価格135円/l=20.5万円
WRX STIの維持費は、ガソリン代に加えて税金、保険、車検、駐車場代などを加えたものになります。
WRX STIの排気量は2000㏄なので、自動車税の金額は3.95万円となります。
車の税金は、自動車税の他に「自動車重量税」もあります。
これは車両重量ごとに決まっており、0.5トンごとに4,100円ずつ増えていくものです。
WRX STIの車両重量は1480~1490kgで、エコカー減税対象車ではないため、車両重量税の金額は1年あたり1.23万円になります。
さらにエコカーではない場合、新車購入時からの年数が13年、18年を超えると自動車重量税が高くなります。13年~18年未満までの場合は0.5トンあたり、5700円になり18年からは6300円となります。
以上のことから、WRX STIの場合は13年~18年未満で1.71万円となり、18年からは1.89万円になります。
その他、WRX STIの保険・車検費用・駐車場の費用をざっくりまとめると下記となります。
■自賠責保険:新車購入時に3年分39,120円、車検のたびに2年分27,840円をまとめて支払う。1年あたりにすると、1年目~3年目は13,040円、4年目以降は13,920円となります。
■任意保険:年齢や保証内容にもよりますが、平均的に年間約6.5万円程度です。
■車検費用:車検基本料がかかりますが、ディーラーなどどこに頼むかによって変わります。平均に的には4万円程度といわれていますが、検査手数料1800円もかかります。
■駐車場の費用:全国平均の月極駐車場の賃料は8000円となりますので、年間だと10.4万円です。
※これらはあくまでも平均ですので、それぞれの状況により大きく費用は変動します
WRX STIの中古車価格&買取相場とは?
WRX STIの中古車は、平均価格310.1万円(価格帯139万円~828万円)となっています。メーカー希望小売価格386万円よりも中古車の価格帯が高くなっているのは、限定仕様車などの中古車が存在するからです。
ちなみに新型WRX STIの価格予想では、385万円~690万円となっており、直近5年全グレードの買取相場は、282~328万円となっています。
WRX STIを手に入れられたらどのようなことをしたいでしょうか。例えば、ドライブやデート、普段の買い物から旅行、さらにはサーキット走行などを楽しむこともできますし、自分好みにカスタムすることも楽しみの1つです。
WRX STIは、街乗りからサーキット走行にカスタムまで楽しみ方がたくさんある魅力的な車なんです。
■WRX STI ~新たな情熱の始動~
WRXとして誕生して四半世紀がたち、気が付けば自らがライバルとなり、自らを超えるために走り続けています。WRX STIはスバルの新たな情熱であり、先進技術の革新ともいえる走りの極限世界と戦ってきた結晶なのです。
アクセルに忠実な反応を示すエンジン、遊びが殆どないハンドル、ハンドルやシートから伝わってくる接地感、あらゆるところから聞こえる機械音、これら全てが運転がスポーツであることを感じさせてくれるはずです。
極論をいえば、この車に何もいうことはありません。吹け上がりが早いエンジンにボディ剛性、思いのままにどこまでも曲がっていきそうなハンドリング、直進安定性は驚異的で路面の凸凹をものともせずレールの上を走っているかのようです。
まさに走るために生まれた車がWRX STIというしか表現がないといえるのではないでしょうか。車好きな人であれば1度はハンドルを握ってみたい車=「WRX STI」といってもいいです。車の原点は「操る楽しさ」であり、安心感と一体となった走行を生み出すことです。
このように、あらゆる道を意のままに走り抜ける究極のドライブを可能にするWRX STIの魅力は今後も加速していくことでしょう。
まとめ
スバルといえば、WRX STIと言うおは大げさかもしれませんが、そう言ってしまいたくなるほど人気のある車です。
より遠くまで行ってみたいという気持ちにさせる魔力がありながら、後席にしっかり人は乗れますし、トランクには相当量の荷物を載せることができる万能な車です。
燃費がたまに傷になるという方もいるかもしれませんが、車としての性能と引き替えと考えると納得が行くのではないでしょうか。2019年~2020年には新型WRX STIが登場し、さらに我々を驚かしてくれるかも知れませんね。