熊川宿が宿場町としても発展した理由
かつては若狭地方で水揚げされた魚介類を京都に運ぶ上では、鯖街道を利用して行商人によって運搬されています。
特に若狭では青魚の代表格の鯖が大漁に漁獲されていたことで、鯖を運ぶ上で利用された街道が存在し、それが鯖街道としても親しまれています。
当時の京都は天皇・貴族などが住んでいる場所で朝廷が存在し、日本の政治の中心都市で栄えていました。
そういった方々が魚介類を食べたいという需要がある場合、地理的に近場にある若狭地方の魚介類を好まれていたのは確かです。
熊川宿はこの鯖街道沿いに存在する宿場町で、かつては京都に運ぶ行商人が始めに宿泊をした場所でした。
海の街である小浜を出て丹後街道を東に進み、上中より南東に下る形で街道が通行しています。
滋賀県の高島市の手前の山を越える前に存在し、小浜より出て一日歩いて日が暮れる前に着く場所に立地しています。
小浜を出た行商人が宿泊したり、休憩したりする上でも最適な場所に存在したのは確かです。
熊川宿の見どころとは
「京は遠ても十八里」と言われていたように、鯖街道が発展しましたが、その街道沿いの宿場町が熊川宿です。
その見どころは、古い建物がよく保存されていること、また用水路などの施設が当時のままに変わることなく存在していることが挙げられます。
訪れた方が、まるで当時にタイムスリップしたかのように過ごすことができるのは魅力でしょう。
さらに周辺は樹々が生い茂る山々も見られ、新鮮な空気に清らかな河川の水が魅力的な場所でもあります。
行商人をはじめ、多くの旅人が必ずこの熊川宿に立ち寄ったとされることもあり、よく整備されています。
交通の要衝でもあるので奉行所・番所などの建物が建ち並び、ほかにも物品を保存しておく蔵があるなど、昔ながらの歴史ある建物を見ることが可能です。
多くの旅人が行き交う場所であったことから、豊富な古文書・御用日記も見られるなど、当時の生活や社会情勢などを知る上での手がかりになる書物も多くあります。
京都の情勢を若狭地方に伝えるなどした場合には、その伝令の方なども熊川宿を利用されることもあったことから情報が集まる場所としての機能も果たしています。
現在の熊川宿の様相は
宿場町として栄えた熊川宿は、現在は道の駅としても整備されており、そこでは郷土料理を提供している飲食店、郷土のさまざまな物品を扱っている売店も多く見られます。
24時間いつでも訪問することができ、ドライブした場合にトイレを利用することも可能です。
鯖街道は京都に魚介類を運ぶために利用された街道ですが、いくつかのルートが存在したのは事実です。
しかも最もメインであったのは、熊川宿を通るルートであり、当時は馬荷で通ることができたほどでした。
つまり街道の幅も大きいのが実態で、今でも国道303号となっています。
それに沿う形で小浜に流れる北川が見ることができます。
2008年には「重要伝統的建造物保存地区」に指定され、それぞれの個性的な建物が集まる地区としても指定されています。
個性的な建物の造りは、鯖街道に並行して建てられている平入りである点と街道に対して三角に造られている妻入りである点です。
街道沿いによくまとめられているとしても、全国的にも珍しい光景を目にすることができます。
2020年大河ドラマの登場人物も熊川出身
2020年の大河ドラマは明智光秀公を取り上げられますが、その登場人物に明智光秀公の盟友でもあった細川幽斎が存在します。
その細川幽斎の夫人が熊川宿のある熊川出身で、細川じゃ香です。
熊川宿を治めていた熊川城主である沼田光兼の娘で、丹波や丹後を治めた武将の細川幽斎に嫁いだとされ、しかも細川家を末代まで発展させた賢夫人としての名があります。
実際に息子の忠興が明智光秀公の娘と婚姻している点もあり、当然にその母の存在もクローズアップされる可能性もあるかもしれません。
最も旅人が行き交うほどの交通の要衝に存在した場所で、武将の娘であったことからも格式が高い点もあり、熊川宿もその影響を受け静かなブームになるのではないかと地元も歓迎している模様です。
道の駅・熊川宿の施設
熊川宿の玄関口に建築家、吉田桂二氏が設計した建物となり、そこには「四季彩館」という特産品販売所、飲食店、鯖街道の歴史を知ることができる資料館が存在します。
普通車が21台、大型車が10台駐車することが可能です。
このように熊川宿の見どころは、古くからの街道に面した建物の造りが独特な点と、歴史的な建造物が昔のまま残っている点です。
京は遠ても十八里の鯖街道を知りたい方は、ここに立ち寄ってみると良いかもしれません。
ほかにも2020年大河ドラマでも縁がある人物がいますので、そういった点でも目を離すことができない場所と言っても良いでしょう。
道の駅 若狭熊川宿
住所:〒919-1532 福井県三方上中郡若狭町熊川11-1-1
【営業時間】
売店 9:00~18:00(3月~11月)
9:30~17:30(12月~2月)
食堂 9:00~16:00(3月~11月)
9:30~16:00(12月~2月)
【定休日】
3月・6月・9月・12月の第2木曜日
年末年始(12/29~1/3)