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一部の自動車に装着されている!フライホイールの役割と構造、費用は?

一部の自動車に装着されている!フライホイールの役割と構造、費用は?

一部の自動車にはフライホイールと呼ばれる部品が装着されています。今回はこのフライホイールについて、その役割や構造について紹介し、そのチューニングや交換にかかる費用についても学びましょう。

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フライホイールの役割

アイドリングを安定させる

みなさんはフライホイールについてご存知でしょうか。

フライホイールの役割はエンジンのアイドリングを安定させることです。

4サイクルエンジンをベースに説明しますと、吸気・圧縮・燃焼/膨張・排気という4行程によって動力が生み出されます。

しかし、これら4行程のうち実際に動力が生み出されるのは燃焼/膨張行程の前半部分のみなので、これ以外の行程と比べるとトルク変動が発生することになります。

エンジンにトルク変動が発生するということはエンジンの回転数にばらつきが発生します。特に低回転時にそれは顕著で、低回転つまりアイドリング時に回転数が安定しないとエンジンストールの可能性も高くなります。

これらのようなトラブルを回避するため、そしてエンジンを安定させるためにフライホイールという部品が存在しているのです。

動力をクラッチディスクへ伝える

アイドリングを安定させる役割に加えて、動力をクラッチディスクへ伝えることもフライホイールの役割となっています。

これは乾式単板クラッチディスクにおける話で、フライホイールとクラッチディスクがプレッシャープレートによってくっついたり離れたりするのです。この動きは運転席足元のクラッチペダルの踏み戻しによって行われることとなります。

トルコン装着車両にフライホイールは装着されない

MT車には必ずフライホイールが装着されている一方で、多段式AT車やCVT車にはトルコン(トルクコンバータ)と呼ばれる部品を装着するタイプではトルコンがフライホイールの役割を担うこととなるためフライホイールが使われることはありません。

フライホイールの構造

クランクシャフトの端に取り付けられている

フライホイールの構造について説明しますと、フライホイールが取り付けられているのはクランクシャフトの端部分です。

クランクシャフトにはフライホイールだけでなく、コンロッドやクランクシャフトプーリーといった部品も装着されています。

もちろんコンロッドの先端にはピストンが装着されていますから、4行程によってクランクシャフトが回転すると同時にフライホイールも回転するということです。

フライホイールの慣性モーメントを活用する

フライホイールを装着することでエンジンのトルク変動を抑えることができる理由は、フライホイールの慣性モーメントを活用していることとなっています。慣性モーメントとは動いている物体が回り続けようとする時にどれくらい回り安いかを示す数値(場合によってはその現象のこと)のことです。フライホイールの慣性モーメントは大きく、それによってエンジンのトルク変動を防ぐ役割を果たしています。

慣性モーメントを活かすための設計・材料

フライホイールの慣性モーメントが大きい理由はその作りや材質が関係しています。例えば重量が同じ2つのフライホイールがあるとすると、外径のより大きい物の方が慣性モーメントは大きくなります。フライホイールの重量と外径が同じ場合、フライホイールの重量配分が外側にあるものの方が慣性モーメントは大きいです。

フライホイールに採用される材料は、鋳鉄ならびにクロムモリブデン鋼やアルミニウム合金などとなっています。鋳鉄のフライホイールは純正品として多く採用され、クロムモリブデン鋼やアルミニウム合金を使ったフライホイールは軽量フライホイールとして取り付けられることが多いです。軽量フライホイールについては後ほど詳しく紹介します。

なお、フライホイール内部にはトーションスプリングが装着されています。トルク変動による衝撃がフライホイールに伝わった時、それを緩和する役割の部品です。

フライホイールの縁にある歯車の役割

フライホイールの縁部分をよく見てみると歯車が設けられています。セルスターターを回転させるとその回転がフライホイールの歯車に伝えられて、エンジンを始動させるという仕組みとなっているのです。エンジン始動にも一役買っていることとなります。

フライホイールのチューニングについて

軽量フライホイールとは

軽量フライホイールとは重量を軽くしたフライホイールのことで、純正品よりも軽く作られたホイールと考えていただくと良いです。軽量フライホイールの主なメリットはエンジンレスポンスが向上することにあります。軽量フライホイールは重量が軽くなっているので、クランクシャフトにかかる抵抗が少なくなってエンジンがより速く回転するのです。エンジンレスポンスが良くなれば当然加速性能も向上しますから、タイムを競うモータースポーツでは重宝されることとなります。

一方で、慣性モーメントが小さくなるデメリットがあることを忘れてはいけません。

フライホイールにある程度の重量があることでトルク変動が抑えらえているわけなので、フライホイールが純正品よりも軽ければその軽い分だけトルク変動が増加することとなります。

アイドリング時のエンジン回転数の低下やアクセルペダルを抜いた時の回転数の落ちが早くなるといったことが懸念されるのです。

街乗りメインなら軽量フライホイールは必要ない?

コンマ1秒を競うような場面、つまりはサーキット走行や各種モータースポーツでは軽量フライホイールは大きなメリットを生み出すことでしょう。

しかし、街乗りメインではエンジンを高回転で使用することはほぼ不可能ですし、渋滞にハマることも多々あることを考えると、軽量フライホイールは不必要です。街乗りメインの車には必要のないものと考えて良いでしょう。

フライホイール交換にかかる費用について

フライホイールを交換することはほとんどないってホント?

大前提としてフライホイールを交換することはほとんどありません。

というのも、フライホイールが消耗して使えなくなるという事例がほとんどないからです。交換することがあるのは軽量フライホイールを取り付けるくらいになります。

しかし、クラッチディスクが消耗して交換時期になったにも関わらずそのまま乗っていると、金属むき出しとなったクラッチディスクがフライホイールを破損させる可能性が出てきます。そうなった場合にはフライホイールの直すなり交換する必要が発生して高い修理費用を払うことになるので注意が必要です。

フライホイールの部品代

フライホイールの部品代は純正品の安いもので10,000円、高いもので60,000円くらいです。この価格差は車種による違いが大きく影響しています。興味のある方は愛車のフライホイールがいくらくらいなのかをディーラーや整備工場に問い合わせてみると良いでしょう。

軽量フライホイールの価格は安いものでも30,000円程となっています。ただしこちらも車種によって異なります可能性が高いです。トヨタ86やスズキのスイフトスポーツのフライホイールは大体同じくらいの価格帯となっていました。これらの車なら60,000円ほどあれば吟味して選ぶことができるでしょう。

工賃はどうなっているのか

フライホイールの交換工賃は実はあまり情報がありません。というのも、クラッチ交換と同時にフライホイールを交換することがほとんどのため工賃の算出がほとんどないことが関係しています。整備工場によってはフライホイールの交換にかかる工賃は無料ということもあるくらいです。

まとめ

今回はフライホイールの役割及び構造を紹介しました。アイドリングの安定化・エンジン始動・駆動力の伝達の役割など、フライホイールを装着している車にとってなくてはならない部品であるとわかったことでしょう。

エンジン内部にあってほとんど交換することのない部品ですから無縁の可能性が高い部品です。しかし、今回の記事を通じて興味を持たれた方やスポーツ走行に興味のある方は、クラッチディスク交換の際にぜひ一度現物をみてみてください。

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