馬力とは
フェラーリ458イタリア
自動車の性能を測る指標として、カタログや車情報誌に掲載されている「馬力」ですが、正確な意味や換算方法を知らずに自動車の動力性能の比較材料としている方もいらっしゃるでしょう。
馬力とは仕事率の単位で「ある重さの物体を、どれだけの時間で、どれだけの距離を動かしたか」を表す際の指標です。自動車では「最高出力」を表す際に使用されています。
エンジンにおける最高出力は、エンジンが出せる最大のエネルギー量、馬力(出力)はエンジンが発生するトルク(回転する力の強さ)×回転数によって求められ、より大きなトルクを高い回転数で発生させることができるエンジンほど馬力(最高出力値)が高くなります。
馬力の由来とは
馬力の由来とは?
「馬力」を仕事率の単位にとして定めたのは、蒸気機関を発明した事でも有名なジェームス・ワット氏です。
ワット氏は蒸気機関を導入する工場が増えたため「公正な使用料を徴収するために、性能が客観的にわかる単位が必要」という理由で自分の作った蒸気機関に馬と測定器を結びつけ、馬がどれくらいの仕事をするのか(1頭の馬の牽引力)を調べました。
ワット氏は実験によって、175ポンドの荷物を馬に引かせて、一分間で188フィート移動したことを確認し、この仕事量を「1馬力」としました。
重さの単位であるポンドも距離の単位であるフィートも日本ではあまり使われないため難しく感じてしまいますが、分かり易く言うと計算上、“500馬力のエンジンを搭載した約1.5トンの重さの車は1分間で1,500メートル走ることが出来る”という事になります。
馬力における単位について
馬力における単位について
馬力の単位は主に4つが使用されています。
HP
英語圏などで使用される、ヤードポンド法に基づく馬力です。
主にアメリカとイギリスの自動車メーカーが使用します。
PS
日本語、ドイツ語圏などで使用される、メートル法に基づく馬力です。
主に日本とドイツの自動車メーカーが使用します。
CV
イタリア語、スペイン語圏などで使用される、メートル法に基づく馬力。
主にイタリアの自動車メーカーが使用します。
kW
世界中で使用される、馬力計算の元になる仕事率の国際単位です。
1999年に新計量法が公布されたことで、国際単位の使用が義務付けられました。自動車世界で仕事率をあらわす際はあくまで「kW」をベースとします。
■馬力のkWとは何か
馬力は、一般的に国際単位系である「w(ワット)」で表され、1馬力は約735.5wとなります。自動車のカタログなどでは「kW」が用いられるので、1馬力は0.7355kWとなります。
日本では昔から「PS(仏馬力)」を用いていたため、カラログなどでは「kW」と「PS」が併記されているものが多くみうけられます。ちなみに、1PSは0.7355kWとなります。
日本では馴染みが少ないことから、自動車情報誌などでは「PS」の表記が多く見られますが、車はグローバルなものであるだけに、これらの表記もいずれ統一されていく事でしょう。
■馬力とトルクの違いは?
「馬力」と「トルク」、車好きなら注目する項目でしょう。動力性能を比較する際などに見る項目ですが、馬力とトルクの関係性はどのようになっているのでしょう。
馬力(最高出力)とは、エンジンが発生する最高の出力を示します。一方の「最大トルク」とは、エンジンが発生する最大の回転力を示すもので、単位にはkgf・mを使用します。出力とトルクの関係は「出力=トルク×回転数」で表すことができます。
自転車に置き換えて考えてみましょう。自転車のペダルを踏み込む力をエンジンが発生するトルクと考えると、踏み込む力、つまりトルクが大きいほど自転車はより加速をすることがわかると思います。
踏み込む力が弱くても、ギアを軽くしてその分速くクランクを回転させれば同じスピードに達します。つまり同じパワーを得ることができるのです。
そのような関係性から見ると、加速性能はトルクにより変わってくる事がわかります。
馬力の英語名は単位ではない
アキュラ・タイムアタックNSX
馬力の単位表記としてよく用いられているPS(仏馬力)とHP(英馬力)ですが、両方とも「馬の力」という意味となります。計量法施行法では1英馬力(記号HP)を746w、1仏馬力(記号PS)を735.5wの工率と決めています。
また、仏馬力はメートル法、英馬力はヤード・ポンド法に基づくため、両者には微妙な違いがあります。1PS(仏馬力)=0.986HP(英馬力)であることから、同じ数値ならHP単位の方がPS単位よりも力があるということになります。
まとめ
フェラーリSP3JC
馬力の測定は一般的には、シャシダイナモという機械を用いて行われます。
多くの場合、チューニングショップなどで馬力を測定してくれますので、愛車の馬力が気になる方は測定してみることで愛車の事をまた一つ理解できるかもしれません。