「下山仕立て」の第一号車!新型レクサス ISの特徴3点!
レクサス 新型IS Fスポーツ(北米仕様)
セダンが販売台数で苦戦しているのは、どのメーカーも経験していることです。セダンは背が低く、フォーマルでエレガントな印象を与えますが、その実用性はハッチバック車には及ばないためかもしれません。
近年は高級セダンの市場すらも高級化したSUVが奪い始めていることもあり、どのメーカーも主力はSUVへシフトしている印象を受けます。
日本随一のプレミアムブランド、レクサスでも状況は同じ。唯一新たに日本導入が開始されたESは好調な販売を記録していますが、LSは不振でメジャーアップデート待ち、GSはESに吸収合併されてモデル廃止、ブランド最小セダンとなるISも、ここ数年はかなり惨憺たる販売実績しか残せていませんでした。
しかし、そんな不遇の時代に、装いも新たに登場するのが、今年後半発売予定の新型レクサス ISです。既に画像が公開されている他、レクサス販売店には詳しい情報が届き始めているという新型ISの特徴を、3点ご紹介します。
■新型ISの特徴1. 最新トレンドに更新された内外装
レクサス 新型IS Fスポーツ(北米仕様)
なんといっても、パッと見て違いがわかるほどに劇的な変化を遂げた内外装のデザインが、新型ISの特徴の一つでしょう。
現行型よりもシャープで低重心な印象を与えるエクステリアデザインは、それぞれ低めに設置されたヘッドランプとテールランプが特徴的。L字型のデイタイムランプを上部に内蔵したヘッドランプ、車両幅を丸ごと点灯させるテールランプなど、どちらもレクサスの最新トレンドを取り入れたフレッシュなデザインです。
両車を並べて見比べると、ふくよかな曲線を描いていた現行型のフォルムから、新型ではアスリートを思わせる引き締まった緊張感ある面の質感へと進化していることがわかります。
レクサス 新型IS Fスポーツ(北米仕様) インテリア
また、インテリアでも細かなアップデートで使い勝手の向上が図られています。
具体的には、インフォテインメントディスプレイをタッチパネル化。ドライバーから操作しやすい位置まで後退して配置されていることもあり、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応することから普段の使い勝手が大きく向上することでしょう。
レクサスでお馴染みのリモートタッチも継続採用されるので、運転中でも操作がしやすい点はポイントが高いですね。
また、現行型では足踏み式のパーキングブレーキが採用されていますが、これを電子制御式に変更。指先のスイッチ操作だけでパーキングブレーキ操作が可能になるほか、シフト操作連動の動作もでき、クルーズコントロールも全車速追従式になるなど、現代の車として過不足のない内容にアップデートされています。
■新型ISの特徴2. ハブボルト採用!改善を止めない運動性能
レクサス 新型IS Fスポーツ(北米仕様)
大規模アップデートとはいえ、モデルライフ途中での変更は珍しい、足回りの大規模な構成変更も行われました。
一般的な車では、ホイールは、車体側のハブから飛び出ているボルトにナットで固定しています。これを、新たに欧州車などで採用されるホイール側からボルトで締結する方法に変更。
ホイールを固定する力をより強めつつ、乗り心地への影響が大きいとされるバネ下質量の低減を両立しています。ハブボルト採用による軽量化分は約1kg程度とのことですが、まさにグラム単位での改善を止めない姿勢が如実に現れた部分となっています。
レクサス 新型IS350
その他にも、ドライバーの入力に対してクイックに反応しつつ、余計なボディの揺れがない、どんな場面でも扱いやすい運転しやすさを追求した新型は、サスペンションのショックアブソーバーやボディ剛性の最適化など、細かな部分まで手が入っています。
これら運動性能の向上は、新たにレクサス/トヨタ車の開発に用いられるテストコース「トヨタテクニカルセンター下山」や、世界中の様々な路面でテストされた実績があるからこそのアップデートでしょう。
■新型ISの特徴3. 先進装備も最新仕様にアップデート!
レクサス 新型IS(北米仕様)
現代の車たるもの、予防安全装備などの先進技術のアップデートにも抜かりはありません。
現行型が装備している予防安全機能パッケージ「レクサス セーフティ システム+」の名称はそのままながら、新たに交差点右折シーンでの対向車や歩行者の検知も可能になるなど、着実なアップデートが行われています。
レクサス 新型IS(北米仕様)
また、現行型ではやや古さが見えていた運転支援機能も大幅に向上。車線認識だけでなく前走車の軌跡をも利用してハンドル操作をアシストしてくれるLTA(レーン トレーシング アシスト)は、新たにカーブ曲率の判定にAI技術を活用して、自動的にカーブ手前で減速してくれる機能がつきました。
またLSで話題になった、ドライバーが急病時などで反応がなくなった際、LTA制御中であれば、周囲に異常を知らせながら安全に自車線内で停止してくれる機能も追加されます。ドア解錠やヘルプネットへの自動通報も行ってくれるなど、まさに最新鋭の安全技術ですね。
レクサス 新型ISのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,710mm×1,840mm×1,435mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,800mm | |
エンジン種類 | 直4 2.0L 直噴ターボ/直4 2.5L ハイブリッド / V6 3.5L | |
タイヤサイズ | 18/19インチ |
レクサスのスポーティネス追求の尖兵、レクサス ISの歴史
レクサス IS F ダイナミックスポーツチューニング(2013年型)
新型の情報をお伝えしたところで、ISの歴史を紐解いてみましょう。
それまでのレクサス像とは違い、若々しくスポーティな位置付けが特徴的な歴代ISは、それぞれ魅力がたっぷりです。
■初代 レクサス IS/トヨタ アルテッツァ(1999-2005年)
レクサス IS スポーツクロス(北米仕様、日本名:アルテッツァ ジータ)
日本ではトヨタ アルテッツァとして販売された初代ISは、FRコンパクトセダンというレクサスのラインナップに欠けていた部分を補完するだけでなく、レクサスの落ち着いた、ともすれば退屈というイメージを打ち破るスポーティさを兼ね備えていました。
グッと低められたノーズからウェッジシェイプに高まっていくボディは、ロングノーズなFR車らしさを残しつつ、かなりのスポーティさ。クリアテールを採用した4連テールランプとも相まって、コンパクトセダン界にデザイン革命をもたらしました。
トヨタ アルテッツァ
モデルライフ途中で追加された5ドアショートワゴン、IS スポーツクロス(日本名:アルテッツァ ジータ)も特徴的。
ワゴンながら実用性一点張りとせず、大胆に傾けられたリアウィンドウは、日本ではジータ専用として設定された3.0リッター 直6エンジンも相まって、スポーツワゴンの雰囲気が満点でした。
■2代目 レクサス IS(2005-2013年)
レクサス IS350 プロトタイプ
レクサスのデザインコンセプト「Lフィネス」の導入によって、一気に大人っぽい内外装になったのが2代目IS。
レクサスブランドの日本導入に伴って、トヨタ アルテッツァは廃止、新たに日本でもレクサス ISとしての歴史を刻み始めました。
低いノーズから伸びやかに駆け上がるラインはそのままながら、さらに躍動感を感じさせるエクステリアへ進化していますよね。
レクサス IS F CCS-R ニュルブルクリンク耐久仕様(東京オートサロン2012 出展車両)
初代ISでのスポーツクロスのようなワゴンは設定されませんでしたが、メタルトップをトランクに折りたたんで収納できるクーペカブリオレ、「IS C」や、スーパーカーLFAにも先行して市場投入され、レクサスのスポーツイメージを大いに牽引したV8スポーツセダン「IS F」の設定など、個性を活かしたバリエーション展開が豊富だった点も、2代目の特徴です。
特にIS Fでは、レースにも積極的に参戦するなど、それまでのレクサスのイメージを再び打ち破るスポーティさが訴求され、現在まで続くFラインの基礎を作った名車と言えるでしょう。
■3代目 レクサス IS(2013-2020年)
レクサス IS300h I Blue
3代目は、キープコンセプトながら、ISの魅力を磨き上げた熟成のモデル。新たにハイブリッドモデルの「IS300h」が設定されたことでも話題を呼びました。
外観としては、やはりスピンドルグリルの印象が強い3代目ですが、実はボディ側面や後面でもかなり挑戦的なデザイン。ヘッドランプやテールランプの繊細なデザインとも相まって、レクサスデザインがどんどん洗練されていくさまを如実に表していました。
レクサス IS300h
新たにFスポーツには四輪操舵の「LDH(レクサス ダイナミック ハンドリング)」を採用するなど、ISらしい走行性能の追求にも余念がありませんでした。
新型ISと見比べても、面白いほどに細部の仕上げが異なる現行ISは、独自の世界観を実現していました。
レクサス IS250 Fスポーツ
まとめ
レクサス 新型IS Fスポーツ(北米仕様)
このセダン不遇の時代において、もはやモデル廃止か?!とも噂されたIS。大規模アップデートによる戦闘力の回復で、市場に戻ってきてくれることは素直に喜ばしいことですね。
特にルックス面では、現行モデルのややアクが強い印象は薄れ、精悍でハンサムなデザインに進化。よりスポーティになったとされる走行性能も合わせて、実車の販売開始が待ち遠しいところです。
トヨタテクニカルセンター下山
これからのレクサス/トヨタの車の開発拠点となるであろう、トヨタテクニカルセンター下山で鍛えられた市販車第一号となる新型IS。
「下山クオリティ」を市場にアピールできるかどうか、注目したいところです。