パジェロとパジェロスポーツ
三菱 パジェロスポーツ 新型
1982年に三菱自動車がそれまで培ってきたジープの生産を活かしながら、新たな形での4輪駆動車として開発されたのがパジェロになります。
パジェロスポーツとの関係は名前と製造ノウハウですが、ベース車は「トライトン」と呼ばれるピックアップ・トラックであり、日本では1990年代中旬に発売されたチャレンジャーに相当します。
初代は1996年に誕生し、2007年と2015年に2度のモデルチェンジを行い、SUVのミッドサイズでありながらも基本性能のずば抜けた高さは海外で高い人気を得ているだけでなく、パジェロの血統がまだまだ生きていることを物語っています。
デザインに関しては都会的かつスポーティな印象を受けながらも、悪路に十分対応しているため、使い勝手のいい車の伝統もしっかりと受け継がれています。
パジェロとは?
三菱 パジェロ ロング スーパーエクシード
今から約四半世紀前の夜に放送された某バラエティ番組において、出場した芸能人や視聴者向けのプレゼントの商品としてラインナップされていたのが懐かしいといった話があります。
車の知識すら知らない方も番組の商品で、「ぱっ、じぇ~ろっ!」などの掛け声の一つとして広く伝えられたのはインターネットが普及していない時代を象徴する歴史の1コマでした。
それ以外にも前述のバラエティ番組以前にモータースポーツのステージでも積極的に活躍しており、セネガルからフランスまでの「パリ・ダカールラリー」にも発売した次の年である1983年から参加しいます。
総合優勝12回の実績とともにレースで得た技術などがパジェロ一族だけでなく、三菱の車全般に活かされています。
1982年に発売を開始した車で、フォルテのシャシーを利用したものでありメタルとキャンバス、2種類の屋根の登場からスタートしましたが、ロングボディとワゴンモデルも追加で発売されました。
1991年には2代目が誕生し、オートキャンプ人気もさることながら、RVの人気は景気が悪くても関係ないといった勢いで、スーパーセレクト4WDのほかマルチモードABSの導入など先進的技術を積極的に投入しました。
1999年には3代目が登場し、シャシーの軽量化に成功しながらも車体における剛性に関しては大幅にアップした構造です。また、重心性を低くしたため操縦に対する安定感が優れています。
そして最終モデルとなる4代目が2006年に誕生しアクティブスタビリティにトラクションコントロールの導入により、走りの面においてもさらに良くなるなど熟成された魅力を備えていましたが、国内向けには2019年に製造を終了しました。
パジェロスポーツの国内未発売のワケ
三菱 パジェロスポーツ 新型
パジェロの名前を冠しておきながらも実際は直接の関係はないため、いわば「異母兄弟」的位置づけとされています。
国内ではチャレンジャーの車名で販売された初代パジェロスポーツではパジェロとシャシーを共有していたこともあり、パジェロの高い知名度を活かす意味合いも含めて、欧州域向けなどにパジェロスポーツという車名が付けられたものと思われます。
製造はタイの三菱自動車現地法人である「ミツビシ・モーターズ・タイランド」などが行い、日本を除く世界中の広い地域で販売しています。「パジェロ」の名前を名乗っておきながらもどうして日本国内で販売されないのか、逆輸入をしないのかといった声も当然ながら聞こえてきます。
しかし日本には近似している「アウトランダー」がすでに発売されている関係で、似た車を逆輸入してまで販売する必要はないとの見解で、国内未発売となっています。
国内で販売して欲しい車、三菱パジェロスポーツ
三菱 パジェロスポーツ 新型
メーカーとしては現時点では導入すら検討する余地はないとして、先に話したようにアウトランダーで十分賄えるしペイできる、と判断しているのが「パジェロスポーツ=日本未発売」をメーカーが貫き通す理由の一つとして片付けられています。
ユーザーの本音ならば、パジェロスポーツは、オンロード向けの性格の強いアウトランダーよりも悪路により強くなった構造を取り入れており、パジェロという名の血筋を少なからず受け継いでいる以上、ブランドとしても根強い人気を博しています。
本格派のクロカンSUVをぜひとも日本に入れてほしいというユーザーたちの声が集まり、それが強くなるほどメーカーとしては日本市場導入に関して考えてくれるかもしれません。実現に向けては顧客の声をメーカーはどう受け止めていくのか注目する点です。
■三菱パジェロスポーツの性能
三菱が長年培ったパジェロのノウハウをふんだんに取り入れ、オフロードにおける安定した走りや耐久性、信頼性だけでなく同社が発売してきた乗用車に匹敵する機動性や快適な乗り心地を一つの形式に集約したミッドサイズのSUV車です。
エンジン性能に関しては、3.0L V6ガソリンエンジンや2.4L 直4ディーゼルターボエンジンなどと、6速MTや8速ATの組み合わせで環境性能のハイレベルを達成しながらも軽快な走りを実現しています。
4WD車に関してはスーパーセレクト4WDの搭載でオフロードモードの際、エンジン・オートマチックトランスミッションブレーキの統合制御により、悪路でも安定した走りが期待できます。
安全面に関しても力を注いでおり、先進安全装備のほかレーンチェンジアシストや後退時車両検知警報システムの導入でそれを高めています。
■パジェロスポーツのエクステリア
秀逸なデザインもさることながら力強さをも感じさせるのは先に話した通りです。立体的かつワイドなボディは悪路に対し頼もしい走りを約束し、フロントグリルやヘッドライトにバンパーの左右コーナー部分に配置されたコンビネーションランプとの連帯性を高めます。
運転に欠かせない視界良好の前面部分はそのままに、ボンネットに対しては従来の車より高くセットして厚みを持たせたため、フロントフェイスの立体性は動物に例えるならライオンのような風格さを持たせました。
メッキパーツの部分に関しても、立体的なデザインかつ力強さをアップしておきながらも、洗練性をさらに高めたフロントデザインを構成することに成功しました。
■パジェロスポーツのインテリア
居住性は快適かつ上質な空間を提供すべく、ドアグリップやフロアコンソールを見直し使いやすいよう形状の変更を行いました。また、ソフトパッド(ステッチ付き)の追加により室内のグレードアップに寄与しました。
それ以外にもコンソールの下には小物類が収容できるスペースを確保し、出し入れは左右問わずどこでもできるようアンダートレイを導入することにより、助手席側でも出し入れ可能な構造となりました。
電源についてはフロアコンソールの後ろ側に新たにAC電源が設置され、携帯電話の充電などに対応できるのが特徴です。そのほかUSB端子も使えるため、後ろ側の席でも電源が確保でき、端末系などの充電器などが使えるようになりました。
結果的に後部座席に対する居住性の向上にも貢献し、ドライブが楽しくなるだけでなくオートキャンプのような場面でも電気の確保ができるなど、アウトドアライフが快適に過ごせるよう考慮されています。
パジェロスポーツの特徴
三菱 パジェロスポーツ 新型
デザインは都会的なイメージが強く感じながらも力強さを物語る意匠は素晴らしく、内装を見ると3列7人乗りシートの搭載によりちょっとしたミニバンの役割も果たしています。
その後2代目や3代目に受け継がれる要素でありながらも、インテリアやエクステリア共々、モデルチェンジの都度改善されています。2019年(3代目相当)にはダイナミックシールド方式を新たに採用し、フロントデザインが見直されますが基本的項目については変わっていません。
最低地上高218mm、アプローチアングル30度に対しランプブレークオーバーアングルが23.1度で、デパーチャーアングル24.2度とそれぞれ確保し、ベース車両となっているパジェロに匹敵する悪路走破性のほか耐久性を有しています。
チャレンジャーの流れを汲みながらも3代目は曲線を描くかのようなカーブを多用し、空気抵抗の低減にも寄与しているのが総合的な特徴になります。
■海外でのパジェロスポーツの評判
それでは海外のユーザーからすればどのような目で見ているのでしょうか。ドライビングポジションはSUV車に近い感覚で目線は高く見下すような感じでしたが、視界に関しては特に問題なく運転ができるのが一つ目のポイントです。
アクセルを踏んだ時点でトルクがしっかり働き軽々と動いてくれるのも力強さのほか、振動が少なく感じるのも優秀なるディーゼル車の証です。
もう一つの声は乗り心地に関しては少しばかりの荒さはあるものの、トライドンベースの車両のためリアサスペンション付近のチューニングを見直し、心配されていた乗り心地は向上されています。
インテリアも居住性がよく快適な空間を提供してくれるため、ドライブが楽しくなるとユーザーから高い評価を受けています。
パジェロスポーツはパジェロの後継機なのか?
三菱 パジェロスポーツ
パジェロはパリ・ダカールラリーの数多くのタイトル樹立や四半世紀以上前のバラエティ番組の商品として、車について知識的に明るくない方々からも広く知れ渡ったブランド兼車両になります。
三菱が長年にわたって育て続けてきた一つのブランドを、今後のグローバル戦略において製造を終了しましたが、名前と数々のノウハウを積極的に取り入れながらも改良を加え続けました。
パジェロスポーツは、日本での販売はないのか発売してほしいと期待しているユーザーたちから支持を得ており、名門ブランドの血筋を少なからず受け継いでいるためパジェロの立派な「後継機」と言えるでしょう。
まとめ
三菱 ショーグンスポーツ(パジェロスポーツ)新型
日本国内で近似車両がある関係で販売できない現実がありますが、パジェロの生まれ変わりとして日本でも導入してくれといったラブコールが高いのもまた事実です。
扱いやすくて乗り心地もいい素晴らしい車両なので、三菱自動車全体における新たなフラッグシップ的役割を果たしてくれる車として、また、パジェロという由緒あるブランドの再興の為、国内でも製造・販売をしてくれる日を心待ちにしています。