SUV、まだまだ大流行中!どんどん増えるそのラインナップ
トヨタ カローラクロス(海外仕様車)
SUVの快進撃は留まるところを知りません。もはや世界中でSUVをラインナップしていない自動車メーカーは存在しないのではと思うほどに、低価格帯から高級車まで、様々なSUVが市場に溢れていますよね。
スーパーカーメーカーであるランボルギーニやハイエンド高級車で有名なロールスロイスなど、一昔前では考えられなかったようなメーカーからもSUVが続々登場しており、需要のさらなる高まりを感じさせます。
国内でも、トヨタのフラッグシップセダンとして長年の歴史を持つクラウンが、次期型ではSUVに変貌するのではと報道されて大反響を呼ぶなど、ニューモデルの登場だけでなく、今存在する車種のSUV転換すらも噂されるようになるほどに人気のSUV。
2020年の年間普通車販売台数では2位にトヨタ ライズが食い込むなど、乗用車のジャンルのひとつとして既に定番になっていることも当然といえるでしょう。
■SUVの起源とは?日本でSUVが流行るのは2回目?!
《画像提供:Response》ジープ チェロキー
SUVとは「スポーツユーティリティビークル」の略で、スポーツ用多目的車などと訳されます。この場合のスポーツとはアクティビティとしてのスポーツのことで、スポーツ用の荷物を満載できる余裕の荷室を持った車、といった意味合いになります。
その呼び方は1980年代のアメリカで定着したもので、以前より存在していたステーションワゴン風のボディを持ちつつトラック系の走破性の高いシャシーを備える、今でいうジープ系の車種に対するジャンル名として、1974年のSJ型ジープ チェロキーのカタログで登場しました。
SJ型チェロキーがSUVという言葉を広めたのに対し、1983年のXJ型チェロキーのルックスは、現代的なSUVの流れを決定づけたといわれています。四輪駆動車っぽさがあるやや背が高いロングルーフフォルムとなっており、現代まで続くSUVのスタイルは既に確立されていたことがわかりますね。
SUVの名前が示す通り、ボディ形状や駆動方式に明確な定義がなく、このチェロキーのイメージがそのまま広まり、走破性が高くやや背の高いステーションワゴン、といったようなフォルムがSUVの定番というイメージが付いているようです。
《画像提供:Response》三菱 パジェロ
日本においては、それまではややニッチな商品群として扱われてきたクロスカントリー車が、1990年代のRVブームによって一躍人気車種に躍り出たことは、現代に先んじたSUVの流行とも言えるでしょう。
SUVの語源ともやや似ている「レクリエーショナル ビークル」の略となるRVがブームとなった背景には、ウィンタースポーツなどのレジャーが大流行したことが大きく関係しています。
ゲレンデへ向かう途中の雪や、ビーチの砂などもなんのそので走れるSUVはこの時点で一気に人気が爆発。三菱 パジェロやいすゞ ビッグホーンなど、現在では車名が消えてしまった人気車の数々が生み出されました。
その後はレジャーブームが下火になったことや国内景気の低迷、ガソリン価格の高騰などの様々な要因からSUVは一度鳴かず飛ばずの時期を迎えますが、2010年代以降からは大いに復活し、現在のような幅広い層からの人気につながっているわけです。
「クロスオーバーSUV」その真実に迫る!
先ほどご紹介したように、SUVという用語自体にははっきりとした定義がなく、ややアバウトなジャンル分けでもあります。それだけに、SUVというジャンルの中でもさらに分類分けが進んでおり、その中のひとつが今回テーマになっている「クロスオーバーSUV」です。
いったいどんな車種のことをクロスオーバーSUVと呼んでいるのか? クロスオーバー以外にSUVはあるのか? 詳しく見ていきましょう。
■クロスオーバーという言葉の意味は?
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリスクロス
クロスオーバーという言葉は、「立体交差点」や「異なる要素が混じり合ったもの」といった意味があり、自動車のジャンル分けとして使う際には、「複数の車種の要素を取り合わせた車」といった意味合いで使われます。
そのほかにも、異なるジャンルが垣根を越えて融合した新しい音楽スタイルのことや、アメコミのヒーローが別作品に登場するなど、複数の作品世界を一時的に合流させた漫画や小説なども「クロスオーバー」と呼ばれたりするなど、自動車以外でも異なる要素を取り合わせたものに対して広く使われる言葉になります。
■クロスオーバーSUVはどんな車のことを指すの?
ダイハツ タフト
先ほどご紹介した定義に沿うならば、異なる性格づけの車の特徴を組み合わせた車であれば「クロスオーバー車」と呼べることにはなりますが、現代で特によくクロスオーバーと呼ばれるのは「クロスオーバーSUV」でしょう。
クロスオーバーSUVとは、その名の通りSUVに他のタイプの車の特徴を備えさせたもの。具体的には、乗用車的な舗装路上でのより優れた乗り心地を持つものや、スポーツカーのような運動性能を持つものなど、走破性や室内のユーティリティ性といった本来のSUVの特徴だけではない魅力を備えたもののことを呼ぶ場合が多いようです。
また、乗用車の足回りや外装に手を入れるなどして、SUV風のルックスや性能を備えさせた場合にもクロスオーバーSUVと呼ばれます。トヨタ アクア クロスオーバーのように、その場合グレード名にクロスオーバーと付く場合もしばしば見られますね。
クロスオーバーSUVはその多面的な魅力によって普段使いから扱いやすいことで人気が高く、今やSUVの売れ筋はクロスオーバー系が多数を占めていることもあり、SUVと言われるとクロスオーバーSUVしか思い浮かばない方もいらっしゃるかもしれませんね。
■クロスオーバーSUV以外にSUVってあるの?
メルセデスベンツ Gクラス(海外仕様車)
多面的な魅力を備えるクロスオーバーSUVに対して、シビアなコンディションや悪路を走破することに主目的をおいているのがクロスカントリー車。
クロカン車などとも呼ばれるこのジャンルの車は、具体的には四輪駆動はもちろんのこと、より剛性に優れたラダーフレーム式で、地上高がしっかり確保されている、などの条件を満たすものとなっており、SUVというジャンルの中でも独特の存在感があります。
大型のモデルも多く、本格的な走破性能を持つ迫力のクロカン車に比べると、クロスオーバーSUVにはやや軟弱な印象を受けることも確か。特にクロスオーバーSUVの中には、クロカン車のようなアクティブな印象の外観なのに最低地上高が低かったり、二輪駆動しかラインナップがないなど、「見た目重視」な車種もあることから、SUVならクロカン車に限る!というコアなユーザーもいます。
しかし反面、オフロードで本領を発揮するクロカン車は、舗装路上では乗り心地や安定性に劣ったり、燃費性能が低かったりと、普段使いで我慢を強いられる場面が多いことも確かでしょう。
その点、クロスオーバーSUVは、アクティブな雰囲気はそのままに扱いやすさをプラスして、より普段の生活に馴染める車と言えるかもしれませんね。
最新おすすめクロスオーバーSUVはこれだ!
■トヨタ ハリアー:傑出したエレガンス、都市型クロスオーバーの先駆
トヨタ ハリアー
2020年に登場した新型モデルの人気も引き続き高騰中のエレガントSUV、トヨタ ハリアーは、クロスオーバーSUVの中でも特に舗装路に特化した高級感の高さと動力性能の高さが魅力的です。
初代モデルは1997年に登場していますが、当時からFFセダンであるカムリとプラットフォームを共有。現行モデルでは意外としっかりと最低地上高は確保されているのですが、それでも岩場の荒地や砂浜というシーンよりも、ビル群を颯爽と駆け抜ける方が似合いそうなエレガントさは、ハリアーが人気となっている理由のひとつでしょう。
ボディサイズが大きめなこともあり、室内のゆとりも相当なもの。まるで高級セダンを思わせる妖艶なインテリアは、ドライバーだけでなくパッセンジャーの方にも満足してもらえること間違いなし。パワーバックドアまで用意されるなど、荷室を活用する際の所作も美しく保てそうです。
セダンやステーションワゴンよりもSUVらしいアクティブ感を持ちつつ、それでいてフォーマルな場面でも浮かないエレガントさをもしっかり備えるハリアーは、クロスオーバーSUVの「いいところどり」をこれ以上なく突き詰めた結果と言えるかもしれませんね。
トヨタ ハリアーのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,740mm×1,855mm×1,660mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,690mm | |
最低地上高 | 190mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,650kg | |
燃費 | WLTCモード:22.3km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリンハイブリッド 2,487cc | |
エンジン最高出力 | 131kW(178PS)/5,700rpm | |
エンジン最大トルク | 221N・m(22.5kgf・m)/3,600-5,200rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 88kW(120PS) | |
モーター最大トルク | 202N・m(20.6kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 3,636,364円(消費税抜) |
■スズキ ハスラー:ライトに付き合える気楽さと優れた環境性能を両立
スズキ ハスラー
兄貴分にジムニーという伝説的クロカン四駆を持つハスラーは、ハリアーのようなエレガントさはないものの、普段使いから楽しくなってしまうようなウキウキ感がデザインから感じられる快活さが人気です。
サイズの制限がある分どうしても形が似てしまう軽自動車の中で、これまでのハイトワゴン系とは異なるSUV風味のアクティブさを備えて登場したハスラーは、瞬く間に人気車種へと成長しました。丸目で愛らしいフロントフェイスですが、現行モデルではしっかり角張らさせた外装に進化しており、もっと大型のクロカン車をも彷彿とさせますね。
四輪駆動の用意もあるほか、地上高も高めでアプローチ/デパーチャーアングルも優秀と悪路にも挑戦したくなるポテンシャルを持つハスラーですが、真髄はその高効率性。全車マイルドハイブリッド仕様となるハスラーは、WLTCモード燃費では最高25.0km/Lの好成績で、実燃費ではリッター30kmに届く場合すらあるようです。
大人4人がゆったり乗れる室内に低燃費のエコ性能も持ち合わせ、それでいて外装は趣味感たっぷり。制約の多い軽自動車において、かなり高度なクロスオーバーSUVとなっています。
スズキ ハスラーのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,680mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,460mm | |
最低地上高 | 180mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 820kg | |
燃費 | WLTCモード:25.0km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンハイブリッド 657cc | |
エンジン最高出力 | 36kW(49PS)/6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 58N・m(5.9kg・m)/5,000rpm | |
モーター種類 | 直流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 1.9kW(2.6PS)/1,500rpm | |
モーター最大トルク | 40N・m(4.1kg・m)/100rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,380,000円(消費税抜) |
まとめ
BMW X4
クロスオーバーSUVの意味やおすすめ車をご紹介してきました。
高級×ミニバンやセダン×スポーツカーなど、現代の自動車は意外と多くの場合で複数の車種の魅力を追求しているので、クロスオーバー全盛期とも言えそうですね。その中でもクロスオーバーSUVは、その魅力でSUVをここまで世界的な人気者に押し上げた張本人かもしれません。
1台の車で2度、3度とおいしい、魅力たっぷりのクロスオーバーSUVに、これからも要注目です。