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トヨタの新世代戦略「TNGA」とは?特徴や採用モデルまで徹底解説

トヨタの新世代戦略「TNGA」とは?特徴や採用モデルまで徹底解説

トヨタが新世代の車づくりとして導入しているTNGA。その言葉は聞いたことがあっても具体的に何のことなのかわからないという方も多いようです。そこでTNGAの特徴や、導入されているモデルについてご紹介します。

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TNGAとは

《写真提供:response》 トヨタプリウス

自動車業界は常に進化し続けています。新しい技術が次々と投入され、性能も大きく向上し続けています。これは世界的な流れですが、日本は自動車大国として知られており、業界をリードし続けてきました。そんな日本でも最大の自動車メーカーとして中心的な役割を果たしてきたのがトヨタ自動車です。

トヨタ自動車では次々と新しい技術を投入し続けています。そんなトヨタ自動車が新たな戦略として推し進めているのがTNGAです。テレビCMなどでもアピールされていたので耳にしたことがあるという方も多いでしょう。ですが一方で、その具体的な内容についてまではあまり世間に浸透していないようです。

そこで、まずはトヨタ自動車の新世代戦略であるTNGAとはどういった内容なのかをご紹介します。

トヨタの新世代戦略

TNGAとは前述の通りトヨタ自動車の新世代戦略で、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ」の頭文字を取った言葉になります。自動車メーカーがこういった言葉を発表すると、新しい技術のことを思い浮かべる方が多いかもしれません。

事実、トヨタは独自の技術を次々と生み出し、導入し続けています。しかしTNGAは単体の技術ではなく会社としての戦略であり、新しい車造りの設計思想のことです。

もちろん技術も含まれますが、企業としての人材の育成や根本的な品質向上なども含めた活動すべてに関係する形になります。

TNGAの5つのポイント

TNGAには5つのポイントがあります。

1. 商品力の向上

1つ目のポイントは「商品力の向上」です。車の基本である走行性能を向上させることはもちろんのこと、運転のしやすさや魅力的なデザインなども含めて純粋に「より良い車」の開発を目指すことが掲げられています。

2. 開発効率化

2つ目のポイントは「開発効率化」です。この点は今日の多くの自動車メーカーの課題となっています。

当然ながら自動車の開発には多くの労力やコストがかかります。しかし技術革新の波が押し寄せてくる中で、次々と新しい技術を用いた新型車を開発し続ける必要があるため、ひとつのモデルを長く売り続ける時代ではなくなりました。

そのため、自動車メーカーは常に開発し続けることが求められるようになったのです。そんな中で生き残り、業界をリードするための開発効率化を推し進めることもTNGAの柱のひとつとなっています。

3. ものづくり改革

前述の「開発効率化」と関連するのが3つ目のポイント「ものづくり改革」です。

開発と製造、そして販売の連携を強化することによって、よりシンプルでコンパクトな製造工程作りを目指すことを指します。

4. グローバル標準への取り組み

4つ目のポイントは「グローバル標準への取り組み」です。従来、日本の自動車メーカーの多くで、独自規格に基づいた部品開発が行われてきました。

しかし海外では多くのメーカーがグローバル規格を採用し、共用化に対応し始めています。その流れの中でトヨタも設計をグローバル標準化していくという形になります。

5. TNGAと連動した調達戦略

5つ目のポイントは「TNGAと連動した調達戦略」です。これは前述のグローバル標準の規格化と繋がりますが、部品やユニットなどの世界規模での共用化に対応することによって、競争力を高めていくということになります。

TNGAの5つのポイントはそれぞれが連動しており、組織としてのトヨタ自動車の未来の指針として掲げられているのです。

TNGAで何が変わる?

ユーザーとして気になるのは、これからのトヨタがTNGAによってどのように変化するのかという点でしょう。さまざまな点が変化することが予想されますが、もっとも大きいのは「グローバル標準への取り組み」だといえます。多くの部品やユニットが独自規格からグローバル標準化されることによって、海外の自動車メーカーとの連携がこれまで以上に加速することが予測されます。

すでにトヨタはドイツBMWとの協力によってスープラなどを開発していますが、今後さらにこの流れが加速していくことになるでしょう。これまではライバルであった企業との提携によって、自動車業界そのものが大きく変化することになるかもしれません。

TNGAを知るための3つのポイント

《写真提供:response》 トヨタプリウス

TNGAの概要は上記の通りで、5つのポイントを柱としてすでに動き始めています。とはいえ、あまりにも大きな規模の話なので具体的にイメージすることができないという方も多いでしょう。

そこで、ここではさらに掘り下げて注目すべき3つのポイントをご紹介します。

1. 新しい車体開発

車体開発そのものの方向もTNGAにおいて大きく変化しており、2015年以降、新規投入されるプラットフォームの大幅な見直しが行われています。骨格といった基本的な設計を大きく見直すことによって剛性を高めた上で、デザインの自由度も高めるといった方向で開発が進められています。

当然、グローバル規格の部品にも対応する設計となっていますので、これまでのトヨタ車とは少し違った形で開発が進められているようです。

すでに販売されているモデルでは、2015年に発売された現行プリウスはTNGAによって開発された新プラットフォームが採用されています。先代と比較するとデザインが大きく一新されたことで驚いた方も多いでしょう。単に外観が変わったのみでなくボディのねじり剛性が60%向上するなど、大幅な性能アップにも成功しています。

2. 一新されるエンジン

現代のパワートレインの主流であるエンジンも一新されています。かつてエンジン開発に求められるのはパワーが中心となっていましたが、現代では燃費効率や環境への配慮などさまざまな要素が要求されるようになっています。これらに答える形で、TNGAの設計思想に基づいた新たなエンジンがすでに開発されています。

すでにトヨタは2016年から2021年までの5年間で9機種、17バリエーションを投入することを発表しており、これらの新型エンジンでは新たな可変制御システムや高速燃焼技術などを採用することによって、高効率と高出力の両立を実現しています。

3. さらに進化したハイブリッドシステム

環境問題への関心の高まりから、近年の自動車業界において特に大きな関心を集めているのがガソリンエンジンに代わるパワートレインです。とはいえ、まだまだ純粋なEV車はそれほど普及しているとはいえず、2021年現在でも各メーカーの主力はハイブリッドです。

トヨタでは早い段階からハイブリッド車を市場に投入していきましたが、TNGAによってそのシステムも一新されています。ハイブリッド車の欠点であった発進加速性能を強化し、さらに高速走行時のシステム効率についても見直すことによって、さらに燃費性能を高めることに成功しています。

同時にプラグインハイブリッドシステムも一新しています。モーター走行の性能アップはもちろんのこと、発電用に使用されていたモーターも走行用に使用することができる「デュアルモードドライブシステム」が実用化され、EVモードでの走行性能が大幅に向上しました。

ハイブリッドシステムは、今後さらに拡大するとされているEV車にもダイレクトに応用される技術ですので、今後注目すべきポイントといえます。

TNGA導入モデルをチェック

《写真提供:response》 トヨタカムリ

TNGAは2015年に発表されており、すでに多くの車種に採用されています。

最後にTNGAの設計思想が採用され、すでに販売されているモデルをご紹介します。

プリウス

《写真提供:response》 トヨタプリウス

TNGAプラットフォームを採用した最初のモデルとなったのが、2015年に発売された4代目プリウスです。トヨタを代表するハイブリッドカーで、このモデルも世界的に高い評価を受けています。先代モデルと比較して大きく外観が変わったのみでなく、剛性や走行性能、燃費性能なども大幅に向上しています。

高性能かつデザイン面でも魅力的な、まさにTNGAの設計思想を形にしたモデルであるといえるでしょう。

C-HR

《写真提供:response》 トヨタCーHR

現在、トヨタが特に力を入れているカテゴリーのひとつであるSUVの主力モデルです。世界的にもSUVへの注目度は高まっており、ニーズとマッチしたトヨタの描く「より良い車」の形のひとつであるといえます。

この他にもハリアーやヤリスクロスなど多くのSUVモデルを市場に投入しているトヨタですが、いずれも新型モデルにはTNGAの設計思想が採用されています。

カムリ

《写真提供:response》 トヨタカムリ

トヨタを代表するセダンであるカムリにも、TNGAの設計思想が採用されています。もともと日本のみでなく世界的にも高く評価されているモデルですが、TNGAによってよりスタイリッシュで高級感のあるプレミアムセダンに生まれ変わっています。

パワートレインには新しいハイブリッドシステムが採用されており、従来のモデル以上の走行・燃費性能を実現しているという点もポイントです。

カローラスポーツ

《写真提供:response》 トヨタカローラスポーツ

2018年に登場した最新のカローラは「スポーツ」でした。トヨタを代表するセダンであったカローラですが、ハッチバックのスポーツモデルからの登場に世間は驚くとともに、トヨタの新しい姿勢を感じさせられたのではないでしょうか。

このカローラスポーツにはTNGAの思想によって設計された新プラットフォームが導入されており、まったく新しいトヨタの顔としての存在感を示しています。

まとめ

《写真提供:response》 トヨタカムリ

TNGAはトヨタの新しい戦略のひとつであり、企業として大きな変化を遂げることへの宣言でもあります。すでに2021年現在でTNGAの思想に基づいて設計された技術が導入されたモデルが数多く市場に出ています。

まだTNGAの取り組みははじまったばかりではありますが、今後の自動車業界に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

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