コンパクトSUV随一のトータルパッケージ、ヴェゼルの魅力
ホンダ ヴェゼル 新型 デザインスケッチ
かっこよさと室内の使い勝手を両立できるSUVの中でも、本格的な大型SUVや高級SUVには、憧れてしまいますよね。
しかし、その価格の高さは購入のハードルが上がりますし、ボディの大柄さは普段使いでは持て余すのが現実といえそうです。
そんなこともあって、SUVジャンルの中でも高い人気を誇るのが「コンパクトSUV」でしょう。アクティブな見た目は気分が上がりますし、乗り降りもしやすく見晴らしのいい高めの着座位置や、余裕の後席空間、使い勝手のよい荷室空間まで備わるコンパクトSUVは、人気になって当然ともいえます。
そんなコンパクトSUVの中で、まるでアーミーナイフのように様々な要素を1台の車に詰め込んだトータルパッケージで人気なのが、ホンダの「ヴェゼル」でしょう。
フィットをベースにしていながら、見た目の印象はしっかりしたSUVスタンスと流麗なルーフラインで存在感は十分。それでいてホンダ車らしいクレバーな室内の使い勝手に、ハイブリッドの低燃費まで選択できるとあって、初代モデルにしてすでに定番の地位を獲得していますよね。
ホンダ ヴェゼル ツーリング
そんな定番SUVも、2013年12月のデビューから7年が経過しており、ついに2021年4月で2代目へのモデルチェンジの時期となりました。
まだまだコンパクトSUVのライバルが少なかったころに登場した初代と比べ、現在はあらゆるメーカーからライバル車が登場している混戦の時代。もはやライバルは国産車メーカーだけでなく、輸入車メーカーからもリーズナブルなコンパクトSUVが登場しているほどです。
そんな中投入される2代目ヴェゼルには、どんな魅力や飛び道具が備わっているのでしょうか。
現在公表されている情報を、詳しくまとめてみました。
2021年4月ついに登場!新型ヴェゼルを先取り予習しておこう
■独自の世界が極まったエクステリアデザイン
ホンダ ヴェゼル 新型
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型 カジュアルスタイル
初代モデルでは、クーペのようなルーフラインは持っていたものの、ヘッドライトなどのデザインは大らかで親しみやすさを感じさせるデザインとなっていました。新型モデルではその印象を一変させ、シャープな目つきで迫力のデザインに進化しています。
フロントタイヤからリヤクオーターピラーへ駆け上がっていた初代モデルのキャラクターラインは消え、水平基調の伸びやかさを感じさせるシンプルなフォルムとなった点も大きな違い。伸びやかな印象を強めているのは、ルーフ高が低められている点も理由のひとつでしょう。
今時の車らしい2トーンカラーも上位グレードでは設定されるようで、モダンな印象がさらに強まっています。
■美しさと使い勝手のインテリアデザイン
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型 インテリア
インテリアもよりシンプルに徹した印象で、水平方向にラインがまとめられたダッシュボードが新しいですね。
初代モデルでも、ドライバー方向へ傾けられた操作系やバットレス構造のセンターコンソールなどの造形は高評価を受けていましたが、新型モデルではさらにシンプルさが極められたデザインになって、シックな美しさが感じられるようになっていますね。
全高が初代モデルより引き下げられながらも、前席だけでなく後席乗員の「爽快視界」の確保も開発テーマに上がっていたそうで、実車での確認が楽しみなポイントです。
■さらに機能向上したホンダセンシングを搭載
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型 発表資料
新たに近距離衝突軽減ブレーキや渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロールなどが備わったHonda SENSINGは、新型ヴェゼルの大きな魅力の一つ。
意外な点では、フルLEDヘッドライトが全車に装着されるのに、上位グレードであってもハイ/ローを自動で切り替えるのみの「オートハイビーム」の装備に留まるように発表されている点が挙げられそうです。
最近は軽自動車でもカーブなどで進行方向を照らすコーナリングライト機能や、先行車や対向車部分だけの遮光が可能なアダプティブハイビームなどを装備する車も増えていますので、今後の続報に期待したいですね。
■「e:HEV」に進化したハイブリッド、頼れる4WDも
初代モデルの「スポーツハイブリッド i-DCD」は廃止され、新たに搭載されるのはホンダ車でラインナップ拡大中の2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」です。
こちらは日常の幅広い領域でモーター走行を行い、適宜エンジンで発電用モーターを回すことで充電・給電を行い、高速域ではより効率の良いエンジン直結走行も行うことができる、最新の賢いハイブリッド。
EVのような走行感覚とガソリン車ならではの航続距離や給油の簡易さを両立させた同ハイブリッドシステムは、先行して搭載しているフィットなどでも好評なので、ヴェゼルとのマッチングも期待できますね。
■パノラマルーフに「そよ風」エアコン… 独自装備が満載!
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型 パノラマルーフ
公表されている情報の中でもユニークな装備が、前席用左右エアコンアウトレットに搭載された「そよ風アウトレット」でしょう。まだまだ実際にどのように作動するのかはわかっていませんが、操作ノブによって、一般的なエアコン通風と「そよ風アウトレット」による通風が選択できるようになっている模様です。
特に夏などは、ヒンヤリした冷気が直接体に吹き付けられると不快に感じることもありますよね。そのようなシーンで、そよ風のような緩やかな風の流れは快適そうですし、風の膜を作ることで外気の熱や寒さを遮断するはたらきも期待できるとのこと。実車で早く体感してみたいものです。
また、現時点ではトップグレードとなるe:HEV PLaYへの標準装備が発表されているパノラマルーフも注目ポイント。開口幅がかなり広くなっており、室内の開放感に非常に貢献してくれそうですし、日差しの熱をほとんどカットしてくれる「Low-Eガラス」によって快適性も上々のようです。
ヴェゼルと比べてどうなの?コンパクトSUVはライバル多数
■トヨタ C-HR
トヨタ C-HR GRスポーツ
新型ヴェゼルと同じく、クーペSUV風の流麗さが特徴的なのがトヨタ C-HRです。こちらは2016年デビューと、一般的な自動車のサイクルとしてはそろそろモデルチェンジがあってもおかしくない頃ではありますが、トヨタ車らしく、細やかな改良や特別仕様車の展開で飽きさせません。
デビュー当時としては破格に充実していた予防安全装備や運転支援装備など、まだまだ最新のライバルたちに劣らない部分も。しかし、もはやトヨタ社内からさえもライバルが多数出現しており、存在感が薄れ気味なのも事実でしょう。
C-HRの洗練された走行性能は魅力的ですが、後席や荷室の使い勝手が限定的という面もあって、乗り手を選ぶスペシャルティSUVというキャラクターが強調されてしまっているのかもしれません。
ヴェゼルも新型モデルではユーティリティ性の高さをあまりアピールしないイメージ戦略を取っているようですので、C-HRの二の舞にならないようにがんばってほしいところですね。
■日産 キックス
日産 キックス
国内では2020年6月に登場したキックスですが、実は海外市場では2016年から発売されている隠れベテラン。しかし国内仕様はe-POWERのみのラインナップとするなどトガった商品展開が印象的で、初期セールスは好調なようです。
しかし、キックスは割安なガソリン車を持たず、さらに全車でプロパイロットを標準装備するなど実質的に最上位グレードのみラインナップしていることもあって、エントリー価格は税抜250万円台からとお高め。新型ヴェゼルのエントリーグレードとなる「G」は、これを下回ってくるのは確実でしょう。
またキックスのe-POWERは、EV譲りのレスポンスと加速性能で好評ですが、ハイブリッド車として燃費性能が今ひとつという評価も。WLTCモードで21.6km/Lというキックスの燃費性能は充分に低燃費ではありますが、最新型車としてはややインパクトに欠ける印象もありそうです。
新型ヴェゼルは、e-POWERと同様幅広い速度域でモーター駆動を利用する「e:HEV」の搭載が予告されていますので、ヴェゼルの燃費性能がどの程度改善されるかによって、キックスはより厳しい戦いを強いられるかもしれません。
■トヨタ ヤリスクロス
トヨタ ヤリスクロス
C-HRやキックスからどんどん顧客を奪っていっている印象もある大ヒット車が、こちらもトヨタの「ヤリスクロス」。車名通りにヤリスをベースにしたなんちゃってSUVと思いきや、ヤリスと同時進行で個別開発したというだけあって、仕上がりはもはや無敵に近い印象すらあります。
同じく2020年デビューのキックスに対して、WLTCモードで30.8km/Lという圧倒的なハイブリッド車の低燃費、ガソリン車で税抜160万円台からという圧倒的な低価格と全方位的な強みがあるのがヤリスクロス。
ライバル車よりもやや短めの全長ながら、全幅はライバル同等に1.7m超えの3ナンバーボディとすることで、存在感のあるルックスを得ている点も魅力的ですね。
このヤリスクロスの強さは、新型ヴェゼルにとっても高いハードルとなっているはずで、性能や価格でヤリスクロスに勝っているのか、それともその差を納得できるだけの他の魅力がヴェゼルには備わっているのか、期待が高まります。
■ダイハツ ロッキー
ダイハツ ロッキー
ヤリスクロスよりもさらに小型な5ナンバーボディで、普通車としては最小クラスのSUVとなるダイハツ ロッキーも、コンパクトさや低価格さだけではない魅力で大いに人気を得ています。
その人気は2020年の登録車新車年間販売台数ランキングで確認できます。ロッキーと姉妹車であるトヨタ ライズの販売台数を合わせると、なんとランキングトップとなる15万台以上を販売しているほどで、もはや「SUVとして人気」なだけではなく、国民車的な人気を獲得しているといえそうです。
ロッキーは、小さめな5ナンバーサイズでも安っぽくないデザインが特徴。さらにインテリアでも7インチの大型ディスプレイによる「アクティブマルチインフォメーションメーター」がほとんどのグレードで装備されるなど、格上車に負けない豪華装備も備わります。
先代ヴェゼルとは方向性を切り替え、クーペSUVとしての存在感を強めたように映る新型ヴェゼルですので、キャラクター的には直接競合はしないかもしれませんが、ロッキーはそのコスパの良さで、これからもコンパクトSUV界の台風の目であり続けることでしょう。
現行モデルのヴェゼル 新車・中古車価格まとめ
ホンダ ヴェゼル ハイブリッド モデューロX
2021年3月現在、現行モデルとなるヴェゼルはパワートレイン別に自然吸気・ターボ・ハイブリッドと3種類が展開されており、全体では9グレードがラインナップされています。
税抜新車価格では、最も廉価なのはG・Honda SENSING FF仕様の約192.1万円、最も高価なのはハイブリッド モデューロX Honda SENSING 4WD仕様の328.9万円となっています。
最もベーシックな1.5リッター自然吸気エンジン車と比べると、ハイブリッド車は同等グレードで約30〜35万円高程度に設定されています。
ターボエンジン車は、上級グレードのみのラインナップであることもあって単純な比較は難しいのですが、自然吸気エンジン車よりもおおよそ40万円高程度となっており、ハイブリッド車よりもやや上回る価格設定となっていますが、4WDが設定されない点は注意が必要です。
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル ツーリング
2021年3月現在、初代ヴェゼルは人気車だけに、中古車在庫は約2,800台とホンダの登録車としては多めで、中古車としても選びやすさが光ります。
税込中古車本体価格平均としては183.8万円となっており、モデルライフの長いことを考えれば意外なほど高値。こちらも人気を反映していそうです。
最安のものでは80万円台からとなっていますが、予算が許せば選びたいのは「Honda SENSING」が追加された2016年の一部改良以降のモデルでしょう。予防安全装備が備わったモデルを選んでおくことで、長く付き合えるはずです。
また、高めで推移しているとはいえ新車より値段は下がっていますので、ターボエンジン搭載の「ツーリング」グレードや、走行性能を高めたコンプリートカー「モデューロX」などの上位グレードを選んでみるのも楽しそうですね。
まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ ヴェゼル 新型
2021年4月に発売予定となっている新型ヴェゼルについてご紹介してきました。
ライバル車種のご紹介もしましたが、これまでにないほどに競合車種が多くなっているコンパクトSUV市場で、新型ヴェゼルはどれほどのインパクトを残すことができるでしょうか。
初代のような息の長い大ヒット車種へと成長するかどうか、発売後も見守っていきたいところですね。