NSXの特徴
《写真提供:response》ホンダ NSX (2020年モデル)
新時代のスーパースポーツ体験(New Sports eXperience)の文字から来ている車名を持つNSX。F1エンジンビルダーとしても名を馳せたコスワースが共同開発パートナーとなって開発した3.5L V型6気筒エンジンをミッドシップに搭載し、ハイブリッドシステムも搭載しているのが特徴です。
現行モデルは、税抜価格で2,200万円と日本で販売しているホンダ車の中で最高価格となっています。
NSXの特徴をさらに見ていきましょう。
■最高峰のスポーツカー
ホンダが製造する最高峰のスポーツカーといえるでしょう。初代モデルも発売当時は市販自動車としては類を見ない世界初の「オールアルミモノコック・ボディー」を採用したモデルでした。エンジンだけでなく、車両の生産はすべて手作業で行っていたので、日本車トップクラスのスポーツカーとして知られていました。
2代目でも最高峰のスポーツカーであることは変わらず、ホンダ車として最高の車体価格になっているだけでなく、数々の先進技術が搭載されておりスポーティな走りを実現しています。
■ハイブリッド搭載で進化した走り
3.5Lの力強いエンジンだけでなくハイブリッドシステムが搭載されているので、モーターによるアシストも加わったさらに高度なパフォーマンスを実現しています。パワートレインには、エンジンの他にモーターが3つ搭載されています。
フロントには出力37PSのモーターが2つ搭載されており、リアには48PSのダイレクトドライブモーターがエンジンのクランクシャフトに直結される構造で組み込まれているので、合計のシステム最高出力は581PSです。
ハイパワーを絞り出すエンジンは、75度のバンク角でコンパクトに設計されており、低重心化に役立っています。また後輪の駆動をアシストするモーターは、エンジンのターボラグを解消するようになっており、素早い加速を実現しました。
■電子制御で安定した走り
独創のメカニズム「SPORT HYBRID SH-AWD」で、どんな時でもオン・ザ・レール感覚のコーナリングができるようにドライバーをサポートします。
前輪のトルクベクタリングでアンダーステアを抑制。コーナリング中の挙動が乱れたときに安定化を図ります。ドライバーがイメージした通りにライントレースできるので、ドライビングが楽しくなるのです。
前輪のトルクをコントロールするツインモーターユニットは、アクセルオン時だけでなく、アクセルオフ時も左右独立して制御します。
4つの走行モードを選択することができ、シーンに合わせて最適な制御を行ってくれるのです。
NSXのエクステリア
《写真提供:response》ホンダ NSX (2020年モデル)
NSXのエクステリアはワイドなボディが強調されて、まさにスポーツカーというデザイン。四隅には大きなタイヤが配置され、軽さを感じさせる羽根のような造形がボディーのイメージに採用されています。
軽さを際立たせるフローティングピラーは、サイドに空気を流す役割も持っています。ボディーカラーは、初代NSXの人気カラーに現代的アレンジを加えたインディイエロー・パールⅡをはじめ、計9色用意されているのが特徴です。
低いボンネットには、ワイドな印象を与える横長のLEDヘッドライトが装備。大きなエアインテークも力強さを感じさせるデザインです。
リア周りは比較的シンプルな形状となっており、左右のテールランプをつないでいる横一文字のレッドガーニッシュがワイド感とスポーティな雰囲気を演出。
専用鍛造のフロント19インチとリア20インチのアルミホイールからは、アルミモノブロック製大型キャリパーとカスタムオーダーのカーボンセラミック製ディスクが覗けます。
NSXのインテリア
《写真提供:response》ホンダ NSX (2019年モデル)
NSXのインテリアには、骨格を思わせるガーニッシュデザインが採用されており、強固なコックピットがイメージされたスタイルと羽根のような軽さを感じさせる形状です。
インストルメントパネル内部には、アルミ押し出し材のビームが配置。見た目だけでなく、コックピット強度も高められており、軽量化とデザインの両立が図られているのが特徴です。
カスタムオーダーでは、メーターバイザーやステアリングガーニッシュがカーボン製になったり、ルーフの内張りがアルカンターラ製にできるなど、特別なインテリアにカスタムもできます。
《写真提供:response》ホンダ NSX (2019年モデル)
フロントピラーは断面を小さくして、ドライバーの視界を確保しています。ドアミラーが外側にオフセットして配置されていることや、ステアリングホイールの上部が平になっているのでコーナリング中の視界を確保。
手になじむような革が使用されているステアリングホイールや体幹を支えるスポーツシートで自由な肩の動きを確保しながらも、身体をしっかりと支えてくれます。
NSXの歴史
《写真提供:response》ホンダ NSX(2020年モデル)
ホンダのフラッグシップスポーツカーとして、1990年から2005年に初代が発売され、2016年から2代目NSXが発売されています。どのような歴史があったのか、見ていきましょう。
■【先代】国産初のスーパースポーツ
《写真提供:response》ホンダ NSX 初代(1990年)
1990年4月にホンダNSXが登場しました。新世代ミッドシップスポーツカーであるNSXは、運動性能を高めるためにオールアルミモノコックボディが採用されました。
V型6気筒エンジンが搭載され、高級スポーツカーに匹敵する性能を備えた車となります。吸排気特性に優れたショートストロークタイプのエンジンで、ホンダご自慢のVTECやチャンバー容量切り替えインテークマニホールドシステムが採用されます。
組み合わされるトランスミッションは4速ATと、当初は5速、後に6速に置き換えられたMTの3種類でした。
■タイプRも登場
1992年11月にタイプRが登場します。エンジンはV型6気筒エンジンで同じですが、クランクシャフトやピストン、コネクティングロッドの精度が高められており、エンジンレスポンスが向上しています。
バンパービームやドアビームがアルミ化されていることや、レカロ社との共同開発で超軽量フルバケットシートが採用されたことで、標準モデルよりも約120kg軽量化されており、サーキット走行も視野に入っているモデルです。
■2001年にビッグマイナーチェンジ
《写真提供:response》ホンダNSX(2002年マイナーチェンジ)
2001年12月に外観を中心にビッグマイナーチェンジが行われました。空力や重量軽減を目的にヘッドライトが固定式に変更されます。
フロント周りやサイドスカート、リア周りが改良されます。また排ガス規制に適合したエンジンになりました。
■2002年NSX-Rが登場
ホンダ NSX-R
2002年5月にNSXタイプRからNSX-Rに変更されます。
フロントボンネットやフロア下の空力性能を向上させることで、市販車初となるマイナスリフトを実現しました。またボンネットやリア・スポイラーがCFRPとなり軽量化されているのも特徴です。
現行NSXのスペック・価格
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,490mm×1,940mm×1,215mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,630mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 1,800kg | |
燃費 | WLTCモード:10.6km/L | |
エンジン種類 | 水冷V型6気筒縦置 | |
最高出力 | 373kW(507PS) /6,500~7,500rpm | |
最大トルク | 550N・m (56.1kgf・m) /2,000~6,000rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
最高出力(前) | 27kW(37PS) /4,000rpm(1基あたり) | |
最高出力(後) | 35kW(48PS) /3,000rpm | |
最大トルク(前) | 73N・m (7.4kgf・m) /0~2,000rpm(1基あたり) | |
最大トルク(後) | 148N・m (15.1kgf・m) /500~2,000rpm | |
駆動方式 | 4WD(SPORT HYBRID SH-AWD) | |
トランスミッション | 9速オートマチック+パドルシフト | |
車両価格 | 22,000,000円(税抜) |
NSXの口コミは?
レスポンスの試乗記から、NSXのドライバーフィールを見てみましょう。
「安定するリアの動きと舵角に鋭く入るフロントのバランスが最高。安楽な走りも可能だが、VSA-OFFは操る楽しみ。『できるドライバー』に向けたスーパースポーツAWDだ」
とくに乗り心地は、一般公道の試乗であれば、どこかの駐車場から一般道へとクルマを進めることになるが、1本目のタイヤが路肩の段差から走行車線の路面の上にストン!と降りた瞬間から「なんて上等な乗り味のスポーツカーに手直しされたのだろう」と驚かされた。
2018年の改良後のモデルでは、一般道での快適性もこれまで以上に磨きがかかったようです。モーターを組み合わせたSPORT HYBRID SH-AWDで安定してスポーティな走行が楽しめるモデルです。
まとめ
NSXは国産のスポーツカーとして、高性能な走りを見せてくれます。先代モデルはMRのスーパーカー、現行モデルはハイブリッドを搭載した新技術が満載のスーパーカーです。気軽に購入できる金額ではありませんが、魅力が詰まった1台です。