クルマ購入の流れ
《写真提供:photoAC》自動車購入の流れは、一般的なお買い物とは異なる!
クルマを初めて購入する方の多くは、いったいどのような流れで進めたらよいのか不安に思われるかもしれません。自動車の購入は一般的な買い物とは異なる流れで進んでいきます。
そこで今回は、クルマを購入する際の一般的な流れと、必要となる物や書類について解説していきます。
■まず購入するクルマの予算を決める
クルマの購入にあたり、人によって優先事項は異なると思いますが、スムーズに検討をすすめるために必要なことは、まず「予算を決める」ことです。
特にカーローンを利用する場合、無理のないレベルの予算にしないと、その後の返済で苦労することになるでしょう。頭金を用意できるなら、返済の負担を軽減できますので、頭金に回せる資金がないかも確認してみることをおすすめします。
また、クルマは購入して終わりではなく、ガソリン代、税金、保険などの維持費がかかります。これらも計算に入れる必要があるでしょう。
一般的には、無理のない返済計画を立てられる予算感の目安は、年収の3分の1~半分程度と言われています。仮に年収が400万円であれば、クルマの購入予算に充てるのは200万円以下が目安です。
とはいえ、軽自動車でも200万円を超えることがある時代ですから、この額だと買いたいクルマが見当たらない可能性もあります。そうであれば、購入資金として当てられる貯金額も考慮に入れるとよいでしょう。
■車種を決める
予算がある程度決まったら、今度は「購入する車種」を絞ります。いま乗りたいクルマというだけでなく、今後のことも考えて決めることができれば、後悔することが少なくなるでしょう。
クルマの利用目的として自分ひとりや少人数での移動がメインであれば、軽自動車やコンパクトカーが第一ターゲットになるでしょう。また、大人数での移動が主要な目的であれば、SUVやミニバンが有力候補になります。普段どういった使い方をするかによって、ベストな選択は異なってきます。
さらに、クルマは気が向いたらすぐに買い換えられるというものではないので、購入したのち数年の生活を想像することも購入検討の助けになります。今後、結婚する予定でしょうか?子どもが欲しいと思っていますか?ライフプランも考慮に入れて、車種を絞ってみましょう。
■試乗して、気に入れば見積もりを取る
購入したい車種が決まったら、可能な範囲で試乗することをおすすめします。試乗してみると、乗り心地や、描いていたイメージとの違いに気づきやすいものです。
基本スペックは、カタログやインターネットでも十分に分かりますが、乗り心地は人によって異なる感覚的な部分なので、体験してみないと分かりません。高いお金を出すのですから、後悔しないためにも、可能な範囲で購入前に試乗させてもらいましょう。
もし気に入れば、見積もりを取りましょう。新車で購入する場合、ディーラーによる価格差はそこまで大きくないかもしれません。
一方、中古車を購入しようと思う場合、同程度のクルマでも販売店によって価格に大きな差があることも少なくありません。
■契約・支払い・納車
見積もりに納得し、契約を進めるには各種書類が必要になります。
後述しますが、普通自動車を購入するのか、軽自動車を購入するのかで、必要となる書類も若干異なります。提出する書類に不備があると、手続きがスムーズに進みませんので、自分で用意できるものは先に用意しておくとよいでしょう。
ローンを組む場合、販売店ですすめられるカーローンは、銀行系のカーローンと比べて、金利が高いケースがあります。最終支払い額をしっかりと計算して決めるようにしましょう。
支払い手続き後、購入したクルマの納車スケジュールを相談することになります。一般的な新車の納車時期は、注文から1~3か月後と言われています。
もちろん、各メーカーの生産状況にもよりますし、人気車種であれば、半年や1年待ちも珍しくはありません。輸入車も基本的には納車に時間がかかり、年単位の待ちを覚悟しなくてはならない場合もあります。
必要になる書類とは?
《写真提供:photoAC》クルマの購入にはどんな書類が必要になるの?
ここからは、クルマを購入するために必要な書類は何かをまとめています。なお、普通自動車と軽自動車では、必要とされる書類が異なるため分けて解説します。
■普通自動車の購入で必要な書類と持ち物
自動車検査証
「自動車検査証」とは、その車両が自動車保安基準に適合していることを証明する書類で、一般には車検証と呼ばれています。
車検証には、その車両の種類・車台番号・所有者・使用者などの情報が記されおり、ディーラーや販売店が準備してくれます。
車検証はとても大切な書類なので、紛失しないように注意しましょう。とはいえ、車検証が大切だからと家で保管してしまうことは、違法行為として検挙される可能性がありますので絶対に止めましょう。
道路運送車両法の第66条には、自動車に自動車検査証を備え付ける規定があり、これに違反した場合は最高で50万円の罰金が科せられる可能性があります。
自賠責保険証
「自賠責保険証」は、公道を運転するために必ず必要なもので、そのことから別名「強制保険」とも呼ばれています。
もし自賠責保険に加入せずに公道を運転すると違反となり、重い罰則が科されます。ただし、車検証同様、購入者が用意する書類ではなく、ディーラーや販売店が準備してくれるので心配はいりません。
購入後、車検を受けるたびに自賠責保険も更新が必要になります。なお、自賠責保険は対人賠償のみの補償内容となっていますので、物損なども広くカバーできる任意保険にも加入することを強くおすすめします。
委任状
「委任状」は、自動車の購入に関連した手続きを代行するために必要なものです。
本来は自分で行う手続きを第三者に依頼するときに使う書類です。例えば、自動車の購入には、車検証の名義変更や自動車の各種登録が必要になります。
これらをディーラーや販売店の方が代行する場合に委任状を必要とします。委任状も、お店で用意してくれることがほとんどです。お店からお願いされた書類の箇所に、署名や捺印が必要なので、指示に従って完成させましょう。
車庫証明書
「車庫証明書」は、自動車の保管場所があることを証明する書類で、普通自動車の購入に必要な書類です。
車庫の所在地を管轄する警察署で申請する必要があり、駐車場を借りている場合には大家さんや管理している不動産会社で「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらう必要もあります。
ディーラーや販売店でお願いできる場合もありますが、その際は手数料が発生する可能性もあります。
実印
「実印」は、普通自動車を購入する場合に必要となります。認印は使用できませんので、注意しましょう。
後述しますが、対象となる印鑑が実印であることを証明する「印鑑証明書」もセットで提出する必要があります。
実印の規定は、一般的に、印面が8.0mmから25.0mmの正方形に収まるものとされています。
もし印鑑を持っていないのであれば、事前に購入し、登録手続きをしておくとスムーズでしょう。文房具店などのほかに、インターネットでも簡単に購入できます。
なお、行政のデジタル化、行政手続きの簡素化、利便性の向上といった流れから、国や地方公共団体における押印見直しが進んでいます。
そのため、自動車関連の手続きでも押印に関連した手続きが見直されてきています。ただし、お住まいの地域によっても対応は異なりますので、ディーラーや販売店に事前に確認しておくのがよいでしょう。
印鑑証明書
「印鑑証明書」は、印鑑が実印であることを証明する書類になります。
登録している市区町村役場や、対応している自治体であればマイナンバーカードを利用して、コンビニなどでも交付を受けられます。
■軽自動車の購入で必要な書類と持ち物
軽自動車の購入においては「自動車検査証」「自賠責保険証」「委任状」は普通自動車と同様ですが、そちらに加えて「住民票」と「認印」が必要になります。
住民票
「住民票」とは、住民の居住関係を公に証明するもので、住民登録している市区町村役場で発行してもらえます。
普通自動車の場合、実印と印鑑証明書で行っていた本人確認書類の役割を、軽自動車では住民票で果たす形になっています。これは、軽自動車が普通自動車と異なり、国に登録が必要な資産とはみなされていないことが関係しています。
認印
「認印」とは、印鑑登録していない、個人の名前が記された印鑑のことを言い、実印や銀行印と比較して、日常使いできる印鑑です。
なお、一部自治体では、シヤチハタや三文判が認印とみなされないところもあるようなので注意しましょう。
買い替えであれば、ほかにも押さえておきたいポイントがある!
《写真提供:photoAC》自動車の買い替えであれば、他にも考えておきたいポイントが…
■任意保険の移行
クルマの買い替えであれば、任意保険では「車両入替」という手続きが必要になります。
クルマを買い替えたからといって、自動的に保険内容も更新されるわけではありません。自動車保険は、契約対象となる自動車が明確に定められており、もし車両入替手続きをしないでいると、事故に遭った際、保険金が支払われない可能性があります。
つまり車両入替を怠ると、そのクルマは自動車保険に入っていないのと同じ状態になってしまいます。
可能であれば、車両入替手続きは新しいクルマが納車される前に行いましょう。保険契約の変更日を納車日に設定することで、納車当日から新しいクルマに自動車保険を適用できます。
もし納車方法が、古いクルマに乗って販売店に行き、新しいクルマに乗って帰ってくるという方法であれば、乗って帰るその時から新しいクルマが契約対象車両となるよう設定できます。
手続き方法は各損害保険会社によって異なりますので、保険会社のカスタマーセンターか、代理店に相談するとよいでしょう。
■下取りか、買取か
これまで乗っていたクルマを引き取ってもらう方法にも、大きく分けて下取りと買取の2種類があります。
下取り
いま乗っているクルマをディーラーや販売店に引き取ってもらい、その代金を新しいクルマの購入資金に充てる方法です。購入と売却を一度に行えるので便利ですし、手間もほとんどかかりません。
買取
買取専門業者に査定してもらって売却する方法で、下取りと比べて高い査定額になることが一般的です。ただし、下取りと比べてかなりの手間が必要になります。
どちらのメリットを重要視するかで選択は異なりますが、何も考えず下取りに出してしまうより、買取のメリットを一度考慮してから決定すれば、損をしてしまうことはないでしょう。
まとめ
《写真提供:photoAC》希望のクルマを手に入れよう!
今回は、自動車を購入する際の流れと、必要になる書類についてまとめました。
自動車購入は、人生の中でそうたくさんあるイベントではないでしょう。この貴重な機会を、ぜひ後悔のないよう、良い準備のもとに希望のクルマを手に入れましょう!