3月24日スタート！マイナ免許証へ切り替えるメリット・デメリットや作り方の流れを徹底解説

「マイナ免許証」とは、運転免許証の情報をマイナンバーカードのICチップに記録し、一体化させた新しい形式の免許証です。免許情報がICチップに記録されるだけなので、見た目はマイナンバーカードと変わりません。

この一体化により、運転免許証を別途持ち歩く必要がなくなり、マイナンバーカードがそのまま運転免許証として使えます。マイナ免許証では、住所変更や氏名変更の手続きが簡略化されるほか、オンライン講習の利用など、利便性が向上する点が特徴です。

マイナ免許証への切り替えは任意で、従来の運転免許証をそのまま使用することも可能です。また、両方を所持する2枚持ちを選ぶこともできます。

マイナ免許証の運用開始日は2025年3月24日で、この日以降、全国の運転免許センターや警察署で手続きが可能になります。ただし、内容によって手続き可能施設が異なり、手続き可能施設も順次拡大予定とのことで、しばらくは全国一斉導入ではなく、地域によっては段階的に運用が進められるようです。

この制度は、2020年10月に発表された運転免許証とマイナンバーカードの一体化方針に基づいて進められました。その後、2022年に道路交通法が改正され、2025年3月24日を施行日として正式に決定されました。

導入初期にはシステム変更や手続き方法への対応が求められるため、各自治体や関連機関で準備が進められています。また、希望者は事前に必要な書類を準備し、スムーズな切り替え手続きが推奨されています。

マイナ免許証の導入後も、従来のプラスチック製運転免許証は引き続き使用可能です。希望者は以下の3つから、自分に合う形式を選択できます。

・マイナ免許証のみを保有
・従来の運転免許証のみを保有
・マイナ免許証と従来の運転免許証を両方保有（2枚持ち）

マイナ免許証ではICチップ内に情報が記録されるため、マイナンバーカードの券面には従来の運転免許証に記載されている情報は書き込まれません。このため、目視で確認できる情報量が減少しますが、その分セキュリティ性が向上します。

「紛失リスクを避けたい」「従来型も保持したい」と考える方は2枚持ちも可能ですので、自分のライフスタイルや用途に応じて選択するといいでしょう。

マイナンバーカード内に記録される運転免許情報には以下の内容が含まれます。

・運転免許証の番号
・運転免許の年月日及び運転免許の有効期限
・免許の種類
・AT車限定や眼鏡が必要などの条件
・顔写真

これらの情報はICチップ内に記録されており、外部から直接確認することはできません。そのため、不正利用や個人情報漏洩リスクが軽減されます。

ただし、この仕組みにより券面では有効期限や取得区分などを確認できないため、情報を確認するためには専用アプリやICリーダーで読み取る必要があります。

さらに、このICチップには暗証番号（PIN）が設定されており、不正アクセス防止機能も備わっています。これまでのマイナンバーカード同様、暗証番号を忘れてしまった場合には再設定手続きが必要となりますので、暗証番号は適切に管理しましょう。

マイナ免許証は手続きの簡略化やコスト削減、オンラインサービスの利用など、日常生活や運転に関わるさまざまな場面で切り替えのメリットがあります。

ここではマイナ免許証で得られるメリットを紹介します。

マイナ免許証を利用すると、引っ越しや結婚などで住所や氏名を変更する際の手続きが大幅に簡略化されます。従来は、運転免許証とマイナンバーカードそれぞれで変更手続きを行う必要がありましたが、マイナ免許証では市区町村役場での手続きだけで完了します。

この「ワンストップサービス」により、手続きの際に警察署や運転免許センターに足を運ぶ必要がなくなるため、時間と労力が大幅に削減できます。特に、日中に時間が取りにくい方にとっては大きなメリットです。

マイナ免許証を持つことで、優良運転者および一般運転者の方は、免許更新時の講習をオンラインで受講できるようになります。

これまで運転免許センターや警察署で対面形式で行われていた講習が、自宅など好きな場所で受けられ、受講時間も自分の都合に合わせて調整できるため、仕事や家事などで忙しい方に最適です。

なお、初回更新者講習と違反運転者講習は、従来通り運転免許センターで受講する必要があります。また、優良運転者および一般運転者の方であっても視力検査や写真撮影など一部の手続きは従来通り運転免許センターや警察署まで足を運ぶ必要があります。

従来の運転免許証では、居住地以外で更新手続きを行う「経由地更新」は優良運転者のみが対象でした。しかし、マイナ免許証では一般運転者も経由地更新が可能になります。

さらに、更新期間も柔軟化され、有効期間末日まで手続きが可能に。この変更により、旅行先や出張先でもスムーズに更新手続きを行えるようになります。また、新しい免許証は即日交付されるため、自宅への郵送を待つ必要もありません。

さらに、地方自治体間の連携が強化されることで、日本全国どこでも同じサービスを受けられる点も魅力です。

マイナ免許証では、新規取得や更新時の手数料が従来より安く設定されています。

マイナ免許証のみ保有の方であれば、従来の手数料から新規取得時には500円、更新時も400円安くなります。

一方で、従来の運転免許証のみ保有の場合や、マイナ免許証と従来の運転免許証の2枚持ちの場合は、これまでの手数料より高くなるため、自分の利用スタイルに応じた選択が重要です。

なお、この料金体系は、デジタル化による効率化を反映したものでもあります。これまで紙ベースで行われていた多くの業務がデジタル化されることで、人件費や資源コストも削減されます。

マイナ免許証には、前述の通り多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。特に、券面情報の非表示や紛失時の対応など、利用者が注意すべき点があります。

マイナ免許証では、従来の運転免許証とは異なり、カード表面に免許情報が記載されません。これはセキュリティ向上のための措置ですが、券面で情報を確認できないことが不便に感じる場合があります。

例えば、レンタカーを借りる際や交通違反時など、運転免許証の提示を求められる場面では、マイナポータルにログインするか、マイナ免許証読み取りアプリ、またはICチップ内の情報を読み取る専用機器で免許情報を提示します。

また、有効期限がカードに記載されないことで、運転免許証の期限切れには十分に注意する必要があります。券面情報を重視する方は従来型の運転免許証を選択するか、「2枚持ち」を検討するといいでしょう。

マイナ免許証を紛失した場合、その再発行手続きには時間と手間がかかります。従来型の運転免許証では警察署や運転免許センターで迅速な再発行が可能でしたが、マイナ免許証の場合はマイナンバーカード自体の再発行手続きも含まれるため、より複雑になります。

具体的には、市区町村役場でマイナンバーカードの再発行手続きを行い、その後運転免許情報を再登録する必要があります。この手続きには数週間かかる場合もあり、その間に車を運転すると免許不携帯の交通違反になりますので覚えておきましょう。

さらに、紛失時にはICチップ内の情報漏洩リスクも懸念されます。ただし、このリスクは暗証番号（PIN）によって保護されていますので、不正利用される可能性は低いといえます。それでも紛失リスクを避けたい方には従来の運転免許証との2枚持ちがおすすめです。

マイナンバーカードが有効期限切れになっても、ICチップに記録された運転免許証情報が有効であればマイナ免許証として車を運転することは可能です。

ただし、従来の運転免許証を保有しない形でマイナ免許証に切り替え後に、マイナンバーカードが有効期限切れになっている状態で運転免許証の更新タイミングを迎えた場合、まずマイナンバーカードの再発行を行ったうえ、再度運転免許センターや警察署でマイナ免許証の手続きを行ってからでないと、更新手続きが行えません。

マイナ免許証の手続きが完了していない間に車を運転すると、前述の紛失時の手続き中と同様、免許不携帯の交通違反になりますので注意しましょう。

渡航先の国によっては、国外運転免許証を申請する際に従来の運転免許証が必要になる場合があります。マイナ免許証のみの保有に切り替えた後、対象の渡航先での国外運転免許証を申請する際には、再度従来の運転免許証との2枚持ちなどへの切り替え手続きを行う必要があります。

海外で車の運転をされる頻度が多い方は、マイナ免許証のみの保有にせず、従来の運転免許証との2枚持ちなどを検討するのがいいでしょう。

マイナ免許証への切り替えを希望する場合、事前に必要な手続きや準備を確認してきましょう。

マイナ免許証への切り替え手続きは、以下のステップで進められます。

マイナ免許証への切り替えには事前予約が必要です。予約方法は運転免許センターや管轄の警察のウェブサイトから確認できます。警視庁では3月中旬に来場予約を開始予定の「警視庁 行政手続オンライン」から事前予約をします。

なお、70歳以上の方、自主返納やマイナ経歴証明書の各手続きと同時にマイナ免許証への切り替え手続きを行う方については、事前予約は必要ありません。

切り替えには以下の書類が必要です。

・マイナンバーカード（有効期限内のもの）
・現在使用中の運転免許証
・暗証番号（マイナンバーカード用と運転免許用）
・更新時の場合は更新通知ハガキ

事前予約した日時に運転免許センターまたは警察署へ行きます。窓口で書類提出や写真撮影を行い、その場でICチップに情報を登録します。

手続き自体にかかる時間は、運転免許センターまたは警察署の対応状況や手続きする内容にもよって異なりますが、おおよそ30分程度を見込んでおくといいでしょう。

切り替え手続きが完了すると、その場でマイナ免許証が発行されます。ただし、一部地域では後日郵送となる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

マイナ免許証は、運転免許証とマイナンバーカードを一体化することで利便性やセキュリティ面を向上させる新しい制度です。その導入により、住所変更や更新手続きが簡略化されるほか、オンライン講習や経由地更新など、多くのメリットがあります。一方で、券面情報非表示や紛失時の対応など、一部デメリットも存在します。

この記事では、マイナ免許証の概要からメリット・デメリット、切り替え方法まで詳しく解説しました。こちらを参考に、2025年3月24日の制度開始に向けて、自分にとって最適な選択肢を見つけてください。