自動運転の定義とは?

「自動運転車」。
車に関心が薄い人などは言葉だけを聞くと、「運転手(人)が何もしなくても車が走ってくれる?」と、某映画のような車をイメージしてしまうのではないでしょうか。
「自動運転」とひとえに言っても、レベル0~5と区分けされておりそのイメージに該当するレベルは3以降となっています。
こちらの記事にて、自動運転レベルの0~5までの違いや特徴などを説明していきます。
■日本の自動運転の定義は、アメリカの非営利団体の定義を採用している
まずはじめに、日本の内閣府は独自の自動運転の定義ではなく、アメリカのSAE Internationalという非営利団体が策定した自動運転の定義を採用していることを理解しておきましょう。
SAEとは?
SAE InternationalはSociety of Automotive Engineersの略称で、1905年に設立した団体が母体とsしたあらゆる乗り物の標準化機構です。
全世界から9万人を超えるメンバーが加盟しており、Automotive(オートモーティブ)という言葉を生み出したのもSAEです。
■「自動運転」はレベル3から!
「自動運転」の定義は、先ほどご紹介したSAEの発行するJ3016という文書に書かれています。
SAEのJ3016では、誰がどの操作を行うかによって、レベルを0〜5の6段階に分けています。
「自動運転」は6段階のうち、レベル3〜5にあたります。ちなみに、2019年現在国内では「レベル2」までが市販車に採用され、実用化が進んでいます。
ちなみに、6段階のうちレベル1とレベル2は「運転支援」と呼ばれ、消費者に誤解を与えないように明確に区別がされています。
それでは、6段階のレベルがどんな状態を指し示すのか確認してみましょう。
自動運転のレベル0〜5までの概要と特徴
それでは、SAEの発行した文書、J3016にあるレベル別に内容を確認してみましょう。
■レベル0 ドライバーがすべてを操作

システムが介入することなく、ドライバーがすべての運転タスクの実施をする場合を指します。
いわゆる普通のクルマはレベル0にあたります。
■【運転支援】レベル1 システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート
システムが
・車線の逸脱を検知するとステアリングを補正、
・先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
など、ステアリング補正やスピード調整のどちらかをサポートし、ドライバーがもう一方をコントロールする技術を備えたクルマを指します。
レベル1は「運転支援技術」と呼ばれ、「自動運転」とは呼びません。
■【運転支援】レベル2 システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート

TESLA モデルS
システムが
・車線の逸脱を検知するとステアリングを補正、
・先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC
など、ステアリング補正やスピード調整のどちらもサポートする技術を備えたクルマを指します。
レベル1と同様にレベル2も「運転支援技術」と呼ばれ、正確には「自動運転」とは呼びません。しかし、現在レベル2も便宜上「自動運転レベル2」と呼ばれていることがあります。
テスラ社のモデルSをはじめ、多くのメーカーの新車に搭載されています。
■【自動運転】レベル3 特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作

Audi A8
いよいよレベル3からが自動運転と呼ばれるレベルです。
システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。ドライバーが緊急時やシステムが作動困難になった場合は対応を行います。
ドイツで発表されたアウディA8は世界で唯一のレベル3の自動運転を搭載していますが、日本ではまだレベル3の自動運転が許可されていないために、レベル3の自動運転を搭載したA8の販売時期は未定です。
BMWでは2021年にはレベル3の自動運転車両を市場投入するとしている。ここで目指しているレベル3は、高速道路上であれば、運転タスクのすべてを車両が行う。ただし、設定された条件から外れたら(一般道に入ったなど)、あるいはシステムが自動運転ができない状況と判断したら、人間が運転を変わる必要がある。
ちなみに、車線維持、渋滞追従、自動追い越しなど、単体のタスクを自動化したものは、レベル2だ。用語としては運転支援の域をでない。レベル3は、分類上自動運転に含まれるが、いざというときは人間が運転する前提なので、ドライバーはハンドオフ運転はできるものの、運転への意識は求められる。
■【自動運転】レベル4 特定の場所でシステムが全てを操作

Audi コンセプトカー エレーヌ
システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。システムが緊急時の対応も行います。
どのメーカーも市販段階には至っておらず、コンセプトカーやテスト走行の段階にとどまります。(2019年時点)
■【完全自動運転】レベル5 場所の限定なくシステムが全てを操作

Audi コンセプトカー AICON(アイコン)
システムが場所の制限なく交通状況を認知して、運転に関わるあらゆる操作を行います。システムが緊急時の対応も行います。
レベル5に達するとドライバーが運転を行う必要が完全になくなるため、メーカーはアクセルやハンドルを排除したクルマのデザインを行うことができるようになります。
こちらも同じくどのメーカーも市販段階にはいたっておらず、コンセプトカーの発表にとどまっています。
自動運転をめぐる法規制
日本の内閣府では、2017年の「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」の中で2020年までにレベル3の自動運転を市場化すると記載しています。
「自動運転システム」については、2020 年までの高速道路での準自動パイロ
ットの市場化及び無人自動運転移動サービスの実現を図ることにより、2020 年
までに世界最先端の ITS を構築する。
しかしながら、日本が加盟しているジュネーブ条約ではまだまだ行動での自動運転が認められておらずその法改正も含めて対応が求められています。
一方ドイツでは、レベル3の自動運転を搭載するAudi A8の発売に合わせてたウィーン条約が改正されました。
日本も自動運転の普及のために早急な法改正がのぞまれています。
【自動運転最新情報】
■ホンダは高速の渋滞時に限定した「レベル3」の自動運転車を市販!?


ホンダレジェンド
2020年には、実用化段階に入った自動運転技術も着々と登場する模様です。
ホンダは正式には発表していないものの、20年の夏ごろにはレベル3の自動運転技術を、同社の最高級セダンである『レジェンド』に搭載すると見られています。
レベル3の市販車は、これが日本メーカーでは最初になる見込み。
海外では独アウディが17年に実用化しており、今後、道交法など関連法の施行を受け、海外メーカーによる日本へのレベル3車両の投入も始まることでしょう。
まとめ
「自動運転」とはSAEが定義した6段階のレベルの中で、レベル3〜5を示すことをご理解頂けたでしょうか?
自動運転レベル5に該当する完全自動運転車のテストは、現在世界各国で行われています。
法規制の改正も含めて、日本に自動運転が普及する日も待ち遠しいですね。