テールランプとブレーキランプの保安基準
車には「道路運送車両の保安基準」が定められています。
保安基準に達しない車は公道を走行してはいけない決まりになっており、もちろんテールランプ、ブレーキランプにも保安基準が定められています。
車検に問題なくパスしている方は問題ありませんが、本記事ではテールランプとブレーキランプの保安基準、罰則、車検に通らないカスタマイズをご紹介します。
■テールランプの保安基準
下記の保安基準第37条にはテールランプに関する記載があります。
第39条2項3項で言及されている「基準」は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」で示されています。
(尾灯)
第三十七条 自動車(最高速度二十キロメートル毎時未満の軽自動車、カタピラ及びそり
を有する軽自動車並びに小型特殊自動車を除く。)の後面の両側には、尾灯を備えなけ
ればならない。ただし、二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに幅〇・
八メートル以下の自動車には、尾灯を後面に一個備えればよい。
2 尾灯は、夜間に自動車の後方にある他の交通に当該自動車の幅を示すことができ、か
つ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で
定める基準に適合するものでなければならない。
3 尾灯は、その性能を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し告示で定
める基準に適合するように取り付けられなければならない。
テールランプの具体的な技術基準の内容
下記の具体的な技術基準一覧は、『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2016.04.01】第128条』を参考に作成しました。
車の製作された年度によって、基準が異なるので注意して下さい。
(テールランプの技術基準 普通車の場合)
■灯光の色
赤色
■視認距離
夜間に後方300mの距離から点灯が確認出来る事
■照明部分の面積
(平成8年1月31日以降に製作された車) 15センチ平方メートル以上
(平成8年1月31日以前に製作された車) 規定なし
■光源
(平成18年1月1日以降の製作車) 5W以上30W以下
(平成8年2月1~17年12月31日の間に製作された車) 5W以上
(平成8年1月31日以前の製作車) 規程なし
■光度
(平成18年1月1日以降に製作された車) 300cd(カンデラ)以下
(平成17年12月31日以前に製作された車) 規程なし
■取付位置
(平成18年1月1日以降に製作された車) 照明部の上縁の高さが地上2.1m以下であり、下縁の高さは地上350mm以上、最外縁は車の最外側から400mm以内
(平成8年2月1~17年12月31日の間に製作された車) 照明部の上縁の高さが地上2.1m以下、最外縁は車の最外側から400mm以内
(平成8年1月31日以前に製作された車) 照明部の中心の高さが地上2.0m以下、最外縁は車の最外側から400mm以内
■その他
尾灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損しているものでないこと。
《道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第128条》下記リンクの、第37条尾灯の項目内にPDFがございます
■ブレーキランプの保安基準
テールランプと同じように、下記の保安基準第39条にはブレーキランプに関する記載があります。
第39条2項3項で言及されている「基準」は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」で示されています。
(制動灯)
第三十九条 自動車(最高速度二十キロメートル毎時未満の軽自動車及び小型特殊自動車
を除く。)の後面の両側には、制動灯を備えなければならない。ただし、二輪自動車、
カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに幅〇・八メートル以下の自動車には、制動灯
を後面に一個備えればよい。
2 制動灯は、自動車の後方にある他の交通に当該自動車が主制動装置(牽引自動車と被牽
引自動車とを連結した場合においては、当該牽引自動車又は当該被牽引自動車の主制動
装置。以下本条及び次条において同じ。)又は補助制動装置(主制動装置を補助し、走
行中の自動車を減速させるための制動装置をいう。以下同じ。)を操作していることを
示すことができ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明
るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
3 制動灯は、その性能を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し告示で
定める基準に適合するように取り付けられなければならない。
4 制動灯を緊急制動表示灯(急激な減速時に灯火装置を点滅させる装置をいう。以下同
じ。)として使用する場合にあつては、その間、当該制動灯については前二項の基準は
適用しない
ブレーキランプの具体的な技術基準の内容
下記の具体的な技術基準一覧は、『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2017.02.09】第134条(制動灯)』を参考に作成しました。
車の製作された年度によって、基準が異なるので注意して下さい。
(ブレーキランプの技術基準 普通車の場合)
■灯光の色
赤色
■視認距離
昼間に後方100mの距離から点灯が確認出来る事
■面積
20センチ平方メートル以上
■光源
(平成18年1月1日以降に製作された車) 15W以上60W以下
(平成17年12月31日以前に製作された車) 15W以上
■明るさ
尾灯と兼用の制動灯は、同時に点灯した時の光度が尾灯のみを点灯した時の光度の5倍以上となる構造である事
■取付位置
(平成18年1月1日以降に製作された車)照明部の上縁の高さが地上から2.1m以下、照明部の下縁が地上から350mm以上、最外縁は車の最外側から400mm以内
(平成8年2月1~17年12月31日の間に製作された車) 照明部の上縁の高さが地上から2.1m以下、最外縁は車の最外側から400mm以内
(平成8年1月31日以前に製作された車)照明部の中心が地上から2.0m以下、最外縁は車の最外側から400mm以内
■その他
尾灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損しているものでないこと。
《道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第134条》下記リンクの、第39条制動灯の項目内にPDFがございます
ブレーキランプとテールランプの保安基準に満たない車、罰則は?
先ほどご紹介した上記の保安基準に満たない場合は、整備不良として交通違反点数と反則金が課されます。
車検にパスしていれば、こうした保安基準での整備不良で取締りを受けることはありません。
下記がブレーキランプ、テールランプに関する「整備不良」の取締り内容です。
■ブレーキランプの整備不良
交通違反点数:2点
反則金:大型車12,000円
普通車9,000円
二輪車7,000円
小型特殊6,000円
原付6,000円
■テールランプの整備不良
交通違反点数:1点
反則金:大型車9,000円
普通車7,000円
二輪車6,000円
小型特殊5,000円
原付5,000円
反則金の意味についてはこちらの記事をご覧下さい
クリアテール、スモークテールは車検に通る?
クリアテールやスモークテールと呼ばれる、テールランプに対するカスタマイズ。
これらのカスタマイズは保安基準を満たすのかご紹介します。
■クリアテールランプは車検に通る?
テールランプを通常の赤い色から透明な色に変えた改造をクリアテールと呼びます。
クリアテールは保安基準を満たしていれば、クリアテールの場合は反射板(リフレクター)をつけるなどすることで、車検を通すことが可能です。
しかし、正規ディーラー車検などでは、信用問題にも関わるためクリアテールは万が一の事態を考えて車検が通せないことがあります。
また反射板(リフレクター)に関しても技術基準が設けられています。
具体的な技術基準一覧は、『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2016.04.01】第 210条(後部反射器)』を参考に下記に一覧を作成しました。
(反射板の技術基準 普通車の場合)
■反射光の色
赤色
■形状
三角形以外の形状であること
■視認距離
夜間に後方150mの距離から走行用前照灯で照射した場合にその反射光を照射位置から確認できること
■反射部の面積
10センチ平方メートル以上
■取付位置
照明部の上縁の高さが地上から900mm以下、反射部の下縁の高さが地上から250mm以上(自動車の後面又は側面の後部に備える他の灯火等と集合式の後部反射器を備える自動車は1,200mm 以下)、最外縁は車の最外側から400mm以内
■その他
尾灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損しているものでないこと。
《道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第210条》下記リンクの、第210条後部反射器の項目内にPDFがございます
■スモークテールランプは車検に通る?
テールランプをスモークがかかったカバーに変えたり、塗料を塗ることでスモークをかけた改造をスモークテールと呼びます。
スモークテールもテールランプ同様に保安基準を満たしていれば車検を通すことが可能です。
しかし、スモークテールも正規ディーラー車検では、信用問題に関わるため車検に通せないことがあります。
まとめ
テールランプとブレーキランプに関する保安基準と、保安基準に満たない場合の罰則をご紹介しました。
クリアテールやスモークテールなどのカスタマイズは、保安基準を満たしていれば車検に通ることはありますが、なるべくなら不要なカスタマイズは行わないようにしましょう。