クラウンアスリートの特徴的なエクステリア、インテリア
■進化し続けるトヨタ自慢のラインナップ
2012年のフルモデルチェンジの際に大きな物議を醸した。今まで保守的だったクラウンが新型デザインでイメージ一掃することになる。インパクト抜群の稲妻のようなグリルに複雑な造形のバンパーに目が行きがちだが、実は2世代前のゼロクラウンからプラットホームはそのままなのだ。ヘッドライトは先代クラウンのイメージを踏襲しつつ流行りのLEDポジションランプを取り入れたり、アスリート専用の4灯テールランプもより立体的に見えるようになっている。
フルモデルチェンジしたばかりの2012年当時のモデル
また、レクサスと同じくハイブリッドモデルはマフラーが隠されるようになった。
画像のモデルはハイブリッド・アスリートG
■現在生産されているモデルの特徴
新型クラウンでは3.5V6エンジンのグレードのみ電子制御8速AT搭載している。6速AT搭載グレードに比べ市街地走行ではスムーズにストップ&ゴーを体感でき、高速道路走行時は8速まで使うことでとても快適な走行を体感することができる。
今までのクラウンアスリートはスポーティーを演出するため足回りが過剰に固められていたが、現行モデルではしなやかな足回りが設定され、ロイヤル系のセダンをこえた走りと言っていいほど乗り心地が向上している。特にアスリートSは荒れた道路でも姿勢を保つAVS(アスリートS以上に設定)と17インチタイヤのおかげで良質な乗り心地を実現している。
■トヨタこだわりのエクステリアデザイン
クラウンアスリートは2015年にロイヤル、マジェスタと共にマイナーチェンジを行った。前期と同じくスタンダードカラーは6色だが、後期から日本の高級車を大きくアピールするべくジャパンカラ―セレクトパッケージを設定している。
ジャパンカラーの一つである茜色
時間の移り変わりを表す日本の色をイメージし、外装はスタンダードカラー以外に12色を設定、ジャパンカラーを選ぶとさらに内装で3色が新カラーを選ぶことができる。ドイツ車ではよくある設定だが、日本専用の高級車では稀なことで、ユーザーから高い関心を持たれている。
豊田章男社長までもが絶賛する桜をモチーフにした「日本全体に、桜の花が咲くよう前を向いて進んで行きたい」という想いから生まれたピンク色が登場することもあった。
■搭乗者に対する想いによって誕生したインテリア
先代クラウンではあまり評判の良くなかったシートを刷新し、日本人の体形に合わせてヒップポイントを低く設定し、ステアリングコラムの前後幅、パワーシートの操作を大幅に向上している。これにより疲れにくいシートとして先代オーナーの不満を解消した。
シートの角度と形を改めて横から見ると、運転手に対するトヨタの想いが伝わってくる。
リヤシートも座り心地の良さそうなデザインになっている
またフロントピラーを細くし、付け根を後方にずらしたことでフロントガラスを大きくし、視界の拡大によってドライバーの負担を軽減させることができた。ピラーを細くしても剛性が上がっているため、静粛性も損なうことなく改良することに成功している。
クラウンアスリートだからこそ実現できた燃費と走行性能
■クラウンアスリート専用エンジン
クラウンアスリート2.0Lエンジンは6気筒から4気筒に変更されているが、トルクは以前よりも増しており、ダウンサイジングされた印象を一切受けない。一方の2.5Lエンジン は、6気筒ならではのパワフルさが売りになっている。燃費面では2.0LエンジンがJC08燃費13.4km/Lなのに対し、2.5Lエンジン は10.2km/Lと、ターボながら低排気量の2.0Lエンジンに軍配が上がる。
しかし、2.5Lハイブリッドエンジンの場合、実燃費では2.0Lエンジンを上回る15km/L前後を実現している。また、この2.5Lハイブリッドエンジン以外はエコカー減税対象ではないという点に注意が必要だ。
■クラウンアスリートの乗り心地
乗り心地に関しては、高接合剛性ボディとして新たにスポット溶接が90箇所追加されたことに加え、新しい構造用接着剤が用いられたことで、格段に走りの安定感が上がっている。AVSによる電子制御によってサスペンションの減衰力を変化させていることと相まって、特に段差を乗り越えた際の衝撃が劇的に少ないのが大きな特徴の一つだ。
また、シャシーの高い剛性は取り回しの良さにも寄与していて、最小の旋回半径は5.2mと、大柄なボディからは想像もできないほどの驚きの小回り性能を持つ。日本の街乗りにおいては無視できない旋回性の高さを、ボディへのアプローチから実現させている一台だと言えるだろう。
■運転手のストレスを激減させたインテリジェントパーキングアシスト
車庫入れは、間違いなく大型車にとって最大の難関だ。そうした車庫入れの難しさを解消するに当たり、クラウンアスリートにはインテリジェントパーキングアシストが搭載されている。シフトを「R」に入れた段階でパーキングアシスト機能がONになり、駐車場所への適切な誘導を行うため、運転者は速度調節と確認を行うだけで簡単に駐車ができてしまう。
また、4台のカメラの映像を継ぎ目無く映し出すパノラックニューモニターにより死角はほぼ存在せず、後方確認の確度の高さも折り紙付きだ。さらに、このインテリジェントパーキングアシスト機能は縦列駐車にも使用できるため、どのような場所でも問題なく駐車することが可能だ。
■実際にクラウンアスリートを運転してみた
クラウンアスリートのガソリン車モデル「3.5アスリートG」の試乗記において自動車評論家の松下氏は、同モデルに搭載されているV型6気筒3.5リッターエンジンについて「豪快な加速」と「スムーズな変速」について高い評価を行っている。
2005年にこのエンジンがデビューした当初はとても力強い優れたエンジンという印象があったが、現在では競合車のエンジンも性能向上が図られ、際立って優れたエンジンではなくなった。とはいえ232kW/377N・mの動力性能は十分なもので、アクセルを踏み込めば豪快な加速が楽しめる。
新型クラウンではこのエンジンにだけ、電子制御8速ATが組み合わされ、6速ATに比べて格段に滑らかな変速を見せるようになった。市街地走行などでは4速から6速くらいまでのギアが使われ、8速にはまず入らないのだが、その4~6速のどのギアを使っているかが分からなくなるくらいにスムーズな変速を示す。
高速クルージングではギア比の高い8速が使われるので回転数が抑えられ、とても静かで快適な走りになる。
また、過去のモデルからの改善点として足回りと乗り心地について触れている。
アスリートに乗って良くなったと感じたのは足回り。ゼロクラウンもひと世代前のクラウンも、アスリート系のモデルは足回りが硬くて乗り心地が悪かった。
スポーティな足回りは自分で運転するときにはそれなりに好ましさを感じたが、隣や後ろに乗せられている人からは乗り心地の硬さに不満が出ることが多かった。
今回はそれが大きく改善され、ロイヤル系を超える乗り心地を得たと思えるくらいになっていた。サスペンションアームに新しい形状を採用したほか、アスリートS以上のグレードにはAVSと呼ぶ制御システムが採用されており、これが乗り心地に大きく貢献しているようだ。
搭乗者をサポートする様々な装備
■安全性向上のために搭載されたToyota Safety Sense (トヨタセーフティーセンス)
「衝突支援回避パッケージ」としてトヨタが設計したToyota Safety Sense Pを採用する事で、日本の自動車アセスメントであるJNCAPより予防安全性能の評価で最高ランクのASV++を獲得した。具体的にはレーダー及びカメラといった異なる特性を持つセンサーを用意する事で対応できる状況を飛躍的に向上させている。
クラウンアスリートに搭載されているToyota Safety Sense Pは左。エクステリアの質を下げないようにカメラとミリ波レーダーの位置が工夫されていることが分かる。
レーダー部では長距離での検知を可能とする事で速い速度域での対処が出来、カメラ部では対象物の形を認識させる事で自動車や白線以外に歩行者の認識を可能とした。また車線逸脱時にドライバーに注意を促したり、高速道路などで先行車を認識し一定の車間距離を保ち追従する機能も搭載されている。
■搭乗者、歩行者のための安全装備
現代の自動車装備として不可欠なSRSエアバッグはもちろんの事、むち打ち傷害軽減フロントシートが装備されている。むち打ち傷害軽軽減フロントシートは、後ろからの衝突を受けた際に頭と背中を同時に受け止めるようになっている。これはちょうど身体がシートに包み込まれた状態となり、頸部への衝撃が緩和される。さらに一部車種ではポップアップフードが搭載される。ポップアップフードとは万が一の対人接触の際に歩行者への頭部の衝撃を緩和するためのもので、エンジンフード後方が瞬時に上昇し下部に空間を作り出す技術だ。
■標準装備
花粉除去モードがついたエアコンや遮音、UVカットが施されたウインドウや夜間走行時に安全性を高める自動眩インナーミラーが標準装備されている。
他にもチルト&テレスコピックステアリングもついており、ハンドル位置の前後もしくは上下位置の調整を可能とするものでドライバーごとに適正なハンドルポジションを作る事が可能だ。さらに上位車種は電動チルト&テレスコピックステアランスが装備される。他にも一部グレードでは雨滴感応式のオートワイパーが装備されるなど日常生活を送る上で便利な機能が搭載されている。
■バリエーション・価格
クラウンアスリートは現在、13のグレードが販売されており価格帯が396.3万円~620.6万円とかなり大きな価格差だ。主に排気量、ハイブリッド装置の有無、駆動方式の三点の選択が価格に反映される。また、上記以外に""J-FRONTIER""と銘打たれた特別仕様車も3グレード展開されており価格帯は475.7万~541.6万となっている。