そもそも車高調とは?種類毎の特徴とメリット・デメリット
「車高調」とは、車高調整式サスペンションの略称です。車高調は、自分の好みに応じて車高やサスペンション全体の固さ(減衰力)を調節することが出来るという、便利なサスペンションです。
そもそもこのようなパーツがなぜ存在するのかというと、二つ理由があります。
一つ目は、新車開発時に車高変更することにより、その適正値を判断する必要があるため。
二つ目が、モータースポーツ用に、コースの路面状態や天候の変化に合わせて車高を変更する必要があるためです。
現在ではユーザーが車高を自由に変更出来る車高調などの取り付け規制が緩和され、プラスマイナス40mmの範囲であれば、車高の変更が認められています。現在ではアフターパーツとして車高調はごく一般的な存在になってきました。
この車高調ですが、主に「ネジ式車高調」、「Cリング式車高調」、「全長調整式車高調」の3種類に分けられます。厳密に言うと、「全長式車高調」はネジ式車高調の一種に含まれ流のですが、この呼び方が一般化されているいうことから、この3種類の区分をしています。
この3つは、車高の調整方法の違いによって分けられますので、これ以降で解説を行なっていきます。
■【車高長の種類・1】ネジ式車高調
ねじ式車高調ですが、「ロワシート式車高調」とも呼ばれており、バネの位置を変える事で車高を変更するものです。大手スポーツサスペンションのメーカー「オーリンズ」は、ネジ式を採用しています。
その特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・車高を自由に調整することが可能
・構成されているパーツ数が少ないので、故障リスクが低い
・全長調整式に比べ、安価である
【デメリット】
・車高を下げるほど、有効ストローク量が減少する
・車高変化をすると、プリロード(常にスプリングにかかっている負荷)が変化する
・上記2点のデメリットの存在により、詳細のセッティングには不適格
■【車高長の種類・2】Cリング式車高調
特徴Cリング式車高調は、あらかじめ定められた位置でのみ車高調整を行えるタイプのものです。
その特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・3種類の車高調の中で最も価格が安い
【デメリット】
・他の2種と異なり、任意の車高調整は出来ず、決まった設定でのみの調整となる
・セッティングを行う際にはタイヤとサスペンション全体も取り外す必要がある
・近年の主流ではなく、今は製造しているメーカーが減ってきている
■【車高長の種類・3】全調整式車高調
全調整式車高調は、「フルタップ式車高調」とも言われており、「ロアブラケット」と呼ばれる本体下部に取り付けられた部品の位置を調整することで、車高の低下幅を調整していくものです。
その特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・車高調整が最も自由
・車高変更の際の有効ストローク量に変化がない分、正確な調整ができる
・調整可能な範囲が3種類の中で最も広い
【デメリット】
・他の車高調と比較した際の備品価格が高価になる
・セッティングの際にはタイヤとブラケット(サスペンションを車体に取り付ける部分)も外す必要がある
・他の車高調と比較した際に、メンテナンス頻度が高い
車高調の調整方法は?種類別に紹介
ここでは、実際にいかに車高調を調整していくかをご紹介していきます。
現在、メーカーから販売されている車高調は、主にネジ式、もしくは全長調整式となっています。安い価格で手軽に車高を下げたい場合はネジ式を選択し、走行性能を重視しつつより車高を下げたい場合は、全長調整式を選択することをおすすめします。
車高調をいかにして上げ/下げするのかという部分が車高調をセッティングする上では重要になります。
■ネジ式車高調の調整方法
ネジ式車高調を調整する場合には、ロワシートと呼ばれるスプリングの下にあるパーツを上下動させて車高の上げ/下げを調整します。しかし、車高を下げ過ぎるとショックアブソーバーが縮んでしまい、有効ストローク量は減ってしまいます。
スプリングには、あらかじめかけられている荷重(プリロード)が効いているのですが、ロワシートを下げすぎると、プリロードが掛からなくなってしまい、「遊び」と呼ばれる状態になってしまいます。こうなると、スプリングは正常に働かなくなってしまうので、注意してください。
また、ねじ式車高調を調整する際には、ジャッキアップして一度タイヤを外す必要がありますので、少し作業に手間がかかります。
■Cリング式車高調の調整方法
Cリング式車高調を調整する際には、ショックの本体に数本の溝があり、そこにCリングと呼ばれるリングをはめ込むことでロワシート(スプリングの下にあるパーツ)を固定して車高の上げ/下げを調節していきます。
ただ、溝の位置にしかロワシートを固定できないため、車高は数段階でのみ調節が可能になります。
これがネジ式・全長調整式車高調との決定的な違いになっています。さらに、セッティングの際には、サスペンション全体を一度全て取り外す必要があるので、作業に手間がかかってしまいます。
■全調整式車高調の調整方法
全調整式車高調を調整する際には、ブラケットと呼ばれる車体本体への取り付け部分を上下することで車高の上げ/下げを調整していきます。
車高を調整しても、ストローク量への影響がないため、細かなセッティングを行うことができます。
ただ、全長調整式サスペンションを調整する際には、ネジ式同様、ジャッキアップして一度タイヤを外す必要がありますので、同様に作業に手間がかかります。
車高調の取り付け。自分ですべき?お店ですべき?
車高調ですが、実際に自分自身でやる場合と、お店でやる場合には、それぞれメリットデメリットがあります。時間や費用などを勘案し、そのメリットデメリットを整理した上で意思決定すると良いでしょう。
■【DIY】車高長の取り付け方
まず、ご自身で車高調の調整をする前には、いくつかのフローに分かれてきます。今回は参考として、シュピーゲルの車高調の取り付け方をご紹介します。
【フロント:純正サスペンションを取り外す】
・車のジャッキアップし後、タイヤとホイールを外して、純正サスペンションを外す
・ホイールが外せたら、スタビリンクを外す
・ABSセンサーの線をショックから外す
・ブレーキホースをショックから外す
・ロアアームにジャッキをかける
・ショック下部のボルトを緩める
・アッパーマウントを取り外す
・純正ショックを取り外す
【フロント取り付け:(ストラット式)】
・ショック下部のボルトを差仕込む
・アッパーマウントを固定する
・車高調のショック下部の取り付けをする
・ブレーキホースやABSセンサー線を固定する
・スタビリンクを取り付け
上記のフローにて取り付けが可能です。
■【店舗】車高長の取り付け工賃は?車種タイプ、店舗別に比較
ご自身で作業をするのではなく、車高調を店舗に依頼する際の工賃や車種タイプ別の比較が以下になります。店舗では具体的な金額を掲載していないケースが多く、直接相談が多いようです。
【店舗持ち込み】
オートバックスの場合:
軽自動車20000円~
セダン、スポーツ車25000円~
ミニバン、1ボックス35000円~
※車種やグレード、年式によっても取り付け工賃が変わってくるので、事前に相談や確認をして下さい、
イエローハット/マルゼン/タイヤ館の場合:
※工賃自体の金額提示はしていませんでした
実際にお店に連絡をして、確認した方が確実な情報を得ることができます。
また、車高調を持ち込みで取り付けてもらう場合の工賃は、オートバックスの例に記載していた一般工賃よりもおよそ1.5〜2倍の金額はかかると考えておくことが無難です。
また、ディーラーでは基本的には持ち込んだ車高調の取り付けは行っていません。
その車種のオプションとして、車高調が取り付けられる場合の工賃が事前にオプション料金の案内に記載されている場合がほとんどです。
車高長 おすすめ・人気の3メーカーを紹介
ここまで、車高調の仕組みと種類、またそれぞれのメリット・デメリットを解説しました。それらを踏まえて、おすすめの車高調整式サスペンションメーカーと特徴をご紹介していきます。
希望している走行性能や乗り心地や、コストパフォーマンスを含め、車高調を装着する目的に合っているメーカーを選びましょう。
■【車高調おすすめメーカー・1】TEIN(テイン)
TEINは、サスペンションに関するノウハウを多く持っており、自動車の足回りパーツを専門に製造・販売するアフターパーツメーカーです。
国内メーカーということもあり、コストパフォーマンスに優れます。このメーカーは単筒式、複筒式と2種類のショックアブソーバーを製造する数少ないブランドになっています。
■【車高調おすすめメーカー・2】BLITZ(ブリッツ)
BLITZは『電脳集団』の異名を持つメーカーで、エアロパーツなどの外装やチューニングカーの吸排気系パーツまで手掛けています。
数あるパーツの中でも、特におすすめなのがZZ-Rの車高調です。
ストリートからサーキットまで幅広くカバーしている人気の車高調です。強度と軽量を兼ね備えてた、ドライバーの希望する走りに合わせた細かな調整が可能となっている点が特徴です。
■【車高調おすすめメーカー・3】HKS
車好きなら一度は耳にしたことのある日本有数のチューニングメーカーのHKSです。
車高調だけではなく、様々なパーツを製造・販売するHKSの車高調は、本格的なレーシング仕様のものも多く、性能面で高い評価を受けています。
HKSが製造する車高調は、全て単筒式となっていて、走行性能へのこだわりが伺えます。もちろん、一般車向けの低価格帯の車高調もラインアップされています。
車高長の目的にあった選び方や注意点は?
車高調を選ぶ際には、目的や用途、維持費など、どこにポイントをおくのかを考えて選ぶようにしましょう。
■どんな乗り心地を求めるのか
車高調を取付ける際は、乗り心地をどうしたいのかを決める必要があります。車高を下げ過ると、路面からの衝撃や振動を吸収出来ないので、乗り心地が悪くなるケースがあります。
■オーバーホールが可能か
車の使用環境や走行距離などによって時期は異なりますが、車高調は使用する内に性能が低下していきます。走行距離が約3万kmを目安に、オーバーホールを行う必要があります。
しかし、車高調の製品によっては、オーバーホールできない物もあるので使用する用途や今後の維持費を考慮した上で、製品を選びましょう。
■取付にかかる時間や費用
調整の際にネジ式にするのかフルタップ式にするのかなどの価格をどうするのかも考えなくてはなりません。
ネジ式の方が安価で調整がし易いのですが、フルタップ式と比較すると車の走行環境次第では、調整、再交換の必要があり、さらに費用がかかってしまうこともあり得ます。
中古の車高長には注意が必要!
中古車の車高調を選択する際には、以下の注意点を気にしておくと良いです。
■どんな使われ方をしていたか?
中古車高調サスペンション、ショック選びの肝は、距離よりもその使われ方です。
例えば、融雪剤はショック本体を錆付かせる大きな原因ですので避けなくてはなりません。特に本体がスチール製の中古車高調は細心の注意が必要です。過去にどのように利用されていたことを確認するようにしましょう。
■オーバーホールの時期はいつか?
長くても3年に1回が基準になります。放置されているままの中古車高調サスペンションやショックは即オーバーホールが必要になります。
■ネジ類につぶれは無いか?
買って直ぐに車に装着出来ない、オーバーホールの際に部品が外れない様な事態が考えられます。特に六角ボルト(ヘキサゴンボルト・イモネジ)がなめ易いので必ずチェックしてください。
【最後に】車検に通らない場合もあるので注意は必要
基本的には車検の際に車高調は問題ないそうですが、いくつかのポイントを押さえないと車検に通らないケースもあるので、注意が必要です。
あくまでも「構造変更」や「記載変更」が必要になる改造の扱いではないというのが絶対条件です。
・保安基準を満たさない
・最低地上高9センチの確保すること
・スプリングの遊びがないこと
・クラック(亀裂)やゆるみがないこと
また、元々がコイルスプリングの車に、社外エアサスを付けたりであったりとか、アクスル交換などと同じ扱いになる場合には、基本的には「記載変更」が必要になります。
今回は車高調について説明してきました。
車高は車の見た目を変える重要なポイントです。自分の愛車を好きな車高にすることで、より「かっこいい」自分だけどの車にしていきましょう。
そして、違法改造にならないよう、ルールをしっかりと守っての対応でカーライフ楽しみましょう。