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クルマのインジェクションとは。仕組み・役割からキャブ車との違いを説明

クルマのインジェクションとは。仕組み・役割からキャブ車との違いを説明

世の中には、インジェクション攻撃、インジェクション成形、インジェクションステーキなど、インジェクションと名の付くものはたくさんありますが、ここで取り上げるインジェクションとはフューエルインジェクション(Fuel Injection System)。ガソリンエンジンの燃料噴射装置です。その仕組みと役割、歴史について説明しています。


インジェクションとは?

インジェクションという言葉は、私たちの生活の様々な場面で目にするかと思いますが、ざっくりいうと「特定の物体を元ある空間から別の空間へ強制的に送り込むこと」を表します。

クルマの動力を発生するエンジンの主な燃料は、ほとんどの場合液体状態で燃料タンクに保存されますが、この液体状態の燃料をそのままエンジンに送り込んでも、そもそも爆発することもできません。

その理由はいくつか存在しますが、その中でも大きく分けて2つあるといっていいでしょう。

・理由1:燃料が爆発するために必要な酸素が足りない。
・理由2:液体状態の燃料を圧縮することは困難。

燃料が燃えるという現象は、基本的に酸素と結びついて成立する現象ですから、液体状態の燃料の中に含まれる酸素だけでは、エンジンを動かすだけの爆発力を得ることはできません。

また動力を得るためには、燃料の爆発力を回転運動に変化させ取り出すことが必要となりますが、その過程において、必ず燃料を圧縮していく状況が発生します。この圧縮過程において、燃料が液体の状態で存在し続けると、一定以上の圧縮をすることができません。

以上のことから、主な内燃機関=エンジンでは、液体の燃料を霧状に噴霧し、空気と混ぜた後にエンジンに送り込み、動力を発生させることとなります。

この液体の燃料を霧状に噴霧する装置のことをインジェクターとよび、こういった装置を使って燃料を空気と混ぜたうえで(=気化器)エンジンに送り込む仕組みのことを、インジェクションといいます。

メーカーによって呼び名が異なる

フューエルインジェクション(Fuel Injection)は、省略してFIとなります。しかし、同じような機構であってもメーカーによって呼び方が異なります。

トヨタ・ダイハツ

EFI(Electronic Fuel Injection)とよばれており電子制御式ガソリン噴射システムとして一般化されています。

日産・スバル・マツダ

EGI(Electronic Gasoline Injection)とよばれており燃料噴射装置を含めたエンジン集中制御システムECCS(Engine Central Control System)として並べて書くことが多いです。

ホンダ

ホンダでの呼び方でF1から4サイクルの50ccまで同じ名前が使われ、PGM-FI(Programmed Fuel Injection)とよんでいます。

旧来のキャブレターとの相違点

インジェクション車は、キャブレター車と違って環境の変化に強く、エンジンの安定性をあげていくことができます。

例えば、キャブレターの場合、温度・湿度・気圧といった環境変化に、気化器としての性能(=燃料を霧状に噴霧し空気と混ぜる)が大きく左右し、結果としてエンジンを安定的に動かすためには、細かな調整や機械的な加工精度が求められます。

一方インジェクションは、気化器として燃料を霧状に噴霧する行程を、温度・湿度・気圧といった外的要因も含めて電子制御することで、エンジンのパワーをより効率的に引き出しコントロールすることができることから、エンジンの安定性があげるというわけです。

ただし、イグニッションにも弱点があり、バッテリーが完全にあげってしまった状態ではエンジンを始動することができません。キャブレターかつマニュアルミッションのクルマであれば、バッテリーが完全にあがった状態であっても、いわゆる「押し駆け」でエンジンを指導することができます。

インジェクションの歴史

燃料を噴射するという機構は、もともとディーゼルエンジン用として開発されたテクニックで、ガソリンエンジンは点火プラグで混合気に着火しますが、ディーゼルエンジンにはスパークプラグがありません。

空気を多く圧縮して生まれる熱を使い、そこに燃料を噴霧して送り込むことで、自然に燃料を着火させていました。この機構の利点は、より環境変化の大きい戦闘機の分野において花開くことになります。

1.始まりは戦闘機

第2次世界大戦前、他国の戦闘機がキャブレターを搭載していた当時から、ドイツ空軍機は燃料噴射装置を採用していました。

戦闘機が活躍する高高度の世界では、温度・湿度・気圧といった外的要因が常に変化をします。それに加え戦闘機の動きはクルマと違い、上昇・下降といった3次元の動きが必要となるうえに、物体に発生する重力(=加重)の方向も常に変化することから、エンジンに安定して燃料を送り込む機構は必要不可欠であったといえるでしょう。

このため、インジェクションを取り入れた戦闘機は、マイナスGの環境でもエンジンに供給する燃料が途切れる無くなることがなく、空対空で行われる空中戦において、大きな武器となっていきました。

インジェクション機構はドイツの同盟国であったイタリア、日本の戦闘機にも取り入れられました。
日本を代表する戦闘機でもある零戦が、当時空中戦の分野において数々の伝説を生み出した背景には、こういった技術的優位性があったことも間違いないでしょう。

2.自動車に、オートバイに

メルセデスベンツ 300SL

第2次世界大戦終戦後、自動車やオートバイにも適応されるのは、1954年から発売となったメルセデス・ベンツ・300SLが初めてであり、同時に世界で初めてのガソリン直噴エンジンでもありました。

日本ではコンピュータの技術の進歩によって、燃料噴射装置はエンジンコントロールユニットであるECUに制御されるようになり、エンジンの負担や回転速度も細かくコントロールできるようになりました。

これにより燃料を出力向上だけではなく排気ガスの中の有害物質の排出なども減らすことに成功しました。

またオートバイの分野では、1980年代にホンダが電子制御の燃料噴射装置付きのエンジンの実用化を皮切りに発展してきましたが、日本の市販車の中では、1982年にカワサキのZ750GP(Z750V1)での採用が初となります。

2003年の10月3日には、ホンダが原付自転車用の49cc4ストロークエンジンにインジェクション機構を装備。2004年にはスズキが燃料ポンプと噴射ノズルを一体化した、ディスチャージポンプ式49cc4ストロークエンジンをレッツ4に搭載し、重力落下式燃料供給システムと組み合わせることで、燃料ポンプと高圧に耐えられる燃料パイプを排除することで、コスト削減も実現しています。

尚、排ガス規制強化に伴い、姿を消しつつある2ストロークエンジンの分野では、1990年代にホンダがレース用のバイクNSR500に搭載しましたが、一般販売は見送られることになりました。

3.日本車はすべてインジェクション仕様に。バイクも2016年に

クルマのコンピュータ制御は1960年代から、国産車では1970年にイスズ製クーペ117の一部に導入されたことが始まりました。初期の電子制御はエンジンに燃料を噴射する「インジェクター」をコントロールするための装置でした。

いすゞ 117クーペ

今ではエンジンだけをコントロールするだけでなく、ブレーキやハンドル操作、オートマチックミッションなどを、コンピュータを介して連動・制御されるまでになっています。

オートバイに関しては、2009年の排ガス規制を境にインジェクションが主流となり、2016年に生産終了となったホンダのFTRとCB223Sを最後に、新車で購入できるキャブレター車のバイクも消滅してしまいました。

インジェクションチューニング

キャブレターのチューニングは、基本的に燃料を霧状にする調整ネジ(=ニードル)を機械的に調整し、燃料と空気を混合する割合を変更することが主な調整方法となりますが、インジェクションではこの調整をコンピュータ制御で行うことから、一般的に自由にコントロールすることができません。

このコンピュータの制御情報を書き換えたり、乗っ取ることで目的に応じたエンジン出力のコントロールを行う試みが、インジェクションチューニングになります。

今ではカスタムの基本ともなっているインジェクションチューニング。2007年にハーレーダビッドソンがすべてのモデルにインジェクション仕様となって、機械式で行っていた燃料供給量とプラグから火花を散らす点火タイミングの調整をコンピュータ制御に変わった頃から注目を集めます。

インジェクションコントローラーを取り付ける意味

基本的にバイクであれ自動車であれ、インジェクション式のエンジンは常に快適にエンジンをコントロールすることを念頭に開発されているため、あえてそこに手を加える必要性はありません。

各メーカーが膨大なテストデータを元に作り込んだエンジン制御技術の集大成でもあるため、個人でいたずらにいじってしまうと、かえってパフォーマンスを落とすだけではなく、最悪の場合大きなトラブルに繋がる恐れさえあります。

それでも、世の中には積極的なエンジン制御を行い、エンジンパフォーマンスを向上させるため、インジェクションコントローラーといったチューンナップアイテムも存在します。

ただし、燃料噴射装置(=インジェクション)をコントロールするこの装置は、普通のバイクやクルマにカスタムしても効果はなく、レース用のパーツと組み合わせてパフォーマンスを良くすることができるのです。

また、そのパフォーマンス向上の代償として、エンジンの寿命を縮める場合もありますし、燃費などに関しても大きく低下することもあるため、レースに出場するなどの明確な目的がない限り、安易に手をだすべきチューニングではないといえるでしょう。

インジェクションの故障

インジェクションの故障は、エンジンの不具合となって現れます。例えば、エンジンの振動が大きくなったり、エンジンがかかりづらくなる加速やトルク、出力が下がったことが感じられたり、エンストすることも増えてしまいます。

主な原因としては、インジェクターの詰まりや可動部分が固まりによるもので、燃料が噴射されず混合気が薄く生成されたり、生成されなかったりといった、不安定な動作を引き起こします。

また、クルマを長い間放っておくとインジェクターに残っている燃料が経年劣化によって粘りが出てしまい、インジェクター可動部の抵抗や固まる恐れがあり噴射を妨げることとなります。ただしこの場合、洗浄することで回復に繋がる場合もあります。

インジェクションの清掃は自分でできる?

インジェクションを取り外すことは可能ではありますが、トラブルにもなりえることもありますので自分で、清掃やるときはゆっくりと丁寧にやることが大切です。特にインジェクションの先端部分のチップは壊れやすいので、心配な方は洗浄をできるだけ業者に頼むことをおすすめします。

インジェクションの清掃(洗浄)

インジェクションに詰まりや固まる症状が出たときに、交換をすると費用がけっこうかかってしまうことから清掃でどうにかできないか考えてしまいますが安心して下さい。

インジェクターの清掃は自分でやる場合は、クリーナーや添加剤があります。添加剤の使い方は、燃料タンク(ガソリンを入れるところ)に入れるだけです。

添加量は、約50リットル~80リットルに対してガソリン満タンで1本入れます。どんなに酷い汚れでも、しっかりと汚れがとれているのかクルマを走らせたときに確認ができます。

インジェクションクリーナーの使い方

インジェクションクリーナーの正しい使い方は、燃料タンクに1本入れた後普通に運転して下さい。一定の速度で走らすよりアクセルを踏んだり抜いたりした方が効果が出やすいですが、あまりにもエンジンが熱くなるような激しい運転はおすすめしません。

市販のインジェクションクリーナーおすすめ

ワコーズ F-1 フューエルワン ガソリン(2サイクル・4サイクル)・ディーゼル兼用洗浄系燃料添加剤 200ml F101

まとめ

安定した燃料噴射状況を作り出すことを目的としてとして誕生したインジェクション。その制御方法が各種センサーやコンピュータと組み合わさったことで、よりきめ細かくクルマのパフォーマンスを制御し、快適なドライビングを提供する技術の要ともいえる進化を果たしました。

ハイブリッドや燃料電池車など、クルマを動かすエネルギーこそ変わっていきますが、インジェクションコントロールで培われたエンジン制御技術は、これからも自動車の発展に欠かせない技術であるといえるでしょう。

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