発売から70年以上でも大人気!ワーゲンバス「VW タイプ2」
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
日本でもおなじみのドイツの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」は、ビートルやゴルフなど、歴史に残る名車を数多く生み出してきました。
そんな名車の中でも、ぱっちりとした丸いヘッドライトと丸みを帯びたワンボックス形状がキュートなワーゲンバスは、見かけると笑顔になってしまうこと間違いなしの陽気なイメージで人気があります。
あまり車に詳しくない方や、お子さまであっても、一度見ればきっと忘れられないそのデザインは、非常に印象的ですよね。
初代は1949年に製造が開始され、現在まで世代を更新しながら受け継がれ続けるワーゲンバスは、70年以上にわたって世界中の人々を幸せにしてきた車です。
この記事では、そんなワーゲンバスについて詳しくご紹介していくとともに、近年にわかに盛り上がりを見せている復刻版ワーゲンバスの最新情報についても解説していきます。
■ワーゲンバスってそもそもどんな車?
フォルクスワーゲン タイプ2(右・T1)、トランスポーター T5(左)
日本ではワーゲンバスと呼ばれることも多いモデルは、正式には「フォルクスワーゲン トランスポーター」と呼ばれる車で、フォルクスワーゲン社が製造する商用向けの自動車となっています。
一般的には「ワーゲンバス」と呼んだ場合、トランスポーターの第1世代(T1)と第2世代(T2)までのことを指す場合が多く、中でもエクステリアデザインの印象が強いのは初代であるT1かもしれませんね。
また、ワーゲンバスという呼び名は日本で広まっているもので、世界的には「フォルクスワーゲン タイプ2」などと呼ばれているモデルになります。
さまざまな用途にぴったりなワンボックス型バンだけあって、パネルバン仕様がKastenwagen(カステンワーゲン:箱バン)、多人数乗用仕様がKleinbus(クラインブス:小型バス、英語でマイクロバスとも)、乗用・貨物兼用がKombi(コンビ:コンビネーション、米国でのステーションワゴンに準ずる呼称)、後部が荷台仕様がPritschenwagen(プリッチェンワーゲン:フラットベッドトラック、英語でピックアップとも)など、たくさんのバリエーションが用意されてきました。
フォルクスワーゲン トランスポーターは、現在でも世代を重ねて販売が続けられる欧州で人気のバンです。
■2013年まで新車でワーゲンバスが買えたってマジ?!
フォルクスワーゲン タイプ2(T2)
初代モデルとなるT1は1949年に販売が開始されたという、歴史の深いワーゲンバス。
そんなT1が、1967年に後継モデルとしてさまざまな部分をブラッシュアップしたT2が登場するまで長期間にわたって第一線で活躍したことは驚異的ですが、なんとそのT2、ブラジル市場では2013年12月まで生産が続けられていたことには、さらにびっくり仰天ではないでしょうか。
近年の車が数年単位、長くとも10年程度でフルモデルチェンジを行うのが一般的であることを考えれば、ワーゲンバスが時代に流されない不変の魅力を持つモデルであることがわかりますね。
さすがに長期間にわたる生産だけあって、オリジナルの空冷エンジンからより現代的な水冷エンジンへ設計変更を受けるなどの細かな変化はあるものの、外観はT2そのもの。ブラジル仕様の新車が日本で並行輸入販売されることもあり、タイムマシンのような存在でした。
ワーゲンバスが「タイプ2」と呼ばれるワケは
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
タイプ2という呼び名は、1960年代の北米で広まり始めて、今でも使われることがあります。
現在では、初代モデルのT1も含めて総称として「トランスポーター」と車名がついていることになっていますが、特にT1やT2の頃は、販売する国によって車名が異なるなど、モデルとして統一した車名を決めるのが難しい時期がありました。そのため、いつしかフォルクスワーゲン社内で呼ばれていた型式名称の「タイプ2」と呼ぶことが広まったようです。
タイプ2とは、現在では「ビートル」と呼ばれることが一般的な「フォルクスワーゲン タイプ1」をベースにしたバンという意味で、「1型=ビートル」に対する「2型」という意味だけ。どこかドイツらしい、事務的な響きもありますが、ビートルとのつながりも強く感じさせる点はわかりやすいですね。
現在では世界的にワーゲンバスのことを「タイプ2」と呼ぶことが一般的になりつつあるようです。
■ワーゲンバス、ブリ、…他にもたくさんある愛称まとめ!
日本では「ワーゲンバス」や「サンババス」などと呼ばれることも多いタイプ2は、アメリカではVW Bus、イギリス英語ではCampervan、オーストラリアなどではKombiなど、国によってさまざまな愛称があります。これだけ見ても長い間人々に親しまれてきた車だということがわかります。
本国ドイツではどうなのかというと、Bulli(ブリ:ブルドッグ)というユーモラスな愛称が定着しているそう。鼻の短いワーゲンバスの特徴をうまく表した名前と言えそうです。
お洒落キャンパー御用達?!ワーゲンバスでアウトドア
フォルクスワーゲン タイプ2(T2)
フォルクスワーゲン タイプ2(T2)
タイプ1(ビートル)と同様に、タイプ2も車体後方にエンジンを搭載したリヤエンジン・リヤドライブ(RR)レイアウトであり、その室内空間は見た目以上に広々としています。
広大な空間を活かし、車内を自分仕様にカスタマイズすることも可能ですが、中でも近年盛り上がりを見せているのがキャンパー仕様でしょう。
もとよりゆったりとくつろげる室内ですので、キャンプ用品を積み込んでも余裕がありますし、何よりアウトドアシーンでも様になるキャラクター性は、タイプ2ならではの魅力ですよね。
フォルクスワーゲン車をベースとしたキャンパーの製作で一時代を築いた「ウエストファリア」によるコンバージョン仕様などを手に入れれば、お手軽にお洒落キャンパーライフが実現できそうですね。
ワーゲンバスの基本スペックや燃費を詳しくまとめてみた
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,505mm×1,720mm×1,955mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,400mm | |
最大乗車定員 | 8名 | |
車両重量 | 1,380kg | |
排気量 | 1,970cc | |
エンジン最高出力 | 25HP/3,300rpm | |
駆動方式 | 2WD | |
トランスミッション | 4速MT |
タイプ2は、年式が1979年のもので全長4,505mm、全幅1,720mm、全高1,955mm、ホイールベース2,400mm、車両重量は1,380kg、駆動方式が2WD、排気量1,970cc、最高出力25HP/3,300rpm・4速MT・乗車定員8名という参考データがあります。
燃費は7.0〜8.0km/Lという参考データもあり、現代的な基準からは悪いように感じますが、年代を考えれば仕方ない部分。
また、意外と車重が重めなことや、ハイパワーとはいえないエンジンの組み合わせですので、初代のT1では最高速度も90km/h程度と控えめな数値となっていたとのことですが、その最高速度での巡航が可能だったとのことで、欧州車らしさも感じさせます。
■ワーゲンバスの広々室内!画像でチェック
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
ワーゲンバスの中でもT1の広い室内空間をご紹介しましょう。
観音開き式の特徴的なサイドドアを開けば、もはやこれ以上低床化のしようがないほどに低い室内の床と、それによって確保された高い室内高が目に入りますよね。
現代的視点では、シートの作りは簡素そのものといった印象ですが、それでもシート座面とフロアとの高さがしっかり取られたそのレイアウトはいかにも快適そう。ふっくらとしたシートは、まるでソファのようにくつろげそうですね。
【高騰中?】ワーゲンバスの中古車価格まとめ
フォルクスワーゲン タイプ2(T1)
ワーゲンバスは根強い人気のある車ですが、コンディションが良いものはもちろん、維持費がかさみそうな状態のものでも全般的に中古車価格は高い傾向があります。
■販売台数自体が減少中、欲しいなら根気強く探そう
そもそも販売されている台数自体が少なくなってきているのもその要因として考えられます。中古車相場としては大体200万円台くらいからありますが、高いものは700万円台にもなるものもありますから、販売店と相談して決めるという方法も多数取られているので、交渉してみる価値は十分あると思うのでオススメします。
■本家は高すぎ?「なんちゃってワーゲンバス」軽バンはいかが
カスタムされた軽自動車
ワーゲンバスは年式がかなり古めであることや、世界的に人気が高いこともあり、中古車価格は高止まり気味です。そのため、全体のフォルムがちょっぴり似ている軽商用バンの外観を、ワーゲンバス風にコンバートしたコンプリートカーが、巷で隠れた人気車種となっているようです。
現代の軽バンや軽トラックは、エアコンパワステ完備など普段使いも全く問題ない豪華仕様も選べるので、見た目はワーゲンバス風でレトロながら、乗り味は現代的という、いいところどりができる点も人気の理由でしょう。
すでにワーゲンバス風に外装をカスタムされたコンプリートカーも中古車市場で多数探すことができますし、ベース車と外装パーツを別途手に入れて、ご自分でカスタムしていくことも可能。楽しみが広がりますね。
余談にはなりますが、スバル サンバーの5代目モデルなどは、丸目ヘッドライトなど外装がワーゲンバスを思わせるような愛らしさがあったり、同じRR車だという点から強い関連性を感じた方もいたようで、過去には「軽自動車仕様のワーゲンバスは、何という車種なのか?」とフォルクスワーゲンに問合せが入ることもあるほどだったようです。
万能バンの系譜は今も継続中!デビューほやほやの「マルチバン」
《画像提供:Response 》フォルクスワーゲン マルチバン
フォルクスワーゲンの商用バンであるトランスポーターは、現在までモデルチェンジが繰り返され、1979年に「T3」、1990年に「T4」、2003年に「T5」、2016年に「T6」と世代を重ねており、2021年6月には新型のT7となる「マルチバン」が公表されています。
歴代のトランスポーターにおいて、バンタイプではなく乗用バージョンの呼び名として用いられてきた「マルチバン」の車名からも分かる通り、こちらは乗用仕様の3列7人乗りミニバン。商用車としては、T6が継続販売されることが発表されています。
新型マルチバンは、VWの商用車系のモデルとして初めてプラグインハイブリッド仕様が設定されるほか、トランスミッションは全車でDSGのみの設定となるなど、環境性能を大いに高めた点が注目ポイントです。
《画像提供:Response 》フォルクスワーゲン マルチバン インテリア
より水平基調の印象を強めたエクステリアは、現行世代のVW車と歩調を合わせた印象のシャープさが感じられます。日本のスーパーハイトワゴン軽を思わせるような、縦方向に長い三角窓をAピラーに組み込むことで、視認性を向上させるなど、扱いやすさも磨かれている様子です。
商用仕様のトランスポーター、乗用仕様のマルチバンともに、国内にはここ数世代にわたって正規導入がされていません。新型マルチバンも導入の見込みは薄いとされますが、トヨタ グランエースの新規投入で大型ミニバン市場の競争が激化していることもあり、続報に期待がかかります。
ワーゲンバスがEVで大復活!「ID. BUZZ」最新ニュースまとめ
フォルクスワーゲン I.D. BUZZ
日本では「第45回 東京モーターショー2017」で初公開された「I.D. BUZZ」は、2トーンのカラーリングや丸みを帯びたフォルムがワーゲンバスとのつながりを感じさせるコンセプトカーでした。
長いホイールベースと短いオーバーハングが特徴で、フルEV仕様としたことでメカ部分を小さくまとめ、広い居住空間を追求していたコンセプトカーでしたが、2022年の市販仕様公表予定が公式に発表され、2021年9月にはついに実車のプロトタイプまで公開したことで、話題が再沸騰しています。
■ワーゲンバス復活はVW長年の悲願!
フォルクスワーゲン マイクロバス コンセプト
すでに2022年の市販モデル発表が正式に予告されている「ID. BUZZ」ですが、ワーゲンバスの復活を思わせる車の登場は、フォルクスワーゲンにとっても長年の悲願だったようです。
2017年にデビューしたID. BUZZに先行すること10年以上、2001年にはすでにその名も「マイクロバス・コンセプト」と、ワーゲンバスの復刻を高らかに謳うような車名のコンセプトカーを発表しています。
丸みを帯びたフォルムでワーゲンバスらしさを感じさせていたマイクロバス・コンセプトは、2004年の市販予定とされていましたがその後プロジェクトは廃止に。やや間が空いて2011年にはこちらもワーゲンバスとの関連を感じさせる車名の「ブリ・コンセプト」が電気自動車として登場し、ID. BUZZにバトンを繋げました。
■新型ワーゲンバス、ついに実車が公開!自動運転の「ID.BUZZ AD」
《画像提供:Response 》フォルクスワーゲン ID.BUZZ AD プロトタイプ(IAAモビリティ2021 出展車両)
長くコンセプトカーとして登場してきた「ID.BUZZ」。2021年9月にはついに、自動運転プロトタイプの「ID.BUZZ AD」が発表されており、その市販仕様の姿が明らかになっています。
まだ外装には黒と白のカモフラージュが施されており、エクステリアデザインのディテールは掴みにくい状態ではありますが、スクエアながら丸みを帯びたフォルムはコンセプトカーのI.D.BUZZそのままの愛らしい印象です。
AD(Autonomous Driving、自動運転)の車名が示すように、完全自動運転シャトルの技術開発用プロトタイプとなっており、ルーフ上やフロントバンパー両端などにLiDARなどのセンサーが多数装備されています。
フォルクスワーゲンやその開発パートナーは、将来的には完全自動運転車によるシャトルサービスを実現することを目標としており、2025年にはID.BUZZ ADを使用してドイツ・ハンブルクでの商用サービスを開始する予定となっています。
ID.BUZZ ADに搭載される、ARGO AIの自動運転車両システム イメージ
AD(Autonomous Driving、自動運転)の車名が示すように、完全自動運転シャトルの技術開発用プロトタイプとなっており、ルーフ上やフロントバンパー両端などにLiDARなどのセンサーが多数装備されています。
フォルクスワーゲンやその開発パートナーは、将来的には完全自動運転車によるシャトルサービスを実現することを目標としており、2025年にはID.BUZZ ADを使用してドイツ・ハンブルクでの商用サービスを開始する予定となっています。
ID.BUZZ ADで見える、市販仕様のディテールを予測
《画像提供:Response 》フォルクスワーゲン ID.BUZZ 開発車両
ID.BUZZ ADが、エクステリアをカモフラージュで隠した開発車両の状態で公開されたとはいえ、各部の現実的な仕上がりを見るに、すでにID.BUZZの量産仕様も登場間近と見られています。公開されたばかりのプロトタイプと、公道上テストを実施している開発車両のスクープ写真をじっくり確認しつつ、市販仕様のディテールを予測してみましょう。
フロントフェイスは、短めのノーズと大きく寝かされたフロントウィンドウがコンセプトカー「I.D.BUZZ」譲りですが、カモフラージュによってヘッドライト形状が偽装されています。しかし、Aピラーよりも後ろまで続いているカットラインを見ると、ヘッドライト形状はもっと細目のシャープなものと思われ、こちらもコンセプトカーにかなり近い仕上がりとなっていることが予想されます。
《画像提供:Response 》フォルクスワーゲン ID.BUZZ 開発車両
テールランプも、開発車両ではオペル車風の偽装が施されていますが、よく見ると外側に本物のテールランプの外形が浮かび上がっています。こちらもコンセプトカー通りに直線的でシャープなデザインとなっているようです。
ぱっちりとした丸目がかわいらしい往年のワーゲンバスと比べると、かなりキリッとした顔つきで登場することになりそうなID.BUZZ。今後の量産仕様公開まで目が離せません。
■どんどん増えてるVWのEV「ID.シリーズ」
フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲンにおける電気自動車シリーズとなる「ID.」は、コンパクトハッチバックのID.3が2020年に登場したのを皮切りに、SUVのID.4、クーペSUVのID.5、3列シートを持つミニバンのID.6と、矢継ぎ早にラインナップが急拡大しています。
その急拡大している乗用車ラインナップに加えて、商用車のEV化の急先鋒となるであろうID. BUZZの市販仕様。
EVであるというだけでなく、2025年に都市部での完全自動運転システムの商業利用を目指すという、同社の自動運転技術の実証試験車両としてもID. BUZZが活躍するとのことで、広く愛されたワーゲンバスの後継車としてふさわしい、あらゆるシーンでの大活躍が期待できそうです。
まとめ
フォルクスワーゲン ID. BUZZ カーゴ(右)、タイプ2(左)
今では入手困難な状態が続いているワーゲンバス、タイプ2ですが、そのアイコニックなデザインはこれからも街中に笑顔を振りまいてくれることでしょう。
後継となる新型車「ID. BUZZ」の市販仕様公表予定も発表されたことですし、今までより環境にも配慮した乗り心地のいい一台になることでしょう。発売がもう待ちきれませんね。
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よくある質問
■タイプ2があるなら、タイプ1もあるの?
「ビートル」で有名なカブトムシのようなあの車こそ、「タイプ1」と呼ばれる車です。第二次世界大戦後の1946年、イギリス軍向けに同車の生産を再開した際に「フォルクスワーゲン タイプ1」という名称が用いられました。世界的に有名な「ビートル」という名前は、1970年代までは車名ではなかったのです。
■ワーゲンバスの人気は日本だけなの?
ワーゲンバスと呼ばれることの多いT1およびT2は、地元の欧州だけでなく北米・南米、オーストラリアなどでも登場当初から大ヒット車種となったこともあって、世界的な人気車となっています。現在でもワーゲンバス愛好家が世界中に多数存在しています。またT3以降のモデルも各世代にファンがいて、幅広く愛される車種となっています。
■ワーゲンバスのサイズ感、現代日本の車と比べるとどう?
初代にあたるT1は、全長約4.3m、全幅約1.7m、全高約1.9mとなっており、比較するとやや全長が短いものの、概ねトヨタ タウンエースバン(全長約4.1m、全幅約1.7m、全高約1.9m)と同等のサイズ感です。日本の入り組んだ道でも扱いやすいサイズとなっていますね。乗用車ではホンダ フリード(全長約4.3m、全幅約1.7m、全高約1.7m)などが近めとなっています。